【今週の紙面の主なニュース】(2023年11月25日号)

(1)1位に別府 人気旅行先ランキング

(2)救世軍社会鍋 年末の風物詩

(3)アニメNYC 熱心ばファンで満員

(4)怪奇大正映画特集 ジャパン・ソサエティーで

(5)阿波踊り本場で優勝 アメリカ連の皆さん

(6)ジェトロNY事務所 NY市と協力署名

(7)生き生きEATS

(8)Brooklynのヤマモトさん

(9)美容室NYで半世紀、画廊主も 田原みちさん

(10)日本のいいとこ再発見 冬の主役は宮城県!

救世軍、社会鍋

年末の風物詩

 社会鍋は救世軍(サルベーション・アーミー)がクリスマスシーズンに行っている街頭募金運動だ。生活に困窮している人々を支援するために行っている。三脚に吊るした鍋が目印で、日本では俳句の季語にもなっている年末の風物詩。募金を入れてもらうために設置する鉄鍋のこと自体も「社会鍋」と呼ばれている。社会鍋は全世界の救世軍で行われており、クリスマスシーズンに行われることから「クリスマス・ケトル(Christmas Kettle)」の名称で親しまれている。鈴の音と賑やなクリスマスソングで歳末ムードの引き立て役でもある。

(18日、五番街50丁目で、写真・三浦良一)

人気旅行先ランキング1位に別府

Booking.com 調べ

世界33か国の旅行者

2万7000人が回答

 オランダのオンライン旅行会社Booking.comは、過去1年の予約状況や前年比増加率などを元に算出した「2024年の人気旅行先ランキング」を発表した。この旅行予測は、同社が33か国の2万7000人の旅行者に行った調査を元にまとめたもの。

 同ランキングのトップに入ったのは日本の「別府」だった。九州・大分県に位置する別府は天然温泉が湧き出る場所で、別府の「地獄」はこの街で最も有名な名所の一つである。2位は、アルバニアのアドリア海沿いの都市ヴロラ。あまり知られていないが、ここでは美しいビーチと活気ある歴史的な町が理想的に融合しており、イタリアの影響を受けた豊富なシーフード料理も魅力的だ。3位はメキシコの都市メリダ。ユカタン半島の中心に位置し、マヤの遺産が色濃く残り、多くのレストランが伝統的な調理法で作られた料理を提供している。ここから日帰りで世界七不思議のひとつ、チチェン・イッツァに行くこともできる。4位以下は次の通り。4位ポートランド(アメリカ)、5位ヴァルケンブルグ (オランダ)、6位ブエノスアイレス(アルゼンチン)、7位ケムニッツ(ドイツ)、8位ロトルア (ニュージーランド)、9位パングラオ  (フィリピン)、10位ケアンズ(オーストラリア)。

アニメNYC、熱心なファンで満員

【推しの子】トークショーも開催

 日本アニメの祭典「アニメNYC」が17日から19日までの3日間、ニューヨーク・マンハッタンにあるジェイコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターで開催された。

 会場は、「鬼滅の刃」「ワンピース」「スパイファミリー」など、人気作品のコスプレを楽しむ人でにぎわった。ニューヨーク市内に住むヴァビーナさん(22歳)は「東京リベンジャーズ」のコスプレで初めて参加した。「日本のアニメが大好き。来年もぜひ参加したい」とうれしそうに語った。

 特別イベントホールでは18日、人気アニメ【推しの子】の制作スタッフによるトークショーが開催された。会場は熱心なファンでほぼ満員となり、平牧大輔監督は「日本でのアニメイベントのようだ」とアメリカのアニメファンに驚いた様子だった。猫富ちゃお助監督は、現在制作中のアニメ第2期について「第1期以上のワクワクを詰め込んでいるので、ぜひ楽しみにしてください」とファンに呼びかけた。

