国連に響く平和の鐘

「戦争のない世界に」高瀬さん

 国連平和デー(9月21日)を記念して、国連本部で「平和の鐘」をアントニオ・グテーレス国連事務総長と、第77代総会のチャパ・クールシ議長が鐘を突いた。式典には、石兼公博国連大使夫妻、日本から来米した高瀬聖子国連平和の鐘を守る会代表、泊三夫理事が出席したほか、アミーナ・モハメッド国連副事務総長、メリッサ・フレミング国連事務次長、コーテナリー・ラトレイ国連官房長、平和の鐘が設置されている国連本部の日本庭園の移築改修工事を手がけた造園家の阿部紳一郎氏が参列した。2022年の国際平和デーのテーマは「End racism」(人種差別を終わらせる)。

 国連平和の鐘は、日本が第二次世界大戦後10年を経て1956年に国連加盟するその2年前に、宇和島市長を務めた中川千代治さん(故人)が、世界のコインを集めて日本で鋳造した鐘を個人で国連に寄贈したもので、現在、192か国が1か国につき1つ寄付できる国連敷地内の公共建造物の中でも、本部正面前の日本庭園に設置され、日本からの国連への贈り物として大切に扱われ、毎年1度、国連平和デーに歴代の国連事務総長と国連総会議長が鐘を打っている恒例行事となっている。日本が世界の国連大使たちに対して平和を主導権を持って訴える絶好の機会となっている。式典そのものは国連本部が主催するが、毎年、招待される各国大使とは別格に日本政府国連代表部の国連大使がホスト役として列席する。コロナ禍で今年も入場制限して関係者のみの式典となった。

(写真上、世界平和デーを記念して国連平和の鐘を打つグテーレス国連事務総長、UN Photo/Mark Garten)

 高瀬さんは「平和の鐘の式典に毎年参加させていただき、世界の平和を祈っていますが、今年は世界が不安定な状態になっていて各地でぶつかり合いが起こっていて切なくなるが、それでも諦めないで鐘を打ちますし、平和を祈りたいとい思います」と話している。平和の鐘を守る会は、国連の民間NPOで、鐘のミニチュアを世界各国に寄贈する活動を続けている。国連の平和の鐘は、1970年の大阪万博の国連館でも姉妹鐘が展示されており2025年に開催される大阪万博でも平和の象徴として大役を期待されている。

式典後に挨拶を交わす高瀬聖子国連平和の鐘を守会代表(写真提供・国連代表部)

魚屋がおすすめする家庭料理

プロに聞く、生き生きEATS(イーツ)

元気と美味しいを求めて料理の達人が腕を振るう (29)

 日本で漁場や市場で選び抜いた旬の鮮魚を店舗の職人が豪快に捌き、丁寧に調理することで有名なWOKUNI。今回はそのニューヨーク直営店でエグゼクティブシェフとして腕を振るう仲野英文さん(42)に「魚屋がおすすめする家庭料理」として、海鮮煮麺、じゃが芋加減酢、そして本家の鮪を使ったステーキの3品を作ってもらいました。仲野さんは、神奈川県奥湯河原の老舗料亭旅館、「山翠楼」で京風湯葉懐石を10年間学び、その後、東京一番フーズに入社。


