週刊NY生活ギャラリー、第二次募集受付を開始

本紙オンラインサイトに常時展示

新規作家が続々参加中

 本紙が主催するオンライン「週刊NY生活ギャラリー」(https://nyseikatsu.com/gallery/)では、現在2023年度の第二次作家募集を行っている。第一募集には新規で9人の日米在住のアーティストが登録した。

 募集対象は、過去に本紙で作品が紹介された人、ニューヨークで個展、グループ展に参加されたことのある人、または、将来何らかのNYにおける企画展に参加する予定のある人。作家のポートフォリオ、顔写真、絵画、写真、彫刻などの作品を期限1年間で掲載。参加料金は、作品を最大10点まで展示できて1年間200ドル。翌年からの更新料は50ドル。(2年間75ドル)。作品の入れ替えは1点につき手数料20ドル。

 作家にとっては、作品を展示して多くの読者に見てもらえるだけなく、自分の作品を広く一般に販売するチャンネルとして利用できる。同ギャラリーは、本紙「週刊NY生活」のウェブサイト(www.nyseikatsu.com)で常設展示されている。第二次の応募受け付け枠は20人。先着順で締め切りは11月31日まで。(10月中の応募者には10%OFF=20ドル割引)。

 問い合わせはEメール miura@nyseikatsu.com   担当・編集部・三浦まで。

【展示作家】(新規参加作家)羽山奈保、中山美紀子、藤田創一、井上賢一、Masako Takamasu、下條ユイ、小野田昌子、沙山有為、サカイ。(常設作家)高波壮太郎、飯塚国雄、服部夏子、三浦良一、マサ、マックス・藤島、岩沢あさ子、遊真あつこ、上住雅恵、岡本悍久。

忠臣蔵NYで

アマテラス座

NY邦人俳優初のオフブロードウエー公演

 日米両語の非営利劇団アマテラス座(AMATERASU ZA、芸術監督・Ako=アコ)は18日(火)から11月6日(日)日まで、オフブロードウエーのARTNYシアター(西53丁目502番地)で時代劇「忠臣蔵〜47人の浪人」を上演する。ニューヨーク在住の日本人俳優による正式なオフブロードウエー公演は初めて。

  内容は1702年から03年にかけて江戸で起きた赤穂浪士の事件を題材にした本格的な侍劇。討ち入り場面では殺陣波濤流NY代表の香純恭の構成で、侍アクター、ヨシ天尾らが見事な殺陣を披露するのが見もの。主に日本語で上演、英語字幕が付く。

 出演は、アコ、ヨシ天尾、小野功司、合田沙おり、市川達生、前嶋利菜、ジュンスエナガ、鈴木やす、米倉裕子、よしむらみなみ。

 芸術監督を務めるAko(あこ)は、宝塚歌劇団52期生(1972年退団、芸名=夏海陽子)で、2018年に同劇団を立ち上げた。Akoは「ニューヨークで頑張っている日本人俳優に今回演じ甲斐のある役を与えられたこと、また、俳優組合アクターズ・エクイティ・アソシエーションに参加出来る機会を与える機会が出来たことを嬉しく思っています」と話す。

 上演は火曜から土曜が午後7時30分。土日午後3時開演。(土曜は2回公演)。入場料はプレビュー期間(10月22日まで)が一般45ドル、学生・シニア25ドル。23日以降は一般60ドル、学生・シニア30ドル。チケット・詳細はウェブサイトhttps://amaterasuza.ticketspice.com/chushingura-47-ronin

本紙読者プレゼント=週間NY生活の読者先着2名を10月18日から10月22日のプレビュー期間無料招待。応募は「週刊NY生活を見た」と記載し、希望の日時を書いてEメールでinfo@amaterasuza.orgまで。

仙石紀子さん逝く

舞台芸術通して日米交流に尽力

 演劇プロデューサーの仙石紀子さんが、9月30日、ニューヨークの病院で亡くなった(享年83歳)。手掛けた作品は、蜷川幸雄演出「Ninagawa マクベス」、野田秀樹演出「彗星の使者」BAM公演、セントラルパークでの梅若六郎による薪能など多岐にわたったほか、米国のブロードウエー作品を日本に紹介した。

