マウイ島支援 NY日系社会から

【編集後記】
 みなさん、こんにちは。8日に発生したハワイ・マウイ島の山火事で106人の死亡が15日までに確認されました。ほぼ鎮火され焼け跡の捜索に移っていますが、安否の確認が取れていない人が1300人ほどおり死者は今後も増える見込み。犠牲になられた方々のご冥福を心よりお祈りするとともに行方不明者の捜索が一刻も進むことを祈っております。2018年にカリフォルニア州で発生したキャンプファイアーによる火災の死者85人を超え、米国の火災としては過去100年で最悪の事態となりました。在ホノルル日本総領事館によると、14日時点で日本人が犠牲になったとの情報はありませんが、明治時代に日本から移民してきた人たちが建てたラハイナ浄土院も被害を受け本堂が焼け落ち、移民100年を祈念して1968年に建てられた美しい三重の塔(納骨堂)も焼失してしまいました。このハワイの火災被害を受けてニューヨークの日本人・日系社会も動き始めました。ニューヨークに進出する日系企業286社で構成するNY日本商工会議所(JCCI、和田知徳会頭/米州住友商事会社社長・CEO)、JCCファンド(上野佐有理事長/米国三井物産 株式会社社長)、日本クラブ(河手 哲雄会長/北米三菱商事会社社長)の3団体の代表が 15日協議し、会員各社に呼びかけて、まとまった金額を赤十字経由で被災地へ届けることを決めたそうです。またニューヨーク日系人会(JAA、佐藤貢司会長)も15日、スーザン・大沼元日系人会会長と協議し、募金活動を始めることを決めました。寄付先は現在調査を進めているところで、正式には来週中に発表する見通しだそうです。JAAの野田美知代事務局長は「1868年に初めてハワイに移民した方々をGANMENNMONO(元年者)と言いますが、その方たちが建てたお寺が、焼けているのを見て、悲しくなりました」と話しています。ニューヨークは、空の雲が少し高くなって秋を感じさせています。それでは皆さんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2023年8月19日号)

(1)ハワイマウイ島火災 NY日系社会も支援へ 

(2)響 川井郁子 初の海外公演

(3)未来が見えた 新潟県南魚沼の中高生19人来米

(4)セントラルパークで励ます人 ニューヨークの魔法

(5)NY日本人美術家協会 51回年次展覧会

(6)大麻まん延 消費量NY合法化で世界一

(7)サメで夏の海危険 NYの大西洋沿岸

(8)和の魅力、美味しさ  和食WANOが開店

(9)日米文化の夜 8月25日シティーフィールドで

(10 )NYで見つけた自分のダンス 竹野綾さん

ハワイマウイ島火災、ラハイナ浄土院全焼

 8日に発生したハワイ・マウイ島の山火事で106人の死亡が15日までに確認された。ほぼ鎮火され焼け跡の捜索に移っているが、安否の確認が取れていない人が1300人ほどおり死者は今後も増える見込み。2018年にカリフォルニア州で発生したキャンプファイアによる火災の死者85人を超え、米国の火災としては過去100年で最悪の事態となった。在ホノルル日本総領事館によると、14日時点で日本人が犠牲になったとの情報はない。

 もっとも被害が出たのはマウイ島最大の街・ラハイナで、焼失や破損した建物は2200棟以上にのぼった。明治時代に日本から移民してきた人たちが建てたラハイナ浄土院も被害を受け本堂が焼け落ちた。移民100年を祈念して1968年に建てられた三重の塔(納骨堂)も焼失した。

 バイデン大統領は10日にハワイ州に対し大規模災害宣言を発出し、12日には米連邦緊急事態管理庁(FEMA=フィーマ)が都市捜索救助チームと犬捜索チームを含む150人以上が派遣された。順次、増員される予定。また沿岸警備隊など10を超える組織が救援活動を続けている。1400人ほどが6か所に分かれて避難し、ボランティアによる支援も行われているが物資は不足しているという。

 雨がほとんど降らず空気がひどく乾燥していた時期に、近海を通過したハリケーン・ドーラによる強風で山火事が拡大、海岸沿いのラハイナの街に延焼した。火災の原因は特定されていないが、専門家らは可能性のひとつとして、強風で活電線が落ち山に引火したのではないかとの見方を示している。