WOKUNI

327 Lexington Ave.、New York, NY 10016

電話: (212) 447-1212

営業時間

月曜〜水曜と日曜 11:30~14:45  17:00~20:45

金曜・土曜 11:30~14:45、17:00~21:45

wokuninyc.com


■鮪ステーキ

食材

刺身用鮪 100g

合わせタレ

味醂 60㏄

濃口醤油 20㏄

おろし生姜 5g

塩・胡椒・小麦粉 少々

サラダ油 大さじ2杯

付け合わせサラダ

手順

1鮪に塩、胡椒をして小麦粉を全面にまぶす。

2サラダ油を入れたフライパンを中火で温め、フライパンの温度が上がったら、鮪を入れ全面を軽めに焼く。

3フライパンから鮪を取り出し、6等分ぐらいにカットする。

4使用したフライパンは洗い、水気を取り、合わせタレとカットした鮪をブロックの状態で入れ中火で加熱する。

5タレを沸騰させて煮詰めている時に、鮪にタレを絡ませる。火の入れ具合はここで調整する。

6好みの焼き加減になったら、器に鮪の切り口を見せるように盛り付ける。


■じゃが芋とみょうがの加減酢

食材

じゃが芋 1個

みょうが 1個

絹さや 少々

ライム 半分

加減酢

鰹出汁 300㏄

薄口醤油 30㏄

味醂 30㏄

米酢 10㏄

手順

1出汁、薄口醤油、味醂、米酢、ライムの果汁を合わせ加減酢を作る。

2ジャガイモを千切りにし水で良く洗いアクを取る。

3じゃが芋が浸る程度の水と鍋に入れ、火をつけて沸騰させる。途中じゃが芋をかき混ぜ、沸騰したらザルにあげ良く水でさらして冷ます。

4じゃが芋をザルから取り出し、しぼりながら水気を切り容器に入れ、みょうがと色どり用の湯がいた絹さやを加減酢を入れ混ぜあわせ、5分程度浸けてから味見をし、酸味の調整でライムか米酢を加え、盛り付ける。


■海鮮煮麺

食材

そうめん 1束

海老  2匹

白身魚 2切れ

貝類、わかめ、ねぎ

温麺出汁

出汁 260㏄

薄口醤油 20㏄

味醂 20㏄

手順

1出汁、薄口醤油、味醂、米酢、ライムの果汁を合わせ加減酢を作る。

2ジャガイモを千切りにし水で良く洗いアクを取る。

3じゃが芋が浸る程度の水と鍋に入れ、火をつけて沸騰させる。途中じゃが芋をかき混ぜ、沸騰したらザルにあげ良く水でさらして冷ます。

4じゃが芋をザルから取り出し、しぼりながら水気を切り容器に入れ、みょうがと色どり用の湯がいた絹さやを加減酢を入れ混ぜあわせ、5分程度浸けてから味見をし、酸味の調整でライムか米酢を加え、盛り付ける。

紅葉前線ただ今南下中

NY州観光局が最新情報を発信

 ニューヨーク州観光局は今秋も、公式サイト(iloveny.com)で最新の紅葉情報を伝えている。 

 14日時点で「北部では夏の緑の季節を越え、複数の地域で落ち着いた赤、オレンジ、黄色の色づきが確認されている」と伝えている。すでに紅葉が進んでいるのはアディロンダック山地、サウザンド諸島、キャッツキル山地、シラキュース、フィンガー・レイクス、シャトークア〜アレゲニー、ナイアガラ、ハドソン・バレーなど。

 マンハッタンから北西に車で5時間のハーキマー郡オールド・フォージでは、すでに30%が紅葉しているという。同サイトは、同州の紅葉の変化の詳細を地図で示し、絶景、立ち寄りスポットも紹介している。秋の足音は今年は例年よりも早く聞こえてきそうだ。

北古味可葉の墨展

「生きる」を力強く表現

 高知県を拠点に日本や世界の各地でも活動する書道家、北古味可葉(きたこみ・かよう)は、日本クラブ7階の日本ギャラリーで15日から21日まで、「IKIRU│昨日でもない、明日でもなく、いまの今を生きる│」と題した NY墨展を開催した。同展はコロナ禍で昨年予定されていたものが幾度の延期を経て今回ようやく実現されたもの。

 会場には、壁一面に貼り出された巨大な作品から、小さな作品まで、「生」という文字などを使った数々の書が展示され、どの作品にも生きるためのエネルギーが力強くみなぎっていた。15日に行われたオープニングレセプションでは、北古味氏が多くの来場者の前で、「生」「喜」といった文字が輪になった作品の書を即興で披露し、喝さいを浴びていた。また会場では、数種類の高知の地酒も振舞われ、地元である高知愛も溢れていた。

