10月末のハロウィンを過ぎたあたりから
ニューヨークは足早にホリデーシーズンへと向かう
行き交う人々の足取りもどこかせわしなくなる
朝晩の郊外は、すでにマンハッタンより
5度ほど気温が低い
グランドセントラル駅に朝着くと
朝日の影が長く尾を引いていた
太陽は一足早く冬支度に入った模様
(10月12日午前9時、写真・三浦良一)
10月末のハロウィンを過ぎたあたりから
ニューヨークは足早にホリデーシーズンへと向かう
行き交う人々の足取りもどこかせわしなくなる
朝晩の郊外は、すでにマンハッタンより
5度ほど気温が低い
グランドセントラル駅に朝着くと
朝日の影が長く尾を引いていた
太陽は一足早く冬支度に入った模様
(10月12日午前9時、写真・三浦良一)
株式会社ONE STORY AWARD(ワンストーリーアワード)は、一人一人の経験や人生の歩みを称賛する新しい祭典「ONE STORY AWARD」を11月8日(火)ブルックリンのMIKAで開催する。「人と人、人と国」を繋ぐことを目的として2022年9月には日本(宮城県仙台市)で華々しく開催され、次いで11月には米国ニューヨーク、そして今後は世界各地で開催が予定されている。
「ONE STORY AWARD」とは株式会社ONE STORY AWARD(福岡県福岡市、代表:鶴田一磨)が主催する心身美在をモットーとした女性たちのための新しいアワード。心と身体の美と健康、グローバルな言語、文化を学び続ける機会を提供し、参加する一人一人が紡いでいく人生の物語を讃える祭典となる。
(写真上)East Japan Miyagi 大会(9月27日、錦ケ丘アーリー迎賓館で)
米国・ニューヨークで11月8日(火)に開催される本アワードでは、書類選考により選ばれたファイナリストがドレスでレッドカーペットを歩いた後、美と教育に対する自分自身の考えや、賞金3000USドルを人のためにどう使いたいかについてスピーチを行う(日本語、英語その他の言語でも可)。Top of AWARD に選出された1名には、賞金3000USドルのほか、次年度以降に開催される日本大会へ招待される。現地からの参加者を募集している。エントリー締め切りは、2022年10月31日(月)。エントリー申し込みは、公式ホームページから。https://us.onestoryaward.com/award-01/エントリーフィーは無料。
人類の火星基地をNASAと共同開発する曽野正之氏による未来の建築、これからの可能性についてスピーチを予定している。子どもたちが国際交流や宇宙に興味を持つような未来への展望にも触れる。また、NYと日本をジャズギタリストとして橋渡しをする中井勉氏が大会をプロデュース。グラミー賞受賞のトップミュージシャンによる演奏やタップダンスが行われる。
2022 ONE STORY AWARD IN NY
2022年11月8日(火)
19:00開場 19:30開演
会場:MIKA(25 Thames St, Brooklyn, NY 11205, USA)
入場料無料(要予約)※参加希望者、入店希望者は下記メールアドレスまで問合せをお願いします。
主催:株式会社 ONE STORY AWARD
共催:2022 ONE STORY AWARD in NY運営本部
後援:週刊NY生活
ニューヨーク生活プレス社
問い合わせ:
email:ny.onestoryaward@gmail.com
HP: https://us.onestoryaward.com/award-01/
Address: 667 Madison Avenue,
4th and 5th Floors, New York, NY 10065, USA
新作ミュージカル「Present Perfect」のプレゼンテーション・コンサートが、11月8日(火)午後7時から、マンハッタンにあるコンサートホール54Below(西54丁目254番地)で行なわれることになり、ニューヨークを活動拠点とする日本人ミュージカル俳優の撫佐仁美さん=写真=が出演する。
このミュージカル「Present Perfect」は、ニューヨークの語学学校が舞台で、英語を第二言語とする外国人達が主役の物語。メキシコに家族を残して来ている不法移民カップル、ロシア人ジャーナリスト、シリア難民のラッパーなど、それぞれのバックストーリーを抱えた移民たちが、外国人として生きていく厳しい現実問題を組み込みながらも、キャッチーな音楽とともに明るく展開していくニューヨークのヒューマンドラマとなっている。
