移民ビザ申請拒否

医療費払えない人やオバマケア

 トランプ大統領は4日、移民ビザ申請者が健康保険または医療費の支払い手段があることを証明できなければ米国への入国を禁止する大統領宣言を発表した。
 移民ビザ申請者は、米国入国後30日以内に要件を満たした健康保険に加入していること、または「合理的に予見可能な医療費を支払う」財政的手段を持っていることを証明しなくてはならない。11月3日より適用される。 
 低所得者向け公的医療保険のメディケイドや医療保険改革法(通称オバマケア)適用の援助のある健康保険は認められない。この宣言が適用されると経済的手段を持たない人々が米国に移住することがより困難になる。
 11月3日以前に移民ビザを取得している場合は適用されない。また米国市民の子供、同伴者のいない未成年者、1年以内に米国に戻ってくる永住者、米国政府で働いたイラクおよびアフガニスタン国民の「特別移民ビザ」所持者とその家族、難民、亡命申請者などは対象外となる
 トランプ大統領は「この国に入国する移民は、医療制度とより高い費用などのさらなる負担を納税者にさせるべきではない」と宣言で述べた。来年の大統領選挙を前に移民に対し不満を持つ層にアピールする狙いがあると思われる。
 トランプ政権は、8月に低所得者の移民には永住権(グリーンカード)取得やビザ所得を制限するとの移民規制を発表し、10月15日から実施するとしているが、違法性が高く無効としてカリフォルニア州、ペンシルベニア州、メーン州、オレゴン州、ワシントンDCなどが原告となりサンフランシスコの連邦地裁で裁判が行われている。

美味しいお米でおにぎり

春夏秋冬
久保修ワールド FEEL JAPAN NOW

 日本の美しい秋の農村原風景を一つ選ぶとしたら、棚田があるだろう。
 山間部など傾斜面に階段状に作られた棚田は、一つ一つの水田は小さいが、効率的に米を収穫する先人の知恵が多くの部分で見られる素晴らしい場所の一つだと思う。
 山の斜面に作られた棚田や場所によっては、海や川が見られる棚田風景は魅力的で作品にしたくなる場所が多い。
 春の田植え前に水田に張られた水が鏡のように煌めき、のどかな里山の美しさを水面に映し引き立ててくれる。夏は、成長した稲穂の瑞々しい緑と海の青、その向こうの青い空のコントラストがとても美しい。秋は、収穫時期の黄金色の稲穂が風に揺れて情緒ある光景は感動を与えてくれる。 
 冬は、真っ白な雪に包まれて雪化粧した美しい棚田の曲線が幻想的で自然の創り出すアートだと思う。
 最近は、イルミネーションを点灯させて夜の棚田を浮かび上がるような演出もあるが、僕は夕日や月明かりの自然の力で見るのが好きだ。
 このように魅力的な棚田を、昔ながらの農法と年間を通して異なる表情を持つ美しい景色を守り続けていただきたいと思っている。
 今年も間もなく届く棚田で取れた新米は、自然の恵みですくすくと育ち農家の「人」の手間暇かけて採れた味は、「ねばり」「甘み」「旨み」を感じる。
 大きいお握りにして食べるのが待ち遠しい。
(くぼ・しゅう、東京都在住、切り絵画家)

美容最先端を体験

日本からヘアデザイナー30人が研修

左から研修生の山田奈緒さん、波多氏、研修生の佐々木理人さん

 ニューヨークの日系ヘアサロン、モモタローの社長、サミー宮本さんの「若手にもっと海外に出てもらって外国の美容を知ってもらいたい」との希望に応え、東京青山にビューティーサロンを構える「Max Blonde」の代表取締役、波多晋さんが昨年に引き続き、今年も日本全国から約30人の美容師と美容院オーナーを引率してニューヨーク入りした。
 10日には米国人モデル10人を使ってマンハッタンのミルボンUSAで実習体験。モモタローの上田和則さんからヘアのトレーニングを、フリーのヒロ・ヨネモトさんからメイクの特訓を受けた。
 波多さんは「多様な民族や、世界水準のセンスと価値観が集まるこの街で活躍する美容師達から、今、日本で必要とされるグローバルな感性と技術を学んで持って帰り、これからの日本や世界の美容界を盛り上げる大きな活力になってもらいたい」と話す。
 (取材・ワインスタイン今井絹江/下の写真も)

