ワールドフィナンシャル・センターの前にちょっとした横長の人工池がある。その前にカフェのようにテーブルと椅子が並べられていて、一部は誰でも使えるスペースになっている。 木陰のテーブルにすわり、コーヒーを飲みながら、仕事 […]
カテゴリー: ニューヨークの魔法
セントラルパークで励ます人
真夏の日曜日の朝七時頃、セントラルパークを集団で走る人たちがいた。週末はここを、さまざまなマラソン大会に参加する人が、一緒に練習している。資金集めのために走る人もいる。その日の参加者は二、三千人だという。 それをサポ […]
各停よ、そんなに急いでどこへ行く
地下鉄がそんなにいい加減なわけがない。作り話だろう。 拙著『ニューヨークのとけない魔法』の読者が、ブログか何かでこう書いているのを見つけた。 その人がこの街を訪れたら、拍手で迎えてあげたい。 Welcome to […]
ニューヨーカーはひたすら歩く
ニューヨーカーはよく歩く。とにかく歩く。碁盤の目のマンハッタン。東西に走るストリート間は、徒歩で一ブロック一分ほどかかるといわれる。 歩くべきでない時も歩く。赤信号なんて待っていられない。ひたすら歩き続ける。赤信号で […]
男子トイレの風景
夫が楽しそうに公衆トイレから戻ってきた。初秋のある夕方、私たちはニューヨーク公共図書館の裏にあるブライアントパークにいた。 夫が手を洗おうとすると、手洗いの鏡の前にアジア系の男の人が立っていた。三十代くらいの小柄な人 […]
アメリカン・ジョーク
最近、企業のトップばかりが集まったパーティで、こんなジョークを耳にしたと知り合いから聞いた。ある人がオウムを買いに行った。値段はさまざまだ。 このオウムは千ドルするんですか、と客が尋ねた。 なにしろ、それは英語を話 […]
希望の天使
高速バスで仙台から石巻に向かい、その日の午後、被害の大きかった地域を訪れた。瓦礫の山は小さくなり、道路や橋も補修されつつあった。 津波で十メートルほど流され、横倒しになったコンクリートの建物が、今もそのまま 浜に残さ […]
花柄イエローキャブとむっつりおじさん
ニューヨーク市で、これまで行ったことがない地域を夫とぶらぶら歩いた。とくに治安が悪いというわけでもないのだろうが、殺伐とした倉庫街のようなところだ。用がなければ、わざわざ地下鉄を降りることもないだろう。 イエローキャ […]
ミラノ、そして東京の、とけない魔法
ウエイトレスは、「ロベルタ from Italy」と書かれた名札を胸に付けていた。 二十代半ばくらいの白人女性だった。身のこなしが美しく、話す日本語も丁寧で心がこもっている。 「失礼、シマス」「オ待タセ、シマシタ」「 […]
クリスマスだから
私は最近、大失敗を犯した。あまりに最近のことなので、そのことについて書くのも胸が痛い。 ある仕事関係者から、締切を予定より早めてもらえないかというEメールがクリスマス・イヴに届いた。前に一度、無理だと断わったが、とて […]
おしゃれな大学のおしゃれでない話
マリーパットは最近、ファッション工科大学(FIT=Fashion Institute of Technology)で、ある講座を受講することになった。客室乗務員として長い間、働いてきたが、数年前に退職し、自分のアート作 […]
窓辺のパンプキン
ハロウィンの二週間ほど前に、ゲイルと、五歳になる彼女の甥のイーサンと三人で、パンプキンを買いに行った。そこは郊外の大きなスーパーマーケットで、外には何百個もの大小さまざまなパンプキンや、飾りつけに使う干したコーンなどが […]