麻衣さん見事優勝

第34回国際ミス・ミセスコンテストで

 第34回ミス・ミセス・アジアUSA国際ビューティー・ページェント(Virgelia Productions Inc.主催 )が去る11月19日、カリフォルニア州ロサンゼルス市南郊レドンドビーチパフォーミング・アーツセンターで開催され、日本代表の女優でスポーツリポーターのカーロン麻衣さん、ニューヨーク市在住、39歳)が優勝した。

 世界21か国から52人の代表が2000人の観客の前で美しさ、自国の文化の美しさを競い合った。審査員はハリウッド関係者やセレブリティーなどが務め、2021年ミスユニバース日本代表の渡邊珠理さんも審査員の1人として出席。

 審査内容はナショナルコスチューム審査、水着審査、イブニングガウン審査、その他各国代表全員でダンスパフォーマンスを披露した。麻衣さんは「皆様が応援してくださったから頑張れましたし、心の底から楽しめたと思います。皆様の愛をしびれるほど感じました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と喜びを語った。

 麻衣さんは神戸市出身、2008年に来米。本紙週刊NY生活TVの「まいマイNY」コーナーのキャスターを務めたこともある。

(写真)Virgelia Productions Inc.official

SOHOを颯爽と歩く女性

 ソーホーを颯爽と歩く女性。週末にマンハッタンやブルックリンの美術館巡りを楽しむのが趣味だという。パンデミックもあり家ではFor Better Daysブランドのようなアメリカンカジュアルでゆったり目のTシャツやジーンズでくつろぐ習慣が根付いた。今日は、古着屋で購入したノンブランドのドレスに、お気に入りのOld Navyジャケットに身を包む。バックパックは機動性重視のパタゴニア、シューズはエバーレーン。Old Navyは定番ブランドで主張もしないデザインがコーデし易くお好み。東海岸と西海岸を頻繁に行き来する彼女にとって、低予算で着こなすには好都合。その他は環境保護を意識したファッションを心がけているという。新品を購入するより古着は環境に良いし、またパタゴニアもサステナビリティでは先駆的な存在として知られている。では、エバーレーンはご存じだろうか?カリフォルニア州・サンフランシスコに本社を構えるアパレルブランドで、エシカル・サステナブルをテーマにしたオンライン販売メインのブランドである。サプライヤー名など生産者の情報をオープンにするだけでなく、商品の原価・利益構造まで細かく消費者に開示するという徹底した透明性の追求により、意識の高い消費者から支持を集めるブランドだ。意識の高いニューヨーカーには大人気のエバーレーン。目立ったロゴも無いので一目では判別しづらいが、身に着けているニューヨーカーと遭遇したらエシカル・サステナブル関連の話題で盛り上がろう。

(Wear 2Nextチーム/アパレル業界関係者によるファッション研究チーム)

ジャパンパレード2023、アートコンテスト作品募集

2022年度の最優秀作品

 2023年5月13日(土)に開催される第2回「ジャパンパレード」と「ジャパンストリートフェア」に向けた「アートコンテスト」が開始した。イベントのポスターや公式プログラム、チャリティバッグなどのメインビジュアルとなるアート作品を一般公募するもので、今回で11回目となるジャパンデー主催のイベント恒例のコンテスト。

 対象は「日本」「ニューヨーク」「パレード」の3つのテーマ全てを取り入れた未発表の2D作品で、最優秀賞1名の作品はイベントのメインビジュアルとして使用されるほか、副賞としてANAより日本行きペア往復航空券(エコノミークラス)が贈呈される。優秀賞1名には、コネチカット州の和風ベッド&ブレックファストO gawa shouの無料宿泊券が贈られる。また佳作も数点選出し、佳作を含む全受賞・入賞者には、シチズン・ウォッチ・アメリカのブランド時計が贈呈される。締め切りは来年1月20日(金)。詳細はジャパンデーのウェブサイトhttps://japandaynyc.org/art-contest-submit/を参照する。また、パレードやストリートフェアへの支援、問い合わせはEメールparade@gorgeousentertainment.comまで。

