駐妻が復職するなら今やるべきことは?

リダック・ウェビナー

アメリカ滞在中にキャリアについて考える

 日本でキャリアを持ち、企業でバリバリと働いていた女性が、夫の海外転勤に伴い、勤め先を退職して海外生活したことで、帰国後の再就職、復職に苦労するケースが多い。総合不動産大手のリロリダックが3月3日に、「アメリカ滞在中の今、これからの仕事やキャリアについて考える」と題するウェビナーを開催したところ128人の参加者があり、関心の高さを伺わせた。当日は、駐在員妻のキャリア支援をしているキャリア・マーク代表の鎌田薫さんが、米国滞在中にやっておくべきことを中心に解説した。また、リダックの谷英恵さんが、米国での就労事情について解説した。総合司会は同社の楢崎由佳さんが行った。

 自身も駐妻として帰国後に復職の壁にぶつかったという鎌田さん、2018年に駐在員の妻が帰国後に復職するための支援事業を立ち上げた。滞在中にやっておくべきことは、まず、自分のキャリアの棚卸しをして、自分の強みは何かを整理してみることだという。企業在職中に経験した上司の言葉や、人生の浮き沈みをライフラインチャートに記録し、「クリフトンストリングス診断」という自己診断法で自分の得意なスキル、自分の価値、強みを理解する。次に所属がない今だからこそやってみたいことにチャレンジすることも大事だという。好きなことを軸に行動してみることでアンテナが立ち、情報が入ってくる。そしてビジネススキルを活かせる場に実際に身を置いてみることで、自分の視野を広めることができる。フルリモートのインターンでも、可能であれば現地での就労もパートであれば家庭生活との両立もしやすいなどと説明した。

 続いて、リダックの谷さんが、アメリカでの就労について知っておかなくてはならない点についてアドバイスした。

 就労に必要なものは、就労ビザ(E1、E2、L2、J2、H4であれば就労が可能)。就労許可証、ソーシャル・セキュリティー番号、ビザ発行元企業の許可が必要となる。

 就労マーケットは、在米日系マーケットとアメリカ非日系マーケットのふたつがある。これまで日系はスーパーや飲食店などの仕事が多かったが、最近はリモートワークが多くなり、オフィスワークも増えている。日本語能力のある働き手が求められている。非日系アメリカマーケットの場合は、有効なビザ所有が必須で、高い英語能力と専門性が求められ、一時滞在の場合は就業は難しい傾向があるが、アメリカならではの経験を求めるのであればLinkedin などで応募してみるのも手だ。働き方の選択肢としては、フルタイム(キャリアを作っていく人にはお勧め)、パートタイム(フルタイムは無理でも仕事がしたい人向き)、派遣(職探しが楽)、業務委託(専門職、プロフェッショナル向き)、インターン(キャリアを始める前の研修)、ボランティア(ビザがなくてもアメリカ文化を体験できる)などがあるという。

 最後に4人の元駐在妻の体験談が紹介された。キャリアマークの鎌田さんは「海外に駐在員の妻として帯同し、数年海外に滞在したことが、キャリアの上ではブランクとしてみられ、帰国後の復職の壁にぶつかる優秀な経歴を持っている女性があまりに多い。情報を共有して自分の強みを生かして帰国後に備えてほしい」とアドバイスした。

沖縄伝統舞踊と音楽、時を超えて

JSで18、19日

 沖縄返還50周年記念公演「時を超えた波音 沖縄の伝統舞踊と音楽」が18日(金)と19日(土)の午後7時30分から、ジャパン・ソサエティー内劇場(JS、東47丁目333番地)で開催される。

 沖縄の施政権が米国から日本に返還されたのは1972年。50周年を機に、同公演の前半では琉球王国(1429〜1879年)後期から300年にわたって継承されてきた宮廷の歌舞劇「組踊(くみおどり)」演目から名場面集を、後半は明治以降に生まれた民衆の雑踊(ぞうおどり)や創作舞踊からなる演目を、国立劇場おきなわ芸術監督の嘉数道彦(かかず・みちひこ)氏の監修・構成のもと、ライブの演奏家を交えて上演する。(写真=© Yohei Oshiro)

