NY地下鉄をデザイン

宇田川信学さん

NYで在外公館長表彰

 宇田川信学(まさみち)氏(59、Antenna Design社・共同設立者)への在外公館長表彰式が7日夕、在ニューヨーク日本国総領事・大使公邸で実施された。

 宇田川氏は、日本人インダストリアル・デザイナーとして、NY市地下鉄における券売機、地下鉄車両、駅構内の緊急連絡端末や公衆電話に代わってNY市内に設置されたLinkNYC(公共情報端末)などの、NY市内の公共空間における各種設備のデザインを担当した。外部者としての視点からNY市民の行動を深く観察し、その行動原理を踏まえた各種デザインを通じて、公共空間の環境改善に貢献してきた。

(写真上) 写真は左からカワサキレールカー廣瀬社長、モースリンガーさん、表彰される宇田川さん、表彰状を手渡す森大使

カワサキレールカーR211走る

 また同氏のデザインした緊急連絡端末(Help Point Intercom)がニューヨーク近代美術館(MoMA)に展示されたほか、各種賞を受賞する等高い評価を受けており、公共空間における各種デザインによってNY市民の日常生活に貢献している。この秋から宇田川氏がデザインした最新の地下鉄車両R211型がAラインで走り始めている。当日は、同僚のシギ・モースリンガーさんが祝辞を述べ、NY市に地下鉄車両を納入しているカワサキレールカーの廣瀬雄介社長が乾杯の音頭を取って祝福した。

 宇田川氏は「デザインというのはデザイナーだけでできるものではなく、運や努力や工業面からの必要性から生まれるもので、これからも社会と人々のためにデザインをしていきたい。今後は今まで社会に存在しなかったもの、例えば今まさに現実的になりつつある空飛ぶ自動車や、働き方が変わってミッドタウンのオフィスの空室率が高まっている時に、空間というものをどうデザインできるのかなど取り組んで行きたい」と語った。

 カワサキレールカーの廣瀬社長は「カワサキレールカーが製造したR211に対して、日本人デザイナーの宇田川様が在外公館から表彰されることはご同慶の至りに存じます。本日の受領、誠におめでとうございます。R211は私共が自信を持ってお届けするニューヨーク地下鉄の最新型車両で、今後約5年をかけて約1600両を順次納入予定です。R211が全両納入されますと、ニューヨーク地下鉄車両の過半数(50%以上)はカワサキ製車両になる見込みです」と話している。