春を呼ぶ 地下の花 6番線28丁目駅

 公共アート作家として知られるブルックリン在住のナンシー・ブラムがこのほど、都市交通局(MTA)アーツ&デザイン部とマジソン・スクエア・パークと提携して、地下鉄6番線28丁目駅のホームに、花が咲き乱れているような壁画を施した。
 同作品「ローミング・アンダーフット(足元の散策)」には、ハシバミやスイセン、ツバキなど、マジソン・スクエア・パークの多年性植物をガラス製のモザイクで描いている。 (写真・高田由起子)

チビ太がケケっと笑う本

赤塚不二夫+杉田淳子・著  小学館・刊

 昭和30年代に子供時代を過ごした者にとって、赤塚不二夫という漫画家は、名前の「文字面そのもの」ですら大きな意味を持つ特別な存在だった。名前の背後に、おそ松くん、チビ太、イヤミ、デカパン、だよーん、だじょー、トト子ちゃんの顔がすぐ浮かび、続いて天才バカボンのパパや、ニャロメ、ケムンパスのキャラクターのオンパレードとなる。もちろん、日本の漫画界では、手塚治虫が頂点だが、赤塚不二夫や、オバQやパーマンを生み出した藤子不二雄、ブラック団のつのだじろうたちは、子供目線で、馬鹿げたお笑いギャグ漫画を連発して子供たちを抱腹絶倒の渦に巻き込んでいった時代のヒーローたちだった。
 なかでも、特段、赤塚不二夫の漫画には、暗さや危なさのないナンセンスが満載で、時に子供達に世の中の現実を新聞や大人たちが目にする書籍ではお目に書かれないリアルさで伝えた。
 作品の中で、こんなエピソードの漫画があった。目の前に、ぐでんぐでんに酔っ払った中年オヤジがいて、会話のろれつもまわらず、目もうつろ、返事もめちゃくちゃで、手足もフラフラに畳の上に投げ出して、どう見ても泥酔状態。実は、この状態が、この男性にとってのしらふ状態で、コップ酒を一気飲みした瞬間、その男性は、いままでのぐてんぐでん状態が嘘のようにシャキッとなって、顔立ちもまともな紳士に早変わり、背筋も伸びて眉間にちょっとシワを寄せて、七三に分けた髪で畳に正座し、眼鏡に手を添えて一言。「いや、すっかり酔ってしまいました」と神妙に言う。酒を飲んだ方がキリッっとしてまともになる不条理を子供にも分かるように描いた。いまとなってはどの作品のなかのどのコマだったのかは思い出せない。あれは、赤塚自身のことだったのかもしれない。
 今回小学館から発行された『これでいいのだ・・・さよならなのだ』は、ほぼアルコール依存症になって、病室にまで酒を隠し持って酒と縁を切ることができなかった赤塚不二夫の日常生活を本人が2000年3月から翌年5月まで月刊『サライ』で連載したコラムにシンクロさせて当時漫画編集者だった杉田さんが彼の死後10年後に綴った回顧日記のような本だ。
 ピーク時には、週刊誌5本、月刊誌7本に連載を持つ超売れっ子で「漫画家開店休業」時代も講演会、サイン会に全国を回った。旅先でもホテルの部屋を出ることなく、テーブルに酒の小瓶を並べて酒びたり。20代前半からそんな生活をしていた様子がわかって、あれだけの名作、名キャラクターの数々を生み出したギャグ漫画家の素顔に触れる思いだ。
 トキワ荘時代からアイデアを生み出すために布団にもぐってウーンウーンと唸って苦しんでいる姿が目に浮かぶ。そんな時に苦し紛れに飲んだ酒から次々とアイデアやキャラクターが生まれていったのかもしれない。本書は、天才ギャグ漫画家の漫画よりも漫画っぽいハチャメチャドタバタのちょっと哀しい普通の日々が織り込まれている。(三浦)     