 入場料は一般42ドル、JS会員32ドル。チケット・詳細はウェブhttps://www.japansociety.orgを参照。

■沖縄舞踊ワークショップ

 19日(土)午前11時から午後1時まで、大人向けワークショップが行われる。参加者は動きやすい服装と靴下着用。ダンス経験不要。定員25人。参加費は一般50ドル、JS会員40ドル。また、20日(日)午前10時30分から11時45分までは、家族向けワークショップも開催。子どもは5歳以上から参加可能、保護者の同伴が必要。服装は19日と同じ。定員20人。参加費はシングルチケットが一般15ドル、会員12ドル、ファミリーチケットは一般40ドル、会員32ドル。申し込み・詳細はウェブサイトhttps://www.japansociety.orgを参照。

編集後記 3月5日号

【編集後記】 みなさん、こんにちは。ロシア軍がウクライナに侵攻を開始して1週間経ちました。3月2日現在、国連の発表で、この1週間で83万人ものウクライナ国民がポーランドなど近隣諸国に戦争難民として流出しています。21世紀のこの現代に、超大国が力の論理で独立国を奪い取ろうとする暴挙に全世界が震撼しています。NYのタイムズスクエアでは侵攻翌日に続き2月26日、数百人の市民が戦争反対を訴え抗議デモに参加しました。そこにはウクライナ系市民だけでなく、ロシア系市民たちの顔もありました。両国の誰もが戦争を望んでいないのは明らかです。一体いつまで戦火は続くのでしょうか。もし、仮にあと数日で、圧倒的な近代的軍事力でウクライナの首都キエフをロシア軍が陥落させ、ゼレンスキー大統領の身柄を拘束して親ロシア派の傀儡(かいらい)政権を樹立したとしても、中国を除く全世界がそれを認めるとは思えません。それでもやる意味の向こうに何があるのか。すでに子供を含む大勢の死者が出ています。コロナとウクライナ。遠い海外という言葉はもはや死語、インターネットの網の目によって世界はもはや小さな運命共同体です。共通の問題を力を合わせて解決しなくてはならない時に、世界のルールを破る無法者の存在に、いま全世界が遠巻きに成り行きを見つめています。来週はここでどんなことを書くことになるのか。いまそれが分からないから、発行された時が「新聞」なのです。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2022年3月5日号)

(1)ウクライナに平和を! MYでロシア抗議デモ 

(2)航空券予約が急増 旅行代理店に電話殺到

(3)コルトレーンとの友情劇 日本人俳優2人が出演

(4)次は警察、消防、救急隊  日本クラブとJCCIの弁当提供

(5)文化庁ACAシネマ事業 日本の話題作NYで

(6)拉致問題で意見広告 日本政府がNYタイムズに

(7)地下鉄犯罪止まらない 階段でハンマーで殴る

(8)地下鉄で車掌がいる  車両が分かる方法

(9)ローカルスクランブル ウエストチェスター

(10 )夢の世界に躍り出る ダンサー清水佑美さん

平和を!ウクライナ侵攻

NYでロシア抗議デモ

 「戦争をやめろ!」「ウクライナに自由と平和を!」ニューヨークの中心地、タイムズスクエアで2月26日、ロシアのウクライナ侵攻に対する抗議デモが展開された。在米ウクライナ人や支援者が集まり、大規模なデモとなった。このような抗議デモは全米各地で展開されており、今後はワシントンDCのホワイトハウスで6日(日)午後2時から、シアトルのシアトルセントラルカレッジで12日(土)午後5時から行われる予定。参加者はウクライナ国旗を持参し、スローガンを掲げることが求められる。救援物資輸送の支援運動も始まった。各地の抗議活動についてはウクライナ系コミュニティー「RAZOM」のHPで確認可能。RAZOM:https://razomforukraine.org

写真)ロシアのウクライナ軍事侵攻に抗議する米国市民たち(2月26日午後1時過ぎ、タイムズスクエアで、写真・三浦良一)

「戦争から助けて」

タイムズスクエアで反戦デモ

 ロシア軍がウクライナに侵攻を開始して1週間。83万人ものウクライナ国民がポーランドなど近隣諸国に戦争難民として流出している。21世紀のこの現代に、超大国が力の論理で独立国を奪い取ろうとする暴挙に全世界が震撼している。

