ランの万華鏡

NY植物園で開催

 ニューヨーク植物園(NYBG)では現在、世界のランを集めた第19回「オーキッドショー:ジェフ・リーサムの万華鏡」が開催されている。

 パリのフォーシーズンズホテル・ジョルジュサンクの芸術監督でフラワーデザイナーのジェフ・リーサムによるラン展は、2020年3月からスタートしていたがパンデミックのため途中で終了していた。2年の期間を経て満を持して再開する今回の展示は、ガラスハウス内の巨大な花のインスタレーションのほか、色とりどりの万華鏡のような光のトンネルも見どころ。5月1日まで。

 また、今月26日(土)から5週にわたり毎週土曜午後7時から10時まで、21歳以上限定のイベント「オーキッドイブニング」が開催される。ピアノやバイオリンのコンサートやカクテル、食事が楽しめるカップルにおすすめのパーティーイベント。入場料は39ドル(要予約)。詳細はウェブサイトwww.nybg.org/

(高田由起子、写真も)

おにぎりの魅力を紹介

学校と企業に配布、1か月間に 3000個
販路拡大目指す

 日本産米で作られたおにぎりの魅力をニューヨークの人々に訴求しようという官民連携のキャンペーンが2月から3月にかけて行われた。日本の食文化・ソウルフードである「おにぎり」は、日本産米の取扱いの拡大や裾野を広げるキーアイテムになるとして、在ニューヨーク日本総領事館とジェトロ(JETRO、日本貿易振興機構)ニューヨークが中心となり、「おむすび権米衛」「大戸屋」「マウントフジレストラン」「ジャパンビレッジ」「BentOn」「ライスファクトリー」、大手日系食品商社などが協力。キャンペーンの内容は「おにぎり弁当の配布」と「おにぎり体験イベントの実施」の二段構えだ。今回の取り組みから見えてきた、おにぎり普及の可能性に迫る。(写真:米企業 Capcoの皆さんも笑顔でおにぎりを頬張る)

日本産米の認知度向上

 ターゲットを、学校や都心部の企業などに定め、配布したおにぎり弁当の数は計約1500食分(おにぎり約3000個分)、配布先は計約25か所に上った。子どもから大人まで、初めておにぎりを食べるという人にも大好評。

 イーストハーレムの小学校での配布の際には、「美味しすぎて魂が天国へ飛んでいってしまいそう!毎日でも食べられそうだよ。日本に行っておにぎりの作り方を教えてもらいたいぐらい」と楽しそうに語った男の子もいた。

 欧米人は海苔が苦手といったイメージがある中で、「このおにぎりは海苔とごはんの相性がいいね」とコメントする女の子も。

 学校と企業に狙いを定めた理由について、総領事館及びジェトロの担当者は次のように語る。「学校への配布は、未来への種まき。企業への配布は、新たなランチオプションの提案。今回の取り組みを単発で終わらせないためにも、その先の、学校・企業のカフェテリア関係者への訴求を見据えている。将来的には、おにぎりがサンドイッチなどと同じようにどこでも手に入るようにしたい」

体験を通じて、記憶に残る味に

 おにぎり作り体験イベントは、ブルックリンの「ジャパンビレッジ」とニューヨーク州ヒルバーンの「マウントフジレストラン」の2か所で行われた。参加者の合計は100人以上に上り、おにぎりマスターのレクチャーを受けつつ、会場に集まった参加者たちは見よう見まねで工夫しながらおにぎりを握っていた。子供たちはもちろん、大人も一緒に必死になって三角形にしようと奮闘する姿が見られた。イベント後は「このお米はどこで買えるのか、家でもおにぎりを作ってみたい」と問い合わせる声も。ただ食べるだけではなく、体験とセットにすることで、日本産米の特徴や魅力などを知ってもらう工夫が見られた。

【おにぎり〜日本産米の相性】

 アメリカには、カリフォルニア産でも十分に美味しいお米がある中で、なぜ「日本産米」で作ったおにぎりなのか。今回の取組みに参加した事業者は「日本産米は冷めても甘味が持続するという特徴がある。おにぎりやお弁当など冷めた時に食べるものとの相性はいいと思う。寿司やラーメンに続いておにぎりブームは確実に来る」と力強く語った。

