東日本大震災から13年

NYでほくほく会追悼式

郷里への癒えぬ想い語り継ぐ

 2024年ほくほく会(東北6県と北海道で構成)主催、東日本大震災追悼式と懇親会が10日午後、ニューヨーク日系人会館で開催され70人が参加した。

 第1部の追悼式では、 NY青森県人会の金澤恵之会長、NY兵庫県人会の大西ジョシュ会長、ほくほく会代表としてNY宮城県人会の大清水良裕会長が挨拶し、北海道ゆかりの会の 映像作家・溝口尚美さんが「アイヌ民族の昨今の話。衣装や楽器などを体験型で紹介」と題したプレゼンテーションを行った。その後黙祷し、 中川直子(ソプラノ)、金澤恵之(作曲・ピアノ)、青木麻菜美(ソプラノ)、草島叶美(ストリートダンサー)、寺久保エレナ(サキソフォーン)の演奏などのほか、民舞座による東北・北海道の踊りが披露された。

 開会の挨拶をした金澤さんは、震災で12都道府県で1万5900人が犠牲となり、このうち宮城・岩手・福島の3県の合算で1万5833人だったこと、行方不明者が6県で2520人いることを報告した上で、地震当日に被災地で生まれた赤ちゃんが104人いて、その子たちが現在13歳になっていることも話し、前を見て生きて行きたいと述べた。

 大清水ほくほく会代表は震災3日目の避難者数が約47万人、昨年12月現在でまだ約3万人が13年たっても避難生活を続けていること、仮設住宅などの入居戸数は、震災1年後の2万3723人から昨年9月現在で605戸になったこと、水産加工施設は、昨年9月現在で767施設中755施設が業務再開(98%)したことを紹介し、「数字を見ると復興が完了するのもあと少しというようにも読めるが、自治体の首長の多くがこれ以上の復興は不可能と思っているという記事も見た。ということは、あと数パーセントで完了ではなくて、この数パーセントは今後も上がることのないもので、これ以上の復興は望めないということだと思う。取り戻せないものを戻せというのではなくて、ここから新しく始めなければならないのだと思う」と話した。

 第2部の懇親会では、北海道のサッポロビール、シャケとイクラのちらし寿司、岩手の地酒、秋田の地酒ほか、 ずんだ餅、松前漬けなど各県ゆかりの品々が並んで和やかに歓談した。

(写真)ほくほく会代表として挨拶する大清水NY宮城県人会会長(10日JAAで)

海外で働く長所と短所

女性の視点から討論

日本クラブ・JCCIが共催

 昨年開催し好評を得た、NY日本商工会議所(JCCI)と日本クラブ共催のイベント「国際女性デー・パネルディスカッション」が6日夕、57丁目の日本クラブで「海外で働くという選択肢」というテーマで開催された。

 パネリストに大塚泰子氏(デロイトトーマツフィナンシャルアドバイザリー合同会社パートナー)、小巻亜矢氏(株式会社サンリオエンターテイメント代表取締役社長 )、及川美紀氏(株式会社ポーラ代表取締役社長、株式会社ポーラオルビスホールディングス 上席執行役員)、望月良子氏(日米ソーシャルサービス= JASSI理事長、LORMA Advisory Service社長)、伊藤紀子氏(米国みずほ銀行社長兼米州みずほヘッド・オブ・カストディ・サービス)の日米で活躍する5人が登壇し、日本クラブ・JCCIの前田正明事務局長が司会・進行役を務めた。

 「駐在で働く」「駐在から現地採用に切り替えて働く」をもとに、「海外で働くことの意義」「メリットとデメリット」「どのように日本の組織と連携・貢献するか」などを、パネリスト自身の経験を踏まえて活発なディスカッションが行われた。日本での働き方、米国での働き方とその両方を経験したパネリストたちの意見に参加者は大きくうなづいたり、ため息を漏らしていた。 

 「日本は公平性・平等性にこだわりすぎることで、バランスを取るためのルールが必要である」(小巻)、「米国では皆が楽しく働いているイメージだが、日本では働くことは労働対価なので楽しんではいけないという考えもある」(及川)、また米国公認会計士とNY州弁護士の資格を持つ望月さんは「米国で楽しく働けないならやめた方がいいという考えがあるが、自分を鍛えておかないとマーケットが必要だと言われる自分にならない限り仕事がなくなってしまう。日本でいろいろな(嫌な)事があってもアメリカに来ればフレッシュスタートができる、その代わり努力しない限り成功しない」と述べた。

 最後の質疑応答でも会場から積極的に手が挙がり、現在の日本における女性の地位に関する質問が相次いだ。「日本の女性の地位を富士山に例えるといま何合目ですか?」という質問に小巻さんと及川さんは「まだ3合目」と答えた。

 また、当日足を運べなかった人のために同パネルディスカッションのすべてが視聴可能なオンデマンド配信が18日(月)から24日(日)までの期間限定で配信される。視聴料は一般15ドル、会員10ドル。申し込みはhttps://form.jotform.com/Nippon_Club/ondemand-broadcast-womansday2024から。

  (高田由起子、写真・日本クラブ提供)

(写真)日米労働環境や勤労者の意識の違いなど活発な意見が交わされたディスカッション

テレビジャパンの新しい見方を教えます!

