ジョージ・タケイ講演会

ドナルド・キーン日本文化センター、4月14日

 ドナルド・キーン日本文化センターは、2021〜22年度第15代目千宗室レクチャーの定例行事として、4月14日(木)午後6時からコロンビア大学ミラー劇場(ブロードウエー2960番地、116丁目)で、俳優のジョージ・タケイ氏の講演会を開催する。

 タケイ氏は、大人気テレビシリーズ「スタートレック」で宇宙船エンタープライズの操縦士ヒカル・スールーを演じ、世界にその名を知らしめた米国の有名俳優である。60年にも及ぶ俳優業を含んだ彼の人生は、さまざまな物語を秘めている。第2次世界大戦中、日系アメリカ人として家族とともに捕虜収容所に投獄されていた幼少時代から、同性愛者としてLGBTQ+の権利向上のための闘いにおいて国民的な重要人物になるまで、タケイ氏は政治からポップカルチャーに至るまで広い分野で多くの強い社会的メッセージを残してきた。今回の講演では、そんな氏の波乱万丈な半生を語る。講演は英語。

 入場無料、要予約。参加希望者はウェブサイトwww.keenecenter.orgの「Sen Lecture 2022」から登録する。入場の際は、コロンビア大学が定める最新の安全対策(IDとCOVID-19ワクチン接種終了の証明・カードの提示など)に従う。問い合わせはEメールdonald-keene-center@columbia.edu(新谷さん)まで。

忘れがたき故郷

ニューヨークの魔法
岡田光世

 三月二十五日、ギリシャの独立を記念し、パレードが行われる。五番街は国旗の色、青と白で鮮やかだ。アイルランド系移民のセント・パトリック・デー・パレードに圧倒され、それほど目立たない存在だが、夫はよくこのパレードに行きたがった。

 というのも、彼は大学時代に一年間、ギリシャのテサロニキに住んだことがあるからだ。ギリシャ人に出会うと、うれしそうだ。ギリシャ語が話せるし、懐かしい話もできる。 

 各地の民族衣装を着たギリシャ系アメリカ人が、手をふりながら、通り過ぎる。街頭に並んで旗をふる人々は、知り合いや自分の出身地の集団がやってくると、大歓声をあげる。

 I really don’t belong here.

 私は本当は関係ないんだけど。

 この人がどうしても毎年、来たいって言うもんだから。

 ギリシャ人の夫と一緒に来ていた、アメリカ人の女の人は言う。

 彼女の夫はヤニナという町の出身だ。この町を訪れたことのある私の夫は、ギリシャ語で話し始めた。

 ヤニナ、知ってるよ。トルコ時代の建物が多い町だよね。町に湖があって、その湖の真ん中に島があって、そこのレストランではウナギ料理が食えるんだ、と夫が言う。

 な、なんだ、お前、ギリシャ語が話せるのか。こりゃ、驚いた。で、おまけに、俺の故郷を知っているのか。いったい、なんで、そんなに詳しいんだ。

 アメリカ人でも日本人でも、ギリシャ語が話せる人はあまりいないのだろう。その人の顔は喜びで輝いている。

 夫によれば、ギリシャ人は外国人がギリシャ語を話すととても感激するという。自分たちの言葉が世界一難しいと信じていて、それを多少なりともマスターした外国人は、賞賛されるらしい。