 NYのタイムズスクエアでは侵攻翌日に続き2月26日、数百人の市民が戦争反対を訴え抗議デモに参加した。そこにはウクライナ系市民だけでなく、ロシア系市民たちの顔も。両国の誰もが戦争を望んでいない。いつまで戦火は続くのか。

支援物資を受け付け
ウクライナへ輸送中

 戦況悪化により、ウクライナへの通常パッケージの受け入れは不可となったが、人道援助用のパッケージは東ヨーロッパ、アジアへの専門物流輸送会社MEESTが現地に届けている。受け付けているのは腐りにくい食品(大きな需要!)、男性/女性/子供用の服と靴、保温下着、衛生用品(女性用製品、おむつなど)、毛布、寝具、テーブルウェア(使い捨て)、応急処置および応急処置キット、テント、マットレス、寝袋、ランプ、キャンドル、液体用の容器(水、燃料、容量10〜20リットルの潤滑剤用のキャニスター)

詳細:https://us.meest.com/services/service/compliance

航空券予約が急増

日本の水際対策緩和、入国後の隔離なしに

旅行代理店に電話殺到

 3月1日から帰国する日本人で、ワクチンを3回打っている人の隔離規制を日本政府が解除し、国内の公共交通機関も使用できるようになった。これを受け、パンデミック以降2年近く帰国を手控えていた在留邦人が一斉に航空券の予約に走っている。ニューヨークの日系旅行代理店ではチケット申し込みの対応に追われるところも出始めた。

 ニューヨークに本社を置く日系旅行代理店大手のIACEトラベルでは、発表の翌日から電話による問い合わせが一気に増えた。中田勝子法人予約課ディレクターは「既に手元にある航空券のスケジュール変更を始め、夏の旅行の里帰りチケットを今から予約する人が多い。ただし、1日の入国者数が3500人から5000人に増えたとはいえ、日本航空、全日空、ユナイテッドも1便あたりに受けられる乗客数が制限されており、満席でまだ飛べるようにはなっていないため、席が埋まってしまう可能性がある。お客様には早めにチケットを予約するように勧めている」という。日系企業関係者の帰国の大多数がI-94の書き換え需要とのことだ。

 また、アムネットの石黒和宏予約課マネージャーは「公共交通機関が到着後に使えるという発表の翌日から、地方への乗り継ぎ便の問い合わせが急増した。3日間の隔離が無くなったので、お子様連れの家族は、2、3年ぶりに日本の祖父母に会わせたいという人がかなり増えてきた。3月の予約は既に取りにくい状態になり始めている。アメリカ人からの訪日観光についての問い合わせも多いが、まだ日本人のパスポート以外の人は入国できないので、秋くらいには状況がよくなればと伝えている。昨年の今頃も同じことを言っていたような気がする。ビジネスよりも一般の里帰り需要が多いが、企業の出張規定も徐々に緩和されてくるだろう。スタッフも人員増強して対応し、4月以降はフル稼働に向け社員研修しているところだ」という。

 HISのセールスマネジャー、内村圭作さんは「帰国便に関する問い合わせの電話が1日400本近くあり、パンデミック前の水準に戻りつつある。特に5、6、7月の問い合わせがかなり入っている。ウェブサイトでは最安値チケットを出しているが、変更が効かない場合があるので、まだ100%緩和されてない以上、更なる水際対策も予想して旅程が変更できるものを求める希望者が多い。これまでは沖縄、北海道への到着後の交通手段がなかったが、公共交通機関、飛行機の乗り継ぎ便の使用ができるようになった」と話す。

入国自宅待機不要に

日本が水際対策を緩和

 日本の水際対策強化に係る新たな措置が発表された。3月1日午前0時(日本時間)以降、米国から日本に入国する際の変更点は次の通り。なお、日本入国時の検疫手続に必要な書類等は引き続き、出国前72時間以内の検査及び陰性証明書の提出、入国時の検査他が求められる。

(1)検疫所長の指定する場所での待機(強制待機3日間から0日へ)