撫佐さんは、ブロードウェイ女優を目指して留学中の日本人役で出演。制作段階から彼女自身の意見を脚本に多く取り入れ、まさに撫佐さん自身のニューヨークでのサクセス・ストーリーがそのままミュージカルになるような内容となっている。
鑑賞チケットは一般席で35ドルから(飲食代25ドル〜)。ウェブサイト https://54below.com/ から購入が可能。なお、同コンサートはオンラインによるライブ配信も行われる予定となっている。
今年の5月にイーストビレッジの1番街と東15丁目の角にオープンしたJ‘s Kitchenは、日本各地の有名洋食店の人気メニューを一堂に集めて提供するユニークなレストランです。「地域の食を世界に」を合言葉に、神奈川県相模原から伝説の店「福よし」のとろけるハンバーグ、東京・神田の「神保町ビーフ」、福岡の「博多黒カレー堂」、栃木「神楽」のトンカツ定食など、いずれもアメリカ風のアレンジを全く加えずニッポンの味を直球で届けるコンセプトが、ニューヨーカーにも大ウケしています。今回は、同店の店長シェフ沼尻竜乃介さんに家庭でも簡単に作れる「洋食」を3品紹介していただきました。
食材
★タレ(8人前)
A
生のしょうが 50g
生のにんにく 15g
玉ネギ 150g
アップルソース 80g
B
料理酒(日本酒でも可) 200g
みりん 50g
C
砂糖 70g
醤油 200g
★お肉(1人前)
肩ロース薄切り 100g
玉ネギ薄切り 50g
★白ご飯 250g
〈作り方〉
「しょうが焼きの命はタレ」と言い切る沼尻シェフ。Aの材料をミキサーにかけてペースト状にしたらBと混ぜて加熱。アルコール分を飛ばしたあとで、砂糖と醤油を加えて溶けるまでさらに加熱。「タレさえ丁寧に作ればお店に負けない味になりますよ」とシェフ。味の決め手は生ショウガと生ニンニク。アップルソースがまろやかな甘みを作る。またタレにお酒を使うことで洋食らしいオシャレ感が出るそうだ。
フライパンで油(適量)を中火で熱して、サラサラになったところでポークを2分ほど焼く。玉ねぎの薄切りを加えてさらに1分焼いたら、上記のタレを投入して30秒で焼き上がり。ざざっとご飯に載せれば、ショウガ焼き丼の完成だ。タレは冷蔵庫で1週間保存できるので多めに作り置きすれば、忙しいときでもわずか5分で「トンでもなく」美味いしょうが焼きができる。
食材
木綿ごし豆腐 約半丁
黒胡椒 適量
塩 適量
片栗粉 大さじ1
卵 ころも用1個、トッピング用2個
パン粉 適量(たっぷりと)
薄切り玉ネギ 40g
麺つゆ(市販のもので可) 100cc
小口ネギ(お好みで) 砂糖大さじ1杯
〈作り方〉
「これはニューヨークのお客様のリクエストを反映してオリジナルに考案したレシピです」と胸を張る沼尻シェフ。洋食の技術を日本が誇るヘルシー食材「豆腐」に応用したところ地元イーストビレッジのベジタリアンの間で評判を呼んでいるという。シェフによると「豆腐はあえて歯ごたえのある木綿ごし(Hard)を使う」とのこと。
①豆腐一丁の片側を切り落として正方形を作り、さらにそれを2分の1の厚さに薄切りしたら、キッチンペーパーで水気をしっかり取る。
②黒胡椒と塩をやや多めに振る。
③片栗粉をまぶし、溶いた卵一個分にからめパン粉をまんべんなくつける。
④摂氏170度の油で4分間あげる。
⑤出汁100ccを小ぶりのフライパンに開け玉ねぎを投入。
⑥上記の豆腐カツを出汁の中に入れて強火にかける。
⑦沸騰したら、中火に下げる。
⑧2個分の溶き卵と砂糖を入れる。
⑨火力は中火のまま。沸いたら蓋をして2分間加熱を続ける。
⑩卵の白身に火が通ったら火を止めて蓋をとる。
食材
鶏むね肉 150g
白だし 15g
おろしニンニク(生) 2g
おろししょうが(生) 2g
片栗粉 適量
洋食屋のチキンから揚げは、J’s Kitchenでも最大の人気メニュー。美味しさの秘密をこっそり教えてもらった。沼尻シェフは「日本ではから揚げ専門店でのキッチン経験が長かったので、ニューヨーカーがから揚げを美味しそうに食べているのを見ると嬉しいですねえ」と目を細める。
〈作り方〉一人前
いたってシンプルである。ただし、計量をグラム単位で正確に行うこと。
①チキンはむね肉を食べやすい大きさに切ったものを140グラム使用。
