JAPAN fes 秋祭り

10月23日(土)チェルシーで

 今年最後のジャパニーズ・ストリート祭となるジャパンフェス2021最終イベント「秋祭り」が23日(土)午前10時から午後6時までチェルシー地区6番街の24丁目と25丁目の間の1ブロックを貸切り開催される。

 当日は、お好み焼き、今川焼き、たこ焼き、唐揚げといった日本の屋台フードはもちろん、秋祭り限定のコスチュームコンテスト、ダンスパフォーマンスなど、日本の祭りを象徴する食べ物や催し物をたくさん用意している。最終イベントは、前回のイベントより1・5倍のお店が集まり、1・5倍のスペースを確保している。家族や、友人を誘って遊びに行ってみよう。

知って得する!日本での相続の話 2

「転ばぬ先の遺言書」

 財産を相続する人(被相続人)が日本居住者なら、相続を受ける人(相続人)は居住地を問わず日本の相続税の納税義務者となります。相続発生後は相続人間での遺産分割協議後、誰がどの財産を相続するか全員同意後、協議書に全員が署名して申告・納税をします。納税までの期限は相続開始から10か月以内です。

 これは簡単な事ではなく経験上9割方「争い」(相続ならぬ争族)が生じます。協議が国境を超えるとなおさらです。「海外在住の自分は協議に加われない」、「突然不利な協議書が届いた」、「親族の使い込みで預金が殆どゼロ」など、数多くの相談を受けます。

 たとえ協議が未解決でも、10か月以内の税務署への申告・納税が必要です。その場合、分割協議がまとまっていない状況(未分割)で申告せざるを得ませんが、その場合税制優遇はなく、相続税額が非常に高額です。 

 このような悲劇を防ぐためには「遺言書」が有効です。日本に居る親御さんがお元気なうちに、必ず遺言書を作成してもらいましょう。争族対策、相続税対策についても、早めに日本の税理士に相談することをお勧めします。

 11月4日(木)午後9時よりオンラインセミナー「知って得する! 日本の相続&贈与の話」開催予定。詳しくは10/9号紙面8ページの広告を参照。

大谷 亜紀/TOMA税理士法人 資産税部部長資産税専門税理士。国際相続も含め数多くの相続対策を支援。相談は soudan-s@toma.co.jp まで

編集後記 10月9日号

【編集後記】10月9日号

 みなさん、こんにちは。秋篠宮家の長女・眞子さまと小室圭さんが10月26日に結婚すると1日に宮内庁から正式発表があり、米メディアも相次いでこれを取り上げました(本紙今週号1面から4、5面で詳報)。1日付ニューヨークタイムズ紙電子版は、「おとぎ話ではないお姫様の結婚」と題した東京電の記事を大きく掲載しました。「眞子さまを責めることはできないが、馬車に乗って国民からの祝福を受ける機会もなく、お二人のご成婚に国民の多くの賛同が得られていない」と報じています。同紙は1965年に朝日新聞が報じた島津貴子さん(昭和天皇の5皇女で天皇徳仁・秋篠宮文仁親王《眞子さまの父親》の叔母)のワシントンDCでの海外生活についてのインタビューを紹介。滞米生活を振り返って、日米での生活を比較して最大の変化はと聞かれ「大勢の人前に出ることもなく、静かに平和に暮らすことができたこと」と応えた記事を紹介、NYタイムズ紙は、眞子さまのNYでの新生活が、日本での誹謗中傷から脱出(エスケープ)し、静かで平穏な生活になるだろう」と結んでいます。NY在住30年の邦人男性(60代)は、本紙の取材に「皇室を離れて一般人になるのだから、こちらで静かに生活してもらえたらなという気持ちが一番。上皇の孫娘とはいえ、一般人と結婚するのだから静かに見守るということに尽きるのが基本的な考え方。天皇家のことが芸能ネタのように取り上げられるのは行き過ぎ。本当にそっとしていくのが一番だ。安全に平和に暮らすことを静かに見守っていたい」と話しています。婚約発表に沸く祝福ムードに水をかけた3年前の小室さんの母親と元婚約者との金銭トラブルの問題。日本の週刊誌の執拗な報道などの情報が入ってくるにつけ、闇の深さに気が重くなるばかりですが、好きで結婚を望む2人を止めることは親はもちろん何人(なんぴと)たりともできません。であるならば、結婚ということに関しては、2人の幸せを見守るというのが一番良いのではないか。法律に違反していなければ罰せられることはないし、結婚することによって皇室から離れ、眞子さまから眞子さんになった後はもう、個人の自由です。今までの生活では、公邸料理人がいたので、眞子さまがご自身で料理をしたりすることがあったのかどうかは存じあげませんが、愛する人に作った手料理を美味しいねと言って夫が笑顔で食べた時の喜びを眞子さまにはしみじみと味わっていただきたい。楽しい会話とちいさな日常の幸せがあればきっとニューヨーク生活は傷ついた二人の心を癒してくれるに違いありません。♪きっといつかは君のパパも許してくれる。♪だから、グッドナイトベイビー、じゃなかった、それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2021年10月9日号)