 会場では他にも、「名探偵コナン」の映画上映や、「ブルーロック」「Fate/Grand Order」など、数多くのイベントが連日開催された。ゲームコーナーには、「太鼓の達人」や「ダンス・ダンス・レボリューション」などのゲーム台が設置され、アニメグッズの販売店のエリアでは、お目当ての商品を求めて行列ができるなど、どこも大盛況だった。日本のアニメ人気の高さを感じさせる3日間となった。

 ニューヨークで開催されるアニメイベントでは、ニューヨーク・コミック・コンがよく知られているが、アニメNYCは日本中心のイベントとして独立し、2017年から開催している。2022年は5万5000人が来場した。  (文・写真、きゃま)

怪奇大正映画特集6作品上映

ジャパン・ソサエティー

 ジャパン・ソサエティー(JS)は12月9日(土)から16日(土)まで、「大正ロマン:幻想と怪奇を描く6つの映画」シリーズを開催し、全6作品を上映する。1920年代から80年代までの日本映画の修復版プレミア上映から、上映自体が非常に稀な作品などを一堂に集め、日本独自の「狂騒の20年代」とも言える大正時代(1912〜26)を、幻想的な夢のように、はたまた悪夢のような怪奇的な世界として描いた作品に焦点を当てる。

 9日のオープニングでは『薔薇の葬列』の松本俊夫監督の遺作となった『ドグラ・マグラ』(1988年)の日本から取り寄せた非常に貴重な35ミリプリントを上映。エディプス・コンプレックスのストーリーに沿った泉鏡花の原作を寺山修司が監督した『草迷宮』の日本から取り寄せた35ミリプリント上映、大正時代に製作され、川端康成らによる脚本を衣笠貞之助の特異な表現で映画化した『狂った一頁』(1926年)、4K修復版として世界初公開となる鈴木清順監督の『ツィゴイネルワイゼン』、舞踏の創始者・土方巽を主要な役どころに配し江戸川乱歩の作品群から脚色した、石井輝男監督作『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』、80年代後半のオカルト・ファンタジー大作『帝都物語』を上映する。

 JSの映画プログラマーで、同シリーズのキュレーターでもあるアレクサンダー・フィー氏は「日本の最も魅力的な時代のひとつを探求する同シリーズは、日本文学の最もオカルト的で想像力豊かなテキストの中から、今日に至るまで翻訳されていないような文章までを取り上げます。エクスプロイテーションからアバンギャルド、アングラまで、幅広いジャンルの作品を集めた同シリーズは、すでによく知られている作品から忘れ去られた作品まで、神話化されがちな大正時代の歴史のさまざまな現実を描いた名作を紹介します」と述べている。

 入場料は一般16ドル、学生・シニアは14ドル、JS会員は12ドル。12月9日の『草迷宮』上映会は特別価格(一般10ドル、学生・シニア8ドル、JS会員5ドル)。チケット・詳細はウェブサイトhttps://japansociety.org/を参照。

(写真)Zigeunerweisen © 1980 presented by LittleMore Co., Ltd.

阿波踊り本場で優勝

「アメリカ連」の皆さん

訪日して会場を魅了

 日本三大盆踊りの一つとしても知られる、阿波国(現・徳島県)発祥の「阿波踊り」。その米国普及活動をしている在米邦人グループ(連)がこのほど訪日し、本場徳島で開催された阿波踊りコンテストで見事優勝した。

 このグループは、2019年にニューヨーク連副連長だった上原博さんが全米5都市の7つの連に働きかけ、同年12月に結成した「NPO法人アメリカ連」の皆さん。

 阿波踊りの魅力をアメリカ人にも伝える目的で全米各地に「連」(グループ)が存在しているが、それぞれ別々に活動をしていた各都市の連を「一緒に活動することで、全米各都市の日本イベントに出演するなどしてより多くの普及活動がしやすくなる」と登記し、上原さんがアメリカ連・連長に就任したものだ。

