ここにいた人

 さあれ、こぞの雪いまいずこ と詠んだのは

フランスの詩人、フランスワーズ・ヴィヨン。

 枯葉舞う公園に、座っていたあの人は

もういない。

 笑顔の子供、にこやかな婦人、静かな老人

恋人たち、時にホームレスのおじさん。

 ここはマンハッタン。

 イスラエルにもパレスチナにも

公園が、そしてベンチがきっとあったはず

 いた人がいないことをせめて遠くから思う。

 (写真・植山慎太郎)

NY流のおもてなしにぴったり。ミッドタウンのシーフードレストラン

 今やニューヨークのマンハッタンを代表するステーキハウス、ベンジャミン・ステーキハウスが経営するシーフードレストランがイーストサイド、48丁目に店舗を構える「シーファイア・グリル」だ。日本人の口にも合うミッドタウン近辺でのおもてなしにぴったりのレストランだ。

 西海岸ワシントン州や東海岸マサチューセッツやカナダから毎日入荷するオイスターは一つ4ドル前後から。シーバス、ツナなどなんでもあるが、今回のお勧めは、2ポンドのメイン・ロブスターのクラブミートを詰めて焼いたブロイル(120ドル)=写真上=で、2人で食べてちょうどいいサイズだ。レモンとバターでいただくのがアメリカンスタイル。香ばしい味がたまらない。蛸のサラダ、スパニッシュ・オクトパスやいか墨のパスタもいい。

左から共同オーナーのベンジャミンさん、ベンさん、総支配人のビクターさん

 バーを含めて150席ある店内は上品な雰囲気で、商談・接待はもちろんロマンチック・ディナーの店としても最適な落ち着いた雰囲気。ランチタイムのプリフィクス(45ドル)のほか、週末夜のプリフィックスコースディナー(79ドル)もある。感謝祭には1人95ドルで伝統的な七面鳥料理も用意するという。

 同店は、なんといってもベンジャミンと同じ高品質で絶妙な旨さのステーキを食べることができるというのが、ほかのシーフードレストランにはマネのできない強みだ。共同オーナーのベンさんとベンジャミンさん、そしてプライム、ウエストチェスターを加えた4店舗を統括する総支配人のビクターさんの強い絆とアットホームなおもてなしでお客さんは絶対に虜になること請け合いだ。 (三浦)

岸田政権の行き詰まり、問題は停滞感

 各メディアの世論調査で、岸田内閣の支持率が大きく下がっている。30%とか、調査によっては26%台などという数字もある。下落の勢いが止まらない中では、20%割れという予想すら横行する始末だ。総理としては「あわよくば年内に解散」と思っていたフシがあるが、さすがにこの数字では先送りするしかない。

 直接の原因は3つあるようだ。1つは、イスラエルとパレスチナの対立において、中立的な立場がテロリストに対して「生ぬるい」として若い世代に不評だという。これは中東問題に一貫して中立政策を取ってきた戦後日本の「国是」が、若い世代に伝わっていない結果だが、総理として説明が圧倒的に不足している。パレスチナとハマスを区別しなくては議論は不可能だが、この点を含め、改めて総理が説明すべきであり、その意味では政権としての失点とされても仕方がない。

 2つ目は、減税案である。順序としてはこうだ。岸田総理はまず「異次元の子育て政策」を宣言した。だが、実際は財源を増税で賄うことが露見し、特に子育て世代には給付と増税が相殺されることが明らかとなった。制度の設計ミスであり、財務省の財政規律に引きずられた結果である。ここで岸田総理には「増税メガネ」という有り難くないニックネームがついた。これを挽回しようと定額減税を提案したのが不評となっている。

 岸田氏は世論の怒りを理解していないようだが、給付、増税、減税と二転三転したことで「定見のなさ」を全国に明らかにしたのは問題だ。例えば子育て政策にしても、政策の方向性を定めて進むのではなく、世論の不満に対して対処療法を二転三転させるだけの受け身姿勢である。想定された受益者の益にならない制度を提案して、その愚かさに気づいていない。これでは世論が怒るのも当然だ。