今月20日からJmeに切り替え

大型テレビそのまま使える?
「はい、大丈夫です」

 長年、アメリカで見慣れてきた日本語放送テレビジャパンが今月31日で終了して、いよいよインターネット動画配信サービスJmeに切り替わる。

 ウエストチェスター在住のAさんは、大画面の映画館のような60インチのテレビでスポーツ番組やテレビジャパンのドラマを楽しんできたのだが、「放送が切り替わるって、どうしたらいいのかわからない」と困惑している。新サービスは、テレビ放送ではなく、ネットの環境でみてくださいということでパソコンで動画やYouTubeを見るような要領で、これからはテレビジャパンで見ていた番組を含む日本語番組を楽しんでくださいということ。

 では、これまでのように60インチの大画面でテレビジャパンを見る方法は、そのサイズのモニターを専用に買ってくださいということなのか、2台も巨大なテレビ画面を家に置きたくないし、ひょっとしてテレビ画面に取り付けることができるアダプターのようなものが存在するのか、Aさんに成り代わって直接、テレビジャパンに聞いてみた。分かり易い解説をしていただいたので、紙面で紹介する。以下、回答。原文まま。

     ◇

 この度はとても貴重なご指摘、ありがとうございます。あらためて、日頃、テレビジャパンをご視聴され、ご愛顧いただいている皆さまに感謝申し上げます。さて、週刊NY生活の紙面やテレビジャパンの放送の中でもお伝えしていますように、テレビジャパンは今月31日をもって33年の歴史に幕を下ろします。それに代わって今月20日からJme(ジェイミー)という動画配信サービスを開始します。これまでのテレビジャパンと同様、NHKニュースなどの生放送番組や最新のドラマを観ることができる上、ネットフリックスのようなオンデマンドサービスも加わるので、好きなタイミングで豊富なラインナップの中から日本語コンテンツを選んで視聴することもできます。

  Jmeはインターネット環境で観ていただかなければなりません。簡単に言えば、パソコンやスマホ、タブレットで動画やYouTubeを見るような要領です。では、これまでのように60インチなどの大画面テレビでJmeを観るにはどうしたらよいのでしょうか。そのお問い合わせには、次の通りお答えさせていただきます。

  まずはお持ちのテレビがインターネット接続がされているスマートテレビ(日本ではコネクテッドテレビと呼ばれています)かどうかお確かめください。その上で、電源を入れて、Google TVやAndroid TV、Amazon Fire TV, Roku TVという表示が出ていれば、Jmeが観られるスマートテレビです。SONY、 Panasonic、 TOSHIBA、 SHARP、 TCL、 Philips、 Hisense、 RCAといったメーカーの、最近販売されたテレビはほとんどがスマートテレビです。これらのテレビでGoogle TVやAndroid TV、Amazon Fire TV、 Roku TVという表示が出ればJmeを楽しめます。Samsungのスマートテレビでは、近日中にJmeアプリがダウンロードできるようになる予定です。LGのスマートテレビではJmeのアプリはダウンロードできないのでご注意してください。

  一方、直接スマートテレビからJmeを観ることが難しい場合は、テレビにスティック(ストリーミングデバイス)と呼ばれるアダプターのようなものを取り付けて観る方法があります。Amazon Fire TV stickやApple TV、Roku Expressなどのストリーミングデバイスを用います。これらのデバイスは電器店Best BuyやWalmart, CVSなどで、安いものだと20ドル台から販売されています。このデバイスもインターネット接続が必須ですが、これさえあればスマートテレビを買い直さなくても、手軽にJmeをご家庭のテレビで楽しむことができます。ストリーミングデバイスをテレビの後ろのHDMIポートに差し込み、自宅のWi-Fiに接続、スマートテレビと同じように、画面内の検索コーナーでJmeを検索し、Jmeアプリをダウンロードすれば、ネットフリックスやアマゾンプライムビデオなどと同じように楽しめます。JmeのアプリがダウンロードできないLGのスマートテレビであっても、ストリーミングデバイスを差し込んで前述のように設定すれば、Jmeがご覧いただけます。いよいよJmeが始まる3月20日まであとわずかです。これまでのテレビジャパンよりも格段に便利になったJmeにどうぞご期待ください。