 だがその後すぐにコロナ禍になり、広いアメリカでは最大3時間の時差もあって一緒に練習することができなかった。「早くアメリカ中に阿波踊りを広めたい」という共通の想いからZOOMなどを駆使して練習を続け、このほど、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シカゴ、ニューヨーク、アリゾナの連からの選抜メンバーが、聖地徳島の「アスティとくしま」で今月4日に開催された世界阿波踊りコンテスト「秋の阿波踊り」に出場を果たした。

 アメリカ連は、大きな会場を意識して、ソロ、デュオ、男、女、踊りの各パート、「お囃子」と呼ばれる音を奏でる担当がそれぞれ輝けるような構成と、阿波踊りの基本は守りつつ「アメリカらしさ」を押し出した選曲、そして基本の踊りにジャズ、ヒップホップ、ストリートダンスなどの要素も混ぜ込んだ踊りで会場を魅了し、見事優勝を飾った。

 上原連長は「これからもアメリカと徳島の文化を融合して、400年以上続く伝統の阿波踊りを全米に広めていきたい。来年はニューヨークやニュージャージーで開催される日本文化を伝えるイベントにも積極的に出演して、より多くのアメリカ人に阿波踊りの魅力を発信していきたい」と話している。

ジェトロNY事務所、NY市と協力関係。覚え書きに署名

 ジェトロ・ニューヨーク事務所(三浦聡所長)は20日、ジャパン・ソサエティー(JS)でニューヨーク市経済開発公社(YVCEDC)と協力関係促進強化を柱とした覚え書き(MOC)を締結し、ビジネス関係強化、経済発展に向けた協力を進めていくことになった。

 北米ジェトロは、グラスルーツ事業として、米国の自治体を始めとした各地域の要路との関係構築・強化を進めているが、本事業もその一環となる。ジェトロNY事務所が書面での同市経済開発局との協力を署名交換するのは初めて。内容は、ビジネス全般にかかる情報交換、イノベーション・エコシステムの構築、ブルックリン・ネービーヤードにおいて開発中のテックハブや同公社が運営する施設におけるイベントの開催や視察の実施、スタートアップ支援協力を始め包括的なものを目指している。当日はジョシュア・ウォーカーJS理事長の挨拶の後、三浦ジェトロNY所長、アンドリュー・キンボールNYCEDC局長がそれぞれ覚書に署名した。

(写真)覚え書きに署名するキンボール局長(左)と三浦所長

家庭でできる美味しいお料理総集編

プロに聞く、生き生きEATS(イーツ)

元気と美味しいを求めて料理の達人が腕を振るう (43)

 今月は、本紙「アートクッキング」でお馴染みの料理研究家、千葉真知子さんに、今年紹介していただいた料理の中から特に読者の反響が大きかった人気レシピの総集編をお届けします。千葉さんはニューヨークカリナリー料理学校、ウイリアムソノマ、パリの名門料理学校ル・コルドンブルー本校をはじめ、イギリス、シカゴのコルドンブルー料理学校でも講師を務め、開発を手掛けた電子レンジ調理鍋「クック膳」は経済産業省大賞受賞、現在、電子レンジだけが唯一の調理器具として認められている全米の大学寮に販売展開中と活躍されています。


コロンビアのスープ

 コロンビアの料理は食べたことがありませんでしたが、ニューヨークのコロンビア料理店にご招待いただき、そのとき食べたスープがこれまでに味わったことがなかった、コクのある美味しいスープにやみつきになってしまいました。それからなんとかこの味を作りたいと、コロンビア料理を学び、独自のスタイルのスープが出来上がりました。

パクチーは最も苦手とする野菜でしたが、世界各国の研究所でパクチーの研究されているのを知り、パクチーに対する見方が変わりました。というよりこのスープで好きになりました。

