NYアジア映画祭、鈴木亮平が受賞

ーライジングスター・アジア賞ー

「エゴイスト」上映

NYアジア映画祭のポスター

 ニューヨーク・アジア映画祭(NYAFF)が14日(金)から30日(日)まで開催される。今年の会場は、フィルム・アット・リンカーンセンター(西65丁目165番地)と、21日(金)から23日(日)のみニュージャージー州にあるバリモア・フィルムセンター(153 Main St, Fort Lee)でも上映される。

 NYアジアンフィルムファウンデーションとフィルム・アット・リンカーンセンターによる共催で今年14回目となるNYAFFでは、60本以上のワールドプレミア、インターナショナルプレミア、北米プレミアを上映。香港、日本、中国、韓国、フィリピン、マレーシア、インドネシア、台湾、タイ、シンガポール、ベトナムなどのほか、イギリスとアメリカからのアクション、コメディー、スリラー、ロマンスなど新作が出品される。各国の映画スターたちも続々と来場する。

 日本からは、阪本順治監督「せかいのきおく」、斎藤工監督「スイート・マイホーム」、伊藤ちひろ監督「ひとりぼっちじゃない」など10作品が参加。また、松永大司監督「エゴイスト」で主演した鈴木亮平がライジングスター・アジア賞に選出されており、15日(土)上映後の質疑応答に監督と共に登壇する。

 入場料は一般17ドル、学生・シニア14ドル、会員12ドル。オールアクセスパスは249ドル。チケット・上映日などの詳細は公式サイトhttps://www.filmlinc.orgを参照する。

(写真)「エゴイスト」主演の鈴木亮平

本紙を教材に日本語教育をした先生 2023/07/08

【編集後記】 みなさん、こんにちは。ニューヨーク市の公立高校で、第二外国語の選択科目に日本語を取り入れているクイーンズ区のフランシス・ルイス高校で16年間、日本語教師として米国人高校生に日本語を教えてきた木村光子さんが7月1日付で同校を退職されました。こんなお手紙をいただきました。「『週刊NY生活』は発刊された2004年1月当時から、NYに住む私たちにとって唯一の情報源でありました。私たちの生活の一部となって金曜日の発売の日を待ちました。その後Covid-19が蔓延し、世の中の動きが変わり、教育界もonlineでzoomによる指導になりました。今日の生徒はiPhoneをもって生まれてきたと言われる生徒ですから、すべての学習は映像をとり入れたITの時代です。しかし私は副教材として『週刊NY生活』の紙面を通して学習してきました。とくに新年号は、新年登校日の授業に間に合わせるために、数日前から食料品店をまわり20部ずつ取り寄せました。その全生徒分120部を学校へ運ぶのは、車の運転をやめているので、大変な仕事でした。新年度の最初の日本語の授業の時間に、インクの匂いの新しい『週刊NY生活』を手に取った生徒たちのモチベーションの高まりを見ると、前日の苦労は一気に解消されました。NYでの日本語教育は、環境に恵まれています。特に『週刊NY生活』は日本の文化の行事やイベントが目白押しに紹介されます。NYで日本語を勉強した生徒たちは、国際感覚を身に着けた生徒たちです。一人前の日本人として日本で活躍できます。これからの日本の人口減少による人手不足を救う日が必ず来ると信じています。振り返ってみると、私は補習校の立ち上げから、そして全日制校、さらにNY市立高校と60年間ここNYで教師生活を続けてきました。その間『週刊NY生活』には、生徒の作品の発表、イベントの様子、本社訪問などがありました。卒業して社会人となった彼らにとっていつまでも愛読されていく『週刊NY生活』です。最後に「週刊NY生活」のさらなる発展を願っています。ありがとうございました。2023年7月2日 木村光子」。ありがたいことです。今週号のNY生活ウーマンで記事としても掲載させていただきました。こんな風に思って読んで、新聞を使って下さっている人がいたことを支えに、これからも大きなニュースがある時も、そしてない時も、毎週発行されるNYのローカル紙であり続けていられたら本望です。それでは皆さんもよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2023年7月8日号)