(写真上:©Masaki Hori )

喜多流の能NY公演喜多流の能

ジャパン・ソサエティーで

「時代と共に変化も」
人間国宝 友枝昭世

 ジャパン・ソサエティーは(JS)、12月1日から3日まで、2016年の公演でも好評を博した喜多流の能楽師たちが、日本でも上演されることが稀な楊貴妃の健康回復を語る『皇帝』と、長寿を寿ぐ『枕慈童』の2作品を披露した。パンデミックという世界的危機からの早期復活を祈念する公演となった。

 3日間とも250席が満席となる盛況で、通算750人が、ユネスコの無形文化遺産に指定されている能五流の中でもっとも武士気質が強く力強さが感じられる喜多流の芸の真髄を堪能した。

  3日夜に上演された『皇帝』は、玄宗皇帝が大病の楊貴妃の容態を案じているところに鍾馗の神霊が現れ、病鬼を追い払い、妃の病を治すという物語。日本でも滅多に舞台上演されることのないレアな作品だがJSの塩谷陽子芸術監督のリクエストで実現した。

 友枝昭世(あきよ)氏は1940年生まれ、東京都出身。シテ方喜多流・友枝喜久夫の長男。重要無形文化財(人間国宝)に認定。今回の公演では、1日と3日の公演では第一幕「頼政」、2日の公演では第一幕「忠度(ただのり)」でソロを演じた。 

 友枝雄人氏は昭世氏の甥で、3歳から子役として舞台に立ち活躍している。JSで、前回2016年に公演した際も来米している。本公演では、1日と3日は地謡で出演、2日の公演では第二幕の「枕慈童」でシテ(枕慈童)を務めたほか、一般向けの能ワークショップなどでも指導した。

 昭世氏は「昨日、今日の観客の反応は我々から見ると、とても満足のいくものだった。1964年にフルブライト招聘講師プログラムに参加して、ニューヨーク高等学校演劇研究所の招きで来米した当時を思い出した。あの時は、舞台に立つまでセリフが日本語のままだと理解してきたが、契約では全て英語だと聞いてびっくりした覚えがある。通訳をつけてその場で英語で全部やったのを思い出す。その一説は今でも覚えていますね。時代とともに社会が変わるのと同じように、700年続いてきた能もまた真っ直ぐの一本ではなく、時代に即して動いている。新作も多くなったし、女性が登場するようになったし、相当変化していると思いますね」と話す。

「人間関係に潤いを」

友枝雄人の目指す能

 雄人氏は「昭和が終わってからのいろんな時代の流れはかなり変化しており、スマホが登場したりして情報の速さと量の多さがどんどん人間の心に入りこんできて何か、人と人との間がちょっとドライになりすぎている感じが常々している。舞台活動が社会に貢献できるかなどは考えたことがないが、これからの時代は、能というのがどの時代の人の心にも訴えてきたものなので、人間と人間の関係に潤いを与える元の本来の姿に戻せるようにできたらいいなとちょっと思っている。コロナの間、国の助成を受けるために、動画配信をどんどんせよと一気に言われてきたが、我々能楽士たちはそういう映像に特化したことをやってきていなかったので、お茶を濁したような動画がいっぱい流れてしまっていて、効果が出ていない。これからは時代に即した、映像としての美とこういう3日間満席になるようなライブとしての対面の両立を模索していかなくてはならないと思う」と語った。

 能を演じる上で一番大切なことは「やはりこちらの気がお客さんにどれだけ伝わるか、気ですね」と昭世氏。雄人氏は「僕は叔父からその気を学んでますが、稽古を怠らないこと。具合の悪い稽古を重ねても無駄だと言われているので、いかにクオリティの高い稽古を常に考えながらするかということですね」と語った。(聞き手・三浦良一記者、インタビュー写真も)

(写真上:© Ayumi Sakamoto)