 北古味氏は「誰も想像しなかったコロナとの共生の時代に、新たな明日への幕開けのタイミングで、人々の繋がりのお陰でNY展が開催できて嬉しい。まるで高知にいるかのように盛り上げていただいた皆様の厚意に触れ、『いつもはじまり!』という気持ちだ」と感謝を述べた。

(本紙・久松茂、写真も)

総理夫人、日本語学ぶ大学生を激励

ハンターカレッジ訪問

日本語で紙芝居を披露する学生

 岸田総理夫人は20日午後3時、石兼国連大使夫人と共にハンター大学を訪問し、同大で日本語を学ぶ学生たちの授業を視察した。同大はニューヨーク市立大(CUNY)の中でも日本語、日本関係プログラムを履修している生徒が毎学期400人から500人もいるほど、日本に関連する教育が充実していることで知られる。今回、総理夫人は、そんな学生たちや、彼らをサポートする教員、スタッフ、ジェニファー・ラブ学長らと交流の機会を持った。

 同大学日本語クラブ会長のインド出身のマリアム・バンさん(21)が歓迎の挨拶をした。子供の頃、兄弟と見たドラえもんはインド語で話していたが、日本家屋や公園、美味しそうな和食を見て日本文化を愛するようになったこと、高校で日本語のクラスを受けて4年間勉強し、大学に入学してからも日本語の勉強を続けたことなど、日本語に興味を持った経緯を説明した。

 このあと、同大学の小渕麻菜教授による日本語の授業が行われ、続いて学生たち手作りの紙芝居を鑑賞した。総理夫人は「私の名前は岸田裕子です。日本語を一生懸命に学んでくださる姿を見てとても嬉しく思いました。また浴衣を着て流暢な日本語で見せていただいた紙芝居もとても素晴らしかったです。これからも日本語、日本文化を学んで、いつか日本にいらしてください。そしてまたお会いできる日を楽しみにしています」と激励の言葉と今後の益々の充実とサポート、そして日本語、日本文化に懸命に取り組んでいることへの感謝を学生たちに伝えた。

(写真上)学生たちと記念撮影する(2列目正面の3人)左からラブ学長、石兼国連大使夫人、総理夫人(写真・三浦良一)

岸田首相がレストラン日本に

レストラン日本で記念撮影に応じる岸田首相。左から東総料理長、福本料理長、木下CEO(右端)

 また、岸田首相は、同日NYに到着してすぐ市内の「レストラン日本」へ直行。そこでトラス英国首相を日本食に招待する形での初会談を行った。同レストランは外相時代にも来たことがあり今回が2度目の来店とあって帰り際に木下直樹CEOや東亨総料理長、福本美浩料理長に労いの言葉をかけ快く写真に収まった。

林外相はエンパイアステーキ

 また、19日に予定通りNY入りした林芳正外務大臣はエンパイア・ステーキでランチを楽しんだ。岸田文雄総理も同日夜エンパイア・ステーキに夕食に来る予定だったが、台風14号の影響でニューヨーク入りが1日遅れた。同店の日本出店を手がけた不動産会社社長の大坪賢治さんによると、林外相は東京六本木のエンパイア・ステーキにはよく行っているとオーナーのジェフ・シナナジさんに話して歓迎を受け、帰り際に快く記念撮影に応じた。

エンパイア・ステーキで記念写真に応じる林外相(中央)。左は大坪社長、右端はシナナジ・オーナー

NY映画祭、9月30日から開幕

リンカーンセンターで

 ニューヨーク映画界最大のイべント「ニューヨーク映画祭」が30日(金)から10月16日(日)まで開催される。60周年を迎える今年は、リンカーンセンターの他NY市を網羅する5会場で上映される。世界の話題作を集めた32作品を上映するメイン部門のほか、注目の新作、ドキュメンタリーや実験映画もある。