 3つ目は、円安だ。円安政策といえばアベノミクスが原点だが、現在の円安政策は本質が変化している。まず、安倍政権時代には基本的にエネルギー価格が安かった。最大の輸入品であるエネルギーが安い中であるからこそ、円安を進めて輸出産業を潤わせ、その経済効果を内需に及ぼそうというストーリーは成立していたと言える。

 だが、現在の円安政策は質的に異なる。まずウクライナ情勢を受けて、エネルギー価格は高騰し、これに円安が重なることで、輸入品だけでなく輸送費なども暴騰している。つまり物価高といっても、デフレを脱する好循環にはなっていない。では、円安を止められるのかというと、多国籍企業の円ベースの業績が崩壊してしまうのでできない。もっと言えば、今の状況で円高になれば改革の遅れた日本の本社間接部門の事務コストが膨張し、多国籍企業の空洞化は更に加速するであろう。

 この3点目が一番深刻だ。アベノミクス的な円安効果は期待できない一方で、緩和政策の出口もなかなか見出しにくい。そんな中で、植田日銀はよくやっていると思うが、問題は岸田政権がこの点において、大局観もなければ直近の見通しも発信できていないことだ。

 直接的な原因としては、「新しい資本主義」など、岸田政権で「理念らしきもの」の発信に腐心していた木原誠二前官房副長官が政権を去ったことも大きいようだ。「新しい資本主義」というのは、左派政策と右派政策をごちゃ混ぜにした結果、「毒にも薬にもならない屋台村」と化した経済政策であったが、現在はそうしたレベルの発信すらできていないのであって、危機的状況と言える。

 ここで留意したいのは、トップの首をすげ替えても「同じことが起こる」という可能性だ。例えば前任の菅義偉総理の場合は、あそこまでパブリックスピーチの訓練が間に合わなかったとは誰も思っていなかった。その前の安倍総理の場合は、右派に重心を置きつつも、右派の嫌う日韓合意、譲位改元などをスムーズに進めるといった逆のサプライズを実現している。とにかく、政権というのは変えれば良いというものではない。ポスト岸田に名前の上がっている面々は、もしも政権に野心があるのなら、明確な政策と信頼に足るブレーンを含めたチームを世に問い、何よりもトップの対話力を示して欲しい。もうこれ以上の政治の停滞は許されない。傷だらけの日本経済を、更に奈落へと近づけるのは止めていただきたい。

(れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

日本クラブの安陵料理長、交通事故で意識不明の重体

ラグビー仲間が支援活動に

 日本クラブの安陵(やすおか)秀樹総料理長が10月24日朝、自転車で日本クラブへ出勤途中の路上で、車が後方から接触して転倒、本人が警察、救急車に連絡したが、病院到着後に、意識がなくなり緊急手術した。脳内出血は止まったが、脳にはかなり損傷があり、意識が戻らず、事故から2週間たった6日現在も集中治療室で入院中だ。多大になると予想される医療費のサポートを主とする目的で、NYのラグビー同好会の仲間有志がこのほどクラウドファンディングを立ち上げ支援に乗り出した。日本クラブの前田正明事務局長と米国日本人医師会の加納麻紀会長が6日お見舞いに来院、ファンド支援への協力を快諾した。

 安陵総料理長は伏見工業高(テレビドラマ「スクール・ウォーズ」の元となったラグビー名門高)の出身で、当地の社会人ラグビー同好会ニューヨーク・オール・ジャパンの古参メンバー。支援発起人の同ラグビー同好会会長の菅沼俊哉さんは「安陵さんは、日本クラブには勤続30年程で、クラブの日系企業のパーティーやおせち料理提供での活躍はもとより、コロナ禍では警察や消防士、病院への弁当プロジェクトも行い、面識のある方も多いと思います。医療保険以外の費用面や、日々の入り用を充当する目的で、日系社会からも協力して頂ければありがたい」と話している。クラウドファンドのアドレスは次の通り。

■ラグビー同好会の有志が立ち上げた安陵さん支援のためのクラウドファンド

https://www.gofundme.com/f/jjcwu?utm_campaign=p_lico+share-sheet-first-launch&utm_medium=copy_link&utm_source=customer