白だし15グラム、おろしニンニク(生)2グラム、おろししょうが(生)2グラムを混ぜた液と一緒にジップロックに入れて軽く揉み込み3時間置く。
②片栗粉をまぶして4分間揚げる。
軽く噛んだだけで前歯がスーッと吸い込まれるような柔らかい歯ごたえ。しょうがとニンニクのアクセントが控えめなため飽きの来ない味付けになっている。
「開店からまだ5か月ちょっとですが、毎日、目の回るような忙しさです」と言う沼尻シェフ。「ニューヨークの人たちの食に対するこだわりは半端じゃないですね。期待に応えるように頑張るのが楽しくてしょうがない。日本には全国各地にまだ海外では知られていない名メニューがいっぱいあります。今後は、そういう料理をニューヨークにもっと伝えていきたいです」と熱く抱負を語った。
沼尻竜乃介
1994年生まれ(28歳)出身:茨城県
2017年J’s Kitchenの親会社TGAL(テガル)入社。2018〜20年シンガポールにて同社傘下のデリズ・キッチン立ち上げとオペレーションに参画。2020〜21年日本各地で新店舗の開店に携わる。2022年5月よりニューヨークJ’s Kitchen店長シェフ。
J’s Kitchen
ジェイズ・キッチン
261 First Avenue NY, NY10003
Tel: 917-262-0434
各種宅配アプリにも対応。
自由の女神像の王冠部分が11日から、2020年3月のパンデミック開始以降初めて入場できるようになった。
王冠部分までは、まず台座まで215段、さらに162段の螺旋階段を登る。展望台は昨年7月に入場者数を50%に制限して再開した。トーチ(聖火)部分は、1916年にジャージーシティで発生したブラック・トム大爆発事件以降未だに閉鎖されている。自由の女神像があるリバティ島までは、ローワー・マンハッタンのバッテリー・パークまたはジャージーシティのリバティ・ステイト・パークからフェリーを利用する。乗船券の値段は13歳以上は24ドル30セントから、4〜12歳は12ドル30セントで、事前にスタチュー・シティ・クルーズ社のサイトcityexperiences.comまたは電話877・523・9849で予約が必要となっている。
ハロウィンの二週間ほど前に、ゲイルと、五歳になる彼女の甥のイーサンと三人で、パンプキンを買いに行った。そこは郊外の大きなスーパーマーケットで、外には何百個もの大小さまざまなパンプキンや、飾りつけに使う干したコーンなどが無造作に置かれている。リンゴも大きな袋に入って売られており、秋を感じさせる。
まん丸で形がよくて、ヘタの長いのを選んでね。これはどう? 完璧な形よ、とゲイルがイーサンに言う。
だが、イーサンはどれも気に入らない。
No,I hate that. I don’t want that. That’s not what I want.
やだよ、そんなの大きらいだよ。そんなのほしくないよ。ぼくがほしいのは、そんなのじゃないよ、と、言いながら、延々とパンプキンの周りを歩き続ける。彼には彼なりの基準があるのだ。
一時間も費やしただろうか(気の短い私はもちろん、ふらふらほかをのぞいて楽しんでいた)。おじいちゃんとおばあちゃんにひとつ、自分用にふたつと、大きなパンプキンを三つ選んだ。
イーサンと私は待ち切れず、さっそく彼の家でひとつ、目と鼻と口をくり抜くことにした。私は十四年もアメリカに住みながら、jack-o’-lantern (カボチャちょうちん)を作ったことがない。
自然に役割分担ができた。私がパンプキンをくり抜き、中身をほじくり出す。ゲイルはその中から種を拾い、塩をふりかけ、オーブンで焼く。そしてイーサンは、ホウキとチリトリを持ってきて、私たちが汚した床をせっせと掃除している。
Hey, you guys!
もうこれ以上、汚さないでよ、とイーサンが私たちに命令する。
この you guys を子どもが大人に向かって口にするのを聞くたびに、アメリカだなと思う。guys は女の人への呼びかけにも使われるが、もともと、やつとか男という意味で、Hey, you guys! は、やあみんな、ちょっと君たち、といった感じだろうか。
最後に、くり抜いたパンプキンの中に白いロウソクを立て、火を灯した。かなり不気味で、みんな、大満足だ。からっとローストされた種も、塩がきいていておいしい。
ねえ、ダディ。パンプキンを窓のところに置いていい?