 メイン部門のオープニング作品はニューヨーク出身のノア・バウムバック監督

の『White Noise(写真上:WHITE NOISE: Courtesy of Netflix)』で、アダム・ドライバー、グレタ・ガーウィグ主演の風刺喜劇。中間ハイライトは、鎮痛剤オピオイドの製造元であるサックラー家の責任を追求する写真家ナン・ゴールディンを追うローラ・ポイトラスのドキュメンタリ

ー『All the Beuaty and the Bloodshed』。クロージングは、有色人種でLGBTQの自伝的軍隊体験を描くエレガンス・ブラットンの長編劇映画処女作『The Inspection』。映画祭60周年記念上映は、ニューヨーク出身のジェイムズ・グレーが自分が育ったクイーンズの1980年を舞台に、少年の日常を描く

『Amageddon Time』。

 ベテラン作家ではフレデリック・ワイズマン(米国)、イェジー・スコリモフスキー(ポーランド)、ルーベン・オストランド(スエーデン)、ジャファル・パナヒ(イラン)、パク・チャンオク(韓国)等の一作ごとに話題になる監督の新作が並ぶ。最近注目される作家では、フランスの地方都市のセネガル移民女性が起こした事件を元にしたアリス・ディオップ監督の『Sait Omer』、現代中国社会の若い女性の閉ざされた選択の現実を描くホアン・ジーと大塚竜治共同監督『Stonewalling』もある。

STONEWALLING: Courtesy of Film at Lincoln Center

 特別企画では、ライブ演奏付き『惑星ソラリス』(アンドレイ・タルコフスキー監督)製作50周年上映、チノネ・チュクウ監督が1950年代アメリカ南部

の黒人リンチ事件を劇化した『Till』、#MeToo運動を引き起こした2人の女性記者を描くマリア・シュレイダー監督の『She Said』等。回顧展ではクレア・ドニ、グラウベル・ローシャ、マノエル・ド・オリヴェイラ、エドワード・ヤン監督等の修復された古典作品が上映される。(平野共余子)

 会場はアリス・タリー劇場(ブロードウエー×65丁目)、ウオルター・リード劇場(65丁目、ブロードウエーとアムステルダム街の間)他。詳細はウェブサイト www.filmlinc.org

NYでヴァイオリン指導する演奏家

ヴァイオリニスト
ウエストチェスター音楽スタジオ代表

多治比 純子さん

 ニューヨークで広く音楽教室を運営している神保音楽スタジオで15年間、バイオリンとビオラの講師として勤務してきたが、このほどウエストチェスターのハリソン校を引継ぎ、名称も新たに「ウエストチェスター・ミュージック・スタジオ」として再スタートする。「40年以上、NYの日本人コミュニティーの音楽教育を支えてこられた神保先生のように、ローカルに愛される教室作りを目指し、先生の愛用のピアノと共に同じ場所(小澤歯科2階)で指導します」と気持ちを新たに抱負を語る。

 山口県柳井市出身。愛知県立芸術大学音楽学部器楽学科 弦楽器専攻卒業。89年山口県TYS学生音楽コンクール第1位・山口県音楽協会長賞受賞。96年、ドイツにて、バイロイト国際青年芸術祭に参加、特別演奏会に出演。97年、山口県新人演奏会に出 演。98年99年と続けて米国アスペン音楽祭に参加・修了。 岸辺百百雄、岡山芳子、田中直子、ロナルド・コープスの各氏に師事した。

  「ウエストチェスター地区は、アフタースクールでの音楽教育がとても盛んですが、学校での大きなグループ指導では、なかなか隅々まで目が届かず、プライベートレッスンを求めてくる生徒さんも少なくありません。今まで指導した生徒さん達を「オール・ステート・オーケストラ」やリンカーンセンターに送り出しましたが、選抜されて檜舞台に立つ生徒を見た時は、指導者冥利につきます」と目を細める。「それぞれのレベルに合った指導はもちろん、生徒同士でのアンサンブルや地域の奉仕活動など演奏機会をより提供し、音楽を通してさまざまな経験を積んでもらえれば、と思います」と話す。

