眞子さん安全に赤信号

住居近くで銃犯罪対策強化

ガーディアン・エンジェルスが巡回出動

 ニューヨーク市の治安悪化に伴い、市はヘルズキッチンの一部を含むタイムズスクエアの公共施設や商業地区での銃の持ち込みを禁止する措置をこのほど発表した(別稿参照)。同地域は、昨年11月に来米した秋篠宮家の長女で元皇族の眞子さんと小室圭さん夫妻が住むアパートに隣接しているエリア。治安悪化の中で、もし眞子さん夫妻が事件や事故に巻き込まれたらどうなるのか。皇室を離れ、一般人となった身分のため、表立った要人警護はなされていないとされるが、実態はどうなのか、一切明らかにはされていない。

 そんな中で、ニューヨークで発足した自警防犯組織ガーディアン・エンジェルスがウエストサイドやヘルズキッチンの巡回パトロールを強化するとこのほど発表した。同組織の日本代表で、30年前にNYで隊長を務めた小田啓二さん(50)が、同組織のトップであるカーティス・スリワ代表に治安悪化地区の中心部に日本の元プリンセスが住んでいることを伝えたところ、アパート近辺をパトロール地区に含めることを決め、5日、小田さんの案内で一帯を視察した。歩くとシェルターの外にいた警察官がスリワ代表に挨拶して立ち話が始まる。スリワ代表は、昨年のニューヨーク市長選挙で共和党選出の候補となった人物で顔が広く警察官からの信望も厚い。「警察出身者が市長になったのに以前より治安が悪化して最悪だ。路上生活者のためのシェルターがあちこちの住宅街にできて市民生活が脅かされ、安全ではなくなっている。日本の元プリンセスがこの辺に住んでいることをさっきの警察官たちは知らなかったよ」と話す。

 現在は日本企業の駐在員としてNYに滞在する小田さんは「安倍元総理が奈良市内で選挙演説中に暴漢に銃撃されて死亡する事件が起こり、警察庁は、改めて要人警護のあり方を全面的に見直し全国の警察に通知した。昭恵夫人にも今は警護がついている。悲劇を二度と繰り返さないための今後の対策だが、NYの眞子さん夫妻の場合は、事件が起こったら、あとがない。日本人観光客がタイムズスクエアで窃盗被害に遭って、以後気をつけましょうと注意を喚起するのとは訳が違う。事件が起こってからでは遅いんです。我々は自主的に活動する米国のボランティア組織で日本の税金を使うわけではないのでどこからも文句は来ないでしょう。所轄の警察とも関係は良好です」と話す。NY市の防犯NPOが、眞子さんの自宅周辺の巡回パトロールを関係者として公言するのは初めて。現在隊員は200人。担当班は眞子さんの顔写真のコピーを持ちパトロールするという。

 8月31日午後7時21分、眞子さんの家に近い西50丁目10番街近くで28歳の男性が背中を、また午後8時ごろに西47丁目7番街で33歳の女性が胸をナイフで相次いで刺された。警察は同一犯として捜査、49丁目10番街のシェルターに住むニコラス・オキーフ(33)を襲撃と武器不法所持で逮捕。凶器はステーキナイフだった。眞子さんが買い物に行くとされるアーミッシュマーケットは家から3ブロックしか離れていないこのシェルターの前を通る。5月にも同地区で男性2人が銃で撃たれて死亡する事件があり、同月、眞子さん夫妻が住むアパートの玄関前で銃撃事件が発生、男性1人が負傷している。市では自家製銃の規制にも乗り出している。

(写真上)眞子さんのアパート前を視察するスリワ代表。後方が小田さん(5日、写真・三浦良一)

タイムズスクエア、銃所有禁止ゾーンに指定

NY州知事と市長が共同記者会見

 キャシー・ホウクルNY州知事は8月31日、マンハッタンの事務所でエリック・アダムスNY市長と共に記者会見を行い、NY市内のタイムズスクエアをはじめとする「センシティブ・ロケーション(慎重を期する区域)」での銃の所有を禁じる「ガン・フリー・ゾーン」の導入を発表した。 