 8日の火災発生時に80基ある警報のサイレンが作動しておらず、逃げ遅れた人が出たと見られている。作動しなかった原因は明らかになっておらず調査中。地元当局は携帯電話やテレビ、ラジオを通じて緊急警報を流したと説明している。ハワイ州のジョシュ・グリーン知事は、被害額は推定で60億ドル近くになると述べた。ラハイナは人口約1万3000人で日本人・日系人も多く住む。かつてはカメハメハ王朝時代の王都だった。ニューヨーク日系人会(佐藤貢司会長)が支援に乗り出す。

NY日系社会も相次ぎハワイ支援に乗り出す

ラハイナ浄土院の釣鐘堂も焼失

 ハワイの火災被害を受けてニューヨークの日本人・日系社会も動き始めた。ニューヨークに進出する日系企業286社で構成するNY日本商工会議所(JCCI、和田知徳会頭/米州住友商事会社社長・CEO)、JCCファンド(上野佐有理事長/米国三井物産 株式会社社長)、日本クラブ(河手 哲雄会長/北米三菱商事会社社長)の3団体の代表が 15日協議し、会員各社に呼びかけて、まとまった金額を赤十字経由で被災地へ届けることを決めた。

 今回は実際のお金の受け渡しは501・c・3のチャリタブルな団体であるJCCファンドを通じて行う。ニューヨークの日系企業を中心とする団体が団結して寄付支援活動をするのは、昨年のウクライナ市民団への支援以来。

 ニューヨーク日系人会(JAA、佐藤貢司会長)も15日、スーザン・大沼元日系人会会長と協議し、募金活動を始めることを決めた。寄付先は現在調査を進めているとこrで、正式には来週中に発表する見通しとなった。

 JAAの野田美知代事務局長は「1868年に初めてハワイに移民した方々をGANMENNMONO(元年者)と言いますが、その方たちが建てたお寺が、焼けているのを見て、悲しくなりました」と話している。

岸田首相と林外務大臣、米国にお見舞い電報

 岸田首相は12日、ハワイ州が山火事により甚大な被害が発生していることを受け、バイデン大統領に対しお見舞いのメッセージを送った。また林外務大臣もブリンケン国務長官とジョッシュ・グリーン・ハワイ州知事にお見舞いメッセージを送った。

 岸田首相のバイデン大統領に宛てたメッセージは次の通り。「今般、山火事がハワイにもたらした甚大な被害に関し、米国国民及び米国政府に対して心からお見舞いを申し上げます。一刻も早く火災が収まることを願っています。犠牲になられた方々の御冥福と被災地の一日も早い復興を心からお祈りいたします」(外務省12日)


ハワイ・マウイ島火災の主な支援・寄付先

ハワイ・コミュニティー財団(Hawaii Community Foundation)ハワイ州のグリーン知事室が設立した基金。災害への備え、対応、復興資源を提供する。www.hawaiicommunityfoundation.org/maui-strong

ハワイ赤十字社(American Red Cross of Hawaii)山火事の避難民が情報を得たり、温かい食事を食べたり、携帯電話を充電したり、救援物資を受け取ったり、医療サービスを受けたりできる安全な避難所を見つけるのを支援。www.redcross.org/local/hawaii

米国赤十字社(American Red Cross)マウイ島で火災の被害を受けた人々を救援中。redcross.org にアクセスするか(Get HelpからDisaster Relief & Recovery Servicesに入る)、1-800-RED-CROSS (800-733-2767) に電話するか、90999 に REDCROSS という文字をテキスト メッセージで送信して、10ドルの寄付ができる。www.redcross.org

アロハ・ユナイテッド・ウェイ(Aloha United Way)アロハ・ユナイテッド・ウェイの本部はホノルルにある。被災者に寄付を直接届けるためにMaui Fire Relief Fundを立ち上げた。www.auw.org

ピースウィンズ・アメリカ(Peace Winds America)/

ピースウィンズ・ジャパン(Peace Winds Japan)世界中の自然災害や人為的危機に対応する日本と米国の専門知識を持つ国際NGO。日本での寄付はreadyfor.jpまで。

peacewindsamerica.org

アメリケアズ(Americares)マウイ島の山火事に対する寄付を受け付けている。www.americares.org

フィーディング・アメリカ(Feeding America)食料支援で知られる団体。ハワイ山火事災害救援の寄付活動も行なっている。give.feedingamerica.org/a/hawaii-wildfires