(1)おとぎ話ではない眞子さまのご結婚
(2)秋到来のハロウィン
(3)石岡瑛子に魅せられて 柿沼光悦
(4)三味線の史佳再びカーネギー
(5)あめりか時評 岸田政権の所得倍増論
(6)NY在留邦人の声と反応 海外で平穏な日々を
(7)眞子さま来米就労に課題 NY弁護士の見解
(8)カーク・オグリさん優勝 第27回JAAチャリティゴルフ
(9)ビンテージな着物を個性的な服に
(10)シニアの永住帰国 注意点を解説

おとぎ話ではない眞子様の結婚

米国の論調、NYタイムズ

 秋篠宮家の長女・眞子さまと小室圭さんが10月26日に結婚すると1日に宮内庁から正式発表があり、米メディアも相次いでこれを取り上げた。1日付ニューヨークタイムズ紙電子版は、「おとぎ話ではないお姫様の結婚」と題した東京電の記事を大きく掲載した。小室さんの皇族との結婚が相応しいものかどうかの世論に晒された眞子さまが、誹謗中傷と感じられ、それを長期にわたり反復的に体験された結果、「複雑性PTSD」(複雑性心的外傷後ストレス障害)と診断されたとする国内報道を最初の第一文で報じた。

 「眞子さまを責めることはできないが、馬車に乗って国民からの祝福を受ける機会もなく、お二人のご成婚に国民の多くの賛同が得られていない」とも報じた。

 また、英国王室を離脱したハリー王子とメーガン妃と比較しながらも、彼らがオプラ・ウインフリーのテレビインタビュー番組やネットフリックスの番組制作の話には大金を積まれても応じないだろうとし、小室さんが帰国前にマンハッタンや空港で姿を捉えられた映像からヘアスタイルが髪の毛を後ろで束ねたポニーテールだったことも、皇族との結婚相手として相応しいものかどうか物議を醸すスキャンダルとゴシップをネタとするマスコミの格好の標的となったと報じた。

 結婚式も行わず、女性皇族が結婚によって皇室から離れる際に一般人になっても品位を保って生活していけるように支給される一時金も辞退するということも極めて異例であると紹介した。

 また、ご結婚後の生活として、夫となる小室さんが将来弁護士として務めることになる法律事務所、ロウエン・スタイン・サンドラーの本拠地であるニューヨークで新婚生活をスタートすることにも触れた。眞子さまが英国のライセスター大学で博物館とギャラリー学で修士号を取得され、国際基督教大学で博物館学で博士号を取得して東京大学博物館で過去5年間勤務していたことを紹介しているが、ニューヨークの美術業界で仕事を見つけられるかどうかは疑問だとしている。