(1)入試黒人優遇は違憲 米最高裁が判断

(2)柳楽にCUT ABOVE賞 NYジャパン・ソサエティー

(3)松江の魅力をNYでPR  上定市長が来米へ

(4)サークルのスポット 即興詩人タイプ打つ

(5)アファーマティブ・アクション違憲判決 日本人への影響

(6)渋滞料を課金承認 来春から導入へ

(7)ティファニーで火事 地下電気室から出火

(8)脱マスク後の美容 働く女性の輪郭

(9)米人高校生に日本語を教え続けて 木村光子さん

(10 )独立記念日の花火咲く イーストリバーで

入試黒人優遇は違憲

最高裁判断に大統領反対、保守は歓迎

 連邦最高裁は6月29日、ハーバード大学とノースカロライナ大学の入試選考で黒人などマイノリティーを優遇する積極的差別是正措置(アファーマティブ・アクション)を違憲と判断した。憲法修正第14条の「法の平等な保護条項」に違反しているとし、ロバーツ最高裁長官は「学生は人種ではなく、経験に基づく個人として扱われなければならない」との見解を示した。

 バイデン大統領は「最高裁の判決に強く反対する。これは正常な裁判所ではない」と激しく非難する一方、次期大統領選で再選を目指す共和党のトランプ氏は「誰もが待ち望んでいた。アメリカにとって素晴らしい日だ」と絶賛した。トランプ氏は大統領在任中に保守派3人を最高裁判事に指名したことからリベラル3人、保守派が6人と保守が優位になり、ノースカロライナ大に対しては6対3、ハーバード大学に対しては6対2で違憲となった。

 裁判を起こしたのは、保守派の活動家エドワード・ブラム氏が2014年に組織した「公正な入学のための学生たち(SFFA)」という団体。入学選考に不満を持つアジア系学生を原告に集め、アファーマティブ・アクションが白人とアジア系志願者に対する逆差別になっているとして、私立のハーバード大と公立のノースカロライナ大を相手取って憲法訴訟を起こした。1審と2審では人種だけを根拠に定員の枠を定めるのは違憲としたものの、積極的差別是正措置は合憲として大学の主張を認めたが、最高裁で覆った。SFFAの関係者は「アジア系コミュニティーの勝利、もう二級市民扱いはされない」などと述べ、勝利に湧いている。

 しかし、ワシントンポスト紙は1日、「一部のアジア系米国人には勝利ではない」と伝えた。アジア系社会は貧富の差が大きく、貧しいモン族やカンボジア、ベトナムなどの東南アジアの難民とその子孫は判決を非難していると報じている。

裕福な白人が恩恵

アファーマティブ・アクション廃止

 アファーマティブ・アクション廃止で恩恵を受けるのは英語に堪能で裕福な高学歴のインドおよび中国系とみられ、実際、訴訟を起こしたSFAの原告は裕福な中国系移民ばかりだ。

 制度廃止で、大学にはアジア系がさらに増え、黒人および中南米系は減ると見られるが、裕福な白人もこれまで以上に恩恵を受けるという指摘もある。米国の有名私立大学では裕福で著名な家の志願者を優遇する「レガシー選考」があるが、6月30日付ニューヨーク・タイムズは、「(アファーマティブ・アクションがなくなる一方)これがそのまま残る結果、あらゆる人種の低所得学生とその家族が不利益を被ることになる」というフォード財団のダレン・ウォーカー会長の寄稿を掲載した。

 アファーマティブ・アクションは1961年にケネディ大統領(民主党)が導入して以来、企業の採用活動にも反映されるなど社会に浸透していた。人種を考慮した入学選考は教育の多様性を生み出し、マイノリティーだけでなくすべての学生に利益をもたらすとされ、2014年の最高裁判決でも合憲とされた。ただし禁止はできるとした。

 逆差別であるとの主張も強くあり、アリゾナ、カリフォルニア、フロリダ、ジョージア、オクラホマ、ニューハンプシャー、ミシガン、ネブラスカ、ワシントンの9州ではアファーマティブ・アクションは禁止されている。

柳楽にCUT ABOVE賞

「ターコイズの空の下で」主演

NYジャパン・ソサエティーで授与へ

 北米最大の日本映画の祭典「ジャパン・カッツ」。第16回は7月26日(水)から8月6日(日)まで開催され、主催するジャパン・ソサエティーは6月20日、全上映作品を発表した。