プロで活躍、くるみ割り人形の主役に抜擢

バレエダンサー

髙山 まりさん

 3歳からバレエを習い始めた髙山さん。米国、ロシア、英国などへ数多くのバレエ短期留学をしてきた経験がある。昨年春、洗足学園音楽大学バレエコースを卒業後、米国でプロのバレリーナになるために同年春にバレエ留学で来米した。今年5月までニュージャージー州にあるアメリカン・レパートリー・バレエ団の研修生だった。プロになるために数多くのオーディションを受け、いくつかのバレエ団からのオファーの中からニューヨーク州のロングアイランドにあるエグレヴスキー・バレエ団に入団を決めた。プロ一年目でカンパニー唯一の日本人バレエダンサーとして期待されている。 

 小さい頃はプロのバレリーナになることを夢見ていたが、身長が小さいことやプロになる厳しさを感じ、小学4年生の頃までの夢であったプロになることを諦め、バレエの先生をいつしか目指していた。しかし、同年代の子達の活躍する姿を見て、羨ましいと思うのと同時に悔しい気持ちもあった。そんな中、3年前の大学3年生の時に左足の靭帯をきる怪我をしたのがきっかけでニューヨークに短期バレエ留学をした。その際、同じレッスンを受けている生徒仲間から「あなたは素敵なバレエダンサーになれるよ」と言ってもらえたことが、人生の転期を決定的なものにした。「私でもプロを目指してもいいんだ」と思うことができ、諦めていたプロのバレリーナになることをもう一度目指すきっかけとなった一言だった。二十歳をすぎてプロを目指すには少し遅いスタートとなったが、その後日本で開催されたオーディションに参加し、約100人近くの参加者の中から合格者4人中の1人に選ばれたりと、オーディションや留学を経て少しずつ自信をつけていった。そしてアメリカン・レパートリー・バレエ団の研修生の時に、くるみ割り人形で主人公のクララ役やメインキャラクターの花のワルツのソリストDew Dropを踊ることになり、少しずつ力をつけていった。

 遠いところのオーディション会場へ行くのに乗るバスを間違えてとんでもないところに行ってしまったり毎日が失敗の連続だったがそれでも諦めずに頑張った。今年12月に行われるバレエ作品、 米国では師走の定番、「くるみ割り人形」で主役の金平糖の精やメインキャラクターの花のワルツのソリストDew Dropに抜擢されている。

 幼少の頃から自分の夢を追うことを応援し続けてくれた母親には最大の感謝の気持ちを持っているが、目下自分の中での目標は、自立できた時には、自分がバレリーナとしての道に進むことをまだ認めてくれていない父親に、晴れの姿を見せて認めてもらえることだという。小柄な体に秘めた可能性というパワーで、いつか実現するだろう。

 (三浦良一記者、写真も)

      ◇

「くるみ割り人形」に出演=17日(土)午後1時と6時、18日(日)午後2時には、ロングアイランドのタイルス・センター・コンサートホール(Tilles Center Concert Hall, 720 Northern Blvd, Brookville)鑑賞チケットは一般60ドルから。詳細はwww.ticketmaster.com

新年号企画で大高翔さん講義

新俳句グランプリ審査員

ZOOM方式で12月17日開催

 本紙週刊NY生活は、北米伊藤園新俳句グランプリの審査員の俳人、大高翔さんによるオンライン新俳句入門講座インUSA「俳句の基本」を12月17日(土)午後3時30分から午後4時まで(米東部時間)、ZOOM方式で開催する。講演は日本語で行うが、希望者には英語のテキストを講義終了後に配布する。今年8月から生活拠点を東京から西海岸のロサンゼルスに移した大高さんが、俳句について知っておきたい基本知識などを解説する。今年の新俳句グランプリ受賞者が発表される本紙新春特別号で、講演内容も紹介する。参加無料。聴講希望者は、12月14日(水)午後3時(東部時間、西海岸時間は正午)までに応募すること。参加登録者にZOOMのリンクを開催までに送信する。参加希望者はEメール miura@nyseikatsu.com まで件名「俳句講義参加希望」と明記し応募を。