JFK空港へ便利に

グランドセントラル駅から

片道13ドル50セント
所要時間約35分

 グランドセントラル駅にロングアイランド鉄道が乗り入れたことによって、マンハッタンからのジョン・F・ケネディ国際空港へのアクセスが格段と便利になっている。グランドセントラル駅からクイーンズのジャマイカ駅まで2駅、所用時間15分から20分(料金片道5ドル)、そこから空港ターミナル行きの「エアトレイン」に乗ってJFK空港到着まで20分(料金片道8ドル50セント)。マンハッタンでの乗り場は、マジソン街47丁目の入り口の真下にあり、グランドセントラル駅ホールから地下道を通って徒歩7分。従来の地下鉄乗り継ぎよりも遥かに便利で早い。ロングアイランド鉄道の運行時間は午前6時から午前2時まで。エアトレインは24時間運行。空港まで片道13ドル50セント、所要時間45分をみておけば十分到着できる。

伊藤詩織さん上映会でBlack Box Diaries語る

MoMA

 フリージャーナリストの伊藤詩織さん(34)が監督を務めたドキュメンタリー映画「Black Box Diaries」の上映会が6日、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で行われた。会場は約400人の観客で満員となった。

 「Black Box Diaries」は、伊藤さんが自身の性被害について綴った著書『Black Box』を映画化した作品で、伊藤さん自身が監督を務めた。

 観客は真剣な表情で画面を見つめ、終了時にはスタンディングオベーションも起こった。

 上映後には伊藤さんとの対談イベントも開かれた。観客への感謝の気持ちと性被害で苦しんでいる人へのメッセージとして「一番大切なことは自分を信じることであり、生きていてほしい」と語った。

 上映会はニューヨークの他、3月10、12日にはテキサス州オースティンでも開催され、世界各国を回る予定だ。

 「Black Box Diaries」は、伊藤さんが元TBS記者から性加害を受けた2015年から、最高裁で勝訴が確定した2022年までの当時の映像と音声で記録し、編集したものである。 日本語と英語半々の構成で、英語が苦手な人でも観やすい映画となっている。映画中には、伊藤さんがホテルに連れ込まれた時の監視カメラの映像や警察からの電話音声なども流れる。

 伊藤さんの素顔はとても印象的で、日本の性犯罪について、改めて考えさせられた。1人でも多くの人、日本人、そして性被害に傷ついた人に届いて欲しい作品である。

 伊藤さんは英BBCなどの海外メディアで映像ニュースを発信している。2020年には、セクハラ被害を告発する「#Me Too運動」を日本で進めたことなどが評価され、米誌タイムの「世界で最も影響力がある100人」にも選ばれている。 (小林香菜子、写真も)

星の奇跡

ザ・ワールドボイス

4月27日、28日

 NPOシアターカンパニー「The World Voice Ensemble」は4月27日(土)午後8時からと、28日(日)午後3時からの2回、アクターズ・シアター・ワークショップ(西28丁目145番地)にて、オリジナルミュージカル「Miracle of the Star」を上演する。

 物語の舞台は2000年、ニューヨーク。星好きなことで意気投合した2人の高校生が、不思議な星の力によって20年後のコロナ禍の世界にタイムスリップ。描いていたものとはまるで違う自分の未来に驚愕しながらも、自分の選択が未来を決めることに気づいていく。何が起きても自分の心に正直に、夢を持ち続ける大切さを伝える物語。作・演出はMakie Armstrong、音楽監督Christos Alexandrou、作曲Jerel Armstrong、勝部由香、コタニシブキ。日米、ギリシャ、フィリピン等、国際色豊かなキャスト、ミュージシャン、スタッフで製作された。出演は、菊地美紀、阿久津桃、田中怜緒直ほか。

 入場料は35ドル。チケット・詳細はウェブサイトhttps://www.theworldvoiceensemble.com/を参照する。

(写真)左から菊地美紀、阿久津桃、田中怜緒直

NYで米ファッション業界の顔を作る

メイクアップアーティスト

荒井麻里子さん

 現在ニューヨークのザ・ウォール・グループというエージェンシーに所属してファッション、ビューティー撮影を中心に、時にはセレブリティのメイクをしている。 主に雑誌やコマーシャルの仕事が多い。学習院短大を卒業後、キヤノンに入社して会社員をしていたが、2006年4月に同社を退職してニューヨークにやってきた。会社勤めをしながら、もともと映画が好きだったので映画関係の業界への転職を考えていたが、それには専門的な技術をつけなければといろいろ試行錯誤した結果、メイクの学校へ体験入学したのがこの世界に入るきっかけとなった。それが本当の入学になってしまい、仕事と両立させながら学校のトータル・ビューティーコースを履修。ヘア、メイク、ネイルを一通り学んでニューヨークに来た。