リビングルームでテレビを見ている父親に、イーサンはしきりに頼んでいるが、願いは聞き入れられない。
Hey, buddy! ハロウィーンは一週間先だから、まだ早いよ、と父親は言う。
イーサンがHey, guys! なら、父親は Hey, buddy! だ。
buddy は相棒のような意味で、Hey, buddy! も おい、という呼びかけだ。
だって、外から見た人がびっくりしておもしろいよ、とイーサンは説得に必死だ。
そうだ、そうだ、と私も密かに応援するが、それでも許可は下りず、不気味なパンプキンは人目に触れないキッチンに、ひっそり置かれたままだ。
長く窓辺に置けば、それだけ長く楽しめるのに。ああ、もったいない。大人の考えることはまったくわからない。
Hey, you guys.
イーサンにこう声をかけられて、抵抗を感じるまでもないようだ。どうやら、私の精神年齢はイーサンと同じらしい。
このエッセイは、文春文庫「ニューヨークの魔法」シリーズ第1弾『ニューヨークのとけない魔法』に収録されています。
今年の本屋大賞と紀伊國屋書店「キノベス2022」でも1位を獲得した傑作戦争小説である。昨年8月の第11回アガサ・クリスティー賞では選考委員全員が5点満点をつけて大賞を獲得、デビュー作にもかかわらず第166回直木賞候補となったことでも話題となった。第二次世界大戦中の独ソ戦でのソ連赤軍の女性狙撃兵を主人公にした話で、今年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻と重なることもあり、昨年11月の発売以来、半年で47万部を超えた人気小説だ。
主人公はモスクワ近郊の村に住む18歳の少女セラフィマ。村に迷い込んだドイツ兵によって村人たちは惨殺され、セラフィマの母親もドイツ人狙撃兵イェーガーによって殺される。偶然だろうが漫画の「進撃の巨人」や「鬼滅の刃」の出だしのような展開だ。セラフィマも殺されるそうになるが、女性上級曹長イリーナ率いるソ連赤軍が到着し助かる。しかしイリーナは母親の遺体もろとも村をすべて焼き払ってしまう。セラフィマはイェーガーとイリーナ両方に憎悪を燃やすが、イリーナに「戦いたいか、死にたいか」と問われ、イリーナが教官を務める訓練学校で狙撃兵になることを決意する。同じく戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとの訓練を経てスターリングラード攻防戦に、そして運命のケーニヒスベルクの戦いへと突き進む。
双方で3000万人もの死者が出たといわれる独ソ戦だが、ソ連には女性が従軍しており、実際に女性狙撃兵がいた。小説では虚実織り交ぜており、309人射殺という成績で史上最高の女性狙撃手といわれるリュミドラ・パヴリチェンコも出てくる。訓練学校での厳しい訓練の様子などはもちろん、出自や性別による差別や軍組織の理不尽さなどが描かれる一方、銃や狙撃方法、作戦なども詳述されリアリティーがある。女性狙撃兵らの人物造形も素晴らしく、人間関係の組み立ても秀逸、すんなりストーリーに溶け込める。500ページ近い大作だが、展開も早いので飽きない。そしてなにより過酷な戦場、とくに市街戦の描写には驚くばかりだ。
作者の逢坂さんは、ベラルーシの作家・ジャーナリストのスベトラーナ・アレクシェービッチさんの『戦争は女の顔をしていない』(2015年ノーベル文学賞受賞)で500人以上の元女性兵士たちの証言を読み、女性から見た戦争を小説として描くという考えが固まったという。何のために戦うのかを女性兵士からの視点というジェンダー的テーマにして、戦争の残酷さ、理不尽さ、無意味さを表したかったそうだ。したがって戦場における性暴力も避けることなく描いている。