NY育英学園が快挙

第43回海外子女文芸作品コンクール

学校賞20校枠の5校独占

 公益財団法人海外子女教育振興財団の第43回海外子女文芸作品コンクールで、世界にある日本人学校、補習授業校の中で優秀な成績をあげた20校だけに与えられる「学校賞」をニューヨーク育英学園(ニュージャージー州イングルウッドクリフス、岡本徹学園長)の5校が受賞するという前例のない快挙を挙げた。同学園は創立43周年を迎え、学園全体で800人以上が学んでいる。独自のバイリンガル教育法『クロスメソッド』による充実した英語教育も行っており、小学部6年生には英検1級合格者も輩出している。同学園では、11日(日)にサンデースクール、19日(木)に全日制小学部、1月10日(火)〜12日(木)に全日制幼児部のオープンスクールを開催する。同学園では今月1、2日にも学園見学ツアー、4日に学園説明会を実施している。詳細は、電話201・947・4832、ホームページhttp://www.japaneseschool.org/

「僕にとってのメトロカードは無差別の象徴なんだ!」

林世宝のゴールデンエイジ展

 1995年からニューヨークを拠点に活動する台湾出身のアーティスト林世宝がメトロカードで作った十二支と新作絵画を展示する「ゴールデンエイジ」と題する個展をフラッシング・タウンホール(ノーザンブルバード137丁目35番地)で13日から22日まで開催する。

  林は「私にとってメトロカードは生活必需品。ニューヨークに来て30数年、アトリエの往復やミーティングなどニューヨーク中を移動するのに毎日使います。誰でも自由に希望の場所に運んでくれるこのカードは、夢を追う人や労働者の味方、無差別の象徴。12体の作品のために集めたカードは3万枚。アジア共通の古文化である十二支の動物たちが、ニューヨークの今を象徴する色鮮やかなメトロカードのジャケットを羽織っているイメージで作りあげた」と話す。

  新作の絵画20点はゴールデンエイジシリーズ。林の人生で出会った感動の美しい瞬間が絵画に盛り込まれている。名古屋大学留学時代に初めて行った花見で見た満開の桜など「常に美しいものを追求していきたい、アート人生はずっとゴールデンエイジでありたいと思っています」。入場無料。オープニングレセプション17日(土)午後1時から4時。

編集後記 2022年12月3日号

【編集後記】

 みなさん、こんにちは。ニューヨーク州は11月21日、日本では所持や譲渡が犯罪として厳しく処罰される大麻が、条件付きで36件の成人用大麻専門薬局に販売許可を承認しました=今週号1面で記事=。今回承認を受けた36件のうち、28人は大麻関連の逮捕歴がある個人で、8件は非営利団体。NY州の大麻関連の法律は不平等是正や貧困・犯罪対策としての位置付けがあり、得られる税収は貧困対策などに重点的に回されることになっているそうです。しかし、合法化以前に法律を犯して逮捕された者に優先的に大麻の販売の権利を与えるというよく理解できないような法律の交通整理に首を傾げます。それもこれも莫大な税金収入があることが背景にあるものとみられます。マリファナ・ビジネス・ファクトブックは米国での大麻の年間小売売上高は今年330億ドル(約4.5兆円)を超え、26年には520億ドル(約7.2兆円)を超えると予測。雇用数は現在の約52万人から26年には80万人を超える見込みで、経済効果は2022年でおよそ1000億ドル(約14兆円)、26年には1580億ドル(約22兆円)ほどになる可能性があるとしています。国民の健康を「アヘン戦争」の犠牲者のような危険にさらす一方で、巨額の富を手にするのは一体誰なのでしょう。「得られる税収は貧困対策などに重点的に回されること」はうまくいくのか心配です。ニューヨーク日本総領事館では、大麻について在留邦人に「絶対に手を出さないよう」領事メールやホームページ(HP)で注意を呼びかけています。「日本の大麻取締法では、国外における栽培、所持、譲受、譲渡したりした場合などに罰する規定があり、『罪に問われる場合がある』ので、在留邦人に対しては日本の法律を遵守し、大麻が合法化されている州にあっても、絶対に手を出さないように」と呼びかけてます。気になるのは、では海外の在留邦人が、具体的にどのような場合に罪に問われるのか。警告の仕方が曖昧ではっきりしないのは「取り締まりの手の内を明かすことになる」のでそこはどうやら非公開でわざとぼかしているようです。想像するに、治外法権により、大麻所持などが合法化されている海外の土地で日本の法律が適用されて逮捕されることはないが、帰国した時に、もし仮に入国審査官に別室に呼ばれるようなことがあり「ニューヨークで大麻を吸ったり、買ったり、所持したり譲渡したことはありますか」と聞かれた時に「はいあります」と答えると「海外においても日本の法律を破ったこと」になり日本国内入国後、即逮捕になるものと思われます。アメリカは、小学校低学年から「NO DRUG」教育を徹底しているのになんだか今回の大麻合法化には矛盾を感じますね。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2022年12月3日号)