救世軍(The Salvation Army)ハワイ・太平洋支部が寄付受付中。hawaii.salvationarmy.org

マウイ・フード・バンク(The Maui Food Bank)1ドルを寄付するごとに避難地域住民に4食分の食事を提供できると述べている。 mauifoodbank.org/donate。

ワールドセントラルキッチン(World Central Kitchen)マウイ島の地元パートナーと協力し避難者や救急隊員に切望されている食事を届けている。wck.org

マウイ動物愛護協会(Maui Humane Society)避難した犬や猫などのペットの治療、餌やり、世話。www.mauihumanesociety.org


 

響 川井郁子初の海外公演響、9月9日

リンカーンセンター・ローズホール

 演奏と立体映像で壮大に

 バイオリニスト/作曲家の川井郁子が率いる和楽器と西洋楽器の混合オーケストラ「響(ひびき)」による初の海外公演「イースト・ミーツ・ウエスト」が、9月9日(土)午後7時から、コロンバスサークルにあるジャズ・アット・リンカーンセンター内ローズホール(59丁目とブロードウエーの角)で開催される。北斎の浮世絵や桜、能など、最新の映像技術(ホログラム)を駆使した演出により、音楽とダイナミックな立体映像が壮大なロマンを演出するコンサート。

 オーケストラ響は、川井が自身のライフワークである越境を体現するオーケストラとして設立したプロジェクト。日本を代表する若手和楽器演奏家たちと現地のオーケストラによる越境のコラボレーションにより、音楽が持つ新しい可能性を広げる新たな存在として注目されている。アジア各国からシルクロードを渡って日本に伝わった和楽器は、雅楽や能・歌舞伎などの文化と共に発展し、独自の響を追求しながら発展を遂げてきた。川井のオリジナリティ溢れる音楽性は、日本人の根底に流れる和楽器の音色と世界的に広く馴染みのある西洋楽器のオーケストラを融合させ、国境やジャンルといったあらゆる垣根を越境する。

 出演は川井郁子(バイオリン、作曲、編曲、プロデュース)のほか、和楽器(篠笛、尺八、琴、琵琶、小鼓、笙、ひちりき、和太鼓)、NYフェスティバルオーケストラ、The Ukrainian Chorus Dumka of New Yorkを迎え、国境を越えた平和の響きで祈りを捧げる。舞台映像は、日本で歌舞伎やテレビドラマなどの映像を手がけるアートディレクターのタキ・ウエダ。

 入場料は40ドル〜150ドル。チケット・詳細はウェブサイトhttps://2023.jazz.org/visiting-presentersを参照する。

デヴィ夫人も応援ツアー

川井郁子コンサート

 バイオリニスト/作曲家の川井郁子が率いる和楽器と西洋楽器の混合オーケストラ「響(ひびき)」による初の海外公演「イースト・ミーツ・ウエスト」が、9月9日(土)午後7時から、コロンバスサークルにあるジャズ・アット・リンカーンセンター内ローズホール(59丁目とブロードウエーの角)で開催される(1面に記事)。北斎の浮世絵や桜、能など、最新の映像技術(ホログラム)を駆使した演出により、音楽とダイナミックな立体映像が壮大なロマンを演出するコンサートで、今回はデヴィ夫人と観賞する3泊5日のパッケージも販売されている。料金は1室2人利用・ひとり2400ドル。料金に含まれるのはNYヒルトン・ミッドタウンホテル3泊分(朝食3回付)、ウェルカムランチ(デヴィ夫人と川井郁子さん同席)、「響」公演チケット(S席)、打ち上げパーティ参加費用。問い合わせ・申し込みは旅行会社のアムネット(https://amnet-usa.com/)まで。

未来が見えた、故郷と日本に貢献

新潟県南魚沼市から中高生19人来米

ワシントンDCとNYを訪問

 新潟県南魚沼市の中学生と高校生合わせて19人がワシントンDCとニューヨークを訪問し、ホームステイなども含め8月1日から7日まで来米した。一行には林茂男南魚沼市長、岡村秀康南魚沼市教育長はじめ、市役所職員が同行し、ワシントンDCでホワイトハウスやリンカーン記念堂、アーリントン墓地、スミソニアン国立自然博物館などを見学した。生徒たちは、アメリカン大学を訪問して学校生活などを日本人留学生から話を聞いた。(写真上)メトロポリタン美術館を見学する生徒たち(8月5日、撮影・三浦良一)