本屋大賞の受賞の際、「あまりにタイムリーになりすぎたことが本当につらい」と語っていた逢坂さん。確かにニュースで流れるロシア軍の攻撃を受けたウクライナの街の様子は小説のなかの市街戦とだぶって見えてくる。状況は違うが同じエリアが舞台であり、ウクライナ出身の女性狙撃兵も出てくる。家族が殺され「戦うこと」を選んだセラフィマが、最後に知った「真の敵」とは何だったのか。「誤読」することなく、読み取りたい。(武末幸繁)
ニューヨークを拠点に活躍する人形劇アーティスト・菊池麻衣子と同スペンサー・ロットによる現代人形劇『9000のペーパー・バルーンズ』が28日(金)から30日(日)までの3日間、ジャパン・ソサエティー(JS:東47丁目333番地)で上演される。
第2次世界大戦終盤、日本軍は和紙で作った気球に爆弾を吊り下げ「風船爆弾」を大量に製造。ジェット気流に乗せて放つことでアメリカ本土への攻撃を試みた。『9000のペーパーバルーンズ』はこの歴史を軸に、日本とアメリカそれぞれの視点から「距離」をテーマとした物語—2人の友人、2つの敵国、2つの文化、2つの世代間の距離を展開する。太平洋を渡り、オレゴン州の小さな町の森の中に着地した風船爆弾の爆発が生んだ悲劇の実話をベースに複雑な過去と向き合いながらも、将来への前向きな姿勢を独自の視点から伝える、子供にも優しく訴える現代人形劇。
28日 (金) 終演後に「MetLife Meet-the-Artists レセプション」、29日(土)終演後の「アーティストQ&A」には、菊池とロットが参加する。
入場料は一般30ドル、JS会員24ドル。公演の詳細はウェブサイトwww.JapanSociety.orgを参照。
「スリー・キングス」「アメリカン・ハッスル」の脚本・監督デヴィッド・O・ラッセルがまたもウィットに富んだコメディを仕掛ける。脚本は「実話とフィクションを巧みに混ぜ合わせ」とあるが、どうもほぼフィクションの香りがプンプン。
永遠の友情を誓いあった3人の男女が巻き込まれる殺人事件と全米を揺り動かす陰謀の裏舞台。危険に満ちた事件捜査を背景にどこかドタバタ風ではあるが心温まる友情がふつふつと浮かび上がるプロットだ。クリスチャン・ベール、マーゴ・ロビー、ジョン・デビッド・ワシントンを初めロバート・デ・ニーロ、ラミ・メレク、テイラー・スイフトら豪華キャスティングにも注目が集まる。
第1次大戦中に同じ軍隊で戦ったバート(ベール)とハロルド(ワシントン)はアムステルダムの病院で看護婦のバレリーと出会い3人は意気投合。アーティストのバレリーは負傷兵から取り出した数百個の銃弾の破片で作品を作り出すなど創造力逞しい鋭さを蓄えていた。つらい時期を乗り越え、前向きに人生を切り開こうとする3人は固い友情で結ばれ、新たな経験を積み楽しい思い出もたくさん作った。その後バートとハロルドはニューヨークに戻り、それぞれ医者、弁護士として活動するも、バレリー(ロビー)とは音信不通に。
ある日、戦時中に所属していた部隊指揮官の娘リズ(スウィフト)が父親の死に疑問を持ちバートとハロルドに相談に来るが、死因を調べているうちにリズが殺され、なんと、現場に居合わせたバートとハロルドに容疑がかかる。2人は真相究明に奔走し、その過程で十数年ぶりにバレリーと再会。3人は知らず知らずのうちに米政権の中枢を手に入れようとするファシズムの渦に巻き込まれていく。
ストーリーの山場はデ・ニーロ扮するギル・ディレンベック将軍が会場を埋めつくした退役軍人らに語り掛けるスピーチ場面だが親友3人の新たな門出が本編の根幹だ。主役、脇役いずれも非の打ちどころない演技で物語の展開がぐっと濃くなる。2時間14分。R。(明)