 合衆国最高裁判所は今年6月、NY州で109年続く銃免許の発行を制限する「サリバン法」に対し、合衆国憲法修正第2条に違憲するという判決を下した。その結果、前科が無ければ誰でも銃所持免許の申請ができるようになり、実際に申請者は増加しているという。同判決を回避して同州議会が可決し、今月1日に執行した「ガン・フリー・ゾーン」法の対象には、学校や病院、裁判所、公共交通機関、公園、タイムズスクエアやヘルズキッチンの一部(6〜8番街の西40〜53丁目、8〜9番街の西40〜48丁目)のような人が密集する公共区域が含まれる。指定区域では、常駐やパトロール中の警官を除き、同免許の有無を問わず銃の携帯は禁じられ「違反者には重罪が課せられる」と大きく警告標識が掲げられている。また個人事業者も、社内や敷地をガン・フリー・ゾーンとし、入口に方針を掲示できる。 

 新たな同銃器所持取締法には、銃携帯許可証の申請者の身元確認の強化、安全訓練と実弾射撃訓練の義務付け、面接、過去3年間以上のソーシャル・メディア利用履歴の提出、半自動火器の購入年齢を21歳以上とする、なども含まれている。同新法に対して、銃器所持の権利を主張する運動家たちが訴訟を起こす可能性が高いが、ホウクル同州知事は「重要視すべきことは、公共の場には従わなければならないルールがあるということを銃器所持者に教育することだ」と話している。 

自家製銃の押収急増

3Dプリンターで部品製造

 ニューヨーク市警(NYPD)32分署は1日、シリアルナンバーや識別マークがない自家製銃器「ゴーストガン」を携帯していた人物を逮捕したと発表した。ゴーストガンは製造工程の追跡が不可能なキットや自家製銃で、今年8月15日までに、222丁が押収されている。これは前年の102丁に比べ118%の増加。転売前に身元調査を行う必要がなく、オンラインで購入でき、自宅で3Dプリンターなどを使用して組み立てることができる。米司法省は2021年に全米で1万9000丁以上のゴーストガンを摘発したとしており、この数は過去5年間で10倍に増えた。現在、アルコールたばこ火器及び爆発物取締局(AFT)は取り締まり強化のため、銃器販売業者に3Dプリンターや番号化されていない銃器にシリアル番号を追加するよう求めている。

(ワインスタイン今井絹江)

缶入りホイップクリームで混乱

ID無しで買えます

 「NY州では、缶入りホイップクリームを買うために身分証明書の提示が必要」という報道で市民が動揺するなか、ジョー・アダボ・ジュニアNY州上院議員は8月31日、同州で昨秋可決した新法を明確にする手紙を公表した。 

 アダボ同上院議員が指摘した商品「ウィップド・クリーム・チャージャー」とは、風船を膨らませるためにも使われる亜酸化窒素カートリッジを設置し、ガスの勢いでホイップクリームが作れるステンレス製の器具で、ウォルマートなど大型量販店やベッド・バス・アンド・ビヨンドのようなキッチン用品店でも販売している。近年は、一時的にハイになることを目的に同製品を購入する若者が急増しており、アダボ同上院議員21歳以下の購入を禁ずる法案を提出し、昨年11月に執行された。しかし多くのメディアは対象商品を「ウィップド・クリーム・キャニスター(スプレー式缶入りホイップクリーム)」と誤解し「NY州ではスプレー式ホイップクリームを買うのにもIDが必要」というニュースは米国内だけでなく、日本を含む世界中で伝えられた。NYコンビニエンスストア協会は同日、会員向けに電子メールで「同新法は不明確だったため、多くの店舗は念のためホイップクリーム缶の購入者にID提示を求めた。しかしホイップクリーム缶の購入にID提示は必要ない」と伝えた。 

 亜酸化窒素には、筋肉の緊張を緩和させる効果があるため、歯科医院などでも使用されている。一方、麻酔効果のあるガスを吸引することで酩酊状態に陥り死亡事故も発生している。また同機器は「whip its」や「whippets」などという名称で売られているため、缶入りホイップクリーム製品「Reddi Wip」と間違いやすいことも騒動の一因となった。同法を違反した店舗には250ドルの罰金が課せられるため、アダボ・ジュニア同上院議員には困惑した店舗のオーナーたちから問い合わせが殺到した