追悼 日米交流を舞台芸術で実現

演劇プロデユーサー仙石紀子さんの軌跡
ラ・ママ実験劇場の存続危機に支援活動

 演劇プロデューサーの仙石紀子さんが、9月30日午後3時すぎニューヨーク市の病院で永眠した。 

 蜷川幸雄演出「王女メデイア」、「Ninagawa マクベス」、野田秀樹演出「彗星の使者」、セントラルパークでの梅若六郎による薪能など、数々の日本の舞台をプロデュース。目の肥えたニューヨークの人々に日本の古典芸能や先端芸術を見せたいという思いは、「オズの魔法使い」「ビッグ・リバー」などブロードウエーの秀作を日本に紹介する情熱に勝るとも劣らなかった。 

 1939年、名古屋生まれ。中高生のころからの芝居好き。南山大学を卒業した1963年、縁あって劇団四季の浅利慶太に出会う。日生劇場のこけら落としをはじめ、同劇団の実験的な作品や海外からの招聘に制作部として携わるうちに〈本場体験欲〉が高まり、米国留学を決意する。組織の支えなき身でアメリカの地を踏んだ瞬間、「自由」を実感。その重みを感じながら、開放感に包まれたという。 

 1968年からニューヨーク大学演劇科の特別研究生に。劇場に通う毎日を送る。1971年から劇団四季のニューヨーク事務所長を務めたのちの1980年、満を持してインター・アーツNY社を創設。舞台を軸とした文化芸術のプロデューサーとして、アーチストのエージェントとして、日米文化のハブ的役割を果たした。 

 劇団四季時代からの盟友、ヨシ笈田が演出・出演する芝居やオペラの「追っかけ」を自認。ホンモノを体験するためにミーハーに世界中を飛び回った。ふたりの息子を育て上げたシングルマザーは、テレビ・映画のコーディネーターとしてアメリカ全50州のうち48州を訪れてもいる。 

 イーストビレッジにあるラ・ママ実験劇場の財政危機時にNPO法人を立ち上げ支援した行動の人。教わること・教えることに労を厭わなかった好奇心のひと。美しいもの、心あるもの、共鳴できるもの=芸術こそが、国を超えて私たちに力を与えてくれるーー。

 日米の文化が〈接続可能〉であることを50年前から信じ続けた自由人の意思は、彼女と接したすべてのひとに受け継がれている。(カタガミ・ユーコ)

 葬儀は10月9日(日)午後1時から4時まで、アッパーイーストサイドのフランク・E・キャンベル葬儀場(マジソン街1076番地、81丁目)で行われる。詳細は www.frankecampbell.com

(写真左)ラ・ママ実験劇場の創設者エレン・スチュワートと courtesy of the La MaMa Archive 

モデル顔負けの抜群スタイル

 9月のマンハッタンはNYファッションウィークで一気に華やかになる。全米から飛んできたモデルがイベントの合間のショッピングで溢れかえるソーホーの街角でファッションインタビューを行った。モデルかと思ったとのコメントに「ありがとう、でも私はモデルじゃないのよ。ファッションショーを見に行ったけど満席で入れず、ドアの間からモデルが出てくるところを見て興奮しちゃったわ」と言うモデル顔負けの抜群スタイルな彼女が身に着けていたのは白いジャガーのジャケットと、その下には黒のブラレット。アーバンアウトフィッターズのスカートに古着の黒ブーツ。黄色いバグーのバッグが白いジャケットにマッチして際立つ。「グッチやフェンディーなんかも好きよ。やってることが常に最先端よね。後は古着屋で初めてのブランドを気軽に試したりしてるわ」。お勧めの古着屋は“L Train Vintage”。他のインタビューでもよく挙がる、古着ファンのニューヨーカーに人気のショップだ。「週末はよくブルックリンのウィリアムスバーグに足を運ぶわ。クラフトビールを飲めるバーが豊富だから。そして時折フェリーでNYCを離れてゆっくりするの。喧騒と静寂のバランスが大事よね」。ファッションウィークの週末をソーホーで満喫した彼女はこれからトライベッカの自宅へ帰り、ピザをつまみながら映画鑑賞を楽しむ予定。マンハッタンに到来する秋に向け、おしゃれニューヨーカーの充実した余暇の過ごし方を真似てみたい。

(Wear 2Nextチーム/アパレル業界関係者によるファッション研究チーム)