 人生の新天地にアメリカを選んだのは、中学2年生の夏にロサンゼルスでホームステイを経験し、いつかチャンスがあったらアメリカ留学をしてみたいという気持ちを常に持ち続けていたから。最初は映画の世界に入りたいとの思いからメイクを始めたが、自分の中で、興味の方向が、いつの間にかファッションに向かい、ロサンゼルスではなくニューヨークを選んだ。

 最初は語学学校に通った。知らない人ばかりの中で、それでもメイク関係の知り合いが何人ができ、紹介を受けながら無報酬でメイクのアシスタントなどをしながら、徐々にファッション関係のメイクの仕事が増え、独立した。

 美容と異なり、プロのメイクアップはその日限りの瞬間芸的アートとも言える。舞台が終わるまで、撮影が終わるまでの勝負だ。時にはクライアントから紹介されるモデルのイメージが、実物の素顔と全く異なることもあり、クライアントの見えないところでの腕の見せ所を試されることもある。

 「言われたものを作るのは基本ですが、フリーランスとしてこの仕事を続けていくためには、120%の出来栄えでないと続けられないのではないか」とも言う。日本のメイクの学校で習った「その人の顔の良さを一番引き出すようなメイクをすること」を今も胸に秘めている。紺屋の白袴ではないが、自分ではあまりメイクをしなくて素顔が多い。「心身のバランスをとりながら仕事と向き合うこと、仕事に行く時は、エネルギー全開で行けるよう普段から運動と質の良い睡眠を心がけている」と言う。それが本人の健康のメイクアップと見た。埼玉県出身。  

 (三浦良一記者、写真も)

シャレコーベミュージアム

 兵庫県尼崎市に「シャレコーベミュージアム」という一風変わった私設博物館があります。文字通り頭蓋骨(Skull)にこだわった博物館です。創設者の河本圭司氏は関西医科大教授を務め、日本脳腫瘍病理学会などの会長を歴任した脳神経外科医で、自宅の庭に、2003年3月3日3時3分3秒にミュージアムを建て、大学を退職して名誉教授になってから2011年11月11日11時11分11秒に一般公開を始めたそうです。平日は脳神経外科に関する診察・治療や様々な学会や研究会で活躍する一方、毎週日曜日は館長として来館者への応対や講演会などを行っていました。こういう情熱とこだわりがないと個人博物館は建てられないのだろうと思い知らされます。

 国道からは外壁にはサヘラントロプスの巨大モニュメントが見え、それだけでもぎょっとしますが、裏手の入口に回り込むと、建物がシャレコーベの形をしていることに驚きます。とまっている車のナンバーは、「1096」(ドクロ)です。3階建ての館内には、実物標本や骨格模型、アクセサリーやTシャツ、喫煙具、文具、絵画、彫刻、ハロウィーンや海賊グッズ等々、頭蓋骨に関連するありとあらゆるコレクションがずらりと並んでおり、蒐集癖もここまでくれば、頭が下がる思いがします。

 さて、これまでも本稿で個人博物館をいくつか紹介していますが、情熱を持って蒐集したコレクターである館長(オーナー)がお亡くなりになると、そのご家族が運営することは難しく、残念ながら閉館してしまったケースが数多くあります。シャレコーベミュージアムも、2019年8月に河本圭司氏が75歳でお亡くなりになり、7800点以上に及ぶコレクションが危機に陥るかと思われましたが、長女の山本佳代さん(本職は薬剤師)が2代目の館長となって、毎週日曜の開館日を1回休んだだけで再開したというから驚きです。しかし、コロナ禍で外出自粛の時期に休館し、さすがに運営が厳しくなり、昨年閉館する話もあったそうですが、とあるツイートがバズり、多くの取材で取り上げられたおかげで、なんとか免れたとのこと。現在も人件費や光熱費などを削減して維持していますが、貴重なコレクションを守り抜いてほしいものです。