 ジャパン・ファッション大好き

 トライステート最大の日系食材店であるNJミツワマーケットプレイスすぐ隣のダイソーでファッショナブルな女性を発見。快くファッションインタビューに応じてもらい、ショッピング後に店前で撮影。シンプルな黒シャツの上に深緑地に縦ストライプのベスト、シルバーのアイレットが散りばめられた黒い巻きスカートと、7年間大切に履き続けているお気に入りのナイキスニーカー。アクセサリーは格子柄ベレー帽にクロイスターズ美術館のバッグだ。大の日本好きと自認する彼女が好むファッションブランドはユニクロ。ダイソーは数年前に友人とミツワへ来た際に知り、本日は引っ越しに伴い必需品を購入。「アメリカの1ドルショップと同じ価格帯なのに、デザインと品質が断然いいからダイソーは最高よ!」と、語る彼女が購入したのはコロコロクリーナーと、キッチン回り用のブラシに、ワンポイントのダイヤモンド柄ソックス。日本へは2013年に家族と旅行し、東京を中心に北海道から関西までぐるりと回った。「最も印象的だったのは瀬戸内海クルーズね。食べ物も美味しかったわ。フィッシュマーケットは活気があったし、回転寿司システムもクールだと思ったわ。穴場のラーメン屋で本場の味を楽しんだりね。また行きたいわ」。入国規制も緩和され始めたところに外国人旅行者にとっては円安も追い風だ。日本ファンのアメリカ人が再び日本を訪れ、ジャパン・ファッションや文化を楽しめるようになってきた。

(Wear 2Nextチーム/アパレル業界関係者によるファッション研究チーム)

NY日本人美術家協会、50周年展盛大に

 日本人美術家協会(JAANY、松田常葉会長)の創立50周年記念展覧会が9月1日(木)からマンハッタンの天理文化協会(西13丁目43番地A/5番街と6番街の間、電話212・645・2800)で開催されている。オープニングレセプションが2日夕に開催され、300人近い来場者で賑わった。

 式典では、来賓としてニューヨーク日本総領事館の森和也広報センター長が芸術の都ニューヨークでの美術展再開に祝辞を述べた。

 また今年度の同展での優秀作品として「マックス・ブレッチャーJR賞」に竹下宏氏、「末村敬三賞」にシモン千加子さんが選ばれた。同会は、1972年に画家の故飯塚国雄氏が友人のアーティストたちとともに設立。飯塚氏は、2020年、新型コロナウイルスに感染し逝去。現在JAANY名誉会長。

 松田会長は「飯塚氏がJAANYを創設した当時、外国から来たアーティストたちがここ米国でいかに困難な状況を克服していかなければならなかったかは、想像に難くありません。JAANYは、アーティストたちがお互いに助け合えるよう、そして、ともに発展していけるようつくられました。50年をサバイブして、こうして私たちがここにいられることは本当に素晴らしいことです。私たちをサポートし助けてくださった皆さんのおかげであり、心より感謝を申し上げます。

そして、JAANYをつくってくれた飯塚さんにも心からお礼を言いたいと思います」と挨拶した。

満員の球場に感じたニューヨーク復興の手応え

 3年間我慢していたが、8月末から9月初めにかけて野球見物を再開、短期間にヤンキースとメッツの主催ゲームを観戦する機会を得た。まずヤンキースタジアムに足を踏み入れた時は、豪雨の影響で着いた時には3回表までゲームが進んでいたこともあり、超満員のスタジアムに驚かされた。コロナ禍が始まって以来、4万人を超える人が一同に会しているわけで、慣れるのには多少時間がかかったのは事実だ。