実録小野田少尉の帰還

10月7日から映画米国公開

 『Onoda: 10,000 Nights in the Jungle』(2021年、フランス、ドイツ、ベルギー、イタリア、日本合作、邦題『ONODA  一万夜を越えて』として日本公開は2021年)が、10月7日(金)より米国公開される。

 第2次世界大戦が1945年に終了した後も、敵を倒すゲリラ作戦完遂のためフィリピンのルバング島のジャングルの中に留まり、1974年に日本に帰還した元日本兵・小野田寛郎(1922-2014)の実話に基づく映画である。1980年生まれのアルチュール・アラリ監督は脚本家・俳優としても活躍し、本作は長編監督として2作目。日本人とフィリピン俳優で、カンボジアで撮影された。

 小野田の帰還は、1973年グアム島のジャングルから日本に帰還した元日本兵・横井庄一の事件に驚愕した後だったので、戦後28年半という小野田が体験したジャングル生活の長さよりも、それを止める方法が衝撃的であった。家族が説得してもジャングルから出ることを拒否した小野田は、戦時の直属上官がジャングルまで赴き作戦任務解除令を直接告げるまで投降しなかった。このことは当時の日本で、大きな話題となっていたことを思い出す。

 日本軍勝利のために生き延びよと命じられた小野田が、徹底抗戦を貫こうとした恐るべき軍人精神と、過酷なジャングルの環境を生き延びる人間性について、フランス人の若手監督が解明しようとした本作、2時間53分の上映時間の長さが意外と感じられず、緊張感の連続で過ぎて行く。雨と蚊に悩まされ、風に癒される熱帯ジャングル。一人、また一人と欠けていく仲間を送る孤独。食料調達のための現地人との軋轢など極限状態の中での生存の実態が、登場人物の心理的葛藤を間近に表現するクローズ・アップの多様によって丁寧に追体験させられる。それと共に人間が囲まれている自然の巨大さを、遠景ショットのデザインで圧倒的に見せる。

 映画の途中でメイン・キャストの若い2人の俳優が中年の俳優と入れ替わるが、小野田役に遠藤雄弥と津田寛治、小野田と行動を共にした小塚役に松浦祐也と千葉哲也、島田役にカトウシンスケ、赤津役に井之脇海、直属上官役に尾形イッセイ、小野田の帰還を説得する旅行者役に仲野太賀は、いずれも好演である。(平野共余子)

 NYの劇場公開はFilm Forum (209 West Houston Street, New York City)で10月7日より。詳細は
www.filmforum.org

(写真)Photo credit: Courtesy of Dark Star Pictures

日本の歴代政権が脆弱なのは「選挙が多すぎる」から

 新たな総理大臣が誕生しても、1年も経つと支持率が低下しやがて交代に追い込まれる。こうした現象は昭和の末期、福田赳夫政権の頃から延々と続いている。例外は、中曽根、小泉、安倍(第二次)だけで、その他はほぼ全ての政権が似たような運命を辿ってきた。理由としては、総理の器が小さくなったからだとか、与野党伯仲、あるいはねじれ国会に苦しんだからだという解説がされることが多い。

 けれども、今回の岸田政権は必ずしもそうではない。高い支持率で出発して、その水準を維持していたのである。ところが、国葬と旧統一教会の問題で支持率が急落した現在は、一気に更迭論が出入りするところまで来ている。その前の菅義偉政権も、コロナ禍と五輪の強行開催で簡単に崩壊した。民意の振幅に揺さぶられているとしか言いようのない事態である。余りに情緒的で激しい民意の揺れを目にした私は、まるで「ろうそくデモ」で朴槿恵政権を潰した韓国の民主主義のようだという解説をしたことがある。少々強引な比較であったようで、左右両方の支持者からお叱りを頂いた。

 批判されたからというわけではないが、その後色々と検討をしてみた結果、1つの大きな問題があることに気づいた。それは、日本の選挙が「多すぎる」ということだ。まず、日本の選挙のサイクルは参議院が3年おきで基本的に7月である。また、衆議院は解散があるので時期は不規則だ。衆参同時選をやっても、衆院の任期は4年であるから解散がなくても次は同時にならない。その他には統一地方選があるが、これは4年サイクルで時期は4月となっている。だが、任期途中で首長の交代があったり地方議会の解散があると「統一」のサイクルから離脱するケースも多くなってきた。