お帰りなさいJET

日本クラブで歓迎会

帰国就職ガイダンスも実施

 日本クラブで4日夕、ニューヨーク日本総領事館と自治体国際化協会(クレア)の共催によるJETプログラム2023年帰国者歓迎レセプションが開かれ、今年帰国した10人を慰労するためJETのニューヨークとニュージャージー支部同窓会関係者ら100人が集まった。レセプション前にはすでに帰国したJET経験者たちによる就職ガイダンスも開催された。

(写真上)森大使とJETプログラム参加2023年度帰国者たち

川端康成のスピーチから日本文化について語る松井クレアNY事務所長

 JETプログラムとは、語学指導等を行う外国青年招致事業(The Japan Exchange and Teaching Programme)の略で、外国青年を招致して地方自治体等で任用し、外国語教育の充実と地域の国際交流の推進を図る事業で、今年で事業開始から37年の歴史を持ち、これまでに全世界で7万7000人の経験者たちが親日家となって各国と日本との架け橋として活躍している。

 歓迎の挨拶の中で、森美樹夫大使は「両国の文化に精通している皆さんがこれからもさらに対日理解を深めて日米両国のために貢献して行っていただきたい」と激励、クレアNY事務所の松井裕明所長は日本の文化の日に因んで川端康成が1968年にノーベル文学賞を受賞した時のスピーチの中から「枯山水の侘び寂び」と「茶道」についてのスピーチを引用して日本語で解説し、参加者の帰国を歓迎した。

 2014年から17年まで鳥取県に派遣されたジェット同窓会NY支部長のライアン・ハタさんは「アメリカに帰国したばかりの時は日本的感覚があるのでカルチャーギャップを感じるかもしれないが、同じ経験をした私たちがサポートするので心配しないで頑張ってください」と挨拶した。

 山形県の高校で英語を教えたジーン・カリスさんは「生徒たちがとても熱心だったことが印象的です」と話し、福井県で中学、高校と計5年間英語を教えたタニア・ジョーンバプティスさんは「やんちゃな生徒たちもいたけれど、みんないい子ばかりだった。日本の田舎の景色がとても美しいのが素晴らしかった」と体験や印象を語った。

 帰国参加者は次の通り。カッコ内は派遣先。エイブラハム・アフザイ(山口県)、アリサ・リバース(秋田県)、ビヤンカ・フィリペ(岡山県)、ジン・カリス(山形県)、ハンナ・バラカリ(石川県)、ジェイム・セナ(沖縄県)、パティ・エゲンスタイナー(山口県)、パイン・ウー(兵庫県)、タニア・ジョーンバプティス(福井県)、ワンクシング・ウー(島根県)(敬称略)。

NYホリデーマーケット

 毎年恒例の「NYCホリデーマーケット」が今年も市内各地で開催される。さまざまなアート作品、ジュエリー、ここだけでしか手に入らないユニークなオリジナル商品や温かい飲み物などのポップアップ店がずらりと軒を連ねる。輝くイルミネーションとクリスマスデコレーションの中でホリデーギフトにぴったりの品を選びに行こう!

Bryant Park

10/27〜1/2 

11am-8pm (Mon-Fri) 10am-8pm(Sat-Sun)

 マンハッタンの中心部に位置する公園内にあり、アイススケートリンクを囲むように170店舗以上が参加。スケートは毎日午前8時から午後10時まで営業。リンクサイドには室内で飲食可能なフードホール、カーリングカフェバー、グループで楽しめるドーム型のプライベート空間(要予約)も設置されている。

(写真)ブライアントパークのホリデーマーケット

Columbus Circle

11/28〜12/31 

11am-8pm(Mon-Fri) 10am-8pm(Sat)11am-7pm(Sun)   

 セントラルパーク南西の角に位置するコロンバスサークルでは、100以上のベンダーが参加。小さい場所ながらも美容、アート、カフェ、グルメがぎゅっと詰まっている。

Union Square

11/16〜12/24 

11am-8pm (Mon-Fri) 10am-8pm (Sat)

11am-7pm (Sun)