海外生活で平穏な日々を

女性皇族から戦後9人目の一般市民に

 1日付ニューヨーク・タイムズ紙(1面に記事)によると眞子さまは、戦後にご結婚され一般市民となった女性皇族の9人目となるが、海外生活を結婚後されるのは眞子さまが初めてではない。同紙は1965年に朝日新聞が報じた島津貴子さん(昭和天皇の5皇女で天皇徳仁・秋篠宮文仁親王《眞子さまの父親》の叔母)のワシントンDCでの海外生活についてのインタビューを紹介している。

 日本輸出入銀行員であった夫の島津久永氏の米国駐在に伴い来米した貴子さまは後日、滞米生活を振り返って、日米での生活を比較して最大の変化は「大勢の人前に出ることもなく、静かに平和に暮らすことができたこと」であったと紹介、NYタイムズ紙は、眞子さまのNYでの新生活が、日本での誹謗中傷から脱出し、静かで平穏な生活になることを示唆した。

眞子さま来米就労に課題
NY移民弁護士が見解

 眞子さまが来米後、働くことは簡単にできることなのか、ニューヨークで移民専門の弁護士として活躍する加藤恵子弁護士はこう語る。「日本のメディアでは、小室さんが就労ビザを取得したと報道されていますが、F1のプラクティカル・トレーニングだと思います。H1Bビザはご存知の通り毎年3月に(以前は4月でしたが)申し込みをします。その時点で学位を受けていることが重要です。今年の申請はすでに3月時点で終了していますから、残るのはF1のOPTです。現在、OPTも卒業の3か月前から申請しても(ニューヨークを始めとする東海岸では5月が卒業なので、仮に2月に申請しても)6か月以上審査にかかっています。ですから、小室さんが2月か3月に申請しても早くて8月にOPTで取れたということになります。その頃に日本のメディアでは就労ビザが取れたと発表されたはずです。また、奥様になられる眞子さまですが、F1のご家族は働けません。またH1ビザを来年小室さんが取得されたとしても眞子さまは配偶者としてH4ビザを取得された場合、やはり就労できません。もし眞子さまがニューヨークで就労をご希望されるのでしたら、日本の政府関係者として日本国総領事館とかまたは国連勤務で外交官枠AビザとかGビザを申請されるのではないかと思います」。一般市民となった場合のビザのハードルは意外に高いようだ。

米国の論調

ニューヨークポスト紙=結婚は「ハリー王子とメーガン妃のアジア版」であり、日本での一連の騒動は「メディア・ソープオペラ」だと報じた。問題視された小室さんの家庭の問題のほか、小室さんがミッドタウンにある大手法律事務所に勤務していること、新居はニューヨークに構える予定など、ニューヨークとは馴染みが深いこともあり詳しい記事となっている。  

ワシントンポスト紙=この結婚について「日本大衆からの憤りの声」があり、結婚に伴う儀式などは行われず10月26日に婚姻届けを出すだけになったとした。また、眞子さまに心的外傷後ストレス障害の症状が出ていることが宮内庁から発表されるなど、結婚をめぐって二人は厳しい世間の目にさらされてきたことに着目。二人の結婚は国際的な注目を集め、皇室を離れ個人の望みを追求する眞子さまの姿勢を支持する声も内外から聞かれるとした。

CBSニュース=「ハリー王子とメーガン妃以上に、日本の眞子さまは皇室から離れる」と報じた。英国王室との関係を大幅に打ち切ったハリー王子とメーガン妃のカルフォルニア移住とよく比較されているとしている。眞子さまの心的外傷後ストレス障害については、2011年にストレスによるうつ病を特徴とする適応障害に苦しんでいることが明らかになった叔母の雅子皇后と似ているとした。

(関連記事)静かにお幸せに暮らして

静かにお幸せに暮らして

NY在留邦人の声と反応

 「結婚は自由だと思ってるが、ただ皇族はまた別だとも思う。どうやって生活を支えるのだろうかって心配。とにかくニューヨークでの生活はお金がかかりますからね。共働きといっても結局はボランティア、生活の資金にはならないけど名誉職のように動くのでは。ロイヤルファミリーとしては存在だけで大きな影響力はありますから。小室さんの勤務先は、新興弁護士事務所で急成長したところ。住む場所も安全性の確保もあり、ニューヨークはヘイトクライムもあるから隣に誰が住んでいるのか分からないような場所には到底住めないでしょうね。日本からの警護はつけないそうですが、ニューヨーク市警の警護は付くのでは。お二人がどれだけの期間米国にお住まいになるのか分からないが、経済的なことは別として新生活を精神面でサポートする誰か民間人の後見人がいないと日本側としても心配だろう」(50代、主婦、滞米年数20年)