人間空手貫く

誠道塾43周年記念大会

 世界誠道空手道連盟誠道塾の創立43周年を記念する空手トーナメントが12日、マンハッタンのジョン・ジェイ・カレッジで開催された。当日は、型、組手が披露されたあと、各地区道場で勝ち抜いてきた選手たちがプロテクターをつけて熱戦を繰り広げた。
 創設者の中村忠会長は、大山倍達率いる極真会で「極真四天王」の一人に数えられ、1966年に同会支部設立のため来米、75年極真会館を脱退し76年に誠道塾を設立。二代目の彰さんと築いて来た誠道空手の精神は、空手を通して豊かな人間形成をすることを目的とした「人間空手」をモットーに米国における空手道の普及に貢献している。
 空手の型のデモンストレーションで目の不自由な選手たちが、違いに身体の距離を手探りで取りながら見事な型を披露すると会場から大きな拍手が沸いた。70年代にタイ式キックボクシングでチャンピオンとなった沢村忠は、中村会長の「忠」の名をもらってデビューした逸話がある。
 当日はニューヨーク日本総領事館の村上広報センター長が来賓を代表して祝辞を述べた。同塾は年内にマンハッタン23丁目から新道場へ移転を計画している。

史佳NY公演の成功

新潟県人会の結束が支える

 三味線奏者、小林史佳の10月5日のカーネギー公演は、600席が満席となる盛況だった(本紙10月12日号既報)が、その陰に彼を支えた同郷ニューヨーク新潟県人会の結束があった。同県人会の会長で今回のカーネギー公演エグゼクティブ・プロデューサーを務めた大坪賢次さん(大坪不動産社長)は「これまで過去に何度も同郷の大物歌手や音楽家からカーネギーでやりたいと頼まれたが全部断ってきた。だが史佳さんの熱意には打たれた」と話す。
 大坪さんの元には公演後、ニューヨーク在住各界からの感謝のメッセージが寄せられた。「カーネギーホールで演奏する機会をいただきまして、感謝の言葉もありません。また、大変に盛況な打ち上げに新潟県のパワーを実感」(NY総領事、山野内勘二大使)、「今回のご盛会、大坪社長の熱意と人脈があってのことと、いつもながら敬服」(本田修国際交流基金NY事務所長)、「母・息子(師匠・弟子)の何とも息のあった演奏は圧巻。ファンとして応援したい」(畠山一成ジェトロNY事務所長)、「日本人のパワー、特に新潟県民の皆様の結束力を感じた」(マウントフジオーナー多田貴将さん)など、今回の公演が、新潟日報社を初めとした同郷スポンサーだけではなく、TICグループなど地元ニューヨークの日系財界の応援が強くあったことを伺わせる。公演直前に林茂男南魚沼市長が来米したのも大坪さんが前知事や議員に県の将来を憂い海外で若者の研鑽の機会をとの呼びかけに応えたものだ。NY新潟県人会のダン・リカさんは「市長自ら熱心に国際的な人材育成に取り組まれている自治体が存在することを知り、大変嬉しく思った。自分の子育ての経験から米国大学進学への具体的な準備勉強などのお手伝いができれば」と早速反響があった。

