【編集後記】
みなさん、こんにちは。いま、海外49か国に日本人学校が94校あり、補習授業校は、世界54か国に230校あるそうです。そのうちアメリカには、全日制の日本人学校が4校、補習校が82校あるとのことです。公益財団法人海外子女教育振興財団の綿引宏行理事長が1月下旬に来米してシカゴとニューヨークの日本人学校を視察して、学校設立母体の関係者たちとも面会しました。来米の目的は、昨年6月に日本で成立した在外教育施設振興法の説明と理解を求めるためです。振興法は日本人学校と補習授業校が国際化・現地化に向けて大きく舵を切ることが大きな内容になっています。その柱は4つあり、国際社会で活躍できる豊かな人間性を備えた創造的人材の育成、在外教育施設設置者の連携強化、学校を国際交流拠点と位置づけ日本文化発信の場所とすること、そして在留邦人の子以外の者であっても教育を受けることを希望する者を受け入れることの4点が明記されています。現地採用の教員もJETプログラム経験者を優先的に採用して、日本政府がその財源を補助することになります。今までは、日本に帰国した時に日本の教育システムにスムーズに戻れるよう、日本と同等の教育を行うことに重点が置かれましたが、日本企業の駐在員の減少に伴う帯同家族の減少と生徒数縮小など先細りになる在外邦人教育機関の安定経営のためにも、また、将来の日本にとって必要となる人材の原石を国際交流というシャッフルにかけて磨く思い切った現地化が必要という考えのようです。1月30日に日本の衆議院予算委員会で萩生田光一元文科相がいいことを言ってます。国会中継をYoutubeの動画でNYでも見ることができました。その中で萩生田氏は「海外の日本人学校は、日本政府が作ったものではなく、海外で働く企業の人たちがお金を出しあって設立した私立校がほとんどであり、本来義務教育で学ぶ権利のある子供達の教育がいわば現地任せになっていて、その中身もばらばらだ。日本政府がもう一歩前に出て応援するべきではないのか」と提言しました。これに対し岸田首相は「グローバル人材を育てる上で海外の日本人学校は重要な存在だ。今後国際人材の育成にも前向きに検討していきたい」と答えました。日本の衆院予算委員会で、海外の日本人学校が取り上げられたのはおそらく初めてではないでしょうか。岸田首相自身も小学校の時にニューヨークの補習授業校に通っていた帰国子女なので、その重みは実体験としてお持ちのはず。今週号の1面と6面で在外教育施設振興法の中身や綿引理事長のインタビュー記事があります。ご覧ください。それでは皆さんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)