(1)嗜好用大麻販売を許可

(2)歳末商戦シーズン到来

(3)森田芳光監督を特集 リンカーンセンター

(4)地下鉄ビンテージ車両 ホリデー走行カラフルに

(5)海外日本人サポート

(6)NY地下鉄ガード設置へ

(7)東京藝術大学卒業生ら美術展

(8)ハンギングバスケット グリニッチの街彩る

(9)手縫いのマイサイズ浴衣 平山留美さんが指導

(10)サッカーワールドカップ 日本人の掃除NYタイムズが詳報

嗜好用大麻販売を許可

逮捕歴ある者に営業免許優先、NY州

 ニューヨーク州大麻管理委員会は11月21日、36件の条件付き成人用大麻専門薬局の販売許可を承認したことを発表した。 

 同州大麻管理事務所は、900通以上の同認可申請を受け、今年中に合計150件の大麻販売ライセンスを発行する。同州初の大麻販売店は今年末に開店するという。今回承認を受けた36件のうち、28人は大麻関連の逮捕歴がある個人で、8件は非営利団体となっている。22日付のNYデイリーニュース紙の記事は、前科ある個人が承認の優先対象になったことについて「同委員会は、あまりにも厳しいと批判されていた制度を修正する意向を示した」と伝えている。 

 同州は2021年3月、嗜好用大麻の使用を合法化したが、販売許可は今回が初めてとなった。販売者の認可過程については未だ話し合いが続けられている。販売ライセンスの発行は同州全域で許可されたわけではない。連邦判事は先月初頭、同州の複数の行政地区に対して、同ライセンス発行の一時的な指し止め命令を発効した。

 承認された地区では最低1件の同ライセンスが承認されているが、ブルックリンやウエストチェスター郡を含む郡や区は発行許可が下りていない。

無許可店と競争

大麻の路上取引堂々と

 ニューヨーク州で嗜好用大麻が昨年2月に非犯罪化されて以来、NY市では街の至るところでトラックも含め大麻が許可なく販売されている。NY州は21日に大麻販売許可証を36件交付し(=本誌1面参照=)、合法の販売店がもうすぐオープンすると見られるが、すでに足場を築いている無許可店との競争が強いられそうだ。

 他州では大麻事業に大規模な企業を参入させたりしているが、NY州が許可証を与えているのは出所者への教育や訓練を提供しているドゥー・ファンドやリサイクル事業でホームレスやエイズ患者を支援しているハウジング・ワークス・カンビナスなどの非営利団体、あるいは大麻逮捕歴のある人やその家族による小規模事業者となっている。

 大麻販売は酒・ビール販売業と同じように許可制で小規模事業者が担うよう設計されている。大麻の配達とラウンジ運営も許可制で今後、交付されていく予定だ。大麻栽培には大手企業が認可されているが、医療用大麻だけであり栽培面積も10万平方フィートまでと規制されている。NY州の大麻関連の法律は不平等是正や貧困・犯罪対策としての位置付けがあり、得られる税収は貧困対策などに重点的に回されることになっている。