 センターピース・フィルム(映画祭の最注目作品)には KENTARO 監督の『ターコイズの空の下で』を選出。主演を務めた柳楽優弥が来米し、日本映画への功績を称え贈られる CUT ABOVE 賞が授与される。

 この作品は柳楽優弥にとっての初の国際共同製作。裕福な家庭で育った青年が、モンゴルの大草原での旅を通し、自分を見つめ直すという役柄を演じている。同映画の上映は8月4日(金)午後7時と5日(土)午後3時30分からの2回。4日の上映後は「センターピース・パーティ」を開催、 CUT ABOVE 賞の授与式が行われる。5日は「アンコール上映」と銘打ち特別上映される。柳楽はKENTARO 監督と共に両日登壇予定。

松江の魅力をNYでPR

ジャパン・ソサエティーで17、18日

上定市長が来米

 ジャパン・ソサエティー(JS、東47丁目333番地)は17日(月)、18日(火)の両日、松江市と共催で特別企画「Get to Know Japan Series:〜松江市〜」を開催する。「水の都」として知られる歴史ある松江市は、日本の西部、北は日本海に面し、宍道湖と中海の2つの湖を有する、周辺すべてに水辺がある自然豊かな場所。島根県の県庁所在地である風光明媚な街は、全国で5つしかない国宝天守の一つ「松江城」で知られている。特別企画では未だ知られざる歴史のある松江市の魅力を2日間に渡り紹介する。

 17日は、午後6時30分から「歴史ある城下町と茶の湯文化」と題する講演と実演がある。『出雲国風土記』にも登場する名湯「玉造温泉」、広大な日本庭園「日本庭園 由志園」、神秘的な鏡の池がある「八重垣神社」、世界でも珍しい花と鳥の公園「松江フォーゲルパーク」などさまざまな観光名所が松江市にはあるが、松江市は、武家屋敷や茶室、松江城など、歴史にも彩られた街だ。1611年に完成した松江城は、創建当時の天守閣を今もなお残す全国でも数少ない城のひとつで、国宝に指定されている。本イベントでは、松江市長の上定昭仁氏=写真=が松江の魅力である武家文化の歴史、豊かな自然・文化遺産、そして魅力的な地元の食文化を紹介する。

 レクチャー後には松江市の職人による松江のお茶・和菓子文化を学べるライブデモンストレーションを開催する。レセプションでは、松江の美味しいお茶やお菓子、地酒などを試食試飲ができる。また、参加者には、松江市からギフトバッグのプレゼントもある。参加費は一般23ドル、JS会員・シニア・学生18ドル。

 2日目の18日にはワークショップ「抹茶と和菓子・松江のお茶文化」が午後6時30分から開催される。

 松江市は、抹茶と和菓子を中心とした茶の湯文化でも有名な都市で、京都・金沢と並ぶ日本三大菓子処としても知られている。大名茶人であった松江藩松平家7代藩主・松平治郷 (不昧公) が茶道「不昧流」を大成させたことで、茶の湯文化が浸透したと言われている。抹茶を点て、松江らしい上品な和菓子の作り方を学ぶ。参加費は一般85ドル、JS会員・シニア・学生68ドル 。ボックスオフィス・電話212・715・1258、JSウェブサイト www.japansociety.org

サークルのスポット、即興詩人タイプ打つ

 ワシントン広場の噴水の周りの地面に直径3メートルほどのチョークで描かれた円。そこには、キススポット、笑いスポット、癒しスポット、悟りスポット、詩のスポット、ハイファイブのスポット、ハグのスポットなど、愉快で楽しいタイトルが書かれている。

 ニューヨークのアーティスト、フェリックス・モレロの作品だ。2010年ごろからチョーク画を描き始めたという。スポットを描いた後、モレロはしばしば一歩下がって人々の反応を見守る。「人々の行動や振る舞いを分析し、作品を変えるんだ」とUntapped New Yorkに語っている。詩のスポットと描かれた円の前で、タイプライターで詩を売っていた即興詩人のブルー・ジェイ・ウオーカーさんに詩を頼んでみた。

 「お題は何かある?」と聞くので「友情」というテーマで作詞してもらう。1分ほどで10行ほどの詩が打ち上がってきた。「泣きたければ肩を貸そう、心配事には耳を貸そう、交わした約束と友情は永遠だ」というような短い詩を書いてくれた。