 また、別の事業者からは「カリフォルニア産米の価格は年々上昇しており、日本産米との価格差はかつてほどなくなってきている」との声も。普段はカリフォルニア産米を使っている人も、たまには日本を応援する気持ちを込めて、日本産米を使ったおにぎりを作ってみてはどうだろうか。

編集後記 3月19日号

【編集後記】 みなさん、こんにちは。本紙今週号10面の書籍欄「即買える新刊を紹介」コーナーで掲載してい6冊の一番にあった本のタイトルに校閲中に目が止まりました。『捨てない生き方』(五木寛之、マガジンハウス新書)「何年も着ていない服、古い靴や鞄、本、小物など愛着ある「ガラクタ」は人生の宝物であるから「捨てなくていい」と提唱する五木寛之氏。孤独を癒す一つのよすがとして物に囲まれて暮らすのだ。後半生の生活を豊かにするヒントが満載の五木流「捨てない生きかた」の極意」とある。世の中、断捨離とかシンブルライフとか、片付けることが美徳とかいつの間にか、スッキリさっぱりするのがいいことだとここ5、6年のトレンドで思わされていたが、このタイトルをみて、なんだかとても救われた気がして、マンハッタンの中心部、ブライアントパークの真前にある紀伊國屋書店NY本店の地下新刊売り場に早速昨日、昼休みに行ってこの本を買ってきました。5冊くらい平積みになっていました。日本での定価909円でしたが、NYでは15ドル99セントでした。人生100年時代に「捨てない生活」のすすめ。私の部屋にも人から見たらガラクタに見えるものがわんさとあります。Uコン模型飛行機のプロペラとかもう古くてかからないであろうエンジンとか。ボーイスカウト時代に米を炊くのに使った飯盒とか。使わないけど時々ケースから出して眺めるコールマンのアルコールランタンとか。目で愛でるモノに囲まれて生活するのは気持ちがいい。きっと、ものを集めるのに凝っているコレクターなんかもそういう部類なんだろう。まだ、読みはじめ。会社の通勤の行き帰りの電車の中で読むのが楽しみ。モノは捨てなくてもいいのですね。レコードなんかも取ってあったから今、楽しめるしね。今週号で、ほんと、取材や記事で、アジアンヘイトや犯罪、ウクライナ戦争や日本の地震など大変な記事が締め切りにドーンと集中して、いい加減に心が疲れているのだと思う。心が美味しいと思うものに浸るのも生きる術かもしれない。1日休んでまたペンの戦いへ。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2022年3月19日号)

(1)路上と地下鉄の治安悪化 アジア系狙う犯罪多発

(2)ウクライナ支援で寄付 NYのTICグループ

(3)お米や食品を寄付 ハーレムのフードバンクに

(4)新NY総領事に 森美樹夫大使が着任

(5)東北地方で震度6強の地震発生

(6)MoMAの職員2人刺す 逃走先で犯人を逮捕

(7)コンクリート建築  建築から沖縄の 半世紀紹介

(8)ジョージ・タケイ講演会 ドナルド・キーンセンター

(9)都市パノラマを見に行こう クイーンズミュージアム

(10 )忘れがたき故郷 ニューヨークの魔法

クイーンズ・ミュージアムのパノラマを見に行こう

 ニューヨーク市のパノラマは、クイーンズ美術館のコレクションの中でも最も有名な展示コーナーだ。1964年に開催された万国博覧会のために、都市計画の立案者であり万国博覧会会長のロバート・モーゼスが市のインフラを祝うために構想したパノラマは、建築模型製作の大手レイモンド・レスター&アソシエーツが100人以上のチームで3年がかりで製作した。

 レスターは、1939年から40年に開催されたニューヨーク万博で、ノーマン・ベル・ゲッデスとアーティスト、デザイナー、製作者として仕事をし、その後モーゼスのために市民プロジェクトの大規模な模型を製作するなど、実物よりも大きな模型環境の構築に精通していた。

 レスターは模型を計画するにあたり、航空写真やサンボーン火災保険地図、そのほかさまざまな市の資料を参考にした。パノラマは正確でなければならず、最初の契約では、現実と「世界最大のスケールモデル」の誤差は1%以下と要求された。面積は9335平方フィート、縮尺は1200分の1で、パノラマはメトロポリスのミニチュア。

 1992年以前に建設された89万5千の建物、すべての道路、公園、約100の橋が、ニューヨーク市の320平方マイルを構成する273のセクションに配置されている。マンハッタン区は70×15フィートの大きさで、エンパイア・ステート・ビルディングは高さ40センチ、自由の女神は約5センチと、正確な縮尺で再現されている。東西にはロングアイランドとニュージャージーが黒い影の塊となって顔を覗かせている。