   ニューヨークで最も活気ある地域のひとつ、ユニオンスクエアにホリデー気分を盛り上げる150以上のベンダーが並ぶ。世界にひとつだけの贈り物を見つけよう。曜日によってはグリーンマーケットも開かれ、多くの人で賑わう。

詳細は3か所共通サイトhttps://kewlstreet.com/pages/market-place

●Grand Central Holiday Fair

11/13〜12/24

10am-7pm(Mon-Sat)

11am-6pm(Sun)

Open Christmas Eve, 10am -6pm

 グランドセントラル駅バンダービルトホールで開催されるホリデーフェアでは「サンクスギビング・マーケット」から「ホリデー・ラップアップ」までの商品を取り扱う。ローカルの小規模店をはじめとした36ベンダーが参加し、バス用品、ニット製品、ジュエリー、アートプリント、アクセサリー、オーナメントなどギフトに最適なアイテムが揃う。他のホリデーマーケットと違い、室内なので寒い日ものんびり歩きながらショッピングできる。

詳細はhttps://www.grandcentralterminal.com/event/holidayfair/

NY合同県人会の帰り、幹事の木下さん殴打搬送

路上で深夜襲われる

 NY合同県人会幹事の木下信義さん(62)が10月20日にNY日系人会で開催された合同県人会の二次会の帰り、背後から何者かに顔面を殴打され、救急車で病院に搬送され全治2週間の怪我を負う事件があった。

 木下さんによると、会合の片付け終了後、二次会をやっているメンバーのブロードウエーと41丁目にあるオフィスのラウンジに夜10時頃行った。二次会が深夜零時半過ぎに終わり、それぞれに別れた。そこからロングアイランドの自宅に帰宅しようとペンステーションへ向かって歩き始めた。38か39丁目付近をブロードウエーから7番街に向かって歩いている時は、駅に到着しても30分以上待つ必要もあり、また多少酒も入っていてゆっくりした足取りで歩いていた。その時、右手後側から来た人が右肩にドンとぶつかったので咄嗟に右手を見ようとした瞬間に相手の恐らく左腕か左肘でガツンと右顔面を殴られた。その瞬間に木下さんは失神し、気がついたのは、グリニッチビレッジの病院のベッドの上で午前7時前だった。そのような状況だったため、殴った相手の顔なども見る暇もなく倒れてしまった。殴られた次の瞬間から意識が無く、全く記憶がないので、その後誰が救急車を呼んでくれて、救急搬送されたのか記憶にないという。

 木下さんは「今回は運良くバックパックを背負っていたので、倒れた際に頭を打ったりする事がなかったこと、相手が刃物などを持っていなかったこと、窃盗が目的ではなく、財布も含めて何も盗まれたものがなかったこと、奇跡的に顔面の打撲以外は殆ど無傷であったことなど、不幸中の幸いだったと思っている」と話す。

 今回の体験を通じて木下さんは、夜遅い時間にしかもお酒を飲んで一人でフラフラと暗い道を歩かないこと。歩く際には目的意識をもって、スタスタと早い調子で歩くこと。人通りの少ないストリートは極力避けて歩くこと。夜遅い時間に一人で駅などに向かう場合には、歩ける距離であっても、Uberやタクシーなどを利用して速やかに移動することを教訓として学んだという。

 木下さんは本紙の取材に対し「NYの地元で生活している私としては、NYが危ない所であるという事を余り声高に言いたくないという思いでしたが、事実ですし、このような事もあるのでご注意下さいという注意喚起のお役に立てばと思い状況を説明した」と語っている。