 今回の新たなスタートに際し、ウエストチェスター音楽スタジオの教室を運営する会社「ARTXUEST NEW YORK INC.」を設立した。社名は、ART + QUEST を組合わせて創作。「多くの人々が集まる交差点、そして西洋と東洋の文化が交わる場所となるという意味を込めて『X』を間にアレンジしています。音楽教室としての利用のみならず、さまざまな芸術を体験できるスタジオに発展させていきたい」と意欲をみせる。  

 多治比さんにとって、人生最大のイベントは、2006年のカーネギーホール大ホールでのオーケストラとのコンチェルト共演だった。その際は、ある財団からストラディヴァリを半年貸与され、多くの支援を全方向から浴びたような経験だったという。2013年にもソロリサイタル、その後も室内アンサンブルなど通算5回もカーネギーホールで演奏をする名演奏家だが腰は低い。

 「自分は、日本を代表するような超一流の有名バイオリニストではないですが、だからこそ、弾けない子供の気持ちがよく分かる。音感を大切にするあまりに楽譜の読み方がきちんと分からない音大生もいる。当たり前に楽譜も読めるように指導しながら、今後はオンラインなど音楽活動が多様化している中でも、ライブでしか伝わらない、体験出来ない喜び、楽しみを子供たちに伝えたい」と音楽教師の表情を見せた。(三浦良一記者、写真も)

カジキスショー、カーネギーホールで

花と音楽の祭典、10月4日(火)

 一般社団法人KJ、IFA国際アート連盟主催の花と音楽の祭典、第10回カジキス・ショーが10月4日(火)午後7時30分からカーネギーホールのワイル・リサイタルホール(7番街57丁目)で開催される。出演者は、りんともシスターズ、山崎賢一、松本藍、和嶋静代、イザベラ・マリア・トーレス。主催者代表で、本紙連載コラム「風のままに」を執筆する梶木敏巳氏が司会を務める。

 今回のメインゲストの「りんともシスターズ」の妹の巴美さんはフラワーデザイナー。女優で実姉の林子さんとザ・ピーナッツをカバーして歌うデュットの姉妹だ。姉の林子さんは新劇出身の女優。妹の巴美さんは17歳で全国新人オーディションで優勝し、当時の話題の映画月光仮面でデビュー。1981年にはアイドル歌手として日本歌謡大賞新人賞を受賞。その後にサスペンス劇場や時代劇でそれぞれ芸能界で斉藤姉妹は長く活躍中だ。

松平健さんが応援メッセージ

 2人の出演には、俳優の松平健さんから今回特別に公演開催へ向けた祝辞と応援のメッセージが日本から寄せられている。

 それによると「参加しているりんともシスターズとは、公私に渡りお付き合いさせていただいており、同じ音楽を愛する者として、カーネギーホールの大舞台で歌唱できることをとても嬉しく思っております。この素晴らしいステージを彩る豊かなフラワーショーが、ニューヨークと日本の皆様とをとり結んでいつまでも続くことを心より祈念いたしております」とエールを贈っている。

 声楽家の和嶋静代は、佐賀県伊万里市出身。ハウステンボス歌劇学院声楽講師。声楽&ピアノ教室「星の子音楽教室」主宰。タレント事務所のボーカル講師、合唱団指導、看護学校講師、こども園の歌唱指導、保育園習字教室講師等、後進の指導にあたりながら、自身の演奏活動も多岐にわたる。人の心に寄り添う優しい歌声には定評がある。

 歌手の松本藍は佐賀県唐津市出身。西南学院大学経済学部を卒業後、単身で渡米。語学学校に通いながらミュージカルの歌唱を学び、教会で本格的なゴスペルへ参加。帰国後は、上京しStarLights という現在も参加を続けているコーラスグループへ加入。現在は昭和歌謡を中心にソロで定期出演をしている。