 更に10日後にメッツの本拠地、シティ・フィールドにも行ったのだが、その経験を重ねる中で感じたのは「希望」である。試合が面白かったのは勿論だが、スタジアムでの経験は素晴らしいものだった。現在のニューヨークはコロナ禍による深い痛手の中にあり、人口流出、治安悪化、衛生状態の悪化、最高裁による銃規制の妨害など問題が山積している。けれども、ニューヨークはこの難局を乗り越えるに違いない、そう感じさせるものがあった。

 まず驚いたのは、野球に対する姿勢だ。ヤンキースタジアムでは、ヤンキースが攻撃中に凡フライが上がっても誰も何も言わない。シーンとしているのである。別に観客が醒めているのではない。一方で、ホームラン性の当たりが飛び出すと、打った瞬間に「ウォーッ」となるからだ。つまり、打った瞬間に凡フライかどうかをほとんど全員が「分かる」のだ。野球をよく知っていて、しかもTVでなく生の野球を経験している人が圧倒的ということであり、これは昔とは違う。ファンの年齢層は若くなっているが、しっかり野球好きが育っている。この傾向は、メッツのシティ・フィールドでも感じた。

 全く誰もマスクをしていないという事実には、最初は戸惑った。だが、よく見てみると感染対策を気にしていないとか、否定しているわけではない。通路を行き交う際、奥の席に行くために手前の席の人たちに一旦立ってもらう際など、人々は実に礼儀正しい。3フィートの「ディスタンス」は無理でも、最後の「5インチ」は気にするという風情だ。席を立って通路を空けながら、みんな微笑んでいる。この丁寧さ、気遣いというのはコロナ禍の前とは全く違う。苦境を経験した上で、お互いが気持ちよく過ごすための知恵を共有しているのだ。

 野球そのものも進化している。投手が100マイル(160キロ)の速球を投げるのは、もはや当たり前で、98マイルのシンカーという沈む球まで駆使する投手も多いが、上手いバッターはそれにも対応している。TV中継で見て知っていても、実際にこの目でそのようなハイレベルの「対決」を見ると隔世の感がある。

 球場における観客の動線もよく考えられている。旧ヤンキースタジアムやシェイ・スタジアムの時は、試合終了後に球場から出るのに何十分もかかったが、ヤンキースもメッツも新しい球場になって改善していた。今回は、以前にも増してスムーズであり、コロナ禍への対策として要員の配置などマネジメントが向上しているのを感じた。

 観戦を盛り上げる映像や音響も昔とは違う。特にシティ・フィールドの場合は、女性や子供を意識した斬新な応援の仕掛けに感心した。人気のリリーフ投手、エドウイン・ディアスが登場する時は、トランペットの音楽「ナルコ」が鳴り響いて大変な盛り上がりになるとか、新しい工夫がどんどん取り入れられている。

 とにかく、以前と比較して運営側も様々な見えない知恵を使っていること、何よりもマスクなしで自由に楽しんでいるように見えて、人々は必要な気遣いはしていること、その全体が作り出す前向きの雰囲気、「希望を感じた」というのは、そういう意味だ。ヤンキースもメッツも優勝を争っているという成績面での明るさもあるが、それ以上のものを感じた。

 NY全市の治安問題、リモートと出勤のバランスを取って街の活気を回復する問題など、全市にはまだまだ難問が山積している。けれども、野球などのカルチャーが、コミュニティの求心力として健在というのは大きい。この秋は、METオペラ、本拠地が改装したNYフィルなどもノーマルモードで本格的に活動する。こうしたカルチャーの力をベースに、経済の再生を行うだけの底力はこの街には十分にあるはずだ。

(れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

ハンカチとして使える小風呂敷

 お弁当を包むのにちょうどいいサイズの小風呂敷でハンカチとしても使える、日本の手拭いメーカー「かまわぬ」(東京都渋谷区)の商品が、イーストビレッジにある和アンティークギャラリーのマカリ(3番街97番地、12丁目と13丁目の間)にて販売を開始した。

 ミニトマト、玉ねぎ、うめにんじん、コーヒー豆など、色とりどりの食べ物の形を生かした素朴な文様が、薄手で結びやすい綿生地に裏表が目立ちにくい染め方でプリントされている(各17ドル)。友人へのちょっとしたプレゼントとして