建築から見た東京展

10日のプレス公開に立ち会った、左からアトリエ・ワンの貝島氏、塚本氏、伊藤暁氏、JSの神谷氏

メイド・イン・トーキョー:建築と暮らし1964/2020

 ジャパン・ソサエティーで来年1月まで

五輪開催と社会変遷たどる

 二度目の夏季五輪開催地となる東京。その社会的変遷を建築を通して紹介する展覧会「メイド・イン・トーキョー:建築と暮らし1964/2020」が11日、ジャパン・ソサエティー(JS=東47丁目333番地0)で始まった。建築家ユニット「アトリエ・ワン(英語表記:Atelier Bow-Wow)」の塚本由晴氏と貝島桃代氏とJSギャラリー・ディレクターの神谷幸江が協働し、二つの五輪の開催時期を比較し、建築が人々の暮らしに与える影響、社会・経済・政治的変化を遂げてきたメガシティーの変遷を考察する。会場は、競技場、駅、カプセル、オフィス、住宅、リテールという6つのカテゴリー別に18の建築物を中心に展示。丹下健三氏による国立代々木競技場設計時のオリジナル図面、新国立競技場の模型、霞ヶ関ビル建築中の写真など貴重な展示品も多い。
 来年1月26日(日)まで。入場料は大人12ドル、シニア・学生10ドル、JS会員は無料。金曜6時からは無料(日本語解説ツアーあり)。開廊日時は正午から午後7時(金曜は9時)まで。土・日曜は午前11時から午後5時まで。月曜・祝日は休み。電話212・715・1258、ウェブサイトwww.japansociety.orgを参照。(小味かおる、写真も)

ハロウィーンパーティー用の光る氷 ファンリュージュ

氷の彫刻オカモトスタジオが販売

氷の彫刻で知られるアストリアのオカモトスタジオ(岡本慎太郎代表)は、ハロウィーンパーティー用の光る「ファンリュージュ」を販売中。
 同社のリュージュは、氷で作った容器の上から飲物を注ぎ、中にあるパイプを通じてグラスで受ける形式。氷の彫刻を見て楽しむだけでなく、ワインやジュースを注ぎあって楽しめるグッズとして、ニューヨーカーの間でも人気が高まっている。
 ハロウィーン向けにはジャックオーランタンや骸骨など7数種類(220ドル)から選べる。
 29日(火)までに、プロモーションコード「FALL2019」を入力して注文すると15%引きになる。注文・詳細はウェブサイトwww.funluge.comを参照。

出口の見えない若者迷路

中村 淳彦・著
東洋経済新報社・刊

 本書は、女性、特に東京とその近郊に暮らす単身女性とシングルマザーの貧困問題を考えるため「総論」ではなく「個人の物語」に焦点を当てて紹介している。貧困は、生れや育ち、家庭環境、健康状態、雇用、政策や制度、個人や配偶者の性格、人格など、さまざまな要因が重なって起こる。現実には十人十色、それぞれである。問題解決の糸口を見つけるには、個々の生活をつぶさに見ることで真実を浮かび上がらせるしかないと筆者は語る。一人でも多くの貧困の物語が必要だと取材を始めた本書はその3年間の記録だ。
 登場する女性たちはつぶやく。
「その日暮らしは十分できます。もっと経済的に厳しい人がいるのも十分承知はしています。けど、ずっとギリギリの生活で、なんの贅沢もしていないのに貯金すらできない。年齢ばかり重ねて、私はいったいどうなってしまうのだろうって」
 筆者は、もともとフリーの風俗ライターで、アダルトビデオの女優や風俗嬢の取材、そしてカテゴリーは違うが介護現場の取材を主にしてきた。雑誌の編集者から「貧困問題をテーマに取材しているのですね」と言われて初めて、自分が「貧困」をテーマに仕事をしていたことに気付く。
 この書評を書いている私は、日本を離れてもう随分と年月が過ぎてしまって、記憶にあるのは1980年までの日本なので、かれこれ40年近い時間が過ぎてしまっているため別世界の話のように思える。日本を離れたころに生まれた人がもう40歳になっているということだ。時代がひと回り、ふた回りして、世の中の構造や人々の生活感も随分と変わっているのかもしれない。学校を出て就職してというのが当たり前の時代で、正社員として就職するのが普通だった世の中はもうないようだ。女性の4割が非正規社員ともいわれる。正規と非正規とでは会社が一人の従業員の生活を維持するためのコストが全然違うので、規制が緩めば、大企業も中小企業も労働力は非正規で賄おうとする。若者が生きづらい国になっているとは聞いていたが、本書で展開される個々の現実の壮絶さには息を飲む。高い賃金の仕事に就けないというのが最大の理由のようだ。派遣の仕事や非正規の雇用で転職を続け、仕事のない地方から都会に出て来てすぐに就ける仕事で高収入を狙えるのは、昔風に言うなら「夜のお仕事」となる。男ならキャバレーのボーイからバーテン、ウエイターなどの接客業から行き着く先はホストか、女ならホステス、販売員、風俗嬢などに流れ着く。登場する若い女性たちが、高学歴で、傍からは生活にはまったく困っていそうにない境遇の女性たちが現実には貧困に喘いでいる。本書では、山谷のドヤ街に暮らす生活保護を受けた無職放浪者の方が、生活自体は東京に暮らす貧困女子よりも経済状態がましなことを紹介する。最大の原因は、少子高齢化社会による産業構造のコペルニクス的な変化だろう。平和に見える華やかな都会の裏のリアルな現実を突き付けられる一冊。(三浦)