NY新潟県人会ホストファミリー歓迎会(8月5日、写真・野口正博)

  ニューヨークでは国連を見学し、石兼国連大使を表敬訪問したほか、NY総領事の森大使が一行の歓迎会を開催した。

 ツアー後半の週末は、自由の女神島上陸やメトロポリタン美術館見学、最終日は分散してニューヨーク新潟県人会が迎えるホストファミリー宅に宿泊するなど盛りだくさんの1週間の滞在となった。主催は南魚沼市で、選抜は中学生は24人の中学3年生が作文を提出し、審査により12人をえらんだ。高校生は19人の高校生が作文を提出し、審査により8人を選考した。

 この新潟県の生徒たちをアメリカに招くきっかけとなったのは、ニューヨーク新潟県人会の会長で南魚沼市出身の大坪賢次さん(不動産会社社長)の発案からだ。昨年亡くなった大坪会長の妻、理恵さんがパンデミック前から「故郷が発展するには人材の育成が大切で、それにはまだ進路を決めていない中学生の時が良いと思う」とかねがね言っていた亡き妻の夢を叶えたいとニューヨークから故郷新潟に何度も足を運んで実現に漕ぎ着けたものだ。

日本政府国連代表部に石兼公博国連大使を表敬訪問(8月4日)

 そういう事情で「南魚沼市中学生海外派遣事業」と銘打った市の事業は、今回は中学生だけではなく、数年前に中学生だった時に選ばれていたがパンデミックで来れないまま高校生になった生徒も含まれている。

 ニューヨークでは4日午前、日本政府国連代表部に石兼公博大使を表敬訪問した。石兼大使は、国連の役割を説明する中で、新潟からの拉致被害者の問題や、ミャンマー、ウクライナとロシア、マリ、中東アフリカの問題など世界中で起こっている問題が単体で存在して発生しているのではなく、開発、教育、平和維持、保健、気候変動などが複雑に絡みあって全てが繋がって起こっているということを述べた。生徒を代表して井口咲楽さん(国際情報高校2年)が「高校生の私にとってとても貴重な機会をいただき、とても感謝しています。私も海外の人たちから信頼を得られるような日本の代表という気持ちで努力したいと思います」とお礼の挨拶をした。

NY総領事の森美樹夫大使の歓迎会に出席(8月4日)

 一行は午後からNY総領事の森美樹夫大使主催の歓迎意見交換会に出席するため、総領事公邸を訪れた。森大使は「今回の海外での体験は、将来いろいろな分野で活躍する上で必要な広い視野を与えてくれるでしょう。その広い視野を持ってどうやって自分が世の中に貢献できるか考えて成長していってください」と激励した。生徒を代表して小島涼さん(六日町高校3年)が「私が今回の事業に参加しようと思ったのは、ニューヨークは芸術など世界の文化の中心地なので、将来は芸術交流の仕事に進むためのアウトプットができるよう自分の見聞を広めたいと思ったからです。将来は日本のよさを海外に広める活動に関わって行けたらいいなと思いました」と挨拶した。ツアー後半の週末は、自由の女神島上陸やメトロポリタン美術館見学、最終日は分散してニューヨーク新潟県人会が迎えるホストファミリー宅に宿泊しした。参加者は井口咲楽、加藤有純、笠原結、笠原八尋、桑原つぼみ、髙野七実、室橋スミレ、小島涼、小林咲月、松田夏穂、杉山誇和、渡邉夏央、富士野美幸、福田名菜、原澤桃花、野澤樹季、齋喜璃音、白井紗那、井上陽南(敬称略)以上19人。

南魚沼市長 林茂男

国際感覚あふれる人間に

 皆様こんにちは、南魚沼市長の林茂男と申します。南魚沼市は新潟県の南部に位置し、冬は市内一面が雪に覆われる風光明媚の地で、特産のコシヒカリや日本酒が育まれています。

 私はこの度、南魚沼市中学生海外派遣事業で若者とともにニューヨークを訪問いたしました。この事業は、ニューヨーク新潟県人会大坪賢次会長の多大なお力添えにより実現したものです。この場をお借りして衷心から感謝申し上げます。