リボンの騎士にあこがれて

フェンシング
ベテラン世界大会日本代表

石黒かおるさん

 幼い頃、好きだったテレビ・アニメは「リボンの騎士」。40歳を過ぎてからニューヨークでフェンシングを始めて15年。フェンシングのことなど何も知らない全くの初心者だった。ニューヨークでは朝日新聞ニューヨーク支局でスポーツ部のアシスタント記者をしていた。毎朝各米紙のスポーツ欄に目を通すのが日課だった。2008年の北京オリンピックの直前、USA TODAY紙のスポーツ欄に41歳で北京オリンピックに出場する女子水泳選手と39歳で出場する女子フェンシング選手の記事があった。「40歳でも若い選手を抑えてオリンピックに出場する女性がいるんだ、すごいなー」と感心した。自分も、もしかして、今から何かを始めたらオリンピックとはいかないまでもどこかのレベルまでいけるだろうか?ふと、そんなことが頭を過ぎった。しかし水泳選手のピーク年齢は10代、フェンシングならなんとかなるかな?そんな単純な思いつきでマンハッタンのフェンシング・クラブを探して、記事を読んだその日のお昼休みにはオフィス近くのフェンシング・クラブ「Manhattan Fencing Center」のドアを叩き、次の日から大人のフェンシング初心者クラスに参加した。しかし、すぐにフェンシングというスポーツの難しさに直面する。フェンシングはスポーツのチェスと呼ばれているほど、頭脳プレイのスポーツだ。これはダメだとくじけそうになった。そんな時、フェンシングのコーチが石黒さんに向かって大声で叫んだ「You look like you never fight for your life」その言葉は痛かった、なぜなら図星だったからだ。「私はいつも困難なことに立ち向かうとその場所から逃げていたのです」。コーチにすぐにそれを見抜かれた。「よーしそれならば、ここで踏ん張ってがんばってみよう」。最初はスポーツジムに通う感覚で週に1度のクラス通い、その後、フェンシング仲間もできローカル試合にも参加するようになった。ある日、日本人のフェンシング仲間から日本代表でベテラン世界大会に一緒に出ようと誘われた。「とんでもない」自分はそんなレベルではないとは思ったが日本で行われた予選会に参加して、ベテラン・フェンシング世界大会への出場権を得た。

蟻と象の戦いと言われた試合

 その後、フランス、ドイツ、スロベニア、クロアチアで行われたベテラン世界大会に日本代表で出場。今年10月にはフロリダのデイトナビーチで行われた、ベテラン・フェンシング世界大会にもサーブルとエペの種目で出場した。世界大会には80歳を過ぎても参加している人もいる。体力と気力が続く限り世界大会に挑戦したいという。今年、文化の日の11月3日、実家のある埼玉県戸田市でスポーツで功績を残した人に与えられるスポーツ功労で表彰された。(写真は本人提供)

吉田実代健闘も惜敗

女子プロボクシング

 女子プロボクサー吉田実代NY移住第2戦目となるインターコンチネンタル・タイトルマッチ(バンタム級)2分10ラウンドが11月7日、タイムズスクエアのエジソン・ボールルームで開催された。対戦相手はダラス出身で世界ランキング4位米国第1位のシュレッタ・メトカリフ。互いに激しい打ち合いだったがリーチの差も影響してスリップダウンを2度奪うも決定打が出ず、惜敗の判定負け。吉田はフェイスブックで「皆をガッカリさせてごめんなさい。期待に応えられなくて申し訳ないです。また落ち着いたらゆっくり返信させて下さい。沢山の応援心から感謝します」とコメントしている。当日は子供連れの家族も含め30人近い日本人の応援観戦者が会場から「ガンバレー」と大きな声援を送った。(写真・三浦良一)

トルコ総領事館大感激、被災地と寄り添って16年

第15回風の環コンサート 最終幕

 第15回風の環コンサート(白田正樹音楽監督)が5日、マーキンホール・アット・カウフマン音楽センターで開催された。(写真上:ジャパン・コーラル・ハーモニー(JCHとも)で最後の指揮をする白田音楽監督)

 第15回目となる今年の定期コンサートは、ターキッシュ&インターナショナル・ミュージックアンサンブルを迎えて、風の環少年少女合唱団、風の環室内アンサンブル、混声合唱団のジャパン・コーラルハーモニー(JCH)・ともが出演。風の環室内アンサンブルには、福島県いわき市出身で札幌交響楽団のオーボエ奏者である宮城完爾が加わり、モリコーネの「ガブリエルのオーボエ」などが演奏され、今年2月にトルコ南東部で発生した巨大地震の犠牲者追悼と早期復興を支援した。