なき母に捧げる舞台NYで

演出家/劇作家
神沢希洋(かみさわ・きよう)さん

 2月末開催のニューヨーク・ウインター・シアター・フェスティバルで自作の「ユヤ」を披露する神沢希洋(かみさわ・きよう)さん。

訪日で対日理解促進

コロンビア大の45人が3月出発
企画の邦人学生支援求める

中西さん(左)と臼田さん
 コロンビア大学公共政策大学院の学生研修旅行(ジャパントリップ2019)を企画した日本人学生が助成金を求めている。3月の出発に向け米国で1万ドルを目標にクラウドファンディングを開始した。
 同研修は、同大学で学ぶ日本人有志が毎年企画、今年で13年目を迎える。企画者には官庁からの留学生も含まれていることから、国会議事堂訪問や政治家とのセッションが含まれているのが魅力の一つ。今年の日程は、3月17日(日)から23日(土)まで、15か国出身の学生45人が東京、広島、京都を訪問する。
 助成金集めに奔走する中西良太さん(30、国土交通省)、白田直樹さん(27、国土交通省)が8日、本紙編集部を訪れ、企画を説明して日系社会からの援助を求めた。
「中国やインドの経済力が高まるにつれて、日本の国際的な存在感が小さくなっていくという危機感を抱いている。ジャパントリップは、参加者の多くが、将来、各国政府機関や、国際機関での勤務を志望しており、知日派を増やして日本のプレセンスを高めることに貢献する」と話す。今年参加予定のインドからの留学生は「アジア人として、日本の経済発展、成功に刺激を受けている。日本の政策担当者との議論を通じて、母国インド、これまでに住んでいたバングラディシュに持ち帰ることができるアイデアを学びたい」とコメントを寄せている。
     ◇
 寄付はウェブサイトhttps://camp-fire.jp/projects/view/122091から。
問い合わせはEメールrn2457@columbia.edu(中西さん)、またはnu2172@columbia.edu(臼田さん)まで。

犬の博物館 NYに戻る

 犬の博物館が8日、マンハッタンのグランドセントラル駅から1ブロックという至便な場所で再開した。
 王室や大統領のペットの肖像画や、人類と犬との歴史を振り返る3000万年前の遺物などが展示されるほか、犬のバーチャル調教訓練もできる。もともと同館は、1982年にニューヨークでオープンしたのち、87年にミズーリ州セントルイスに移転したが、入場者数が増えなかった。このため約30年ぶりにニューヨークに戻ることとなった。博物館に実際の犬はいないが、来訪者が「犬の歴史を理解」できるようにしたいと思っている、と館長のアラン・ファーソルさんは話している。入場料大人15ドル、12歳以下5ドル、シニア、学生10ドル。

American Kennel Club
Museum of the Dog

101 Park Ave. (bet 40th & 41st St.)
Tel: 212-696-8200
開館時間 10:00〜17:00 月曜休館
www.museumofthedog.org

市経済開発局が環境面で前向き判断

クイーンズのアストリアとブルックリンのサンセットパークとを結ぶ路面電車計画が実現に向けて一歩

 2016年にニューヨーク市のデブラシオ市長が構想を発表したクイーンズとブルックリンを結ぶ路面電車「ブルックリン・クイーンズ・コネクター(BQX)が実現に向けて一歩前進した。
 同市の経済開発局が5日、環境面での影響について前向きな判断を発表し、家賃や物価の高騰などのマイナス面もさることながら、沿線住民にとって有益な足となることが報告された。
 同計画は、クイーンズのアストリアとブルックリンのサンセットパーク、約11マイルを南北に結ぶ交通網。特に約4万人が住む低所得者住宅がある地区は、バスや地下鉄などの路線が不便で、「陸の孤島」とも言える。
 ニューヨーク市を走るバスや地下鉄は、メトロポリタン交通局(MTA)の管轄下だが、同路面電車や2017年に始まって大好評のNYCフェリーはニューヨーク市独自の管轄となる。デブラシオ市長は、昨年8月に実施した実現の可能性を探る調査の後で、10億ドルの資金援助を連邦政府に求めている。
 総工費予算は約27ドル、当初は2019年着工予定だったが、現在では着工が24年以降になるとも予想されている。