 そんな中で、今回の岸田政権は2021年秋の衆院選に勝利し、2022年7月の参院選に勝利したことから「黄金の3年」、つまり国政選挙が向こう3年はないことから安定的に政権を運営できるはずであった。では、どうして更迭論が出ているのかというと、来年2023年4月には統一地方選があるからだ。現在、日本の野党は政権担当能力という点では民意の信頼を全く得ていない。だが、与党への不満があると、地方選ぐらいはということで民意が「野党に浮気」することは十分に有り得る。そんな中で、自民党の地方議員としては政権が不評なために自分が議席を失っては大変だ、ということで浮足立っているのである。

 つまり、衆院選以外に多くの選挙が異なったタイミングで発生する、要するに選挙を小刻みにやるように日本の選挙制度ができているのだ。そうなると、政権選択選挙である衆院選以外では、有権者は「平気で浮気」をする。自民党としては、これを恐れる余りに、政権の支持率が下がるとすぐに「顔」をすげ替えるという習性が身についたというわけだ。これでは、新しい政権を作っても、結果を出す前に交代させられるわけで、国としての政策が迷走するのも仕方がない。

 アメリカの場合は、11月2日以降の最初の火曜日が「選挙の日」と定められていて、大統領選、上下両院選、地方選もこのタイミングに集中し、巨大な「同時選」となる。では日本のダブル選挙のように「常に与党有利」になるかというと、全くそうではない。「大統領は人権を重視して民主党から、知事は税金の無駄遣いを避けるために共和党に」などと、投票行動を変える有権者は多い。連邦議会の選挙も、党議拘束がないので候補の政策を吟味して投票がされる。

 勿論、二大政党制の確立に苦しむ日本の場合は、アメリカ流を即時に導入することは非現実的だ。だが、選挙が多すぎるために、総理大臣をクルクル「交換する」ことになるという問題は、一度冷静に考えてみる必要はありそうだ。

(れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

花と歌の祭典

カーネギーホールでカジキスショー

りんともシスターズ

 一般社団法人KJ、IFA国際アート連盟主催の花と音楽の祭典、第10回カジキス・ショーが4日、カーネギーホールのワイル・リサイタルホールで開催された。前半はフラワーアーティストとモデルによる華やかなブーケショーが舞台でくり広げられ、華麗なイザベラ・マリア・トーレスのバレエのあと、主催者代表で、本紙コラム「風のままに」を連載する梶木敏巳氏がMCを務める歌謡ショーに。出演者は、りんともシスターズ、山崎賢一、松本藍、和嶋静代。メインゲストのりんともシスターズは、ザ・ピーナッツの残した昭和の名曲を主軸に日本の歌を歌い続ける姉妹。「デビュー15年の節目の年にこうして今回NY在住の皆様の前で歌えて感無量です」と挨拶し、この日もメドレーで恋のバカンス、恋のフーガ、コーヒールンバ、プティトフルール、情熱の花、最後に美空ひばりの真っ赤な太陽を熱唱した。2人の出演には、所属事務所の社長でもある俳優の松平健さんから公演開催への応援のメッセージが寄せられ舞台で読み上げられた。りんともは「松平もニューヨークのことが大好きで何度もきているようです。一緒にまた来れたらいいわね」と二人で顔を見合わせた。

 声楽家の和嶋静代さんは佐賀県伊万里市出身。声楽&ピアノ教室「星の子音楽教室」を主宰している。スタンドアローンに続いて故郷、里の秋などメドレーで日本の童謡唱歌の秋をテーマに歌い、最後はさだまさしの「いのちの理由」をしみじみと聞かせた。

 歌手の松本藍さんは佐賀県唐津市出身。単身で渡米。ゴスペルやミュージカルの歌唱を学んだが米国滞在中に高橋真梨子のステージをカーネギーホールで見て日本の歌に目覚め、帰国後も日本の歌を歌っている。オリジナルの「舞い上がれ」を夢の舞台で熱唱した。

 NYから参加のバレリーナ、イザベラ・トーレスさんは、東京生まれ。NYでバレエ教室Petit Allongé Bella NYを主宰。NYデビューの舞台がカーネギーホールとなった。花をテーマにチャイコフスキーのくるみ割り人形から花のワルツを披露した。シンガーソングライターの山崎賢一は「君が笑えば」を熱唱、華やかな日舞の尚蘭月も登場し、書道家の山口観風も歌で客席を沸かせた。