 エジプトの研究によるとウイルス性肝炎など肝毒性を弱める。ポルトガルの研究ではサルモネラ菌、セレウスキン菌MRSA(ブドウ球菌)の増殖を抑制する。

インドの研究では肝臓を保護して、肝臓にたまった脂肪を減らす。心筋梗塞などで傷ついた心臓の筋肉を修復するなどの効用があるとされます。

【材料】 

牛肉塊 600g 

一部骨付き

にんにく 1片

パクチー 1束

(根4本から5本分)

玉葱 1個

人参 1本

じゃが芋 3個

塩 小3

胡椒 小1

水 5カップ

オリーブオイル 大2

【作り方】

1. 大蒜は皮をむいて1片半分に切る。

2. パクチーは洗って3センチに切る。根の部分も洗う。

3. 人参は皮をむいて半分にし、さらに4つ割りに切る。

4. じゃが芋は皮をむいて半分に切る。

5. 鍋に水を入れて①の大蒜、②のパクチー、根の部分、オリーブオイル、牛肉を5センチほどに切って加えて約40分、牛肉が柔らかくなるまで煮る。途中、塩、胡椒を加え、ジャガイモ、ニンジンを加えてさらに柔らかくなるまで煮る。


きんきの煮つけ

 高級魚のきんきもクック膳なら焦がす心配もなく、電子レンジで4分!!

お鍋で煮るのに比べて調味料が少なく、煮崩れの心配がなく、お魚に味がしっかりと染み込んだ美味しい煮魚を作ることができます。きんき以外のお魚でも大丈夫。

【材料】 

きんき 1尾(約250g)

しょうがスライス 5枚

A しょうゆ 大さじ3

みりん 大さじ2

酒 大さじ2

砂糖  大さじ1

【作り方】

1 きんきはさっと水洗いをし、うろこを包丁で取り除く。

2 クック膳があれば、1のきんきとしょうがスライス、Aの調味料を入れて、中蓋を[閉める]の位置にセットし、外蓋をして電子レンジで4分加熱する。通常のお鍋で煮る場合は、平鍋で具合を見ながら調理を。


かにと胡瓜の海苔つつみ

 お酒の肴にぴったりの簡単料理です。胡瓜は新鮮なものを選び、必ず種の部分を切り取り、 パリパリの海苔で包むことで歯ごたえがよくよりおいしくいただけます。

【材料】 

かにの身 1/2カップ

胡瓜 2本  

海苔 適宜 

マヨネーズ 少々

【作り方】

 中心部の種を包丁で取り除き、3センチに切り、さらに棒状に切る。

2.小さめのボウルにカニの身をほぐして入れ、マヨネーズを少々。醤油数滴 加えて混ぜる。

3.海苔は半分に折り、さらに半分に折ってから3等分に切ります。

4.海苔の上に②のカニの身、①の胡瓜をおいて包んでいただきます。


オニオンスープ

 玉ねぎはビタミンやカルシウム、ミネラルをはじめ豊富な栄養を含む野菜です。疲労回復、食欲増進、動脈硬化予防など体調を整える作用があり、血行を良くして体を温める働きもありますので、風邪や体調がすぐれないときにはお勧めのスープです。