(1日午後、ワシントン広場で、写真・三浦良一)

アファーマティブ・アクション違憲判決、日本人への影響

 連邦最高裁は、ついにアファーマティブ・アクションについて違憲判断を行った。これによって、大学が入学選考にあたってアフリカ系やヒスパニック系の学生を、明らかに優遇することはできなくなった。ちなみに、各大学の名誉のために確認しておきたいのだが、アフリカ系とヒスパニック系に関しては、確かに入学選考では優遇がされていたのは事実だ。だが、入学後の単位取得に関しては、特に優遇はされてはいない。

 あるアフリカ系の若者が言っていたのだが、コーネル大学に合格した時は「ありがとう、アファーマティブ・アクション」と思ったという。だが、入学後はコーネル名物の「1年生地獄の秋学期」で苦労してヘトヘトになり「世の中、そんなに甘いもんじゃないと知りました」と言っていた。彼の場合は、そこを何とか乗り切ったようだが、仮にどうしてもカリキュラムについて行けなければ、下位の大学に転校するというチョイスとなり、空いた枠には反対に他大学からの転入生が入ってくることになる。

 反対論者は「白人への過酷な人種差別」だなどと息巻いていたが、実際は制度としては機能していたのである。特にアフリカ系、ヒスパニック系の全体としての教育レベル、経済的地位のレベルということでは、まだまだ「是正が必要」だというのは厳然たる事実であり、そう考えると今回の判決には全く賛同はできない。

 この判断だが、一般的には日本人を含むアジア系については「損をしていた」のだから、今回の違憲判決によって入試においては多少は有利になるという見方がある。果たして本当にそうなのだろうか? 確かに、例えばアイビーリーグ加盟校の中で、例えば前述のコーネル大学に出願した場合に、履歴書全体の点数で日本人の出願者が合否のボーダーライン上にいたとする。その場合に、多くの出願者と合否を競う中では、これからはアフリカ系とヒスパニック系を優先するということはなくなるのであれば、理屈としては日本人としては以前より有利にはなるだろう。

 だが、実際にそれで日本人がどんどんアメリカの名門大学から合格がもらえるかというと、そう簡単ではないと考える。まず、今年、2023年3月末に最終合否発表のあった「クラス・オブ・2027」の年次について言うと、合否ということでは非常に厳しい結果という声が多い。今年の現象としては人種ということではなく全員が影響を受けたのだが、要するに事実上の合否枠が縮小していたと見られる。各大学は具体的な数字を公表していないが、コロナ禍の影響がまだ残っていた昨年の段階で「合格したが入学を1年延期する」という「ギャップイヤー」を選択した学生の率が高かったようで、その分、今年の合格者を減らさざるを得なかったと推測される。

 今年の問題はあくまで一時的な問題だが、日本人を含むアジア系に関しては、ハーバードを舞台にした訴訟により、かなり顕著な形で合否判定におけるデータが明るみに出ている。ハーバードの学内調査によれば、ある時期に全学生に占めるアジア系の比率は19%だったが、もし学業成績のみで合否判定をしていれば43%に上がっていた可能性があるという。この数字だけを見れば人種差別と怒る人が出てくるのは分からないではない。

 けれども、日本だけでなく東アジア全体の文化として、「プレゼン力」「ディベート力」とりわけ「異なる意見の相手と建設的な議論をする能力」「教授に対して厳しい論戦を挑む姿勢」というようなジャンルに関しては、18歳までに訓練される機会は決定的に少ないというのは否定できない。そもそも「学業成績の点数」で合否が決定されるのが客観的で公平だというのは東アジア独自の文化とも言える。そう考えると、同じSATの点数のグループで、アジア系の場合は半数しか合格しなかったというのは、悔しいけれども部分的には理解できる数字ではある。

 というわけで、今回の「アファーマティブ・アクション廃止」がダイレクトに日本人にとって有利に働くとは思えない。日本人の場合は、「より強い個性と行動力」をアピールしつつ「アジア系の弱点を知りつつ、アジアという文化への誇りは捨てない」という人格を訴える、そのような生き方をして、その成果を見せるというのが名門大学合格への道であろう。更に言えば、日本人・日系人のコミュニティ全体としても、「胸の張り方」として「名誉白人」のように振る舞うのではなく、少数者に寄り添う「正しさ」を常に心がけることが結果的に地位向上に繋がるのではとも思う。

(れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

ティファニーで火事

地下電気設備から出火

 マンハッタンの五番街57丁目にある老舗宝飾店ティファニーの旗艦店で6月29日開店前の午前9時38分に火災が発生したとの通報を受け消防車が出動した。

 この火事で、ティファニーの従業員100人が避難し、そのうち2人が市内の病院に搬送された。出火原因は地下の変圧器と見られ、午前中昼前に鎮火後コン・エジソン社が地下の電気設備の修理作業にあたった。ミッドタウンの象徴的なビルが一時灰色の煙に包まれた。FDNYによると、新しく改装されたティファニーの店内に煙は入らなかったという。

 4月に発表されたティファニーのプレスリリースでは、改装された店舗を マンハッタン最大級の店舗 と称していた。改装にかかる費用は不明。

 同店は1940年からマンハッタンの五番街に店舗を構え、初めての全面的な改装を行うため2019年から営業をとりやめ、隣ビルに移転、2か月前、83年ぶりの改装を経て営業を再開したばかり。

渋滞料を課金承認

来年春から導入へ

マンハッタン60丁目から南に入る車両

 ニューヨーク州のキャシー・ホウクル知事は6月27日、マンハッタンに入る車両に対し「渋滞料」を徴収することを発表した。全米最大の都市が「よりきれいな空気、より安全な街路、より良い交通機関の実現を先導する」と述べた。

 米国運輸省の一部門である連邦道路管理局が23日、ニューヨーク市が主にマンハッタンの一部の有料道路を通じて渋滞を管理する計画を進めることを承認。2007年に当時のブルームバーグ市長の提案からおよそ15年を経て実現する運びとなった。メトロポリタン交通局(MTA)によると、早ければ2024年春にも開始する。この種の措置はロンドン、ストックホルム、シンガポールで導入されているが米国では初となる。

 計画では渋滞の激しいマンハッタン60丁目から南に入る車両に通行料を徴収する。ただし、イーストサイドのFDRドライブおよびウエストサイド・ハイウエーは課金されない。また、MTAによると、バッテリーパーク地下道やウエストストリートにつながるヒュー・L・キャリー・トンネルの地上道路部分でも料金はかからないという。

 料金はこれから決めるが、昨年8月に作成された計画書ではピーク時で最大23ドル、オフピーク時で最大17ドルとなっている。徴収は橋やトンネルのトール代と同じくEZパスを使う。EZパスがない車両は現行のトール代同様にナンバープレートが読み取られ車両登録先の住所に請求書が郵送される。電子検知地点は料金所の入り口と出口に設置される。おもに60丁目と61丁目の間の交通アームやポールに85個、橋や頭上の標識に35個の合計120か所ほどに設置予定だ。

 収益は年間10億ドルを見込んでおり、MTAのエレベーター設置や信号機の近代化などインフラ改善に使われる。インフラだけで運営費には使用できない決まりだ。

 タクシーやライドシェア会社、車通勤の人には痛手で反対運動も起きている。ニュージャージー州では州議員らが「現金強奪だ」と抗議、マーフィー知事(民主党)は裁判も検討している。MTAはタクシー運転手への割引などを検討中だ。なお、消防など緊急車両や障害者を乗せた特定の車両などは払う必要はない。また渋滞料地域内に住居があり年収6万ドル以下の人は州税控除の対象になる。

米人高校生に日本語を教え続けて

NY市立フランシス・ルイス高校日本語教師をこのほど退職した

木村 光子さん

 ニューヨーク市の公立高校で、第二外国語の選択科目に日本語を取り入れているクイーンズ区のフランシス・ルイス高校で16年間、日本語教師として米国人高校生に日本語を教えてきた木村光子さんが7月1日付で同校を退職した。

 ニューヨークでの教師生活60年に及ぶ木村さんは、福岡県生まれ。宗像郡宗像高校から奈良女子大の理論物理学科で数学の教員免許を取得して1960年に卒業。結婚後来米し、ニューヨーク補習授業校の創設に関わり、NY補習校と全日制ニューヨーク日本人学校の数学の教師を長年務めた。4人いる米国生まれの子供達はそれぞれアイビーリーグやNY大を卒業して立派な社会人になっているが、米国の教育を受けながら育っていく子たちを見て日本語教育の必要性を感じたのが、米国で日本語教師に転向する動機となった。

