編集後記 2022年7月16日号

【編集後記】 みなさん、こんにちは。日本が、世界が震撼した。もちろん安倍晋三元首相の死だ。犯人の宗教がらみの身勝手な思い込みにより、個人的で恣意的な殺人計画によって、こともあろうに選挙応援演説の公衆の面前で銃撃されて犠牲となった。しかも背後から忍び寄って自家製の銃器によって。こんなことが現代の日本で起こるのかと目を耳を疑った。アメリカのメディアは「暗殺事件」として一斉に報じた。日本の多くの報道機関は、殺害の背景が政治的なものではないことを理由に「銃撃による死亡」と、あえて「暗殺」という言葉を避けた。本紙は、今週号で、計画的に人を殺害したという意味で「謀殺」という言葉とアメリカの論調で使われている「暗殺」を同一紙面で使い分けた。犯人が歩道から車道にふらふらと歩き出して最初の一発目を発砲するまで約9秒少しあったと報道されている。思い出したのは、1981年3月30日に、ワシントンD.C.で、ロナルド・レーガン大統領が銃撃された事件だ。私はそのニュースをロサンゼルスの日経新聞社の編集部で聞いた。銃弾は大統領専用車の車体に当たって跳ね返りレーガンの左胸部に命中し、他にもジェイムズ・ブレイディ大統領報道官とワシントンD.C.首都警察のトマス・デラハンティ巡査、シークレットサービスのティモシー・マッカーシーに命中した。狙撃犯のヒンクリーはシークレットサービスや警官に取り押さえられ、逃亡しようともせずその場で身柄を拘束された。この10秒に満たない一連の出来事は複数のテレビカメラによってその一部始終が生中継されて世界を駆け巡った。一方、安倍元総理が撃たれた直後の映像は、カメラは固定位置から動かず、望遠ズームで捉えるばかり。世界に配信された写真は、共同通信のカメラマンが近くに駆け寄って撮影した地面に血を流して横たわる安倍氏の1枚の写真だった。その写真も国内では血の部分がモザイクがかけられた。公衆の面前で撃たれて一命を取り留めたレーガン大統領と死亡した安倍元総理の紙一重の落差は大きい。現場にはいなかったが、あえて言わせてもらうなら、せめて、総理の後方を警備していた2人のSPが、ガードレールの外にいれば、飛びかかることができたはずだ。政治的背景がなければ暗殺ではないとするなら、精神異常の犯人から発砲されたレーガンも、1963年にテキサスで暗殺されたジョン・F・ケネディも68年にロサンゼルスで殺害された弟のロバート・ケネディも犯人の犯行動機はうやむやだが歴史上はれっきとした「暗殺事件」であることに異を唱える人はいないだろう。政府の要人を計画的に殺害するということは、何に忖度して言葉を濁しているのかは知らないが、「安倍元総理暗殺事件」と呼んで何らはばかることはないのではないか。国内では毀誉褒貶甚だしい安倍氏だったが、海外での評価は極めて高い。安倍元総理の暗殺は、決してケネディ兄弟やレーガン大統領を狙った暗殺事件に比して決してその重大さに劣るものではない、まごうことなき「暗殺事件」だったと、事件直後に「週刊NY生活」という海外のこの小さな日系新聞社が書いたことをここに記しておきたい。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2022年7月16日号)

(1)岐路に立つ日本の安全と平和  ジェラルド・カーチス名誉教授

(2)在留邦人も弔問記帳  NY日本総領事館で

(3)上村さんパールアート展 飾る楽しみもNYで紹介

(4)大野俊三  30日にライブコンサート

(5)五嶋龍さんが空手道場  日米武道館を開設

(6)在外選挙投票率22%  参議院選挙で自民大勝

(7)平和な日本でなぜ  海外メディアの「暗殺」報道(在留邦人の声や関連記事もできる範囲で)

(8)タイム誌の表紙に  安倍晋三のレガシーを特集

(9)輸入焼酎の規制緩和 ビールと同じソフトリカー扱いに

(10)NY日商創立90周年 ウクライナ支援の夕べ

(11)着物に見るジャポニズム  メトロポリタン美術館で

岐路に立つ日本の安全と平和

安倍元首相暗殺と日本政治の未来

コロンビア大学政治学部名誉教授 
ジェラルド・L・カーチス

 安倍晋三元首相の暗殺は、日本国民だけではなく、世界の指導者たち、そして日本国外の多くの人々に、彼の死の衝撃と悲しみとショックを与えた。安倍総理は、長年にわたり総理大臣を務め、国際的に尊敬され、影響力のある人物だった。アベノミクスで日本経済を活性化させ、防衛力を強化し、政府レベルだけでなく、知的交流や日本研究プログラムの支援を通じて米国との関係を深めることに尽力した。

