みなさん、こんにちは。ニューヨークの高級寿司店として日本から進出している寿司田が1月末に閉店した2号店に続き、本日2月28日でマジソン街本店1号店を閉店し、対米進出34年の歴史に幕を下ろしました。米国寿司田の現地責任者、高橋保彦社長によると、閉店理由は職人のビザが取れなかったことだそうです。1号店には5人の寿司職人が残っていたが6月で3人のビザが切れ、その更新や新規のビザの取得ができなったそうです。これまで職人のビザ更新には30年以上まったく問題なくできたのに、トランプ政権になってから寿司職人にビザが下りなくなったとのこと。同店は、日本で高級寿司店を展開する寿司田が1985年に米国現地法人を設立、87年1月に現在の49丁目にマジソン街1号店をオープン、88年9月にロックフェラーセンターに2号店をオープンしました。磨き抜かれた日本伝統の寿司調理技術を生かした本物の味を提供することで知られ、ニューヨークでも日本と同じ本格的な江戸前寿司を提供するため、寿司職人は全員日本から派遣する方針を取ってきたのが裏目に出た格好です。両店ともにミッドタウンの中心部に位置し、近隣のビジネス客や観光客が多く訪れ、マジソン店にはマンハッタンで本格的な5つの座敷があり、日系企業の接待需要に応えてきました。「寿司職人は米国人にとって変わることのできない日本人の専売特許」という時代は終わったともいえます。最終日のディナーが始まる午後5時30分。すでに閉店の報が広まっていたのかカウンター席は予約でいっぱいで、テーブル席1名で予約。行くとキャンセルがあって高橋社長の前のカウンターに座ることができました。特に弾んだ会話はなかったですし、寂しそうでしたね。いただいたのは寿司の握りセットの「蘭」で、うに、いくらの入った9かんと鉄火1本で40ドル。ニューヨークでは、どこもかしこも、お任せで100ドルを平気で越える店が乱立するなかで、品質は最高級で良心的な値段を守ってきました。普段はそれでも敷居が高くて行けませんが営業34年、最後の本格江戸前寿司をニューヨークで食する最後のチャンスということで、また私のNY滞在歴とまったく重なる寿司田に感謝の気持ちを込めていただいてきました。いきつけの「ともえ寿司」とはまた違う正当派の味がしました。美味しかったです。長い間、ありがとうございました。それでは、みなさんよい週末を。(「週刊NY生活」発行人兼CEO三浦良一)