(このエッセイは、前回(10月19日号)に掲載されたエッセイ「夫の追っかけ」の続きです) と、私たちの目の前に、制服姿のハンサムなパイロットが現れた。 席は取れたかい? そう声をかけながら、手に持っていたカップ […]
カテゴリー: ニューヨークの魔法
夫の追っかけ
ふと気づくと、ふたつ向こうの席の女性が、私を見つめている。 空港の搭乗口近くに充電用のスタンドを見つけ、その前にすわっていた。機内で執筆するために、ノートパソコンをフルに充電したかったが、電源はすべて使われていた。 […]
空飛ぶ宿題 ニューヨークの魔法
No screen time for you. あなたはスクリーンを観ている時間なんて、ないのよ。 私が窓際の座席に着くなり、隣にすわった少女が目の前のモニターを触ろうとすると、その隣の通路側にすわっていた母親らし […]
2ドルと友情 ニューヨークの魔法
財布を開けながら、何かおかしい、と思う。 カフェでジェネファーと昼食をとった。私はバーガーで、ジェネファーはラップサンドを注文する。私のほうが、2ドル高かった。 消費税とチップは大して差がないから、その分は折半しよ […]
信号を守らないニューヨーカー ニューヨークの魔法
ニューヨーカーは信号を守らない。左右を確かめ、車が来なければ、すたすたと道を横断する。いや、車が来ていても、接触しないほどの距離があれば、十分だ。 接触しそうでも、車よ、止まれ、とばかりに悠々と歩いていく人も多い。 […]
あの日の散歩道 ニューヨークの魔法
今朝も空は真っ青で、ハドソン川の川面には太陽の光が反射し、輝いている。ヨットがゆったりと行き来する。 こんな気持ちのよい日に、部屋で執筆? 神様がくれた最高のプレゼントではないか。 そうだ、フェリーに乗ろう。 ガ […]
最悪なダンスのお相手 ニューヨークの魔法
私の場合 近くの人とペアになってください、というインストラクターの呼びかけで、ラテン系の青年が私の手を取った。 マンハッタンではときどき、誰でも参加できる無料のダンス教室が開かれる。 昨年のある夏の夜、四十四丁目辺 […]
最悪なダンスのお相手 マリーパットの場合
モンティの華麗なステップに、マリーパットがひと目ぼれした。 ふたりが出会ったきっかけは、社交ダンスだった。 モンティと一緒に踊れたときには、胸が高鳴ったわ。でも、踊りたくもない相手に当たったら、最悪よ。 […]
羊のお頭
夫と入ったギリシャ料理店で、その日の日替わりメニューを見る。 kefalaki(ケファラーキ)と書かれている。 マンハッタンの東側を流れるイースト川を渡ると、そこはクイーンズ区だ。マンハッタンにほど近いアストリアに […]
Prayers for Japan 日本への祈り
二〇一一年三月十一日のあの日を、私はニューヨークで迎えた。朝起きると、日本にいる家族からは無事を知らせるメールが、私が東京にいると思っていた友人からは安否を尋ねるメールが続々と届いていた。 あわててテレビをつけると、 […]
テーブルで水浴び
村上春樹がアメリカに来たとき、会えるならぜひ、会っておきなさい、と勧められた作家が、E・L・ドクトロウ(E. L.Doctorow)だったと、何かで読んだことがある。 ニューヨークの図書館で、彼の本を借りるためにカウ […]
私は、ザ・デストロイヤー
友人夫婦ロブとベッツィのところに、しばらく滞在した。ロブはふだん穏やかそうなのに、一緒に過ごしてみると意外な発見がある。 ロブは音に対して、とくに神経質だ。テレビのボリュームは最低にし、コマーシャルになる […]