倉岡夫妻偲ぶ会東京で

帝国ホテルに160人参列

故・倉岡氏
 東京の帝国ホテルで7日、レストラン日本OB会主催による「倉岡夫妻を偲ぶ会」が開催され、生前の倉岡伸欣(のぶよし)さん、妻の璄子さんの写真と花壇が飾られた富士の間には、同レストランに通った160人余りが集まった。

NYファッション・ウィークで活躍する日本人たち

同時に作業
ユキエ・ネイルNY代表
名取由稀江さん

 エンパイアニューヨークネイルスクール東京CEO&ファウンダー、ユキエ・ネイル・ニューヨークを経営するネイリストの名取由稀江さんが今回のニューヨーク・ファッションウィークで6本のショーのネイルを担当した。

ヴィーガン料理の魅力を発見

野菜の可能性を精力的に開拓

 ミシュラン三つ星を持つ現代米国料理店「イレブン・マディソン・パーク」で副料理長を務めたチャンプ・ジョーンズ氏が、2018年9月にヴィーガン・レストラン「サンズ」を開き話題を集めている。
 ジョーンズ氏は菜食主義者ではない。「温暖化などの環境問題に面して、一般消費者が菜食に関心を高めるなか、美味しい野菜料理を提供する店は稀少。ヴィーガン料理の「動物系素材の代用」というイメージを払拭するような魅力ある野菜料理を、自分なりに探求したいと考え当店を開きました」と話す。
 簡潔なメニューにはデザートを含め16品を用意。4〜19ドルと手頃な価格設定だ。一例は「プラムのテリーヌ」。フェアトレードのパームオイルにシナモンやクローヴなどのスパイスで溶けるまで煮込んだプラムを織り込み、スムーズで濃厚なフォアグラさながらの食感を実現。オリーブオイルと豆乳で作るしっとりとした自家製ブリオッシュとともに供する。
 また「芽キャベツのシーザーサラダ」は、芽キャベツのローストに豆乳、オリーブオイルとレモン汁のドレッシングをからめた一品。仕上げには、木綿豆腐を茹でて乾燥させた後リンゴの木で燻(いぶ)した硬い豆腐をパルメザンチーズ同様に削いで散らし、コクのある味わいに仕上げる。「硬い豆腐は日本の鰹節からヒントを得ました」とジョーンズ氏。さらに胡椒と麹だけで味噌を試作するなど、野菜の可能性を精力的に開拓している。
 週末のブランチには、卵なしでしっかり満足させるアボカドのエッグベネディクトなども用意している。客層はヴィーガンの友人を伴った非ヴィーガンが目立つといい、一般への広いアピールを示唆する。
 同店は話題のショップやレストランが林立するブルックリンのキャロルガーデンズに立地。28席のクリーンでミニマリストなデザインも人気の理由だ。きめ細かなサービスとともに、ヴィーガン料理の魅力を開眼させる魅力的な店である。
(ニューヨーク在住ジャーナリスト/片山晶子)

Sans
329 Smith St. Brooklyn, New York 11231
Tel: 929-337-6292
ディナー 17:30〜22:00 (金・土曜23:00)
ブランチ 土・日曜 11:00〜14:30
月・火曜は休み
www.sansbk.com

アポロ劇場85周年

若い才能を発掘する殿堂

ダイアナ・ロス
スティービー・ワンダー

アレサ・フランクリン
 ハーレムにあるアポロシアター(西125丁目253番地)が1日、竣工85周年を迎えた。

有田焼の魅力PR

佐賀県が支援事業
参加の業者も手応え実感

 佐賀県では、マーケットとして有望な米国市場における有田焼の販路開拓及び流通・販売の仕組みづくりを支援するため、佐賀県米国市場開拓推進事業(「∞ARITA(アリタ)」プロジェクト)を実施している。

極寒と孤独との闘い Arctic

 北極圏に取り残された男の自然との壮絶な闘いを描くサバイバルもの。極寒と孤独に耐えながら一日、また一日と死と隣り合わせで今日を生きる。