 「パノラマ」の特徴は、夜明け、夕暮れ、夜間と連続的に点灯すること。また、警察署、消防署、学校、病院、裁判所、図書館、公営住宅、水道、ガス、電気などの公共施設は、3172個の色電球で自動的に照らされる。また、模型の表面から数フィート上に設置されたブラックライトは、市内の公園の木々や敷地、マンハッタンの高層ビルの窓を照らし、夜間には蓄光塗料で緑色に光る。このほかにも、ラガーディア空港を数分おきに離着陸する飛行機が動くなどの特殊効果も。

パノラマを構成するオリジナル素材は、木材に発泡ウレタンを貼り付けたホルミカパネルで、パノラマが作られた時代を物語っている。建物は木、プラスチック、手塗りの紙で、橋はエッチングされた真鍮で構成されている。現在も、建築模型メーカーがコンピューターで設計したアクリルをレーザーでカット・エッチングして、建物を増築しているという。

Queens Museum

NYC Building 

Flushing Meadows Corona Park

Corona, NY 11368

営業時間

月曜と火曜 休館

水曜〜金曜 12:00~17:00

土・日曜11:00~17:00

入場料  $6.00

要予約

https://www.eventbrite.com/e/timed-entry-tickets-tickets-276902602137?aff=erelpanelorg

路上と地下鉄危険度増す

NYでアジア系狙う憎悪犯罪が横行

ホームレス5人銃撃し2人死亡

 マンハッタンのソーホーで12日夜、立て続けにホームレスが銃撃された。最初の事件は午前5時ごろ、アメリカ街のバーリックとキング通りの間で起きた。その約1時間後に今度はラフィエット通り148番地で寝袋の中で頭と首を銃で撃たれた男性が発見されたが、すでに死亡していた。連邦火器取締捜査局は14日ワシントンDC郊外でジェラルド・ブルバード容疑者を逮捕した。同容疑者はワシントンDCでも今月3日から9日までにホームレス2人を銃撃し、1人が死亡している。警察の発表によると同容疑者はこれまでに何度も襲撃事件で逮捕歴があり精神疾患から医療施設で治療を受けていた。

14丁目の地下鉄駅でハンマーで頭部殴る

 またマンハッタンの14丁目地下鉄駅構内で8日午後9時頃、29歳のアジア人男性がハンマーで頭部を殴られ負傷した。被害者の男性は病院で手当を受け、命に別状はないという。男性の友人が撮影した動画には男が「ここを歩いているのが見えないのか?目を開けろ」などと怒鳴りながら暴行を加える様子が映っている。被害者は容疑者と争いは無かったと述べているという。警察はヘイトクライムと見て捜査している。犯人は捕まっていない。

地下鉄車内剃刀男逮捕
アジア男性顔切りつけ

 ニューヨーク市警は6日マンハッタンの地下鉄J線でアジア系男性の乗客の顔をカミソリで切りつけたとしてブロンクス出身のブレンダン・ダウリング容疑者(40歳)を第2級傷害容疑で逮捕した。

 同容疑者は2021年10月から5回の逮捕歴がある。

アジア女性125回殴打

 11日午後6時過ぎにはヨンカーズの自宅アパートビルで「アジア系の女は嫌いだ」と因縁をつけた男性を無視したアジア系女性(67)がビルのエレベーター前のホールで125回ほど殴打される事件があった。ウエストチェスター郡警は14日、タメル・エスコ容疑者(42)を殺人未遂と暴行容疑で逮捕した。同容疑者はこれまでに14回の逮捕歴がある。今月に入りNY市では2時間の間にアジア系女性7人が襲われる事件や、昨年11月以降4人のアジア系女性がヘイトクライムの犠牲になって死亡している。今年の犯罪は対前年比で47%増加、公共交通機関での犯罪は72%増加。精神障害と逮捕歴のある者の再犯例が極めて目立つ。

ウクライナ支援で寄付

NYのTICグループ

 ニューヨークのマンハッタン・イーストビレッジには、リトル・ウクライナと呼ばれる地域があり、約6万人のウクライナ系市民がレストランを営業したりして東海岸最大のコミュニティーを作っている。