アコースティックな心のふれあい

Yagull ピアニスト
ハグ・ミュージックスクール主宰

上坪 可奈さん

 ニューヨークを拠点に活動するYagullは、神戸出身のピアニスト、上坪可奈とセルビア出身のギタリスト、サシャ・マルコビック で編成されるアコースティックデュオユニット。既存のジャンルに当てはまらない、洗練されたシンプルで魅力的な心地よいメロディーを魂をこめて演奏する。   
 「自分たちの音楽を聴いた人がありのままの自分でいられる空間を作りたい」という願いを込めて演奏活動をしている。そのためには、彼ら自身が常に自分自身に向き合い、様々な感情を体験することをゆるし、その感情を温かく受け止める。Yagullの音楽を聴いた人にも同じように感じて欲しい、そんな気持ちを奏でる音の一つ一つに込める。 Yagullのこの音楽観は、違う形で彼らの経営する「HugMusic(ミュージックスクール)」でも体現されている。障害を持った子供達も含めた幼児から大人までを対象とするHug Musicでは、可奈とサシャのスキルと経験を活かした音楽レッスン、クラス、そしてミュージックセラピー(音楽療法)を提供し、先生たちは子どもに「教える」のではなく彼らのワクワク、ドキドキ感を大切にしながらインスピレーションやモチベーションを引き出せるように見守る。現在では週に200人以上の生徒が通い、音楽を通して様々な事を学んでいる。  
 Yagullは、最新作「YUNA」(2018) を含め、過去に「Films」(2012)、「KAI」(2014)の3作品リリースしている。前作品「KAI」は可奈とサシャの初共同アルバム。NYタイムアウト誌始め、全世界20か国以上から素晴らしい評価を受けた。Yagullの個人的な体験や経験を音で紡いだ作品「YUNA」(2018)は、発売後すぐに多数の評論を受け高い評価を得ている。
 これまでニューヨークを中心に活動を続けてきたが 日本を始めヨーロッパへも活動を広げ始めている。今年は4月にツアーを東京・神戸で行い両公演ともソールドアウト。6月には、ニューヨーク、8月にセルビア共和国の首都ベオグラードのナショナルミュージアム(国立博物館)でコンサートを行い、国営放送やセルビア新聞、また有名な雑誌に取り上げられた。
「たくさんの人と音楽を通して関わっていきたい。それが自分を受け入れ、心と心の触れ合いを可能にするから」と話す。音楽活動をプレーヤーとして、教育者としてライフワークとして関わっていくつもりだ。11月7日には、ニューヨーク倫理友の会の第19回年次総会で演奏を披露する。(三浦良一記者、写真も)