 販売される大麻は州内で栽培されたものでなくてはならないが、無許可店で売られている大麻の多くはカルフォルニア州やコロラド州産だ。また学校や保育施設の近くに店を構えてはいけないが、そうした場所にある店もある。

 州はこうした無許可販売を一掃し、完全に規制され、課税された大麻市場を目指しているものの、無許可店を取り締まることには消極的で、許可店は競争を強いられると見られている。

 米国の多くの州で医療用大麻が認められており、嗜好用も18州とワシントンDCで認められている。NY州に隣接するニュージャージー州は昨年2月に合法化し、今年4月からディスペンサリーと呼ばれる販売薬局で売られている。コネチカット州も昨年6月に合法化した。最初の販売店は来年春、ウエストハートフォードにオープンする。

  マリファナ・ビジネス・ファクトブックは米国での大麻の年間小売売上高は今年330億ドル(約4・5兆円)を超え、26年には520億ドル(約7・2兆円)を超えると予測。雇用数は現在の約52万人から26年には80万人を超える見込みで、経済効果は2022年でおよそ1000億ドル(約14兆円)、26年には1580億ドル(約22兆円)ほどになる可能性があるとしている。

 州の規制当局と一部の業界関係者は合法的な販売店を弱体化させてしまうとして無許可店の閉鎖を求めている。アダムス市長の広報官は、市当局は何百もの事業検査をしており、違法製品の没収、罰金刑や逮捕もしていると述べている。しかし閉鎖などの厳しい措置を取っていない。閉鎖すると失業者が出てしまうためで、取り締まる代わりに合法化するよう努めるべきだという声は強い。カリーナ・リベラ市議会議員(民主党、2区)は「不安定な状態だ。社会正義を全面的に重視しているのに、違法販売しているとして黒人やヒスパニックの小事業者を逮捕するつもりなのか、複雑だ」と述べている。

「日本では犯罪」

NY日本総領事館が警告

 ニューヨーク日本総領事館では、大麻について在留邦人に「絶対に手を出さないよう」領事メールやホームページ(HP)で注意を呼びかけている。それによると、日本国内では大麻の所持や譲受、譲渡などを大麻取締法によって厳しく規制している。厚生労働省HPによれば、近年の薬物事犯の検挙者数は、覚醒剤及び大麻が大半を占め、大麻取締法による検挙者数は年々増えている。大麻には中毒性・依存性があり、常習化することもままある。

 日本の大麻取締法では、国外における栽培、所持、譲受、譲渡したりした場合などに罰する規定があり、罪に問われる場合があるので、在留邦人に対しては日本の法律を遵守し、大麻が合法化されている州にあっても、絶対に手を出さないよう、領事メール、HPで注意を呼び掛けている。各州において大麻使用に関して異なる規則(娯楽用・医療用とも違法とする州がある)があることも理解する必要があるとしている。

 大麻による影響について専門家からは、長期的な使用によって、呼吸器系、循環器系、中枢神経系、消化器系などといった体のメカニズムに大きな悪影響を及ぼす可能性、心臓発作と脳卒中のリスクが高い人にはそのリスクが高まる可能性などが指摘されています。

 また、若者の脳機能の発達に影響を与えるといった意見や精神衛生に悪影響を与えるといった意見の他、依存症やうつ病・統合失調症になるリスク、さらには大麻を入口としてハードドラックに手を出してしまうリスクなどが指摘されるなど、安易に手を出すのは極めて危険であると認識しています。

「ハードドラッグへの入り口」

NY日本総領事館が注意喚起

 ニューヨーク日本総領事館では大麻による影響について「専門家からは、長期的な使用によって、呼吸器系、循環器系、中枢神経系、消化器系などといった体のメカニズムに大きな悪影響を及ぼす可能性、心臓発作と脳卒中のリスクが高い人にはそのリスクが高まる可能性などが指摘されています。また、若者の脳機能の発達に影響を与えるといった意見や精神衛生に悪影響を与えるといった意見のほか、依存症やうつ病・統合失調症になるリスク、さらには大麻を入口としてハードドラックに手を出してしまうリスクなどが指摘されるなど、安易に手を出すのは極めて危険であると認識しています」と注意喚起。