 ウクライナにロシアが侵攻して3週間。戦局は悪化の一途をたどっており、祖国の悲劇をなんとか手助けしたいとの思いで活動を続ける人たちがニューヨークにも大勢いる。ウクライナ支援団体のRAZOMもその一つ。戦争が始まってから医療物資などを現地のネットワークを使って送り続けているという。

 15日、その同じイーストビレッジで50年近くビジネスをしている日本人、TICグループ代表の八木ボン秀峰さん(73)が、1954年創業の老舗ウクライナレストラン、ベセルカの前で、ウクライナへの支援の寄付として1万1000ドルの小切手をRAZOMに手渡した。八木さんがニューヨーク市内で経営するTICレストラン、波崎、酒蔵、엣席肱、来々軒、蕎麦屋、ハイカラ、でしべる、茶菴、しゃぶ辰から各店舗の売り上げの一部を贈った。ロシアがウクライナに侵攻した日に寄付を思い立ったという八木さんは「東日本大震災の時には地元から応援していただいた。今度は私たちの番」と話した。RAZOMのドーラ・ホミアク代表は「同じイーストビレッジに生きる日本人の友人からの支援を心から感謝します。現地で血を流している人たちの流血を止めるために使います」と述べた。ベセルカの二代目オーナー、ジェイソン・バーチャードさんは「愛と平和をウクライナに送ることが今の私たちにできる最大のことだ」と挨拶した。

お米や食品寄付

ハーレムのフードバンクに

 ニューヨーク日系人会(JAA)とニューヨーク日本総領事館が合同で呼びかけて開催した食料品寄付キャンペーン「ジャパニーズ・フード・ドライブ」で集まった食料品が11日午後2時、ハーレムにあるフードバンク事務所に寄贈された。米700ポンド(半分は東北米)、スナック菓子、インスタントラーメン、カップ麺、北米伊藤園寄付の日本茶300本など総額8400ドル相当の食料品と寄付が贈られた。

 食品は個人と企業からの寄付で購入されたものと日系食料品店の店頭や日系企業のオフィスなど10か所に設置された段ボール箱に集まった缶詰やそば、うどん、などの食品が袋詰めされて提供された。

 寄贈式にはニューヨーク日本総領事館から奥奈津子広報センター次長、NY日系人会(JAA)から佐藤貢司会長、スキ・ポーツ同名誉理事、ゲイリー・森脇同終身顧問、日系企業を代表してMUFG取締役会会長の越和夫氏、ジョシュア・W・ウォーカー・ジャパン・ソサエティー理事長が出席した。このキャンペーンは東日本大震災時のニューヨークからの支援に感謝する気持ちを表すため2014年から毎年行われてきたが、パンデミックの一昨年と昨年は中止されており、2年ぶりの寄贈となった。

 式で、奥広報センター次長は「米同時多発テロの9・11を経験したニューヨークの皆さんと東日本大震災の3・11を経験した私たち日本人が共に支え合い、日米の友情をこの活動を通して協力しながらさらに深めていけることを期待しています。お互いに頑張りましょう」と挨拶した。

 佐藤日系人会会長は「11年前、東日本大震災の時に支援してくれたニューヨークの皆さんに日系社会は感謝している。今回も寄付に賛同して協力していただいたサンライズマート、ダイノブ、北米伊藤園、日系企業の皆さんに感謝します」と挨拶した。

 MUFGの越会長は「日系社会多方面からの協力で実現できた」と来場者に感謝の言葉を述べた。本紙の取材に対しては「会社としての寄付だけではなく、社員がボランティアとして日系人会ホールで袋詰めなどの作業をして汗もかいて協力させてもらいました」と話した。

 フードバンクのディレクター、サルタン・オカシオさんは「食料支援は、地域社会の異なったさまざまなコミュニティーからのサポートがあって成り立つ活動のため、日系アメリカ社会からの継続的な支援に心から感謝します」とお礼の言葉を述べた。

 フードバンクのキッチンでは、毎日800食の食事が支援の必要なニューヨーカーに提供されている。この日もパーベキューチキンにライスが添えられたランチボックスを手際よく作っていたスタッフたちが、式典中は手を休めて参加し、寄付に感謝の拍手を送っていた。