【材料】 

玉ねぎ 大3個

にんにく 4片

水 3カップ

赤ワイン 60cc

バター 40g

固形スープ 1個

塩、胡椒 各少々

プロセスチーズ 適宜

【作り方】

1.玉ねぎは皮をむいて半分に切り、スライスする。

2.にんにくは粗みじん切りにする。

3.バター30グラムを鍋に入れて溶かし、にんにくを炒め、玉ねぎを加えて玉ねぎがきつね色になるまで中火で炒める。途中で残りのバターを加えてさらに炒める。

4.玉ねぎがきつね色になり、とろけるような状態になりましたら、水、ワインを入れてゆっくり煮る。固形スープ、塩、胡椒を加えてさらに煮る。

5.ココット型にオニオンスープを入れて、上にチーズをのせてオーブン約7分または電子レンジで約1分、チーズが溶けるまで加熱をする。

これは流行る…私には理解できるぞッ、BREEZE

【3】

 今回ご紹介するのはManhattan Avenueに新しくオープンした四川料理のBreezeです。クリーンな木目調の店内でとても本格的な四川料理を楽しむことができます。おしゃれな雰囲気だけで終わってしまうお店も多い中、Brooklynでこんなにおいしい中華が食べられるなんて感激です。接客もピカイチで、流行らない理由が見つかりません。ドリンクもしっかり強くて、えっと悪いところが一つも見つからない。オープンしたばかりですが、これからどんどん有名店になる予感!それにしてもGreenpointにはここ最近アジア系のお店が増えました。ポーランドの文化と相まって、私にとってはすごく落ち着く場所なのです。

 ヤマモトレミ 89年生まれ、福岡県出身の漫画家。2017年に仕事の異動で東京からNYへ移住。日本食スーパーで社員として働きながら趣味で漫画を描いていたら楽しくなってしまい2021年に退職、漫画家として本格的に活動を開始。2023年現在ブルックリン区在住。単行本発売中!

(Instagram:@Yamamotoinnyc)

美容室NYで半世紀、画廊オーナーの顔も

ミチ・ビューティーサロン、ギャラリー60NYCオーナー

田原みちさん

 来年2月に、ニューヨークで美容室を営んで50周年を迎える。現在、レキシントン街近く60丁目の「みち美容室」を中心に、ミッドタウンイースト、ロウアーイーストサイド、ニュージャージーに計4店舗の美容室を経営している。12月には、60丁目の美容室内にこれまで仮設アート展示場として使っていた壁や場所を改装して本格的なギャラリースペースを作り「ギャラリー60NYC」として営業を開始、美容サロン経営者のほかに画廊オーナーの新たな顔も加わった。

 田原さんが来米したのは1972年。日本では雑誌、テレビCMのヘアスタイリストとして活躍し、東京のスタジオで一緒に仕事をしていた須賀勇介さん(故人)がニューヨークへ旅立ったことがニューヨークに目を向けるきっかけとなったという。74年に日本クラブ地下の美容室で働き始め2年後に独立。美容師のほかに、もう一つ大事なニューヨークでの仕事となったのが着物の着付けだった。来米した当時のテレビドラマでの着物は、中国、韓国、日本のごちゃ混ぜの時代だった。それが残念で気に入らなかった。天皇皇后陛下ご結婚の時には、米国のテレビ局での日本の花嫁のデモストレーション、ABC、NBCの全米ネットで着物、着付けの紹介、ボタニックガーデンの桜祭りの着物ショーなど引っ張りだこで、チャンネル1で「New Yorker of the week」に選ばれたことが「私の人生の中で一番嬉しいことでした」と振り返る。「日本の文化をきちんと紹介するために頑張りましたよ。今では、若い人たちの活躍もあって、本当の日本の着物、綺麗な着付けをニューヨーカー達もお寿司と同じように理解してくれてますね。私の着付けは、長い間大使夫人達のささやかなヘルプをさせていただけたことでしょうか」と話す。

 画廊開設のきっかけとなるアートとの関わりは、ニューヨーク東京姉妹都市の日米文化交流事業として1996年にスタートした陶芸コンテスト。主催者として来年で24年目、通算20回目の開催を予定している。日本クラブでの同コンテストは今後も続けていくが、ギャラリー60NYCは、貸し画廊として若い作家たちのNYデビューを応援できるような存在を目指したいという。だがギャラリーはあくまで副業で、本業は美容室の経営という軸足はぶれることがない。「私は美容師が大好きなんです。死ぬまで髪結でいたいんです」と笑顔を見せた。

 (三浦良一記者、写真も)