 これまで米国から入国する際に求められていた検疫所長の指定する場所での3日間の待機及び入国後3日目の検査は、3月1日午前0時(日本時間)より指定解除となる。原則入国後7日間の自宅等待機となるが、(2)のように緩和措置がある。

(2)日本入国後の待機期間

A ワクチン3回目追加接種者(ブースター接種済み)は、日本入国後の自宅等待機が不要。

B ワクチン3回目追加未接種者(ブースター接種が完了していない人、ワクチン未接種者)は、入国後に原則7日間の自宅等待機が求められる。ただし、入国後3日目以降に自主的に「認められる検査実施機関」( 自費検査機関https://www.c19.mhlw.go.jp/search/)で検査を受け、陰性結果をMySOS(入国者健康居所確認アプリ)により入国者健康確認センターに届出し、同センターから「待機終了の連絡」があった人は、その後の待機が不要となる。

(3)新型コロナワクチン接種証明書

 (2)Aの措置の適用を受けるためには、入国の際に政府等公的な機関で発行されたワクチン接種証明書(CDCカード、エクセルシオールパスプラス、ニューヨーク市発行の証明書等)の提示が必要。証明書の記載事項の要件、認められるワクチン名・メーカー等の指定がある。詳細は厚生労働省ウェブサイト「水際対策強化に係る新たな措置(27)」( https://www.mhlw.go.jp/content/000901649.pdf)を参照。

(4)入国後の公共交通機関の使用

 入国後、自宅等待機のための移動(入国時検査から24時間以内の移動,かつ自宅等を目的とした最短経路の移動)に限り、公共交通機関の使用が可能となった。なお、ワクチン3回目追加接種者は入国後の公共交通機関の使用制限はない。

(5)外国人の新規入国

 日本国内の受入責任者(雇用主、招聘企業・団体等)の管理の下、観光目的以外(商用・就労等の短期滞在又は長期滞在)の新規入国が認められる。査証申請の前に受入責任者による事前手続(受付済証の申請・入手)が必要。

 詳細は前出の厚生労働省サイトおよび外務省サイト(https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/fna/page4_005130.html)を参照する。

次は警察、消防、救急隊へ日本の弁当を提供します

日本クラブとJCCIが医療従事者に続き

 2020年3月、新型コロナウイルス感染症はパンデミックと言われる世界的な流行となり、日本クラブとニューヨーク商工会議所(JCCI)は「私たちにできることはないか」と考え、過酷な状況下で働く医療従事者に無償で日本食のお弁当を差し入れするプロジェクト「Let’s Support COVID-19 Fighters! 〜NYの医療チームへお弁当を届けよう」を同年5月7日に開始した。米国日本人医師会(JMSA)と会長の柳澤貴裕医師の協力、会員企業、会員・一般からの支援により、プロジェクトはまもなく2周年を迎える。

 同プロジェクトは、ニューヨークの人々の安全と健康を最前線で支える「フロントワーカー」たちをサポートしたいという思いからスタートしたが、今後は医療従事者のみならずNY市警察(NYPD)、NY市消防局(FDNY)、そして救急医療(EMS)で働くフロントワーカーにもお弁当の提供を開始することになった。

 2月23日、マンハッタン西100丁目にあるNYPD24分署に100個の日本食弁当が届けられた。同分署のDeputy Inspector、矢口ナオキ氏はツイッターで「ヘルシーで栄養満点の日本食のお弁当で、ニューヨークの安全を守るパトロールに備えました」とコメントしている。寄付は随時受け付け中。詳細はウェブサイトwww.nipponclub.orgを参照。

日本の話題作NYで

3月11日から17日まで
文化庁 ACAシネマプロジェクト

「Blue/ブルー」と「由宇子の天秤」

 日本の文化庁は、文化庁委託事業「日本映画海外展開強化事業」の一環で、ニューヨークのIFCセンターと映像産業振興機構(VIPO)の協力のもと、3月11日(金)から 17 日(木)までの1週間、ACAシネマプロジェクトシリーズ第3弾「ニューフィルムズ・フロム・ジャパン」を開催する。2021年の話題作『Blue/ブルー』(吉田恵輔監督)と 『由宇子の天秤』(春本雄二郎監督)の2作品をIFCセンター(6番街323番地、地下鉄駅W4駅前)の大スクリーンで上映する。