 派遣生徒には、見聞した貴重な体験を基に見識を高め、国際感覚あふれる有為な人間に成長してくれるものと心から期待しています。

岡村秀康 南魚沼市教育長

人生に大きな影響

 このたび、南魚沼市から中高生19名がニューヨークを訪問しました。この訪問はニューヨーク新潟県人会長 大坪賢次様のご尽力とニューヨーク在住の多くの皆様のご協力により実現できたものと心から感謝申し上げます。

 中高生にとって、ニューヨークで活躍する方々との出会いは鮮烈だったようで、それぞれの人生に大きな影響を与える素晴らしい経験になったと確信しています。

 今回の訪問に参加した中高生の人間性豊かな成長を期待するとともに、ニューヨーク新潟県人会の今後ますますのご発展をお祈り申し上げます。

NY新潟県人会会長大坪賢次

故郷と日本の発展に貢献を

 林茂男南魚沼市長の熱い志の下、祈潟県南魚沼市の中学・高校生をニューヨークに派遣するプロジェクトが実現し、皆様をお迎えする事が出来まして、ニューヨーク新潟県人会を代表して心より歓迎致します。

 パンデミックで当初の予定より遅れましたが、今回ようやく実現する事が出来て、嬉しく思います。

 今回のニューヨーク訪問で受けたであろう大きな刺激を、これからの人生に活かして、故郷のみならず日本の発展に大いに貢献出来る国際人になって欲しいと念願しています。石兼公博国連大使、並びに森美樹夫大使に深くお礼申し上げます。

セントラルパークで励ます人

 真夏の日曜日の朝七時頃、セントラルパークを集団で走る人たちがいた。週末はここを、さまざまなマラソン大会に参加する人が、一緒に練習している。資金集めのために走る人もいる。その日の参加者は二、三千人だという。

 それをサポートしている団体が「New York Road Runners」だ。

 自分たちもランナーであるボランティアの人たちが、ところどころに立ち、拍手しながら声をかける。

 Keep those legs moving. Good job.

 足を動かし続けて。そうそう。

 Nicely done. Nicely done. You got it.

 いいよ、いいよ。そんな感じだ。

 Way to go. Way to go. You’re almost there.

 その調子、その調子。ゴールは目の前だよ。

 ひとりじゃ辛くても、みんなで走ればがんばれるでしょ。

 ボランティアの女の人が言う。

 しばらくそこにたたずんで、励ましの声に耳を傾けていた。

 さっきのボランティアの女性が、私に声をかける。

 ねぇ、あなたもここに立ってるんなら、一緒に応援してあげてよ。

 だから私も、一緒に応援する。

 You’re getting there. Great job.

 もう少し。最高よ。

 Nicely done. Way to go.

 いいわよ。その調子。

 人生もそうだ。励まし続けてくれる人がいたら、がんばれる。

 もし身近にそういう人がいなくても、自分をいつも、励まし続けてやりたい。

 Way to go, Mitsy. You’re almost there.

 その調子だ、ミッツィ。ゴールは目の前よ。

このエッセイは、シリーズ第9弾『ニューヨークの魔法は終わらない』に収録されています。

https://www.amazon.co.jp/dp/4167717220

NY日本人美術家協会、51回年次展覧会

今月31日から天理文化協会ギャラリーで開催

 昨年設立50周年を迎えたニューヨーク日本人美術家協会(JAANY、松田常葉会長)は今月31日(木)から9月14日(木)まで天理文化協会ギャラリー(西13丁目43A番地)で第51回年次展覧会を開催する。

 出品作家は、阿井次郎、青柳愛子、藤原未佳子、古川文香レオナート、佳奈ヘンデル、林幸江、平之内美穂、石田純一郎、柏木文子、越光桂子、松田常葉、三浦良一、長倉一美、小野田昌子、ロス郁子、竹下宏、山本かりん、YUKAKO、遊真あつこの現会員と2020年に亡くなった名誉会長の 飯塚国雄の20人。

 会場では1点200ドル以下の小作品展示コーナーも設ける。収益金(作品価格の50%)は、東日本大震災被災者支援の基金に寄付される。また、優秀作品2点には「マックス・ブレッチャーJR賞」と「末村敬三賞」の2賞が贈られる。

 入場無料。開廊時間は月〜木曜が正午から午後6時、土曜は午後3時まで。金・日・レイバーデーは休廊。オープニングレセプションは9月1日(金)午後6時から8時。予約不要。一般来場者歓迎。連絡先はEメール JAANYoffice@gmail.comまで。

(写真)来場者で賑わうオープニングレセプション(昨年)