冬の主役は宮城県! 故郷自慢案内

温泉、仙台グルメ、スノースポーツ

日本のいいとこ再発見

 10月28日号の岡山県岡山市に引き続き、宮城県の魅力をご紹介したい。宮城県出身の筆者の考える宮城県のベストシーズンは秋冬である。「ただでさえ寒い時期にわざわざ寒い東北地方か・・・」と思う方もいるかもしれないが、秋冬の宮城県の魅力は想像以上である。今回はおすすめの過ごし方を北・中央・南の3つに分けてお届けしたい。

(1)北〜温泉満喫プラン〜

紅葉真っ盛りの鳴子大橋

 日々の都心生活にお疲れのあなた、そろそろ“プチ湯治”が必要ではないだろうか。宮城県北部の大崎市に位置する鳴子温泉郷は、数多の温泉がある東北地方の中でも“奥州三名湯”の一つに数えられる温泉地である。日本にある11の泉質(旧泉質)のうち8種類が集まっている鳴子温泉は古くから湯治場として人気があった。江戸時代には近隣地域の農民が繁忙期に重労働を行った後、閑散期である冬に鳴子温泉を訪ねて温泉を堪能し心身の疲れを癒す“湯治”という文化があり、彼らは大抵自炊を行いながら2〜3週間温泉をゆっくり楽しむのである。特に何をするわけでもなく、湯に浸かり、他の湯治客とふれあいながらのんびり過ごす。日々パソコンやスマホと睨めっこをし、人間関係にストレスを感じている私達も、2〜3週間とは言わずともそろそろプチ湯治が必要ではないだろうか。

 その際にはぜひ「湯めぐりチケット」もご活用いただきたい。チケットには6枚のシールが付いており、シールを使って加盟温泉で入浴すると現金で入浴するよりも割引になり、気軽にバラエティに富んだ温泉を楽しむことができる。(写真上)雪景色の鳴子温泉

 10月中旬から11月中旬にはぜひ鳴子大橋からの紅葉も味わってほしい。大谷川が刻んだ深さ100メートルにおよぶ大峡谷が、紅葉の時期には鮮やかな赤や黄に彩られ、大深沢橋からの眺めはまさに絶景。峡谷沿いには自然遊歩道も整備されているので紅葉狩りを楽しむこともできる。

(2)中央 〜仙台クリスマス&グルメ満喫プラン〜

冬の仙台名物、光のページェント

 何日も時間が取れないというあなたにも、東京から日帰りでも杜の都仙台を満喫できる「仙台クリスマス&グルメ満喫プラン」をご紹介したい。ケヤキ並木が美しい定禅寺通(仙台駅から電車で5分、徒歩15分)では、毎年12月に冬の風物詩「SENDAI光のページェント」が行われる。今年で38回目を迎えるこのイベントでは、ケヤキ125本に約47万球のLEDが灯され、定禅寺通をシャンパンゴールドに染める。宮城県民定番のクリスマスデートスポットである。中には1つだけ幻のピンクの電球があると言われており、見つけると幸せになれると噂されている。公式サイト曰く「ピンクの電球の有無は、SENDAI光のページェント実行委員会では把握しておりません」とのことだが、目撃例は複数報告されているのでぜひ大切な人と一緒に探してみてほしい。また、定禅寺通沿いには、ページェントを眺めながら名物の牛タンや日本酒を楽しめるお店が多数あり、絶景を見ながら食事もできる。ページェントの時期は特にすぐ予約が埋まってしまうので、早めの予約をおすすめする。