 ニューヨークから参加するバレリーナのイザベラ・トーレスは、東京生まれ。3歳からクラシックバレエを始める。2019年ニューヨークにてバレエ教室Petit Allongé Bella NYを設立。スタジオのプリンシパルとして現在活動している。同公演には、日本舞踊の尚蘭月、書道家の山口観風が参加する。

来場者に特製ボールペンを贈呈

クリスタルハーバリウムボールペン■日本ではとても人気のクリスタルでキラキラなボールペンを全員に

(写真)左上から時計回りに、メッセージを寄せた松平健、梶木敏巳代表、松本藍、山崎賢一、山口観風、りんともシスターズ、尚蘭月、和嶋静代、イザベラ・トーレス


無料招待チケット申し込みは

Eメール kj.inter.artist@gmail.com

電話: 917-873-4547

 当日券あり。会場入り口でもスタッフが入場チケットを配布する。先着順で250席分のチケットがなくなり次第配布終了。当日は午後6時30分ごろから劇場前で当日券を配布する。

ガラス瓶に込められた夢

Three Thousand Years of Longing

 もしあなたが魔神から「3つの願いを叶えてあげよう」と言われたら、何を願うだろうか。「アラジンと魔法のランプ」をおもわせるこの物語。「マッドマックス」シリーズの監督・脚本で知られるジョージ・ミラーが描き出すロマンあふれるファンタジー。

 原作はA・S・バイアット著の短編「The Djinn in the Nightingale’s Eye」。ビジュアル的には大昔のエジプトや中東などを舞台にしたきらびやかな世界が広がるものの、ミラー監督が映し出す作品でお子様向けおとぎ話であるはずもなく、人間の欲や憎しみ、愛や希望などがたっぷり詰め込まれた大人向け幻想ストーリーといったほうがぴったりくる。

 アリシアは物語や語りの技術、構造などについて研究するナラトロジーを専門とする学者。若い頃に結婚していた時期もあったが元々自由気ままな暮らしと好きな研究が優先し、離婚してからはずっと一人。子どももいないが今の生活に十分満足している。所詮は全てを手に入れてなおかつ好きなように生きることなどできるはずもない、と心で納得しているからだ。

 アリシアは学会の会議でイスタンブールを訪れ、露店でガラクタに埋もれた水色のガラス瓶に目を奪われ即購入。ホテルで瓶を洗っていると、突然蓋が取れて煙と共に大男が現れた。

 ジンと名乗る男はアリシアに「君が望む3つの願いを叶えてあげれば、僕は自由の身になれる」と言う。物欲も名誉欲もなく居心地の良い今の生活に満足しているアリシアにはあまりピンと来ないオファーだ。しかしジンがソロモン王とシバの女王の時代に初めて真鍮の壺に閉じ込められ、約3000年の間に何度か解放され閉じ込められた身の上を話すうちにアリシアは一つ一つのめくるめく物語に引き込まれていく。と同時に自由を求めて生き続けようとするジンの悲痛な叫びを聞いたような気がした。 

 さてアリシアは叶えてほしい願いを見つけ、ジンは自由を手に入れることが出来るだろうか。演技力では定評のあるティルダ・スウィントン、イドリス・エルバのキャスティングも申し分なし。1時間48分。R。(明)

(写真)アリシアは露店でガラスのびんを見つける

Photo : Elise Lockwood/Metro-Goldwyn-Mayer


■上映館■

AMC Empire 25

234 West 42nd St.

AMC Loews 19th Street East 6

890 Broadway 

AMC Lincoln Square13

1998 Broadway 

シェリーめぐみ熱唱

40年ぶりに歌いました

 元歌手で、ニューヨークではジャーナリストとして活動しているシェリーめぐみさんが、17日午後、タイムズスクエアの音楽スタジオのステージに立ち、40年ぶりに歌声を披露した。