宮城完爾

 風の環室内アンサンブルはトルコの難しい曲(Turkish Dance Suite)を特訓して演奏し、風の環少年少女合唱団はトルコの有名な子守歌「眠れ、眠れ」をトルコ語で一生懸命歌った。演奏後、トルコNY総領事館から「私たちはとても歓迎され、皆さんが演奏のために選んだ文化的に重要な曲に感謝しています」との感謝の言葉があった。当日はNY日系ライオンズクラブが会場で募金を呼びかけた寄付金が1986ドル集まった。このお金は地震の被害が特にひどかったハタイ市の音楽施設再建のための寄付金として送られる。 

 白田さんは「私は本日でJCHを団長の阿部友子、ピアノの阿部公美、指揮の上井雅代に託して卒業しました。今後は経験を生かして、日米の音楽公演のサポートなどをしていきたい」と話した。

遺族にリクエスト

【編集後記】


 みなさん、こんにちは。先週、この編集後記でも書いた、カリフォルニア州ロサンゼルス市南郊サンペドロの道路で先月9日、外傷性脳損傷で発見されたアジア人の男性ですが、所轄警察からロサンゼルス日本総領事館に先月23日連絡があり、20代の日本人であることが分かったそうです。と、同時に、残念なことにこの男性は搬送4日後の13日に亡くなっていたことも伝えられたそうです。入国時の情報と照合して身元が分かり、遺族とも総領事館が連絡を取っています。発見された時の所持品の財布に日本円が入っていたことで、当初から日本人ではないかと日本でもニュースになっていたようです。私は現場には行っていません。ですので、情報は主に総領事館からのものと、現地でのSNSなどのネット報道を見ているだけです。ちょっと気になっているのが警察が事件性はないとの報告をしていることです。外傷性脳損傷という怪我は、道で転んで受けるようなダメージではないでしょう。刑事事件でなければ交通事故か何かの事故の可能性があるように思えました。まあ、人が無くなれば、不審死の場合は検死解剖しますから、検死局が死亡証明書を出します。そこにはどのような傷があり死亡原因は何かが書かれています。死亡記録は、婚姻記録と同様パブリックデータとして公文書閲覧請求ができます。ロサンゼルス郡検死局に問い合わせましたが、領事館の個人情報守秘で何しろ名前がわからない、所轄の警察も「教えられない」とのことなので締め切りには間に合いませんでした。今週号では、見つかった男性が日本人であったこと、そして亡くなったことを続報で5面に掲載しています。遺族は、なぜ息子が旅先で命を落とさなくてはならなかったのか、どんな思いでいるのか、死亡原因がわからずに大いに困惑しているのではないか。ダメもとで、遺族がもし、取材に応じてくれるのであれば話を聞きたいとロサンゼルス総領事館にリクエストしました。翌日、同総領事館から電話があり、総領事館として、遺族にそういうリクエストが現地の日本語メディアからきているということを正式に伝えることにしたとの連絡がありました。断られるかもしれませんが、こういうことはダメ元でも聞いてみないと前が開けません。どんな回答が来るのか。警察の「事件性がありません」、総領事館の「はいそうですか」となって終わらない何かが、長年の記者の臭覚に絡んでいます。それでは皆さんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2023年11月4日号)

(1)MANGA in New York  ソニー企業株式会社永野大輔社長に聞く

(2)国吉康雄のスケッチ画 アート・スチューデント・リーグで展示中

(3)海外日本人サポート 性同一性障害者の手術強制は違憲、国籍はく奪は合憲

(4)マウイ島に寄付 NY日本人美術家協会 NY日系ライオンズクラブと共に

(5)日系社会の駆け込み寺JASSI 本多さんを表彰、矢野さん熱唱

(6)腸を大切にする習慣を 日本美腸協会認定講師 松山友美さん

(7)青木恵子さんが講演 コスメプラウドが無料美容セミナー

(8)はっぴいえんど 2作品がアナログ版で米国発売

(9)女子プロボクシング 吉田実代 第2戦11月7日

(10)日本の短編映画祭 第12回NYジャパン・シネフェスト