(写真)(左から)バート、バレリー、ハロルドは十数年ぶりに再会する Photo:20th Century Studios
■上映館■
AMC Empire 25
234 West 42nd St.
AMC Loews 19th Street East 6
890 Broadway
AMC Lincoln Square13
1998 Broadway
【編集後記】 みなさん、こんにちは。コロンブスデー(当地ではコロンバスデーと日本人でも発音)が終わると、ハロウィンがきて、冬時間になって、感謝祭。そうなるともう年末まで駆け足。この時期は、新聞社はどこも来年の新年号に向けて動き出します。テーマは何で行こうかとあれこれ独自の視点の特集などを組みます。去年まではコロナ禍との闘いと生きることの大切さなどなどが紙面を賑わせました。去年の今頃は、まだ、ウクライナへのロシアの軍事侵攻など想像もできなかったです。そして、今、首都キーウをはじめウクライナ全土に同時にミサイル攻撃の日々です。これを戦争と呼ばずしてなんと言うのでしょうか。報復の報復がエスカレートすればどちらかが降伏するまでの闘いになってしまいます。戦争を終わらせるための国連が、当事者のロシアと今やおよび腰ながらもそれに加担する中国の拒否権によって平和への道のりが見えないどころか、武器を送りこみ、防空システムのサポートとエスカレートさせる方向です。ふと、思いました。アメリカ国内、ニューヨークのブルックリンには、ロシア人コミュニティがあります。アメリカ生まれのロシア系の若者や一世、二世がいます。本国のロシアにはきっと、おじいちゃんやおばあちゃんがいることでしょう。アメリカのテレビやネットで欧米の情報に接している在米ロシアコミュニティーはどんな思いでいるのか。二つの祖国の狭間で葛藤する人々がいるのではないか。それは、第二次世界大戦中に敵性外国人として強制収容所に入れられた日系米国人の親子の断絶、意思の行き違いに悩む姿とどこかだぶるのです。サマセット・モームが『世界の十大小説』で「あらゆる小説の中でもっとも偉大な作品」と評したトルストイの名作「戦争と平和」を生んだロシアの今はあまりに遠い存在です。在米ロシア移民たちの現代の「戦争と平和」を、ブルックリンのロシアンコミュニティーの肉屋のおじさん、洗濯屋のおばさんに聞きに行こうと思います。それを新年号でやろうかなと思ってます。同業他社の人でこの編集後記を読んで、お、いいね!と思った人、どんどん書いてください。私も読んでみたいです。まだ、そんな記事を目にしたことはないですから。自分がどんな記事を書くことになるのか、取材の現場に行くまで自分でも分からないところがこの商売の面白いところでしょうか。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)
(1)銃所持禁止地区にまった NY州連邦地裁が違憲判断
(2)NYでサクラコレクション 尾州再生ウールでコンテスト
(3)JAPAN STORE 対面式でPR促進
(4)鬼そば藤谷が優勝 NYラーメングランプリ
(5)岩手日報が号外配布 エンゼルス大谷を故郷が応援
(6)カジュアルスーツ イケメン男子
(7)おかえりなさい JET帰国者歓迎レセプション
(8)NYの治安さらに悪化 観光客斬りつけられる
(9)仙石紀子さん葬儀 舞台芸術で日米結ぶ
(10 )すっぴん美人の時代 小林照子さんオンライン講演
ニューヨーク州の連邦地方裁判所は7日、今年9月1日にNY州で執行した、銃所持の規制厳格化を図る「隠蔽携帯改善法」は米国憲法に反している部分があるとして、一時的に差し止める判決を下した。
同法では、タイムズスクエアをはじめとするNY市内の「センシティブ・ロケーション(慎重を期する区域)」での銃の所有を禁じる「ガン・フリー・ゾーン」を制定し、銃携帯許可証の申請者の身元確認の強化、安全訓練と実弾射撃訓練の義務付け、面接、過去3年間以上のソーシャル・メディア利用履歴の提出、半自動火器の購入年齢を21歳以上とする、なども含まれている。同法に対し、米銃所有者協会のニューヨーク在住の6人のメンバーは「明らかに憲法違反であり、法律を順守するニューヨーカーの権利を制限する」とし、同法の抑止を求めていた。
シラキュースの連邦地方裁判所のグレン・サダビー判事は「自衛目的とした銃携帯の許可証の発行を意図的に拒むというのは、憲法上の権利に反する」ため、警察は違反者を取り締まることはできないと裁定した。サダビー判事は銃携帯の新たな条件の差し止めも命じ、学校や政府施設、礼拝所などの銃携帯規制は継続を認める一方、同州は「センシティブ・ロケーション」の規制はできないとした。同法の一時的な差止命令を受けたキャシー・ホウクル同州知事はツイッターで「ニューヨーカーを守り、銃の暴力を阻止しようとする努力を制限しようとする判事に対し、深く残念に思う」と不快感を表した。同時にレティシア・ジェームズ同州判事は、サダビー判事の裁定を上訴する旨を伝えている。