 「皇室を離れて一般人になるのだから、こちらで静かに生活してもらえたらなという気持ちが一番。上皇の孫娘とはいえ、一般人と結婚するのだから静かに見守るということに尽きるのが基本的な考え方。天皇家のことが芸能ネタのように取り上げられるのは行き過ぎだ。眞子さまが PTSDになってしまったのもメディアの責任ではないか。一時金だってもらって当然のお金だと思う。ニューヨークでは皇室、ロイヤルファミリーでなくても要人警備、身辺警護などはしている。本当にそっとしていくのが一番だ。JFK空港でも小室さんに警察官が警護でついていたのは当然だ。二人のこちらでの生活中に誘拐などの不測の事態でも起こったら国際問題にも波及するかもしれないので安全に平和に暮らすことを静かに見守っていたい」(60代、男性、滞米年数30年)

 「お二人がNYで幸せな毎日を過ごせることが一番です。ご結婚が決まってから3年間も離れ離れで逢えなかったわけですから。眞子さまが自分で料理をしたりすることがこれまであったのかどうかは存じあげないが、愛する人に作る手料理を美味しいねと言って笑顔で食べてもらった時の喜びを眞子さまにはしみじみと味わってもらいたい。大きな幸せなんかいらないです。楽しい会話とちいさな日常の幸せがあればきっとニューヨーク生活は傷ついた二人の心を癒してくれるに違いありません」(60代、男性、滞米年数40年)

(関連記事)おとぎ話ではない眞子様の結婚

秋到来のハロウィン

 10月31日はハロウイン。昨年はコロナ禍でパレードも中止されたが、今年はマンハッタンでもフルスケールで開催される予定だ。米国の秋到来を告げる風物詩ともなったこの行事、大きなかぼちゃをくり抜いて、お化けの顔を作るのが伝統だ。郊外の家の玄関脇には、目と口が光るかぼちゃ「ジャック・オーランタン」が並ぶ。今年は自作のランタンに挑戦してみては。かぼちゃ狩りのできる農場を紹介する。(かぼちゃ畑の写真・高田由起子、ランタンの写真・植山慎太郎)

かぼちゃ狩りでランタン作り

■クイーンズ

クイーンズカウンティーファーム博物館(30日までの平日正午〜16:30、週末11:00〜16:30)入場無料。Queens County Farm Museum73-50 Little  Neck Pkwy, Floral Park, NY

Tel: 718-347-3276 

www.queensfarm.org

■ロングアイランド

ホワイトポスト動物農園(毎日10:00〜18:00、入場は午後5時まで)入場料:22ドル95セント(税別)。かぼちゃ狩りはサイズで課金。White Pos Animal Farm 250 Old Country Rd. Melville, NY

Tel:631-351-9373  

www.whitepostfarms.com

■ウエストチェスター

シルバーマンズ農園(毎日9:00〜18:00)入場無料、かぼちゃ狩りはサイズで課金。Silverman’s Farm4451 Sport Hill Rd. Easton, CT Tel:203-261-3306

 www.silvermansfarm.com

■ハドソンバレー

ローレンス農園(10月31日までの毎日9:00〜16:00)入場料:5ドル、かぼちゃ狩りはサイズで課金。

Laurence Farms Orchards

306 Frozen Ridge Rd. Newburg, NY

Tel:845-562-4268

http://lawrencefarmsorchards.org/

■ニュージャージー

アルステディ農園(毎日9:00 ~20:00)入場料は参加イベントによって異なる。Alstede Farms

1 Alstede Farms Lane 84 County Rt.513 S(Old Route 24)Chester, NJ

Tel:908-2589-6245

www.alstedefarms.com

石岡瑛子に魅せられて

アーティスト 柿沼 光悦

 LGBTQ+を支援するアートショー、「スーパーファイン・アートフェア」がマンハッタン・ミッドタウンの五番街にあるセンター415で3日まで開催された(本紙10月2日号既報)。出品した日本人アーティストの柿沼光悦に話を聞いた。