喜ばれる商品だ。同店では古典柄からモダン柄まで400種を超える「かまわぬ」の手拭いシリーズを多く取り揃えている。問い合わせは電話212・995・5888まで。http://www.themakari.com

地球温暖化研究ひと筋

文化勲章を伝達

喜びの真鍋さん

 昨年ノーベル賞を受賞したプリンストン大学上級研究員の真鍋淑郎さん(90)に対する文化勲章の伝達式が1日、ニューヨーク総領事公邸で行われた。真鍋さんは、地球温暖化を研究する理論的な基礎の確立に大きく貢献するなど気象学・気候学の分野で世界をリードする業績をあげ、昨年度の文化勲章の受章者に選ばれている。

 森美樹夫総領事が「現在の地球が直面する地球温暖化を物理モデルで説明されるなど、功績に深く敬意を表します」と話し、天皇陛下からの賞状を読み上げ、真鍋さんに勲章をかけた。真鍋さんは「今日の日を両親や兄弟が生きていたらどんなに喜んだことか残念だ。アメリカに渡り、夢中になって研究をやっていると、あっという間に60年以上がたった。文化勲章までもらえるとは夢にも思っていなかった。私は非常にラッキーな人間だと思います」と話した。

 式のあと記者団に真鍋さんは「干ばつの頻度が上がる一方で大雨も増えている。10年に1度の大洪水が毎年起こる。今までのやり方では、もうコントロールできない。日本では大洪水が最大の問題となってくる。これからは治水の対策が必要だ」と警鐘を鳴らした。また、「日本には『好きこそ物の上手なれ』という言葉があるが、若い人には自分の好きな、得意なことをやって、充実した人生を送ってほしい」とアドバイスした。同氏のニックネームも淑郎を短くして「スキ」と同僚から呼ばれていたという。

 同伝達式は昨年予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大や真鍋氏自身の感染から2回延期となっていた。今年の12月に延期になっているノーベル賞受賞式にも体力的な問題から欠席の意向を示した。

(写真)森大使(右)から文化勲章を伝達され笑顔で喜ぶ真鍋さん(写真・三浦良一)

乾燥キクラゲ回収

サルモネラ菌検出で

 米食品医薬品局(FDA)は8月30日、サルモネラ菌汚染の可能性があるとして、NY州やNJ州を含む15州で販売された「乾燥キクラゲ」の回収を発表した。 

 対象商品は、メリーランド州キャピトル・ハイツに本社を置くアジア食料品輸入会社タイ・ファット・ホールセイラーズが納品した「スリー・コインズ・ドライド・マッシュルーム」という商品名で販売された乾燥キクラゲ4種で、メリーランド州衛生局が小売店で購入された同商品からサルモネラ菌を検出した。商品名「Nam Meo Soi」「Nam Meo Nguyen」各2・5オンスと10・5オンス入りを購入した場合は、購入店に直ちに返品し全額返金を求めるか、同社703・538・8000に問い合わせる。 

 サルモネラ菌混入が原因の食中毒には発熱や下痢、嘔吐、腹痛などの症状があり、幼児や虚弱体質、高齢者、免疫系機能が低下している場合は致命的な感染症に至ることもある。米疾病予防管理センター(CDC)によると、米国では毎年、サルモネラ菌を約135万人が感染し、同感染症で2万6500人が入院、420人が死亡している。 

(写真)回収対象となった乾燥キクラゲ

『地球の歩き方』と『ムー』のコラボ

地球の歩き方編集室・編集
学研プラス・刊

 本書のページをめくったら、昭和後期に小学生だった人ならば懐かしいと思うはずだ。ページをめくる度に、あの時の記憶の引き出しが開かれる。

 夜7時半から放映された水曜スペシャル川口浩探検シリーズと木曜スペシャルの矢追純一のUFO特番シリーズ。それと夏休みのお昼に放映された「あなたの知らない世界」の幽霊特集だ。夜のチャンネル権は親にあったので中々観せてもらえなかったが、翌朝の教室は未知の生物、UFO、超能力の話題で持ちきりだった。小学生向けに出版されたUFOの本や世界七不思議の本をお小遣いで購入して読んでいた。土曜日の夕方はNHKで『アトランティスから来た男』というアメリカのドラマの吹き替え放送があり、沈没したアトランティス大陸の生き残りの主人公がドルフィンキックで泳ぎ、悪と闘うアクションドラマも大好きだった。オカルト雑誌『ムー』も大人気だったが、小学生の私には難しかった記憶がある。