 日本人女性たちが大勢詰め掛けるなか、最初に歌ったのはオフコースの「眠れぬ夜」。実は、めぐみさんがバックコーラスをしていた西城秀樹がよく歌っていた曲。そして荒井由美の「ルージュの伝言」と続いた「昭和ポップス」の次は1972年に録音されたチック・コリアのジャズの名盤「リターン・トゥ・フォーエバー」に収録されているフローラ・プリムの「What Game Shall We Play Today」。学生時代に大好きで歌っていた曲を優しいハスキーな声で歌い上げ会場を魅了した。

 友人の宮嶋みぎわさんのピアノ演奏と、当日のスペシャルゲスト、歌手のAKこと柿原朱美さんが作曲して今井美樹が歌った「空に近い週末」をデュエットで聴かせた。この日1時間半のステージで、ビートルズの「レット・イット・ビー」など7曲を歌った。

 司会は学年は違うが高校、早稲田大学と同窓の黒部エリさんが軽妙なトークで会場を盛り上げた。めぐみさんは、学生時代から歌手活動をしていたが、卒業前に歌手から転向してラジオ番組の構成作家としてデビュー、佐野元春、ハイファイセットなど多くのアーティストの番組を手がけた。1991年に来米後は音楽情報を中心にさまざまな情報を日本に伝える仕事に32年間従事し、歌うことは一切なかった。

 コンサート後「封印した過去と現在が繋がっただけでなく、仲良しのお友達が集まって一緒に笑ったり泣いたりしてくれて、私の人生は本当に豊かで幸せなものだと実感できて感謝の気持ちでいっぱい」と話していた。歌手として心の鐘が鳴り響いた夜だった。(三)

編集後記9月17日号 2022年

【編集後記】 みなさん、こんにちは。エリザベス女王が9月8日に96歳で死去しました。19日には国葬が行われ、日本からは天皇皇后両陛下がご出席されます。20日から国連総会のためにニューヨークに来る予定の岸田首相は、女王が崩御された翌9日は外務省を通じてお悔やみの言葉を発表していますが、色々なことが脳裏を過った一週間だったのではないでしょうか。22日には、東京で、安倍元総理の国葬儀(国葬)が日本国内賛否両論別れる中で16億円の国費をかけて行われる予定で、岸田首相が国連総会のスケジュールの都合で国葬に欠席するというわけにもいかないでしょうし、本当に日程調整でギリギリの綱渡りをした一週間だったのではないかと他人事ながらハラハラとしていました。思えば、昨年の今頃は、ニューヨークも世界中もコロナ一辺倒で、まさかロシアがウクライナに軍事侵攻するなんて思いもよりませんでした。国連は色々な決議をいっぱいましたが、この戦争をやめさせる決議は、拒否権を持つロシアとその肩を持つ中国がことごとく世界を敵にまわして反対し、終わらせることはできませんでした。むしろ戦争はエスカレートしています。16日には国連で国連総会に先立ち平和の鐘が鳴らされます。グテーレス国連事務総長はどんな思いで鐘を打つのでしょうか。鐘の音はどのように世界に響くのでしょうか。激動の1年、秋の章の始まりです。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2022年9月17日号)

(1) 英女王陛下崩御 米国の報道と論調

(2)ジャガーの行進 NY市内に彫刻40頭

(3)ミュージカル上海ソナタ CivilizASIAN Foundation

(4)新会長に加納さん 米国日本人医師会

(5)秋は家族でキャンプへ フロストバレーYMCAが募集

(6)JFKターミナル1  大幅改修工事へ

(7)ジミー赤川が個展 定点観測ビデオ撮影

(8)同時多発テロから21年 育英学園児童が黙とう

(9)熊本翔士が再び出場 アポロ劇場アマチュアナイト

(10)在米邦人に日本語で診療続ける  加納麻紀さん