 おい、おい、おい。この日本人は、ヤニナを知っているぞ。

 彼は周りの人たちに叫んでいる。

 ああ、友よ。俺の町をそんなによく知っていてくれて、うれしいよ。

 夫はすでに、彼の“友”になっている。

 このエッセイは、文春文庫「ニューヨークの魔法」シリーズ第1弾『ニューヨークのとけない魔法』に収録されています。

https://books.bunshun.jp/list/search-g?q=岡田光世

編集後記  3月12日号

【編集後記】
 みなさん、こんにちは。「モスクワは涙を信じない」(原題:Moscow Does Not Believe in Tears )は1979年に製作されたソビエト連邦の映画。ウラジミール・メニショフ監督の作品で1981年に全米で公開され、翌年のアカデミー国際長編映画賞に輝いています。社会主義体制の中でも幸せを見つけ、ひた向きに生きる3人の若い女性たちのそれぞれの人生を描いた作品。そのソ連から分離したウクライナが今、ロシアの侵攻を受けています。小さな子供たちを抱えて国境を越える母親たちの表情が映画の中の女性たちとダブります。今はただ涙をこえて。200万を超える難民の数は、日に日に増していて、今日9日、子供たちの国外退去命令をウクライナ政府が出しました。22世紀の現代にこんな暴挙がまかり通っているとは。自国の中の政権混乱ならミャンマーや香港、シンガポールなどがありますが、他国が軍事侵攻しての政権転覆はこれはまさしく侵略戦争です。国連安保理で拒否権を持つ常任理事国の大国自らが国連の無力を証明しています。中国など片手に満たない数か国を除き、全世界から四面楚歌となるロシアの明日もまた国民にとっては地獄でしょう。エンパイアがウクライナ国旗のブルーと黄色に染まる日は、これからも何度もありそうです。「ウクライナは涙を信じない」Ukrainian Does Not Believe in Tears. それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2022年3月12日号)

(1)ワクチン証明の提示解除 レストランや映画館で

(2)ウクライナは涙をこえて

(3)NYジャイアンツのオフ 街角ファッション7

(4)焼酎カクテルコンテスト  「赤魔王」使用のボウイさん優勝

(5)核シェアリング議論   アメリカ時評 冷泉彰彦

(6)東日本大震災追悼式  ほくほく会が開催

(7)レストランに明暗 ロシア系とウクライナ系

(8)嵐のライブ映画  全米で1日だけ上映

(9)駐妻の帰国復職 米国滞在中にすべきこと

(10)沖縄伝統舞踊と音楽 JSで18、19日に

ワクチン証明の提示解除

NY市が実施、今月7日から

レストラン、映画館など

 ニューヨーク市は7日から、レストラン、バー、ジム、映画館などでの新型コロナウイルスのワクチン接種証明の提示義務を解除した。また市内の公立学校での屋内でのマスク着用義務も解除された。ただし、地下鉄、バスなどの公共交通機関やブロードウエーの劇場などでは引き続きマスク着用が必要となっている。

 オミクロン株の蔓延で1月は1日あたりの新規感染者が4万人を超え、入院も1000人を数えるなか、1月に就任したエリック・アダムズ市長は、市職員はもとより対面で働く民間企業の従業員にもワクチン接種を義務化。2月11日にはワクチン接種義務を順守しなかったとして1430人の市職員を解雇した。こうした厳しい措置が功を奏したのか、3月には1日あたり新規感染者500人、入院25人ほどと大幅に減少した。アダムズ市長は4日、タイムズスクエアで今回の解除発表の際、「私たちは勝っている」と事実上の勝利宣言を行った。

 一方、デブラシオ前市長のヘルスアドバイザーだったジェイ・バルマ博士はワクチン証明は続けるべきだとの意見を3日付NYデイリーニュースに寄稿した。ジュマナーニ・ウィリアムズ市政監督官やリズ・クルーガー州上院議員(マンハッタン区選出)らも証明義務廃止は時期尚早と懸念を示している。他州の大都市でも各種の義務解除が進んでおり、ダラス、ヒューストンでは学校でのマスク着用は任意になり、シカゴでも近く解除の見込みだ。

ウクライナは今涙をこえて

 「モスクワは涙を信じない」(原題Moscow Does Not Believe in Tears )は1979年に製作されたソビエト連邦の映画。ウラジミール・メニショフ監督の作品で1981年に全米で公開され、翌年のアカデミー国際長編映画賞に輝いている。社会主義体制の中でも幸せを見つけ、ひた向きに生きる3人の女性それぞれの人生を描いた作品。そのソ連から分離したウクライナが今、ロシアの侵攻を受けている。小さな子供たちを抱えて国境を越える母親たちは、愛する夫や息子と別れ、不安と恐怖の毎日だろう。今はただ涙をこえて。200万を超える難民の数は、日に日に増している。エンパイアがウクライナ色に染まる日は、これからも続きそうだ。

(4日午後6時過ぎ、写真・三浦良一)