平和のハーモニー 「世界はひとつ」公演

BRONZE道心が出演
11月10日 NYU Skirball 劇場

 ハーモニーフォーピースは、11月10日(日)午後6時からNYUスカボール劇場(ラガーディアプレイス566番地)で、昨年12月に続いて、平和コンサート「ONE WORLD CONCERT 2019〜Together We Play for Peace」を開催する。
 今回はメインゲストとして日本から、東北をベースに結成されたバンド、BRONZE道心が出演。東北の自然をバックに世界の人たちにその心を伝える楽曲創作や演奏活動をしている。
 ギター、サックスやドラムと共に、日本古来の琴や太鼓を組み合わせ、ロックやジャズを取り入れたすべてオリジナルの曲を演奏する。音楽の力で世界の文化を結び、平和と友情を祝う今回の公演にゲスト出演する機会を得て、アメリカの観客に東北の心と音楽を伝えることを、とてもエキサイティングな気持ちで楽しみにしている。それ以外に、ハーモニー・フォー・ピース財団のピースメッセンジャーとしても活躍するニューヨークや世界から多くのミュージシャンが参加する。
 ハーモニーフォーピースは、カーネギー大ホールを始め各地で公演してきたが、一昨年以降、平和キャンペーン「コネクト」を開始し、ニューヨークのジャズ・アット・リンカーンセンターやフィラデルフィア市のキメルセンター、セントルイス市等でピースコンサートの開催を続けている。今回も、若き演奏家たちが、海外のアーティストと共に、音楽を通して異文化交流の促進を図り、新たな平和への決意をもって、このコンサートにご参加いただける皆さんの心にその熱い願いが届くよう、出演者一同心を一つに取り組んでいる。

本紙読者に特典

 チケット料は28ドル〜58ドル。なお、本紙読者には購入時に「HFP15」コード入力で15%割引。購入は電話888・611・8183(NYU Skirball)、またはウエブサイトhttps://tickets.nyu.edu/oneworldconcert2019まで。