大麻まん延、消費量急増

NY市合法化で世界一

価格比較、違法の東京1位

  大麻由来のカンナビジオール(CBD)製品や健康に関する最新情報を提供するカンナビジオール・メディカル・ニュース(CFAH)はこのほど、世界140都市の大麻の平均価格を比較した「2023年度カンナビス・プライス・インデックス」を公表し、NY市は大麻消費量が最も多い都市であると伝えた。 

 NY州は21年に、マリファナは3オンスまで、液状のチンキやオイルなどに使われる濃縮物の場合は24グラムまで、21歳以上の大麻所持、使用、購入、輸送を合法化した。また同州は今春、NY市内では53件以上の嗜好用大麻の販売許可申請を認可した。同調査結果の年間平均消費量ランキングでは、1位のNY市は62・3メートルトン(6万2300キロ)で、国内2位のロサンゼルス35メートルトンの倍近くに相当する。マンハッタンでは合法・非合法も含め堂々と看板を出して大麻を販売している。

 総合ランキング上位10位は2位シドニー(違法)、3位ロサンゼルス(合法)、4位シカゴ(合法)、5位ローマ(違法)、6位ヒューストン(一部合法)、7位トロント(合法)、8位東京(違法)、9位プラハ(違法)、10位ウィーン(違法)。 

 価格に関しては違法の東京が最も高く、1グラム当たり33・8ドル、次いで2位ダブリン(違法)、3位エストニア首都タリン(合法)、4位イスラエルのリション・レジオン(合法)、5位ノルウェーのスタバンゲルとなっている。米国内で最も高いのはワシントンDCの19・1ドルで、ニューヨーク市は12・5ドルで4位だった。

(写真)無許可の大麻販売店が並ぶマンハッタン

サメで夏の海危険

ロングアイランドの海水浴場に赤信号

NYの大西洋沿岸
遊泳者の被害相次ぐ

 市内クイーンズ区にあるロッカウェイビーチで7日午後、ひとりで泳いでいた65歳の女性がサメに襲われる事故があった。タチアナ・コルトゥニュクさん(65歳)は当日午後6時前、ビーチ近くの海岸を泳いでいた際にサメに襲われ、左足の膝から上を噛まれた。水中で助けを求めて叫んでいるコルトゥニュクさんにライフガードが気づき、岸に引き上げて止血帯を巻くなどの応急処置を施した。そして駆けつけた救急隊によりジャマイカ病院に搬送され、容体は安定しているが重体だという。

 調書では「女性の足の20パウンド(約9キログラム)の肉を失っていた」と報告している。事故発生後、同ビーチは遊泳禁止となり、ドローンによる捜索が行われたが、サメは発見されなかった。被害者の脚の傷にあった歯形から、オオメジロザメかスレッシャーシャークに噛まれた可能性があるという。

(画像上)ロングアイランドの大西洋沿岸で昨年と今年サメに襲われる事件が相次いでいる(地元テレビから)

和の魅力、和の楽しさ、和の美味しさを伝える

  ニューヨークのAMANEでミシュラン1つ星を獲得した東京レストランツファクトリー株式会社(渡邉仁社長)が、和食の素晴らしさを世界へ発信するため、新たな和食レストラン「WANO」(東44丁目245番地)を立ち上げ、グランドオープンした。

 世界の流行発信地であるニューヨークで和食を広めるため、「和の魅力、和の楽しさ、和の美味しさ」を体現。日本一のマグロの目利きと称される「やま幸」のマグロをアメリカで最もリーズナブルに体験できるほか、銀座高級鮨「はっこく」の佐藤博之氏監修のメニューの数々が味わえる。総合プロデューサーは、実業家・美食家でレバレッジコンサルティング株式会社代表取締役の本田直之氏。(写真:招待客に「やま幸」の「突先」を巻いてサーブするミシュランシェフの佐藤氏)

開店披露に出席した渡邉社長(左)と本田氏

 「やま幸」のマグロは、現代表取締役社長の山口幸隆氏が築地仲卸の一番頭を務めていた父親とともに 1982年創業したマグロ専門仲卸。日本の数々の高級寿司店から引く手あまたで、マグロに関して日本で最高峰と称される目利力を持っており、一本一本異なるマグロの特徴を見極め、店ごとに適したマグロを選定している。