 自身のセクシャリティの立場をカミングアウトしたばかりという。「更なるアート活動へ繋がる人脈づくりは勿論のこと、公表しなければ結婚できないと思った、またそれはNYだからこそ思えたこと」と語る。作品のメインテーマは水彩やシャープペンシルで描く「フェアリーテイルを通じた他の世界」。作風は細密で美しいライン・シェイプを使ったアートを展開。

 1988年栃木県生まれ。2010年武蔵野美術大学映像学科卒業。同大学卒業後、コスチュームに関心を寄せていたときにアートデザイナーの石岡瑛子(故人)の代表作のひとつであるドラキュラ花嫁に出合い、高尚なデザインと反復させることによる美に感銘を受けた。

 石岡氏を象徴する言葉である「Never seen before(かつてない)」感動を自身の作品を通じて感じてもらいたいという。

 現在は水彩、ドローイングをメインに国内外で作品を発表している柿沼。ニューヨーク市内、学校やレストラン、バーなどでの展示を経て、今回スーパーファインアートフェアでNYの五番街に躍り出た。(佐久間千明、写真も)

三味線の史佳再びカーネギー

ロンカーターがゲスト出演

 新潟とNYを拠点とする三味線プレイヤー史佳(ふみよし)が10月17日(日)午後2時から、2度目となるカーネギーホール公演「ブレイクスルー」を開催する。三味線の代表曲「津軽じょんから節」から「オリジナル曲」まで、伝統を守りつつ、和と洋の新感覚のフュージョンを織り交ぜ、音楽を通した魂の共鳴を届ける。タイトルの「ブレークスルー」はコロナ禍で演奏家として存続の危機に直面した史佳が困難を打破する、常識を突き破るという意味でつけた。エグゼクティブプロデュサーは、前回同様、大坪不動産社長の大坪賢次氏が務める。

 満席のスタンディングオベーションの喝采を浴びた2019年の公演に続き、今回もパーカッショニストの和田啓が参加。スペシャルゲストとして、ジャズ界の巨匠ロン・カーターが出演する。ロン・カーターは1937年ミシガン州生まれ。現代ジャズ界最高峰のアーティストでジャズ・ベースの神様と称される。63年、マイルス・デイビスのクインテットに参加。その後さまざまなバンドに名を連ね、88年と95年にはグラミー賞を受賞している。

 入場料は35ドル(指定席)。要ワクチン接種証明。チケットはカーネギーホールのウェブサイトhttps://www.carnegiehall.org、またはsoundwing28@gmail.comまで。残席わずか。

(写真)Ron Carter by Beti Niemeyer

岸田新政権の所得倍増論、実現の条件は?

 岸田文雄政権が発足した。最大の売り物は、中間層の復権と所得倍増だという。岸田氏の率いる派閥「宏池会」の「創業者」である池田勇人が、1960年に掲げた「所得倍増論」を21世紀の現在に再現しようというのである。

 けれども日本の置かれた環境は全く異なる。高度成長当時とは異なり、現在の日本経済は30年続く低迷の中にある。中国だけでなく、G7や韓国などと比較しても、明らかに日本は貧しくなっている、

 そんな中で、岸田氏の「所得倍増」には期待がある。だが、その具体的な内容は明らかにされていない。岸田氏は「分配を強化して国内需要を喚起する」としているが、そもそも国全体で「稼ぐ」体制へ戻さなくては、所得倍増など不可能だ。分配強化による格差是正というのは、成長があってこその成果分配だからだ。