NYジャイアンツのオフ

街角ファッション動画DEチェック

 雲一つない快晴の週末。フェリーでニュージャージーのポート・インペリアル・フェリー・ピアへ足を延ばした。マンハッタンよりもゆったりした遊歩道は、スポーツウェア姿で歩く健康的な人々でいっぱいだ。そのなかで2メートルはあろう高身長で筋骨隆々とした男性に目を引かれた。Supremeのフーディー以外は全てナイキ。帽子とサンダルのロゴは小文字の斜体で”ny”。「アスリートだし、スポンサーでもあるからナイキばっかりなんだ」ここでピンとくるべきだったが、鈍い筆者はインタビュー続行。「学校でのスポーツクラブは全てナイキ指定だったからね。バスケも陸上もね。スポーツブランドの定番で育ってきたんだ。友達もみんなナイキさ」。アトランタ出身で、現在NY在住。目立つ色や柄の服が好きで、買い物はソーホーに行く。「全てはニューヨーク発」だから、やはり南部とはファッションセンスも異次元。地元に帰ると友人からはお洒落になったと言われるという。本日この後の予定は?と聞くと「明日は試合だからゆっくり休むよ。NYジャイアンツでプレーしているんだ」。「えっ!プロバスケ選手なの?」と反射的に口走った愚問にすかさず「フットボールね」。撮影日は昨年9月の土曜日。公式戦前日にインタビューへ応じてくれたこの紳士は、NYジャイアンツ所属現役ラインバッカーのLorenzo Carter選手。平謝りにも“No problem!”と心優しい返答。私も心から反省し、NY在住者として米国4大スポーツの地元チーム名はしっかり把握することとした。

(Wear2Nextチーム/アパレル業界関係者によるファッション研究チーム)

焼酎カクテルNYのバーで

全米カクテルコンテストも開催

宮崎県赤魔王を使用、ボウイさん優勝

 鹿児島酒造組合、宮崎、大分、熊本県の4県が合同し、全米のトップバーと提携してニューヨーク、シカゴ、ワシントンDC、オースティン、サンフランシスコの各地で全米初の「焼酎カクテル・ウィーク」を今月14日まで開催している。

 ブルックリンのバー「ごとう二番」では7日、焼酎カクテルコンテストが開催され、全米から116件以上の応募の中から最終選考に残った7人が腕を競った。優勝したのは、デッド・ラビット(NY)のバーテンダー、イダン・ボウイさんが、宮崎県の焼酎「赤魔王」を使って作ったカクテル「レッド・クレイ・バンブー」だった=写真右=。同焼酎を全米にディストリビュートするクラモトUS(本社カリフォルニア州トーランス)の下村琢哉副社長は「赤芋から作ったフルーティーな赤魔王の多様性を見事に引き出したカクテルで今後の米国での焼酎の発展に期待したい」と話した。

 ニューヨークのバーごとうでは、 iichikoの麦焼酎「彩天」をベースに蒸留酒メスカル、レモン、ライム、セロリを加えた「Koji-San」、芋焼酎に紫芋のピューレ、ラムを加えナツメグで香り付けした「Murasaki」、米焼酎に炭酸水を混ぜガリを加えた「白米ハイボール」の3種類を提供している。そのほか「エンジェルズ・シェア」の名バーテンダーである渡邉琢磨氏がこの3月末にオープンする「マーティニーズ」でも焼酎カクテルを披露する。カクテル週間参加店、提供メニューの詳細はhttps://shochu.guide/shochu-cocktail-weekを参照する。

(写真上)優勝し日本行き航空券を手に喜ぶボウイさん(左端)

ロシアの核威嚇で不可避となった核シェアリングの議論

 ウクライナに侵攻したものの、想定外の激しい抵抗に狼狽したのか、ロシアのプーチン大統領は「核部隊に警戒命令」を出すという行動に出た。この行動は、基本的には言葉を使った軍事テクニックであり、最善の対応はスルー(無視)することである。少なくとも、アメリカのバイデン大統領は3月1日に行った一般教書演説の中では一言も触れなかった。

 一方で、日本での反応は大きかった。核武装を検討すべきだとか、非核三原則を見直すべきだという議論が瞬時に沸き起こったのである。また、この機会に「核シェアリング」という構想について、議論を封印すべきではないという意見も多かった。確かに今回のプーチン発言と、これを受けて起こった日本国内の動揺というのは、核シェアリングについての議論を整理しておく良い機会かもしれない。