新ニューヨーク総領事に森美樹夫大使が着任

 ニューヨーク総領事に森美樹夫大使が着任した。森大使は東京都出身。1962年生まれ。84年外務公務員採用上級試験合格、85年東京大学法学部卒業、同年4月外務省入省。88年から96年までニューヨーク総領事館、外務省中近東アフリカ局、欧亜局、経済局勤務。96年在ドイツ大使館一等書記官。2007年国際連合日本政府代表部・公使参事官(経済部長)、08年同代表部公使(総務部長)、10年オーストラリア大使館公使、13年在ケニア大使館公使、16年国際協力局審議官(地球規模課題担当)(NGO担当大使)。17年内閣官房内閣情報調査室次長、19年7月第7回アフリカ開発会議事務局長代理、TICAD担当大使、同年9月中東アフリカ局アフリカ部長(大使)、21年領事部長。22年1月11日付で在ニューヨーク総領事(大使)。59歳。

日本で地震発生

東北地方で震度6強

 日本で3月16日午後11時34分ごろ(米東部時間16日午前10時34分ごろ)福島県、宮城県で最大震度6強を観測する大きな地震が発生した。震源地は福島県沖、震源の深さは60キロメートル、地震の規模を示すマグニチュードは7・3と推定される。気象庁は午後11時40分、福島県と宮城県に津波注意報を発表。1メートルの津波が発生。日本国内で震度6強を観測する地震は昨年2月13日に福島沖で発生した地震以来。関東全域で約209万8340軒が停電した。

コンクリート建築、沖縄の建築を語る

JSで30日

 ジャパン・ソサエティーは30日(水)午後7時から、オンライントーク「コンクリートの楽園・沖縄」を開催する。1972年の沖縄返還から今年で50周年、戦後沖縄に上陸した建築の新潮流・ブルータリズムを紹介する。

 むき出しのコンクリートが特徴のブルータリズムは厳しい気候条件への耐性が強い建築様式だが、それが季節性の台風被害が多い沖縄のニーズに合致し隆盛したことはあまり知られていない。また、建材としてのコンクリートの再利用の可能性や耐用年数などサステイナビリティの観点から検証し、長期的な広範な普及による環境負担も考察する。スピーカーは、日本のブルータリスト建築を撮影する写真家のポール・タレット氏、建築史・建築理論を教える助教授兼プログラムコーディネーターとしてヒューストン大学のジェラルドDハインズ建築デザイン大学に勤務するマイケル・クボ氏を迎える。セミナーの言語は英語。

 参加費は任意料金制(要事前登録)。登録・詳細はウェブサイトhttps://www.japansociety.org/arts-and-culture/talks/okinawan-brutalist-architectureを参照する。

MoMAの職員2人刺す

カウンター飛び越え

逃走先フィラデルフィアで逮捕

 西53丁目にあるニューヨーク近代美術館(MoMA)で12日午後4時15分ごろ、映画の受付カウンターで、来館した男が腹を立て、職員2人をナイフで刺す事件があった。

 黒いウールの帽子とサージカルマスクをした男が飛び越えてカウンターの内側に入り、対応していた女性職員(24)の背中と首を刺した。別の職員がノートを投げるなどして応戦すると、そばにいた男性職員(24)の左鎖骨を刺したのち、男は逃走した。警備員が来館者を全員、館外に退避させ、世界中の観光客が訪れるニューヨーク屈指の美術館の周りは一時騒然となった。警察と救急車が駆けつけ、刺された2人はすぐにベルビュー病院に運ばれ手当を受けた。命に別状はない。(写真:立ち入り禁止のテープを解く警察官(午後6時すぎ、写真・三浦良一))

ガバナー容疑者

 切りつけたのはゲイリー・ガバナー容疑者(60)で、15日にペンシルベニア州のフィラデルフィアで逮捕された。美術館は、秩序を乱す行為が複数回あったため会員資格を取り消していたという。容疑者の確認できる最後の住所は、精神障害者やエイズ患者のために非営利団体「プレーキング・グランド」が運営するミッドタウンにあるアパート。容疑者は13日、フェイスブックとツイッターに、自分は双極性障害であること、また「笑った時に自分を黙らせようとした女性によって引き起こされたものだ」といった内容の文章を投稿している。

 警察は顔写真や犯行を捉えた監視カメラのビデオを後悔して広く情報の提供を求めていた。美術館側も大衝撃を受けており警備に万全を期すとしている。

近代美術館の受付カウンターを飛び越えて中に入り、刃物で職員を襲う容疑者。館内の監視カメラが捉えた映像をNYPDが公開