 ちなみに、故河本圭司館長のこだわりは、2015年に出版された『人類の遺産 スカルを探ねてー世界のミュージアムめぐり』(リブロ社)を読んでもよくわかります。いくら脳神経外科医で頭蓋骨に関心があるといっても、世界各地の博物館の頭蓋骨に関する展示を取材して本を出版までするのは、そうできることではありません。改めて感服した次第です。ちなみに、同書では米国内はアメリカ自然史博物館はじめ9館が紹介されています。筆者はすべて訪問したことがあるので、ちょっと安心しました。

(栗原祐司/京都国立博物館副館長)

編集後記

編集後記

みなさん、こんにちは。寿司、ラーメンの次は「日本式カレー」!とばかりにニューヨーク日本食レストラン協会が2月26日、ジャパン・ソサエティーで、全日本カレー工業協同組合(本部東京都)と共催して日本式カレーセミナーを開催しました。私はカレーライスが大好きです。よく自分でも作ります。シンプルなカレーに福神漬けとらっきょうがあればとても幸せな気分になります。日本にカレーが伝来したのは今から150年ほど前の1870年でライスカレーとして広まり、1905年には国産カレーパウダーができ、カレーうどん、そばなども食堂のメニューに加わって大衆化され、半世紀をかけて外食産業で醸成されたのち日本の国民食に発展したそうです。1927年には早くもカレーパンが登場し、1950年には現在の固形カレールーが市販されたとのこと。当日は、日本から同協会理事長の小形博行エスビー食品株式会社代表取締役会長が来米して講演しました。今週号の3面で記事を掲載しています。米国でカレー製品を販売しているエスビー食品、ハウス食品、今後対米進出を計画しているエム・シーシ食品がそれぞれ商品説明を行いました。タイやインドのカレーとは違った「日本式カレー」は日本の食文化を代表する顔ですね。お腹が空いてきました・・・。それでは、みなさんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2024年3月9日号)

(1)大麻取締法を強化 (1面)

(2)春の足音 煙を通し (1面)

(3)ブルックリンに実験アート財団 (2面)

(4)「日本式カレー」出番ですよ! (3面)

(5)日本の政治家の地位はどうして低いのか (4面)

(6)NYの美容師大集合!25日にチャリティーヘアカット (5面)

(7)心臓疾患の容態を的確に読み解く、藤倉 加奈さん (11面)

(8)柳家東三楼が独演会 (14面)

(9)粋整える、日本人の精神性を英文書籍で出版 (17面)

大麻取締法を強化

NY州と市

無許可店舗に閉鎖命令

 ニューヨーク州のキャシー・ホウクル知事は2月28日、マンハッタンを訪れ、嗜好用大麻の合法化を受けて爆発的に増えた無許可のマリファナ販売店の取り締まりのため、州の大麻管理局(OCM)が無許可店舗を営業停止にする裁判所命令を取得しやすくし、またニューヨーク市などの自治体もこの命令を執行できるようにしたいと語った。

 無許可のマリファナ販売店はマンハッタンだけで400店、市内5区合わせると1500ほどあるとされる。知事は、違法店は公衆衛生上の危険をもたらし、麻薬で被害を受けた人々にやり直しの機会を提供する大麻産業作りを目指す州の取り組みを台無しにすると述べた。強制捜査や罰金を科して店舗を阻止しようとしたこれまでの取り組みは、あまりにも少数の機関に集中しており、効果がなかったと知事は述べた。

 NY州議会では現在、知事の提案とほぼ同じ法案が審議されている。2021年の大麻法では店を閉鎖する権限は州に付与され、市は罰金を科すことはできるものの営業停止にさせることはできなかった。ジェニファー・ラジクマール州議会下院議員(クイーンズ選出)が中心となり、NY市など自治体に無許可大麻店に閉店を命令する権限を与える法案を2月下旬に提出した。

 違法販売店を営業停止させる権限がニューヨーク市に付与されれば、NY市警察や市保安局が店舗を強制的に閉鎖できることになる。「スモークアウト法」と呼ばれるこの法案について、NY市のアダムス市長はすぐにでも成立させてほしいとしている。 

 無認可小売店の取り締まりはモグラたたきのようなもので、州規制当局ではこれに対応できる人員が不足している。罰金制度を導入したが、多くの店は摘発後、罰金を支払って営業を再開しているのが実態だ。グーグルやYelpなどには違法店のネット掲載削除を求めたが、かえって混乱を招いて効果がなかった。

(写真)大麻の看板が多いミッドタウンウエスト

春の足音 煙を通し

道路から突き出た煙突

客船のような白い煙が

モクモクと見える日は

外気がかなり冷え込んでいる証拠

なのに日差しは眩しく春の光

暖かいんだか寒いんだか分からない

それが春の足音

(6番街で1日、写真・三浦良一)