その7:西部の重要拠点アリゾナ州キングマン

魅惑のアメリカ旧国道「ルート66」をフォーカス

 ルート66ファンの皆さん、こんにちは! いよいよハロウィーンの季節も近づき、2019年も集大成のシーズンに移り行く今日この頃、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。東京は10月というのに「最後の真夏日」とのことで、30度超えの日が未だあり、秋はどこ? という感じです。大袈裟に言えば、東京は1年の3分の2は夏の気がします。NY&NJエリアにお住まいですと、気温30度など大したことないと思われる方も少なくないと思いますが、東京都内の湿気が加わればそれはキラーなのです。ここ2年ぐらい夏場に一時帰国された方は実感されたのではないでしょうか。すみません、そんな愚痴は置いておきましょう。とにかくお伝えしたいのはまだ東京は未だに暑くて、今頃は葉っぱの色も変わり始めているであろう、米国東部の美しい秋が恋しい!ということです(笑)、ご容赦。
 さて、今月の魅惑の旧街道を行くシリーズのシーズン③第7話は、アリゾナ州キングマンついてお伝えしようと思います。キングマンの街は過去、シリーズ①でアリゾナ州ルート66を通過する際に触れていますし、シリーズ②でも博物館をベスト10に組み込んでご紹介しました。今回敢えて再々度トピックとして扱う理由としては、やはりキングマンという場所はルート66を語る上で本当に重要な西部の拠点だからです。「ルート66は長すぎてどこから行ったら良いか分からない!」、そのような方はネバダ州ラスベガスに飛んでカジノと一緒に古き良きアメリカの歴史に触れてみるのもいかがでしょうか。
 キングマンは、米国アリゾナ州モハーベ郡の市と郡庁所在地でもあり、昨年の国勢調査では人口約3万人と発表されていますが、実際には近郊のコミュニティーを加えると約5万人弱です。上記でもお伝えした観光しやすい利点の一つは、キングマンはネバダ州ラスベガスの南東約105マイル(169キロメートル)に位置しているということでしょうか。キングマンに行くには、ラスベガスから国道93号線をひたすら南に向かって走るのみで、車での所要時間は2時間程度です。途中にはコロラド河を渡る、かの有名なフーバーダムもあり、中々ルート66に興味を示してくれないパートナーやお子さんを引きずって連れていく? 時も、オプションの一つでは良い理由となります。筆者も過去何十回、何百回と、このキングマン〜ラスベガス間を往復していますが、文字通り一本道でひたすら同じ景色が続くので、ついアクセルを踏み過ぎてしまいます。ポリスも結構うろうろしているので制限速度は守るよう予めお伝えしておきます。(筆者の過去経験は秘密です)その国道93号線はキングマンの街に入るとビール通り(Beale Street)という名が付き、「パワーハウス博物館&ビジターセンター」のある交差点でルート66と交わるわけです。Andy Devine Drive(アンディ・デヴィーン通り)と呼ばれるルート66は街を南北に通る幹線で、おおよそ殆どの観光スポットはこの通り沿いにあると言っても過言ではありません。「パワーハウス博物館&ビジターセンター」は街の中心的アイコンで、ルート66の歴史はもちろんのこと、米国車社会の発展を担ってきた各時代の自動車の展示等の常時展に加え特別展も開催し、何度訪れても飽きません。なお、世界中からのビジターが多いこの博物館は世界6、7か国語のパンフを用意していますが、その日本語版は筆者が担当させていただきました。(プチ自慢で恐縮です、笑)
 ところで、キングマン関連でご紹介したいことが二つほど。筆者も運営に関わっている「ルート66日本アソシエーション」に、早い段階から惜しみないサポートをしてくれているプロミュージシャンの茂村泰彦氏が、10月5日、Diana’s Cellar Doorでライブを行いました! 本当は先月この紙面上でご紹介したかったのですが、タイミングが上手くいかず事後報告となってしまいました。(事前に日本アソシエーションのウェブサイト見てくれてた方いるかな〜?笑)。現地からの報告では、その前夜には「First Friday」イベントでダウンタウン地区での飛び入りライブにも参加した模様。近年アソシエーションの定例懇親会では、必ずその美声とコミカルなトークで私たちを魅了し続けてくれる通称「シゲさん」、今年のキングマンでのライブを皮切りに世界中にその名を轟かせるお手伝いをしたいと筆者は勝手に企てているのですが。
 そしてキングマンと言えば、ジム・ヒンクリー(Jim Hinckley)氏を忘れるわけには行きません。ジムさんは、彼の心はルート66、そしてアメリカ南西部と共にあり! とばかりに最愛のジュディさんと共にキングマンに長く住み、多方面で精力的な活動をされています。彼の肩書は山ほどありますが、何と言ってもその豊富な知識に裏付けされた歴史家としての一面、そして「ルート66百科事典」「ルート66、ゴーストタウン」「ルート66裏道ガイド」「ルート66でするべき100の事柄」に代表される沢山の書物の著者としての一面でしょうか。数年前に最初に会った時以来良い親交が保て、いつもアソシエーションの運営を気遣ってくれながらサポートをしてくれます。キングマンを中心に、ルート66でジムさんの知らない場所はありません。予定が合えば「裏道ツアー」や、キングマン地域の歴史を辿るツアーも快く受けてくれます。もし興味のある方がいらしたらぜひ筆者までご連絡ください、ジムさんをご紹介しますよ! それではまた来月お目にかかります!(後藤 敏之/ルート66協会ジャパン・代表、写真も)