■『Blue/ブルー』

 誰よりもボクシングを愛する瓜田は、どれだけ努力しても負け続き。一方、ライバルで後輩の小川は抜群の才能とセンスで日本チャンピオン目前、瓜田の幼馴染の千佳とも結婚を控えていた。千佳は瓜田にとって初恋の人であり、この世界へ導いてくれた人。強さも恋も、瓜田が欲しい物は全部小川が手に入れた。それでも瓜田はひたむきに努力し夢へ挑戦し続ける。しかし、ある出来事をきっかけに、瓜田は抱え続けてきた想いを2人の前で吐き出し、彼らの関係が変わり始める。出演は、松山ケンイチ、木村文乃、東出昌大、柄本時生ら。(=写真、©2021 “BLUE” Film Partners /©2021「BLUE/ブルー」製作委員会)

■『由宇子の天秤』

©A BALANCE Film Partners

 女子高生いじめ自殺事件を追っていたドキュメンタリーディレクターの由宇子は、テレビ局の方針と対立を繰返しながらも事件の真相に迫りつつあった。そんな時、由宇子は学習塾を経営する父が起こした「ある行動」を知り、衝撃を受ける。「正しさとは何なのか?」ドキュメンタリー作家として常に真実を明らかにしたいという信念に突き動かされてきた由宇子は、究極の選択を迫られる。出演は、瀧内公美、光石研、河合優実、梅田誠弘ら。

 ベルリン国際映画祭上映、釜山国際映画祭、ピンヤオ国際映画祭、東京フィルメックスなど名だたる映画祭で数々の賞を受賞。

 入場料は一般17ドル、シニア・小人14ドル、IFCメンバーは12ドル、学生13ドル(要学生証)。ACAシネマプロジェクトのポストカード提示により4ドルの割引有り。上映時間などの詳細はウェブサイトhttps://www.ifccenter.com/series/aca-japan-2022を参照。

コルトレーンとの友情

コルトレーン

日本人通訳とジャズ評論家役で出演 10日から上演

66年来日の舞台裏

Coltrane in Japan

大久保全也さん
今福一博さん

 米ジャズ界の巨匠、サックス奏者のジョン・コルトレーン(1926〜67年)と日本人との心の交流を描いた舞台劇がニューヨークで上演される。この作品は「日本のコルトレーン(原題・Coltrane in Japan)」で、3月10日(木)から27日(日)までイーストビレッジの劇場、シアター・フォー・ザ・ニューシティー(1番街155番地)で開催される。

 コルトレーンが1966年に訪日し、世界デビューした滞在中に繰り広げる日本人通訳や音楽評論家とのやりとり、出来事を通じて国境を越えた友情を描く。脚本と監督は本作が21作目となる演出家のロバート・リーボウィッツ。

 コルトレーンを招聘した実在の興行師兼通訳の斉藤延乃助役には大久保全也(おおくぼ・まさや、34)、取材する実在のジャズ音楽評論家、油井正一の役に今福一博(いまふく・かずひろ、34)の二人のNY在住日本人俳優が出演する。(写真:劇場前に立つ大久保さん(右)と今福さん)

 コルトレーンは66年7月に訪日、9都市を廻る大掛かりな公演を行っている。マイルス・デイビスのバンドでの経験を経て、独立したコルトレーンが独自のバンドで訪日準備をしていたが前年12月にピアノのマッコイ・タイナーが退団するハプニングも再現。当時の記者会見で「10年後のあなたはどんな人間でありたいと思いますか」という質問に対し、「私は聖者になりたい」と答えたというエピソードが残っている。

写真は左から、ロバート・リーボウィッツ(作演出家)、リサ・グラム・パーソン、ノエル・ハリス、大久保全也、スティーブン・スパロウ、今福一博、ピアノ前が主演の二人でオディスアス・ ベイラー(ジョン・コルトレーン役)、パトリス・バティー(アリス・コルトレーン役)