 日本企業の中で、現在でも成功している企業は、多くの場合に海外を主要な市場にしている。自動車産業の場合、国内シェアは10数%であり、一桁という企業もある。電子機器、電子部品、工作機械なども同様だ。つまり成功している日本企業は多国籍化している。市場を国外に求めて成功しているのなら、昭和期と同様に現在の日本経済も高度成長していいはずだ。だが、そうはなっていない。

 日本ブランドの自動車を例に取ると、北米市場向けの製品は、北米産がほとんどである。日本で協力会社が作る部品を中国製などと合わせて北米で完成車に組み上げている。従って、北米で車が売れると、北米での売り上げ利益が発生する。その利益はほとんど日本国内には還元されない。現地で再投資され、そして今は外国人の方が多い株主に配当されて終わりである。確かに日本企業が世界一になったりするのは誇らしいが、それで日本が豊かになるわけではない。

 生産拠点を市場に近い国に移動する。現地生産というのは、1980年代から始まっていた。貿易摩擦を批判され、特に現地での雇用創出が政治課題になっていた中では、それが国策だったのである。では、その国策が間違っており、例えば中曽根康弘政権はアメリカの脅しに屈服することなく、自動車や電子機器の「集中豪雨的輸出」を維持すべきだったのだろうか。

 そうではない。国の産業構造には発展の歴史が必然である。例えば、自動車産業を空洞化させた後には、より付加価値の高い宇宙航空産業へのシフトが進められるべきだった。また、80年代の英国がサッチャー改革で金融大国として復活したように、日本も高度な教育を受けた人材の厚みを生かして金融立国へと進むことは可能だったはずだ。何よりも、電子機器のイノベーションで世界を牽引していた日本は、90年代以降のIT革命でも中心的な位置を占めるべきだった。

 だが、そうした「より知的な」「より付加価値の高い」産業への移行に、日本は失敗した。というよりも失敗し続けたし、反対に少しでも成功の芽が出れば、変化を恐れる勢力によって摘み取られ続けた。国力の喪失は、そのような30年間の失敗の積み重ねの結果である。具体的には、資産保有者の高齢化によるリスク投資の喪失、そして中進国型の教育を先進国対応へと変更できなかった国策の遅れが原因であった。

 その結果として、日本はここまで追い込まれるまで、見事なまでに変われなかったのである。そこには、問題に気付いた側は衰退や滅亡への恐怖から、焦って「不連続な改革」を要求し続けたという「敗北の歴史」が重なる。改革要求が軋轢を生み出すことが分かっていながら、改革勢力は対決に勝利する戦略戦術に欠けていた。つまり、日本が貧困化した原因の一端は、主張は正しくても政治的に勝てない改革勢力の力不足にあったとも言える。

 その意味で、改革型の河野太郎氏が、一見すると中道穏健派の岸田氏に敗北した今回の政局は、もしかしたら歴史の転換点になるかもしれない。再分配による中間層の復活などという「甘い言葉」で表面を塗りたくりながらも、岸田氏は教育や人材抜擢、あるいは金融政策における非連続的な変更を、静かに進める決意を持っているのかもしれない。そうでなくては「所得倍増」などできないことは、百戦錬磨の岸田氏には分かっていると信じたい。

れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

カーク・オグリさん優勝!

第27回JAAチャリティー・ゴルフ大会

総勢92人がエントリー

 ニューヨーク日系人会(JAA:スーザン大沼会長)は9月27日(月)、「第27回JAAチャリティーゴルフ大会(主催:ニューヨーク日系人会、協賛:ANA・全日本空輸株式会社、後援:週刊NY生活、よみタイム)を開催した。昨年はコロナ禍で中止となったため、今回は2年ぶりの開催。総勢92人がエントリーし盛会となった。

 当日は在NY日本国総領事館から山野内勘二総領事・大使が駆けつけ、「NYの日系社会が活気を取り戻すきっかけとなることを祈念したい」と挨拶。協賛のANA社から服部茂米州室長・NY支店長も来場し、開催を祝うと共に参加者を激励した。