 まず明確にしておきたいのは核シェアリングというのは、国際法上の概念ではない。また国際社会一般において共通概念が確立している問題でもない。単なるNATO内の独自ルールであり、NATOが一方的に運用しているものだ。NATO内には米英仏3カ国という核保有国があるが、それ以外の国が核武装することはNPT(核拡散防止条約)で禁止されている。けれども、具体的にはNATOはアメリカの提供する核兵器を、ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコの5カ国に配備している。

 実はこうした配備は、NPT違反になる。けれどもNPT成立時には秘匿されていたために、議論は起こらず一種の既成事実となっている。またNATOは、有事においてはNPTの効力は消滅するとして行動するとしており、具体的にはシェアリング国は自国の軍隊が米国の核兵器の輸送などに協力するとしている。つまり平時にはアメリカの核兵器が「持ち込まれて」いるだけだが、戦時には共に核抑止力として運用する、これが核シェアリングである。

 仮に日本が類似の対策を考慮するのであれば、次の3つの論点を検討する必要がある。

 1つ目は有効性である。現在の日本は米国の「核の傘」に守られていることになっている。つまり日本に核攻撃をすると、その国は米国の核によって反撃される。従って日本への攻撃が抑止されるという論理である。しかしながら、この措置には米国が「自国民が大量殺傷されるリスク」を引き受けてまで「日本のために核兵器で反撃できるのか?」という疑念がつきまとう。これは日本にとっては不安である。では、例えば米国と核シェアリングを行うことで、このリスクが低減できるのかは理論的にも確かでない。相手のあることであり慎重な研究が必要だ。勿論、実際に核戦争を行うための研究ではなく、あくまで抑止力を高めるためであるが、答えは簡単には出ないであろう。

 2つ目は日本側の義務である。前に述べたように核シェアリングはNATOが運用しているものだが、これはNATOの「鉄の掟」つまり条約第5条にある「加盟国1国が攻撃されたら加盟国全体への攻撃とみなす」という縛りが前提になっている。アメリカの「反テロの戦い」にNATOが参加したのはこのためであるし、ウクライナにNATO諸国が援軍を派遣できないもこのためである。仮に日本が米国と核シェアリングを行うということは、米国の関与するあらゆる戦闘に日本が参加する義務を背負うことになるということを覚悟すべきであろう。また、「核の傘」と比較すると経済的なコスト負担も大きくなるであろうし、何よりも日本側における法令の改正等膨大な作業が必要になる。

 3つ目は、国際関係の問題だ。まず、NATOの核シェアリングはNPT条約に違反するが、秘密裏の既成事実として黙認されている。ではこれを前例として日本の核シェアリングをNPTに認めてもらうというのは、これは大変に難しい交渉になる。無理に進めれば多くの国が条約から脱退してNPT体制が崩れてしまうだけでなく、実務組織としてのIATA(国際原子力機関)の機能も停止してしまうかもしれない。

 いずれにしても、突如始まった「核シェアリング」の議論は、核兵器と平和を考える良いテーマであると思う。実務と理念の両面からの論戦が深まることを期待したい。

(れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

東日本大震災から 11年、ほくほく会が追悼式

 東北6県と北海道出身者などで作る連合会「ほくほく会」は3月6日午後ニューヨーク日系人会で第11回東日本大震災追悼式を対面方式とオンライン方式のハイブリッドで開催した。式典では、ニューヨーク総領事館、兵庫県人会も参加し、被災地から最近の復興状況についてのリポートがあった。後半は東北ゆかりの芸能を楽しんだ。

 ニューヨーク総領事館の坂本徹領事部長が冒頭挨拶し「震災による大きな犠牲の下に得られた貴重な教訓を決して風化させてはならない。内閣府の発表では、事前に地震、津波への防災対策を立てることによって、被害は8割ほど減らせるとしている。私たちひとりひとりが、教訓を次の世代に積極的に伝えること、防災対策に役立てていくことこそ、我々の責務」と述べた。続いて今年の幹事県、NY宮城県人会を代表して白田正樹さんが挨拶した。

 白田さんは「2年ぶりに対面で開催でき、懐かしい顔ぶれと再会できてうれしい。10年ひと昔で最近はめっきり追悼会は少なくなったが、これも時代の流れ。ただ、我々東北・北海道出身の者にとって東日本大震災はいわば当事者の問題とも言っていいもの。年に一度のこの追悼会は続けていきましょう」と述べた。また兵庫県人会のジョシュ大西会長が「毎年追悼式に参加することが次世代に受け継ぎ、風化させないことになる」と述べた。