 日本では理系だったため、米国で文系の教員免許を取得するのには苦労したそうだが、2007年に資格試験に合格し、NY市立高校の日本語の教師となった。木村さんの学校での日本語教育は、第二外国語としての日本語だ。

 そして授業の副教材として選んだのが、本紙「週刊NY生活」だった。「『週刊NY生活』は日本の文化の行事やイベントが目白押しに紹介されます。とくに新年号は、新年登校日の授業に間に合わせて、数日前から食料品店をまわり、20部ずつ取り寄せました。その全生徒分120部を学校へ運ぶのは、車の運転をやめているので、大変な仕事でした。でもNYで日本語を勉強した生徒たちは、国際感覚を身に着けた生徒たちで、これからの日本の人口減少による人手不足を救う日が必ず来ると信じています」と話す。また長年教壇に立って感じることは、中国と韓国の本国政府による自国語を広める資金援助の力の入れ方だ。国策として市の教育関係者に働きかけているの見て、日本政府も海外での日本語教育に力を入れて欲しいということが心残りだ。今後は「日本語を話す人たちが一人でも多くなるようなボランティア活動を有志と続けていきたい」という。(三浦良一記者、写真は本人提供)

脱マスク後の美容、時代が求めるメイク方法

美・ファイン研究所がウェビナー

 美・ファイン研究所(東京都渋谷区)は6月28日、「実践体験型で学ぶ 脱マスク後のシェイプメソッド」と題したオンライン美容セミナーを開催した。脱マスクで隠れていた顔のアウトライン問題解決策を多角的にアプローチ。顔のアウトラインをシェイプさせ、肌のハリ感をピンとさせるフェイシャル技術 「シェイピングケア」実践型の美容セミナーを行った。

 まず、88歳の現役美容研究家・小林照子さんが美容の考え方として「働く女性の輪郭」と題して講演した=講演要旨参照=。

 続いて、西森彩さんがフェイシャル技術の実践として「シェイピングケアの実践」を35分間デモンストレーションした。肌表面のトリートメントと内側からの刺激が融合することにより、効果的なケアを説明。顔の悩みに応じた「シェイピングケア」の実践では顎下のダボつきやフェイスラインを引き締める方法を伝授した。職業上の必要からNYで受講したという男性は「30分ほどの実践でしたが、終わってから鏡で自分の顔を見たら、確かに顔のたるみや首のしわ、ほうれい線の彫りの陰影が改善されて顔が若返っていた。男性にも効果あり」と感想を述べていた。

 メイクアップ技術を説明した山口童子さんは、シェイピングメイクのポイントと題して、「シェイピングケア」で引き締まった肌を、より小顔に演出するためのベースメイクや顔の逆三角形を意識すること、縦幅を短くすること、横幅を長くするなどのメイクのコツを解説した=図参照=。

働く女性の輪郭

小林照子さん講演

 小林さんは講演で、多種多様な個性を生かした時代だからこそ、自分の生き方の「輪郭」を明確にし、好印象につながる顔作りが大切と説いた。1970年代は、マーゴ・ヘミングウェイのような太い眉の強い女が象徴だったが80年代に入ると賢くて可愛い「かしこ可愛い」しっかりした顔に人気があった。そして現代はKポップに代表されるように男女共に中性的で逆三角形の艶のある色白な透明感のある風のように軽いイメージの顔が主流になっている。「風の時代のフットワーク」として、顔の面積をヘアスタイルで隠すのではなく、輪郭を隠さずに上手に見せるコツをアドバイスした。

 また加齢とともに顔も体も、桃のようなまん丸のピチピチした状態からピーマンのようなゴツゴツした形になっていくが、それは、しっかりと生活力のある、大人のやる気のある顔立ちになるという見方もできる。でも、できるだけ逆三角形の若い顔に見えるスタイルを保つことが大事。顔は彫刻のように立体的で奥行きがあるので、スカルプ(頭皮)ケアと温と冷の美容作用で肌を綺麗にする方法があるのでぜひ努力して欲しいなどと語った。