 厚生労働省のホームページには、大麻乱用者による告白として数例を紹介している。大麻は「害がない」「依存性もない」といった誤った情報がインターネット上などで流されているが、「大麻は、実際にはあなたの脳を壊します。あなたの人生や周り人の人生を守るためにも、1回でも絶対に使用しないでください」と警告している。


大麻で狂った私の人生
米国の合法販売に警鐘

 米国のニューヨーク州などで嗜好用大麻の販売認可が業者におり、本格的に州内での販売が始まる。(関連記事1、4面)。日本の厚生労働省のホームページには、大麻乱用者による告白として数例を紹介している。大麻は「害がない」「依存性もない」といった誤った情報がインターネット上などで流されているが、「大麻は、実際にはあなたの脳を壊します。あなたの人生や周り人の人生を守るためにも、1回でも絶対に使用しないで」と警告している。一例を紹介する。

 手記  大麻によって、狂わされた人生(抜粋)大麻乱用者の告白(30代・男性)

 私は、ミュージシャンの先輩から「キノコを超えるもっと良いものがある」といって大麻を勧められました。大麻を吸ってみると、曲を聴いた時の感覚がより細かく繊細に感じたり、自分の作った曲が完璧な物に思えたりして、その効果に満足しました。

 私は音楽で飯を食っていくようになりたかったので、大麻を吸いながら自分の満足いく曲作りをしたいと思うようになり、先輩や知人から、継続的に大麻を買って、曲作りやイベントのたびに使用していました。

 そして地元で私の認知度が上がってきた矢先、大麻所持で逮捕され、築き上げてきた地位などすべてを失いました。このときは執行猶予判決で、これを機に、大麻と縁を切り、就職してまじめに生活するようになりました。

 その後、結婚し、子供も生まれ幸せな生活を送っていましたが、その間も頭のどこかでは大麻を使った時の感覚をまた味わいたいと考えている自分がいて、その気持ちを見て見ぬふりをしていましたが、数年後、偶然、大麻を一緒に吸っていた友達と再会し、大麻を勧められたことから、「一回だけなら大丈夫」という安易な気持ちから吸ってしまいました。

 その結果、久しぶりに吸ったという充実感や大麻の効果を味わえた満足感が得られ、それをきっかけに、歯止めがきかなくなり、妻子に隠れて再び大麻を吸うようになっていきました。

 大麻は、はじめの内は自分の小遣いから買っていましたが、それだけでは足りず、妻に内緒でキャッシングや消費者金融から借金をして買うようになり、最終的にはそれが妻にばれ、離婚する事になりました。

 私は、この離婚により子供と離れて暮らすことをつらいと思いましたが、それよりも、自宅で堂々と大麻を吸えるようになった事をうれしく思いました。今思えば、この感覚がすでに間違っていると思いますが、当時はこのように感じたのです。

 その後、自分勝手に大麻を吸っていましたが、一人でいる事を寂しく感じることが多くなってきたこともあり、当時付き合っていた彼女と結婚する方向に話が進み始めました。そして、そろそろ大麻を止めて、再びまじめに生きていこうと漠然と考え始めていた時に、再び大麻所持で麻薬取締官に逮捕されました。その結果、婚約は破棄されました。

 私はその後、実刑判決を受け、刑務所で生活しています。


 

歳末商戦、ギフトに

ホリデーシーズン到来

 感謝祭も終わり、師走のニューヨークの街は、ホリデーシーズン一色だ。グランドセントラル駅にも3年ぶりにホリデーマーケットが戻ってきた。

 今や買い物の形態は様変わりしており、感謝祭前からセールを行うところが増え、実店舗が開いていなくてもネットで買えるため感謝祭当日もセールが行われるようになった。

 今年のホリデーシーズンの売り上げは最大8%増加すると全米小売業協会(NRF)は予測している。

(写真)3年ぶりにホリデーギフトショップがオープンしたグランドセントラル駅(11月27日、写真・三浦良一)