 今月1日に開催されたオープニングレセプションには渡邉社長、本田プロデューサーがホスト役として出席し、招待客と歓談した。ゲストはミシュランシェフの佐藤氏が最高のマグロを最高の酢飯と最高のノリで巻いた「突先」を味わった。

 開店時間はランチが火曜〜金曜の午前11時30分から午後2時、ディナーが火曜〜土曜の午後6時から10時30分。電話212・986・2800。


WANO

245 E44th St

New York, NY 10017

Tel 212-986-2800

wanonyc.com

 日曜定休 ランチ月〜金 11:30~14:00

ディナー(月〜木)18:30〜22:30

土曜 18:00~22:30

日本文化の夜

シティーフィールド、8月25日開催

 8月25日(金) はNYメッツの本拠地シティーフィールドにて、千賀滉大選手と大谷翔平選手がそれぞれ所属するNYメッツ対LAエンゼルスの試合が行われる。試合前には「ジャパニーズ・ヘリテージナイト」

と題して始球式や太鼓の演奏、メッツ・スピリット・アワードの授与式など日米交流イベントが行われる。また先着2500人に桜のデザインが入ったキャップが無料配布される。始球式では昨年に続き、ニューヨーク総領事の森美樹夫大使が投げ、捕手には佐藤貢司ニューヨーク日系人会(JAA)会長が務める。

 「ジャパニーズ・ヘリテージ・ナイト」は、NY日系人会、NY日本商工会議所、ジャパン・ソサエティー、米日カウンシル、全米日系人博物館が、NYメッツと提携し、毎年開催しているイベント。

 入場料は35ドル50セント〜127ドル50セント。チケットは専用サイトhttps://onl.bz/hwwJenwから購入できる。会場は地下鉄7番線「Mets-Willets Point駅」で下車、目の前に球場が見える。

(写真) 昨年の日米野球交流150周年イベント始球式で投球したNY総領事の森大使。捕手は、元メッツ選手の吉井理人さんが務めた(後ろ姿)

NYで見つけた自分のダンス

A.T.ダンスカンパニー 総合芸術監督

竹野 綾さん

 ニューヨークで今年発足したA・T・ダンスカンパニーの総合芸術監督を務めている。現在は9月3日にイーストビレッジで開催が予定されている旗揚げ公演の準備に追われている毎日だ。福岡県北九州市生まれ。京都光華女子大学在学中からプロフェッショナルジャズダンサーとしても活動した。ダンスとの出会いは幼少期。突然バレエが習いたいと言い始めた竹野さんを両親が近所のカルチャーセンターのバレエ教室に通わせてくれたことがきっかけだった。

 しかし、中学3年生の時、自分はバレリーナの体型ではないと、一度バレエを辞めるが、大学1年生の時にジャズダンスに出会って目覚めた。踊ることで体のアドレナリンが湧き上がる自分がいた。大学卒業後、2006年から14年まで、プロダンサーとして数々の舞台や由緒ある寺や神社でのショーに出演。30歳の誕生日にNYへ3週間単身ダンス留学をしていた際に、恩師と意見が合わず不在解雇に。帰国後自分を表現する場を失い、東京に行くか、NYに行くかの選択を自問し、留学経験があったニューヨークに「世界のダンサー達と肩を並べて生のフィーリングを感じたい」と7年前に拠点をNYに移した。ここで出会ったのがソーシャルダンスだった。ラテン部門の大会を見る機会があり、踊りから情熱や心を再び燃やしてくれる出場者たちの熱いフロアーに魅了された。「私は来年、この大会、このステージで戦う!」と決断。自分が求めていたものはこれだ!と確信し、この年から新天地での挑戦が始まった。ダンスはダンスであっても畑違いのダンスの世界で何からすれば良いのかわからず、NYのソーシャルダンススタジオを片っ端からノックしていった。ダンスパートナーを見つけ、大会までレッスンに励み、身体の使い方が全く違うダンスに戸惑いながらも日本でのプロとしての経験を生かし、自分の追い求める表現を伝え2018年に見事優勝。「どんなに素晴らしいダンサーでも、異国でパフォーマンスの機会を掴むことは難しい。日本のパフォーマーが夢を持てる機会を増やし、サポートできる母体として自分のカンパニーを作った。ニューヨークはタフな街だけどまた前に進む力を与えてくれるスパイシーな部分も病みつきです」と元気な笑顔を見せた。

 (三浦良一記者、写真も)