 コンディションは快晴微風。秋晴れの下で午前9時30分、各自が決められたホールから同時に一斉にスタートするショットガン方式でトーナメントが始まった。

 競技後は、恒例の表彰式を開催。今回も12ホールを隠しホールにしてハンディキャップを算出する新ペリア方式を採用し順位を決定。元来の実力に加え、運も順位に大きく左右する今大会で、見事優勝の栄冠に輝いたのはカーク・オグリさん。(写真上:大津ANAマネージャー、優勝したオグリさん、大沼JAA会長)アウト34、イン35のグロス69、ハンディキャップ0、ネットスコア69で優勝。母親がJAAのイベントに参加しているというオグリさんは、「JAAへ感謝の意味を込めて参加しました。天候も良くエンジョイ出来ました」と喜びを語った。オグリさんには大津ANAセールスマネージャーからカップと副賞の「JFK・東京往復ANAビジネスクラス航空券」が贈られた。

 2位は、アウト44、イン38のグロス82、ハンディキャップ12、ネットスコア70でリチャード・ヤンさんが入賞。わずかに1打及ばなかった。

 3位はアウト49、イン47のグロス96、ハンディキャップ25・2、ネットスコア70・8で河嶋善範さんが入賞した。

スーパーシニアの皆さん

 ベストグロス男性部門は、優勝したオグリさんが辞退し、74でラウンドしたKH・ワンさんが、女性部門は83でラウンドしたシム・イン・スックさんがそれぞれ獲得。また、75歳以上の「スーパーシニア」が6人参加、記念品が贈呈された。

 順位発表と並行して恒例のラッフルも開催。豪華賞品が多数出品され大盛況で、売り上げは7560ドルに上った。特賞の「JFK・東京往復ANAビジネスクラス航空券」は、三田道綱也さんが獲得。大津マネージャーから目録が手渡された。ラッフル1等のIACEトラベル(石田圭子会長)提供「アメリカ国内線(48州)往復チケット(ペア)」は高田洋平さんが獲得。石田会長からチケットが贈られた。

 ラッフルの売り上げと参加費の一部は、JAAのソーシャルサービス活動に充てられる。

 最後はデビッド廣村大会委員長が、参加者・協賛企業および個人に感謝の意を表明し、次回大会での再会を約束。トーナメントは無事に終了した。

(ケーシー谷口、写真も)

ビンテージな着物を個性的な服に生まれ変わらせる

メイド・バイ・ユキ

和と洋の融合

 日本生まれ米国育ちのアーティスト小久保由紀が2020年に立ち上げた「Made by Yuki (メイド・バイ・ユキ)」。幼少時から米国で育った小久保は、17年に日本に帰国。同ブランドは、服作りへの深い情熱、日本人としての文化的なルーツと再び強く結びつきたいという思いと、サステナビリティへの強い関心から誕生した。ビンテージの着物をアップサイクルした一点物の服のみを作り、日本から世界中に配送する。

 メイド・バイ・ユキの特長は、ビンテージ着物を丁寧に解いて服として縫い直し、幅広いサイズに対応できるよう、ゆったりとフィットすること。すべてユニセックスで、プラスサイズのアイテムも含まれる。デザインはシンプルかつモダンで、ジーンズやスニーカーといった普段着と組み合わせることも可能だ。

 また、SNSを通じて、日本の着物に関する情報を英語で提供している。訪問着、振袖といった着物の種類から、縮緬、紬など生地の織り方、絞り、藍染などの染色の方法、青海波、麻の葉といった着物に使われるモチーフについても、丁寧に説明している。同ブランドは万人に着てもらうことを目指しており、アップサイクルされた服を着ることで着物の美しさを堪能することができると述べている。世界中の日本人や日系人が、服を通じて日本の伝統と繋がることを可能にするものである。

 米国在住の日系人顧客は「メイド・バイ・ユキの服が素晴らしいのは、まず自分の美しさを引き出してくれること。日系人としての誇りを感じさせつつ、とても着心地が良い服です」と話している。詳細はウェブサイトhttps://www.madebyyuki.com/を参照。