 成長して思春期になると、恋愛やファッション、アイドルの方に興味が行き、UFO、幽霊、未知の世界へのドキドキ感は思い出になってしまった。しかし、いつか世界七不思議であるモアイ像のあるイースター島やナスカの地上絵を見てみたいなとは頭の片隅にはあるし、アメリカ人の友人がバミューダにバケーションに行くと聞いた時は魔の三角地帯が過った。

 2020年3月、突如世界が封鎖された。Covid-19という新型のウイルスが発生し、分刻みで日常生活を脅かし、人々の不満が爆発し暴力に発展するという超現実的な怖さにも直面した。日常を取り戻しつつあるが、以前のように治安は良くなく不安がいつも心にある。そんな状況で本書を見た瞬間、現実の恐怖感がぶっ飛ぶほど子供時代の未知に対する怖いけど知りたいというドキドキ、ワクワク、ハラハラの気持ちが蘇った。

 ニューヨークでコレを持っている人は日本からの旅行者だとすぐ分かる黄色の表紙の旅のガイドブック『地球の歩き方』と荒唐無稽と言ったら怒られるかもしれないので、夢があるオカルト雑誌『ムー』がコラボレーションをしたのだ。ともに1979年に創刊だという。本書のユニークで面白い点は世界旅行の達人である『地球の歩き方』といえばの歴史や行き方の交通の説明があり、その一方で、世界の不可思議な謎に迫ったムーならではの話も掲載されているところだ。ミステリーの定番であるエジプトのピラミッドはもちろん、UFO、イエティ、日本の縄文遺跡のページなどもあり、世界中を網羅している。MAPは両面になっていて2つのサイドが載っている。また地球の歩き方とムーの編集長の対談も掲載されている。

 コロナ禍で旅行ガイドブックが売れず企画されたという。今年2月に発売されるや現在も売れている。副題がパラレルワールドと言っている通り、現実の世界と、あるかもしれない平行する異次元の世界の両方の世界を堪能できるガイドブック。子供の頃を思い出させてくれて、読み物としても楽しいし、それにこれから実際に旅行に行く準備にも使えるし携帯もできる。(山河藍)

柿沼光悦、「スーパーファイン・アートフェア」に出展

 ニューヨークをはじめ世界各国から135人以上のアーティストが出展する「スーパーファイン・アートフェア」が15日(木)から18日(日)まで、ローワーイーストサイドにある商業複合施設、ザ・マーケットライン(ブルーム通り180番地)で開催され、日本人作家の柿沼光悦が参加する(ブース番号33)。

 柿沼は1988年栃木県出身、2010年に武蔵野美術大学映像学科卒業。細密と美しいライン、シェイプを使ったアートで水彩、ドローイングをメインに国内外で作品を発表している。フェアでは50ドルからの価格設定で販売される。詳細は公式サイト https://www.superfine.worldを参照する。

 第二の故郷NYで女優に挑戦

元劇団四季の女優

丸山 日鶴さん

 丸山さんは、東京の劇団四季で活躍した後、2020年にニューヨークに戻って来た。戻ってきたというのは、幼稚園から小学校3年生までスカースデールに住んでいた帰国子女の帰米女優だからだ。その子供の時に見たブロードウエー・ミュージカル「Cats」、「Beauty and the Beast 」に感銘を受け、ミュージカルの世界に興味を持った。帰国後、尚美ミュージックカレッジ・ミュージカル学科、東宝ミュージカルアカデミーでミュージカルを学び、劇団四季の研究生へ入所を果たす。今までに紅白歌合戦のバックダンサーや、日本初演となる劇団四季「ノートルダムの鐘」への出演経験がある。このほかにも劇団四季の有志達とセルフプロデュース公演、高校や幼稚園、障害者支援施設、スターバックスなどさまざまな場所でコンサートやライブを行ってきた。 