(写真)メインゲストで歌うりんともシスターズ(写真・三浦良一)

不安なく永住帰国するために押さえておきたい3つのポイント

山口里美さんが解説

JAA秋のヘルスフェアで

 ニューヨーク日系人会(JAA)が主催する第16回秋のヘルスフェアで、9月25日から10月5日までYouTube公開されたライオンズ大学大人の教養講座シリーズ4講師の講演内容を順次紙面で掲載する。

 第1回目の今週は、一般社団法人日本リレーションサポート協会代表理事の山口里美さんが「不安なく永住帰国するために~押さえておきたい3つのポイント」を解説した。同オンライン講座は、NY日系ライオンズクラブが企画、マイベストプロとマイイベントUSAが協力して開催した。

(1)住まいを決める 帰国後にまず困るのは、家を借りられないこと。独り住まいの高齢者は、健康面や孤独死などのリスクがあるので、借り手に預貯金があって、返済能力に問題がなくても大家が貸し渋ることが多い。高齢者施設は、利用料が安くサービスが良い特別擁護老人ホームから、値段は高いがケアが充実している介護付き有料老人ホームまで選択肢がある。

 高齢者施設・住宅を選ぶ場合に、種類が多いこと、定期的な制度の改訂があること、長生きのリスクなどがある。

(2)財産を管理すること(3)サポートしてくれる人を決めることが大事。世界規模で毎年1000万人が認知症となっている。認知症と診断されると銀行口座が凍結されて、預金を下ろしたりできなくなるほか、不動産の売却、修繕、賃貸契約ができなくなる。それを防ぐためには、成年後見、民事信託がある。成年後見には、法定後見と任意後見がある。元気なうちに任意後見契約をすることが大切だ。帰国時にこれらの手続きをバラバラにするのはかなり大変だが、山口さんの一般社団法人日本リレーションサポート協会ではまとめて1か所で相談に乗り、手伝うサービスも紹介している。詳細はhttps://mbp-japan.com/tokyo/cosmo/

赤ちゃんの睡眠科学で保育者を救う

Sleeping Smart Japan株式会社 代表取締役

愛波 あやさん

 子育てしたことのある人なら、おそらく誰もが経験したことのある赤ちゃんの夜泣き。先輩ママの経験談や母親からの経験談ももちろん参考になるが、「いつかはきちんと寝てくれるようになるから今は耐え時」「赤ちゃんは夜泣きするもの、母親は大変なのよ」という回答が多い。特に米国で出産して、家の中で赤ちゃんと2人きりになる時間が多くなるほど、母親にとっては幸せな喜びの反面ストレスも大きい。

 愛波さんは、国際資格認定機関IPHIの日本代表を務め、これまでに360人以上の乳幼児睡眠コンサルタントを育成している。自身が、出産後、夜泣きや子育てに悩んだことから米国で乳幼児の睡眠科学の勉強を始め、現在は日本を代表する乳幼児睡眠コンサルタントとして、日本の子育て環境をよりよいものにアップデートしようと、講演や執筆、出版を含め幅広く活動中だ。

 愛波さんは、自然環境の豊富なニューヨーク郊外の、自分が子供時代を過ごしたスカースデールで子育てを実践している。活動のきっかけは、米国人のママ友に渡された一冊の本だった。リチャード・ファーバー著『Solve Your Child Sleep Problem』。それは科学的根拠に基づいた、小児科医が書いた赤ちゃんの寝かせ方の本だった。「赤ちゃんを寝かしつける科学ってあるのか」と思った愛波さんは、図書館に通い詰めて15冊ほど睡眠本や医学論文も読み漁った。アメリカの書店には子供を寝かせることを科学する本がびっしり並んでいたことも驚きだった。

 自分の体力も気力も限界に達していた長男が生後10か月の時「セルフねんねトレーニング」を行ったら4日後には一人で夜通し寝るようになったのだ。夜は一人で寝てくれるようになったので自分の時間もとれるようになって、ネットを見てたら「睡眠科学を学べる乳幼児睡眠コンサルタントの資格」に出会った。「私が苦しみから脱した方法を同じように苦しんでいる人に教えてあげたい」という気持ちの一心で睡眠を科学から勉強することにした。