 被災地からのリポートでは岩手県が「復興の歩み」と題するビデオを上映、福島県は経済産業省からコロンビア大学に留学中の相原翔さんが「福島の未来に向けて」と題しスピーチ、宮城県人会は演劇「いのちのかたりつぎ」について企画・演出を担当した都甲(とこう)まり子さんが報告した。

(写真)追悼式でスピーチするNY宮城県人会の白田さん

ロシア系不買運動とばっちり

ウクライナ系には寄付続々

ロシアン・ティールームは閑古鳥、ウクライナ料理店は大繁盛

 ロシアのウクライナ侵攻で、2番街9丁目角にあるウクライナ・レストラン「べセルカ」に連日多くの客が集まる一方、57丁目にある「ロシアン・ティー・ルーム」には閑古鳥が鳴いている。

 ウクライナ語で虹を意味するべセルカは、ウクライナ支援の人たちや非営利団体の拠点となっており、店自身もウクライナへの寄付活動を行っており、侵攻後最初の1週間で約1万ドルの寄付金が集まったという。また、店頭では電池や衣料品などの現物寄付も受け付けている。

 一方、創業95年を誇り、フランク・シナトラなど数々の有名人が利用してきたロシアン・ティールームの客足は大幅に減り、SNSで脅迫さえあったという。2月24日にウクライナ侵攻が始まり、同レストランは28日にはウェブサイトやSNSに、ウクライナの国旗に「ウクライナに連帯」というスローガンを入れたロゴを全面に出した。声明文も掲載し、「ロシアン・ティー・ルームはロシアのいわれのない戦争行為をもっとも強い言葉で非難します。その歴史は、95年にわたり共産主義独裁に反対し、民主主義のために発言することに深く根ざしています。革命によって居場所を失った創業者たちがスターリンのソ連に立ち向かったように、わたしたちはプーチンに立ち向かい、ウクライナの人々に連帯します」としている。しかし客足は遠のいたままだ。

 ロシアン・ティー・ルームは1927年にロシア帝国バレエ団のメンバーによって開業されたが、現在のロシアとは関係がない。数度にわたるオーナーの変遷を経て、現在は金融会社のRTRファンディング・グループ(ジェラスド・リープリッチCEO)が所有している。

 ロシア製品などへのボイコットでは、全米各地でウォッカのレストランや酒店からの撤去や不買運動が起きている。このためウォッカブランドの「ストリチナヤ」は「ストリ」に名称変更したが、会社はルクセンブルクの複合企業で製造はラトビアで行われておりロシアとは関係がない。ロシア第2の石油大手ルクオイルが提携するLUKOILガソリンスタンドでの給油に反対する運動も起きている。株価が暴落したルクオイルは3日、「私たちは武力紛争の迅速な停止を求め、外交手段を通じた交渉による解決を全面的に支持する」との声明を出すなど対応に追われている。

(写真)(左) ロシアン・ティー・ルーム、(右)ウクライナ料理店「ベセルカ」

嵐のライブ映画全米で1日だけ上映

 ジャニーズグループ「嵐」の初ライブフィルムが、米国最大の映画興行会社AMC系列の映画館で22日(火)、一夜限りで全米公開される。

 2018年11月から1年以上にわたり、計50公演、1ツアーとして日本史上最大の累計237万5000人の動員を記録した嵐の20周年記念ツアー「Arashi Anniversary Tour 5×20 」。映画として撮影されたのは19年12月23日、東京ドームでのコンサートで、ドローンを含めた125台のカメラでそのすべてを記録した。ドルビーシネマで表現される大迫力のサウンドと美しい映像、嵐5人と5万2000人の観客が作り出す熱気を肌で体感できる2時間28分の作品。英語字幕付き。日本のアーティストのライブフィルムが米国でこの規模で上映されるのは史上初となる。

 上映劇場はマンハッタンでは、AMCエンパイア25(西42丁目234番地)、AMCリンカーンスクエア(ブロードウエー1998番地)、AMC34ストリート13(西34丁目312番地)、AMC84ストリート6(ブロードウエー2310番地)ほか。

 入場料は30ドル(2歳以上)。チケット・詳細はAMC公式サイトhttps://www.amctheatres.com/movies/arashi-anniversary-tour-5×20-film-record-of-memories-68934を参照する。