 来米後は、短編ミュージカル映画「オポジット・ゲーム」やNY日系人会(JAA)でのミニコンサート、ザ・ウエストエンドラウンジでのインターナショナル・タレント・ナイトや今年の5月に行われたジャパン・パレードで「平和祭り~Music for SDGs~」として参加するなどして活動している。

 劇団四季の作品に出演していた時は週7回公演、座席数約1000席という大きなキャパシティの劇場で舞台に立っていた。客席と舞台空間がしっかり分けられてるというのもあり、公演中に観客からのリアクションを実感することは少なかったが、施設や学校でコンサートをした時は、観客の喜んでいる顔や雰囲気がその時その瞬間にこちらにすぐ伝わる。「言葉ではないコミュニケーションを取りながらパフォーマンスができるというのは、新鮮で楽しかった」。逆に大きい舞台の良さはカーテンコールの時に約1000人の観客の拍手や声かけから大きなエネルギーが返って来て、舞台に立つやりがいを感じられた」と学校や施設を回って活動するのとビジネス商業舞台との違いや喜びについて語る。

 ニューヨークの魅力。「舞台に関して言えば、誰にでもチャンスがある。そしてその機会を得れる場所や機会が沢山ある。劇場は至る所にありますし、オーディションも沢山開催されてる。小さい劇場だとしてもレベルが低いわけではない。個人的にはこれほど多くの機会は日本ではなかったと思う。また俳優など関係なく、個々の人達のエネルギーやパワー、オープンマインドなところも日々生活していて、とても刺激を受けますね」という。

 9月22日(木)にJAAの敬老会が日本クラブで開催される。天井からの水漏れ被害で使えなくなった日系人会ホールの代替会場として日本クラブが協力して実現したものだ。その会場でミニコンサートを行う。当日は「私の日本での舞台経験や、NYに来てからの活動などお話させて頂き、ミュージカルや唱歌等色んなジャンルの歌を歌わせて頂きます。楽しみにしていてください」と話している。東京都出身。(三浦良一記者、写真は本人提供) 

編集後記 2022年9月3日号

【編集後記】

 みなさん、こんにちは。ニューヨーク日本人美術家協会(JAANY、松田常葉会長)の創立50周年記念展覧会が9月1日(木)からマンハッタンの天理文化協会(西13丁目43番地A/5番街と6番街の間、電話212-645-2800)で開催されます。同協会は、1972年に、名誉会長である故飯塚国雄氏が仲間の日本人アーティストたちとニューヨークで設立した当地で最も古い日本人美術家の運営による非営利団体です。これまで、展覧会での芸術作品の展示、アートを通じた日米間の文化交流、米国で活動する日本人アーティストの支援活動を行っています。今年の出品者は、阿井次郎、青木壽子、青柳愛子、愛子Cascio、藤原未佳子、古川文香レオナート、佳奈ヘンデル、林幸江、平之内美穂、石田純一郎、柏木文子、Mi JungKim、越光桂子、松田常葉、三浦良一、長倉一美、小野田昌子、ロス郁子、シモン千加子、竹下宏、渡嘉敷亨、山本かりん、YUKAKO、遊真あつこの現会員と一昨年亡くなった名誉会長の飯塚国雄の25人(敬称略)。オープニングレセプションは9月2日(金)午後6時から8時まで。期間中展示作品の購入も可能です。出展作家による200ドル以下の買い求めやすいチャリティー小作品の展示・販売コーナーも会場に設けられています。同展は今月15日(木)まで。開廊時間は月~木が正午から午後6時まで、土曜が正午から午後3時まで。金曜、日曜、レイバーデー(9月5日の月曜)は休館。但し2日(金)はレセプション時間帯のみオープンとのことです。レセプション、入館ともにコロナ対策の入場制限や予約などは要りませんのでお時間のある方、ふらりと出かけて芸術の秋を一足先に楽しまれてはいかがでしょう。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)