 「エビデンスに基づいた解決方法が具体的にわかると、安心して子育てでき、自信を持つことができる。親が自信を持つことができると、母親の自己肯定感が高まり、子供にもそれが伝わり、子供も自己肯定感が高い人間に育ってくれると思っています」という。

 コロナ禍での2年半の活動状況は、オンライン化したので講演会なども全てオンラインになり、受講生が大幅に増えるという副次的効果があった。

 『ママと赤ちゃんのぐっすり本』(講談社)に続き、コロナ禍で『マンガで読むぐっすり眠る赤ちゃんの寝かせ方』(主婦の友社)を出版、睡眠ジャンルのアマゾンランキングで第1位(2021年2月5日調べ)にも輝いた。このほか、おくるみスリーパー・スリーパー・ラビーなど乳幼児の睡眠に役立つ商品開発なども手がけている。これからも、乳幼児の睡眠に関する知識をもっと広め、日米の子供の睡眠に悩む保育者たちに「自分をケアする時間も大切にして欲しい」と訴えて行くつもりだ。(三浦良一記者、写真も)

編集後記 2022年10月1日号

【編集後記】

 みなさん、こんにちは。海外にいて、ここしばらく、そう、過去15年あまりの間でしょうか、日本の若者はやれ覇気がないだとか、他国の若者に比べて内向き志向で元気がないだとか聞いていてどうしちゃったのかなあと思っていたのですが、最近、そんな不安を払拭するような、元気な日本人の若者たちの群像の存在を知りました。YouTubeで「BREAKING DOWN ←(検索) 」という総合格闘技のイベントで、キックボクシング、柔道、空手、K1、少林寺拳法なんでもありの1分間のバトルを日本全国の地方からやってきた「喧嘩自慢」の、しかも「誰もが負けを知らない猛者ばかり」が集まってきてオーディションで対戦相手を決めて戦います。集まってきているのは、元ヤクザ、少年院上がり、半グレ、元プロボクサーで出場資格取り消し、元暴走族総長、顔まで刺青だらけの若者と社会の表通りから傍道に追いやられてしまった若者が大半。年齢は20代から40代のよく言えば「やんちゃな青年」たちばかり。何が面白いかというと、闘う前に、お互いに煽(あお)りまくって、相手を罵倒の限り罵倒しあって、そしてリングで闘うのですが、激戦の後は、勝者と敗者が決まるわけです。戦いが終わるとお互いノーサイド、負けた方は、さっきの生意気な口は消え去り「ありがとうございました」と爽やかなスポーツマン精神を見せてくれるのです。その潔さが心地よい爽やかさを与えてくれるので、そのチャンネルにすっかりハマってしまいました。喧嘩だけは誰にも負けないと思い上がっていた者が、次々に負けて自分の身の丈を知る。そこから素直になって前を向いて立ち上がる。鉄拳制裁に近い、まあ、完璧に男の世界ですが、女性のファンも多いようです。さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題。そのBREAKING DOWNの頂点にいる総合格闘家の朝倉未来(みくる)(30)が9月25日、日本のさいたまアリーナで、プロボクシング元世界5階級を制覇した王者フロイド・メイウェザー(45)とエキシビションマッチで戦ったのですが、試合前の花束贈呈式で、贈呈役の政治団体ごぼうの党代表・奥野卓志氏(48)が花束をメイウェザー選手に手渡さずマットに投げ捨てるという出来事がありました(本紙4面に記事)。会場は騒然となりましたが、メイウェザー選手は何事もなかったかのように花束を拾い上げ、セコンドに手渡しました。一歩間違えば、試合そのものが成り立たない危険がありましたが試合は始まり、試合自体は、2回TKOでメイウェザー選手が勝利したのですが、海外のスポーツ紙などメディアが一斉に、この花束投げ捨て行為を「無礼なマナー」として非難の嵐となってしまいました。試合そのものよりこっちの方がネット上で大炎上。格闘家、ボクサーたちも怒り心頭に発しています。試合を何か月も前から楽しみにしていた数十万ファンも試合を台無しにされました。花束を贈呈した奥野氏はチケットを420万円の高値で購入した副賞として「花束贈呈役」のポジションを手に入れました。高知県出身で、曽祖父が吉田茂をバックアップしていた財界のフィクサーで大物だったとかで、今でも、銀座で自身が経営するバー「一徳」には世界の大統領級の要人たちが来店する「お金もちで、政財界、芸能界」に多くの支援者がいるVIPだそうですが、この花束投げ捨てを喜ぶ人は誰一人としていなかったはず。奥野氏のスポーツアドバイザーになっている試合に負けた朝倉未来が一番かわいそうですね。世紀の一戦の前に泥をかけられ、試合に負けてから異常に「頭が痛い」と言って病院に直行した朝倉。日本中のファン、格闘家、世界のマスコミが凍りついたリングの中で部外者が起こした不祥事。リングで普段大暴れする乱暴者の若者たちも「あれはいかんわ。ありえん」と心を一つにした瞬間でもありました。長々と書きました。日本の若者たちは元気です。それが言いたかったです。ご関心のある人はBREAKING DOWNN, 朝倉未来、朝倉海、安保瑠輝也を検索してみてください。ニューヨークでよく見る日本の社会をリードする駐在員やエリートたちでは決してないですが、真っ直ぐに生きる現代の頼もしい若者たちに会えますよ。ニューヨークにいても孤独ではありません。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2022年10月1日号)

