経済再開にヒト、モノ供給追いつかず
米国で2021年春より始まった物価高騰が止まらない。米労働統計局による2021年11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比6・8%上昇、変動が大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は同4・9%上昇となった。前年同月比の伸びは、CPIは1982年6月以来、コア指数でも1991年6月以来最大だった。
品目別に前年同月比で見ると、まずガソリンが58・1%上昇を記録。車の値段上昇も顕著で、中古車が31・4%上昇、新車11・1%上昇となった。食料品は家庭用が6・1%、外食5・8%と共に伸びており、合わせると6・1%上昇で2008年以来、最大の上がり幅となった。また住居費が3・8%と、最近になって上昇が顕著となっている。住宅ローンや家賃、光熱費など、住居維持のために必要な費用も上昇しており、インフレ圧力を証明するものとなっている。航空運賃とアルコール飲料を除けば、ほぼすべての分野で価格上昇が続いている。
米労働統計局によると、食料品や住居費、中古車、トラック、新車の価格上昇が物価高騰の大きな要因という。バイデン大統領は「加速するインフレを下げることが最優先事項」と述べており、例えばガソリン代の高騰に対応するため米政府は11月23日に石油戦略備蓄の市場放出を決めた。これによりいくつかの州でガソリン価格が低下し始めた。
物価高騰の原因としては、国内総生産がコロナ禍前に戻りつつあるなかで、労働市場がひっ迫していることが挙げられている。コロナ禍で一部商品の供給が減少していたにもかかわらずワクチン接種が進むなどして経済活動が再開され需要が高まった。このためかなりの業種が人手不足となっており、流通の滞りを含めた供給不足が物価上昇を生み出している。
港湾ストライキも懸念
ニューヨーク共同貿易では、昨年夏前からビジネスが戻ってきているが、コンテナの滞留問題で通常ドライコンテナ1本3000ドルだったものが3万5000ドルまで値上がりし、一時は倉庫がガラガラになった。レストランで、塩や砂糖などどうしても日本製のものが必要なものは航空便なども使い手配した。何よりも供給を止めないことを最優先にしたという。昨年末からコンテナの手配もできるようになったが、4月から港湾組合のストライキが控えているのでそれも懸念材料だという。