 大久保は「一つ一つの台詞の背景に大きな意味が含まれていることを何度もリハーサルで実感した」と言う。デビュー前に日本で俳優市村正親に4年間付き人として師事、ミュージカルやテレビドラマで活躍していた大久保だけに、かなりのはまり役と言えそうだ。

 今福は「舞台が作り出す独特の空間を共有してニューヨークの匂いのかけらを拾ってもらえたら嬉しい」と話す。油井正一という実在の名評論家をどう演じるのか、NYで数々の舞台やスタンダップコメディのステージを踏んできた今福ならではの役作りが見ものだ。入場料は18ドル。午後8時開演。日曜はマチネ午後3時。     (三浦)

 詳細はウエブサイトtheaterforthenewcity.net

拉致問題で意見広告

日本政府NYタイムズに

 日本政府の拉致問題対策本部は2月28日付ニューヨークタイムズ紙に「彼らを故郷に連れ戻す 北朝鮮による拉致は普遍的な人権問題」と題する北朝鮮拉致問題の意見広告を出した。ホームページの説明によると「国際社会において広く拉致問題についての関心と認識を深めるための啓発の取組の一環」としている。

 意見広告では、北朝鮮に少なくとも17人以上が拉致され、そのうち5人だけが2002年に帰国したのみで、「この凶悪な犯罪は未解決のまま」と紹介、「拉致被害者の家族たちは高齢化し、死に向かっている。喫緊(きっきん)のグローバルな課題 」であると訴えている。最近の動きとして、トランプ前大統領は2019年の北朝鮮の金正恩委員長との首脳会談で拉致問題を提起。 岸田総理は拉致問題についての国際協力をバイデン大統領と確認。また2021年12月の国連総会では、日本人と韓国人の拉致を含む北朝鮮による人権侵害を非難する決議が採択されていることをあげている。「拉致問題は日本の主権と国民の生命に関わる問題。 米国を始めとする国際社会と緊密に協力し、日本は、我々の国民を帰国させるために最善を尽くす」と結んでいる。

地下鉄犯罪止まらない

 ニューヨーク市で2月19日(土)、プラットフォームや地下鉄電車内で少なくとも1日4件の刺傷事件が発生した。NYPDの発表によると同日午後3時、ブルックリンのヴァン・シクレン駅で20歳の女性が背後から何者かに殴られ3回刃物で刺された。午後8時20分には24歳の男性がマンハッタンウエストサイドを走る1番線168丁目駅で足を刃物で刺される強盗傷害事件の被害に遭い、午後9時前に同じく1番線116丁目駅の車内で別の男性が腕を刃物で切られた。同日深夜午前3時には、ジャマイカ駅・ヴァンウイック駅で男性が3人組に襲われている。また27日午後10時ごろブルックリンのブルックリンジャンクション駅のホームで、27歳の男性が、口論となった相手に胸部を銃で撃たれた。容疑者は逃走中。警察によると、負傷した男性は病院に運ばれ容態は安定しているという。

階段でハンマーで殴る

クイーンズプラザ駅

 クイーンズブラザ駅の入り口で2月24日午後11時過ぎ、駅構内に入るため階段を降りていたニーナ・ロスチャイルドさん(57)を男が後ろからハンマーで何度も殴り、バッグを奪って逃走する事件が起きた。

 ニューヨーク市警察(NYPD)が公開した映像には、男が階段を降りる女性の背後から近づき背中を蹴った後、ハンマーで頭部を執拗に殴る様子が映っている。女性がうずくまって倒れたあと、バッグを奪って逃走した。被害者の女性は、通報により駆けつけた救急隊員によって病院に搬送されて手当てを受けたが頭蓋骨を骨折しており、危険な状態だという。NYPDは28日、ウィリアム・ボトマン容疑者(57)を強盗と殺人未遂容疑で逮捕した。

地下鉄で車掌が乗っている車両を見分ける方法

 最近、やたらと地下鉄で事件事故が起こっている。せめて車掌が乗っている車両に乗っていれば、何かあってもすぐに助けを求められる。ホームで待っている時に、車掌が乗っている車両を一発で見分ける方法がある。車掌にしか見えない白いバーが線路に面して、数十メートル間隔で天井から吊るされている。乗客側からはただの板にしか見えないが、車掌はこれを目印にして電車を止めている。