(1)水際対策大幅緩和  入国上限撤廃 個人旅行とビザ無し解禁

(2)持続可能な衣服の伝統

(3)海外日本人サポート 河野太郎大臣、在外ネット投票に意欲

(4)首相ゆかりの学校 裕子夫人が訪問

(5)海外でも非難の嵐 メイウェザーに花束投げ捨て

(6)日米交流の原点訪ねる NY日系ライオンズ

(7)NY日系人会 大敬老会日本クラブで

(8)ジャパンフェスの仕掛け人 ドラゴン山本さん

(9)海苔と爆弾 ニューヨークの魔法

(10)植山慎太郎とマックス藤島 写真展「月とニューヨーク」

コロナの水際対策11日から大幅緩和

入国者数上限撤廃
個人旅行とビザ無し渡航解禁

岸田首相がNYで発表

 岸田首相は、9月22日にニューヨークのパークレーンホテルで開催された内外記者会見で、10月11日(火)から、水際対策で現在1日5万人としている入国者の上限数を撤廃し、パケージツアーに限定されている観光客についても個人旅行客の渡航を解禁、また訪日に関する現在のビザ取得規制も解禁すると明言した。また同10月11日から「全国旅行割」と「イベント割」を開始すると発表した。「多くの方に活用してもらうことで、コロナ禍で苦しんできた宿泊業、旅行業、エンタメ業などを支援して行きたい」と発言した。近く日本の政府・関係省庁から正式な水際対策として発表される予定。

 パンデミック以降、日本のコロナ対策は、ほぼ鎖国に近い状態で国外からの入国者制限をしてきたが、今年春に入国拒否対象国を撤廃、9月7日からはワクチンを3回打ったことを条件にPCR検査を免除するなど段階的に水際対策を緩和してきた。しかし、G7(先進7か国)のうち、入国数上限を設定しているのは現在日本だけとなっている。

 日本国内の観光地は、円安になってドルを日本円に換金して買い物をする米国からの旅行客に期待が高まりそうだ。全日空は日米間の座席予約状況が7月までの水準と比べ1・4倍の予約に増加して満席状況が続いているため、一部のホノルル線とビジネス中心のニューヨーク線を除く米国内主要都市と日本との運航便数を10月から徐々にパンデミック前の状態に戻す。来米日本人観光客は、円安傾向の余波を受け、どこまで戻るかは不透明だが、日本行きを躊躇していた外国人旅行者を取り戻すことには大きなプラスに振り子が動くことになる。 

 記者会見会場で、首相登壇前に配布された内外記者会見の冒頭発言資料の中には、旅行関連の部分で10月11日に明記されていたのは「全国旅行割」と「イベント割」の開始だけで、「入国数上限撤廃」「個人旅行の規制解禁」「ビザ無し渡航の解禁」は記載されていなかった。岸田首相があえて「記者発表」の形でこの3点について11日に実施すると明らかにしたものとみられる。前日にカーネギーホールで開催された農林水産省主催のレセプションでも水際対策の詳細と明確な開始日については公式発表はしていなかった。 

(関連記事6、7面に)