(3)南 〜アクティビティプラン〜

絶景!蔵王の樹氷

 東北の冬と言えばやっぱり雪!雪を元気いっぱい楽しみたい方には、宮城県南西部に位置する蔵王町周辺をお勧めしたい。蔵王は宮城県と山形県の両県にまたがるエリアで、積雪が多いためスキーやスノーボードを楽しめるスキー場が複数あるほか、冬がもたらす絶景「樹氷」を楽しむことができる。樹氷とは、数多のアオモリトドマツがシベリアからの強い季節風によって運ばれた雪と氷を纏う現象を指し、世界でもあまり類をみない氷と雪の芸術品である。数多のマツが雪と氷を纏う迫力満点の光景は、“スノーモンスター”とも呼ばれている。ライトアップされた樹氷を間近にみることができるナイトクルーザーも運行されているので、昼はスキーやスノーボードを、夜は樹氷をそれぞれ楽しむことができる。また、蔵王は酪農が盛んな地域のため、チーズインハンバーグ、チーズピザなどチーズ料理も堪能して欲しい。特にクリームチーズは絶品でニューヨークのクリームチーズも裸足で逃げ出す美味しさである。

 以上、冬の3つの満喫プランをご紹介したが、宮城県は老若男女誰がいつ来ても楽しめる魅力が満載である。皆さんの次の帰国時の旅行プランにはぜひ宮城県を! (宮城県庁/一般財団法人自治体国際化協会派遣・ 長沼理紗、写真はすべて「みやぎデジタルフォトライブラリー」提供)


※ご帰国観光のご案内コーナー

■仙台宮城の観光・旅行情報サイト 宮城まるごと探訪(https://www.miyagi-kankou.or.jp/)

■鳴子温泉観光協会(https://www.welcome-naruko.jp/)

■仙台光のページェント(https://sendaihikape.jp/about_us/2023overview/)

■蔵王町観光物産協会(https://www.zao-machi.com/)


編集後記 2023 11_18

編集後記

 みなさん、こんにちは。エリック・アダムスNY市長とアシュウィン・バーサン同市保健精神衛生局長が今月1日、ニューヨーク全市民の寿命を延ばすことを目的とする新たな健康計画を発表しました。「ヘルシーNYC」と名付けられたこの計画では、糖尿病を含む慢性病や栄養関連の疾患、早期発見可能な癌、薬物の過剰摂取、自殺、産婦死亡、暴力、新型コロナウイルス感染を含む早死の原因に取り組み、2030年までにニューヨーカーの平均寿命を83歳まで引き延ばすことを目的としています。2019−20年の同市の平均寿命は、新型コロナウイルス感染の影響で、過去5年で初めて78歳まで低下していました。新目標を達成するためのいくつかの施策の中に、いかにもアメリカ的だなあ、日本にはないなあという項目がありました。例えば、薬物過剰摂取に対しては、ナロキソンや承認されたハームリダクション、治療のアクセスを増やし、リハビリ施設を増設する。人種コミュニティやLGBTQA+の若者に早期に介入し、精神的なヘルスケアや社会支援を拡大、SNSの若者のメンタルヘルスや自殺に対する影響と問題に対処するというものです。若者が薬物過剰摂取で死亡するケースが米国ではことさら深刻で、とりわけニューヨーク市では若者の死亡原因のトップクラスになっています。若くして死亡する人が多ければ、当然、平均寿命は短くなります。NYではたばこを吸う人はめっきり少なくなりましたが、電子たばこや大麻の使用が大手をふるっています。喫煙人口の多い日本では、肺がんで亡くなる人が多いですが、長年たばこを吸って健康を害するのは大体大人になってからです。一方、鎮痛剤など薬物大量摂取で米国で亡くなっている人の多くは十代の若者です。若者が死ななければ平均寿命は伸びるという算段です。ですので、薬物で死亡する若者さえいなければ、本当は、ニューヨークやアメリカの平均寿命はきっともっと長いのかもしれませんね。私は40歳の時にたばこをやめました。長生きするかどうかは分かりませんが、NYの目標平均寿命年齢まであと20年もないことを考えると、人生は案外短いものかもしれません。「何もしないでいるには人生は長過ぎ、何かを成し遂げるには人生は余りにも短すぎる」と誰か偉い人が言ったのを覚えていますが、何もしないのに人生が短く感じるのはいったいどうしたものでしょう。それでは皆さんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)