 私は安倍氏と長年知り合い、日本の内政や外交の問題について幅広く語り合い、興味深い会話を何度も交わした。経済政策、教育政策、その他多くの国内問題について議論したが、彼の心が国際問題にあることは明らかであった。安倍首相は、日本が世界の舞台で、より大きな指導的役割を果たすべきであると考え、その実現に向けて懸命に努力していた。彼は、これまでのどの首相よりも頻繁に、そして広範囲に渡航していた。ASEAN諸国やインドとの関係も深めた。ロシアとは北方領土問題を解決しようとしたが、結局は失敗した。中国との関係も改善しようとしたが、同時に中国が尖閣諸島に対する日本の支配に挑戦しようとする動きには断固として抵抗した。インド太平洋地域における強力な自由貿易体制を構築するための努力もした。そして何よりも、米国との関係強化に努めた。

 安倍首相は、米国との緊密な同盟関係なくして、日本の国家安全保障戦略の成功はあり得ないと考えていた。だから、オバマであろうとトランプであろうと、安倍氏は米国の大統領と個人的に親密な関係を築くように努めた。オバマと一緒に広島に行き、トランプが当選してすぐ、大統領に就任する前にニューヨークのトランプタワーにトランプを訪ねに行ったのだ。安倍氏は思想的には自民党の右派だったが、外交に関しては現実的なリアリストであることがわかった。

 安倍首相の死が長期的にどのような影響を及ぼすか、確実なことは言えないが、今回の事件が、日本にとって大きな転機となるかもしれない。戦後の日本では、安倍首相の祖父である岸信介首相の暗殺未遂事件、長崎市長殺害事件、オウム真理教による殺傷事件など、衝撃的な凶悪事件が他にも起きている。しかし、安倍首相殺害が他と異なるのは、それが起こった歴史的背景である。第二次世界大戦後数十年間、日本人は自分たちの国は安全で平和だと信じ、国内政策や外交政策を少しずつ変えていくことで日本はやっていけると思っていた。そのため、衝撃的な出来事や恐ろしい出来事があっても、この基本的な信頼が揺らぐことはなかった。

 しかし、新型コロナウイルスによるパンデミック、地球温暖化の脅威、台湾や南シナ海、東シナ海における中国の攻撃的な行動、ウクライナ戦争の結果としてのロシアとの関係の悪化、北朝鮮の核兵器能力の増大、米国の評判と世界のリーダーシップの低下、そして今回の安倍首相の殺害が重なり、日本人は自分の国が本当に安全で平和なのか疑問を持つようになったのだ。

 日本の政治指導者たちは、このような世論がもたらす機会を捉えて、ドナルド・トランプ氏のようにポピュリスト的な政策を推し進め、日本を危険な道に導くのか、それとも安倍首相の後任を目指す人たちが、日本の安全と平和を維持し続ける道を定めるために、冷静で合理的、現実的でいられるかという疑問に対する答えは、私たちには分からない。

 安倍首相は日本の政治の舞台で大きな存在であった。そのレガシーをどうするかは、後継者たちの手にかかっている。

(原文は英語。本紙編集部訳)

在留邦人も弔問記帳

NY日本総領事館で

 ニューヨーク日本総領事館は、7月8日、安倍晋三元総理大臣が逝去したことを受け、11日と12日に弔問記帳を受け付けた。

 パーク街の48丁目にある日本総領事館が入居するビルには午前9時30分から在留邦人が続々と詰めかけ、1階ロビーはエレベーターに乗る人たちで長い行列ができた。当日は事前の登録は必要なかったが、ビル1階の同館受付で身分証明書を提示し、入館に際しセキュリティ・チェックを受けるなどの警備態勢が敷かれた。

 入館者たちは記帳台帳が置かれた18階広報センター内ギャラリースペースに案内され、それぞれの思いを込め遺影の前で手を合わせ、記帳していた。2日間で日米市民や在留邦人ら325人が記帳した。

(写真)弔問記帳する在留邦人(11日午前9時30分過ぎ、NY日本総領事館で、写真・三浦良一)

身につけ飾って楽しむ

上村さんがパールアートNY展

 パール芸術作家の上村栄司さんが7月5日から9日までソーホーのギャラリー・マックス・ニューヨークで「パールアート展」を開催した。ニューヨークでは3年ぶりの開催。初日には上村さんが新たに手がけているストーリー性のある作品で、身につけた後は自宅に飾って見て愛でる芸術作品としての表現の数々を紹介した。来場したパール愛好家の顧客たちは、作品を手に、首に、胸に飾りながら上村さんの説明に聞き入っていた。当日は講演会も開催された。

 上村さんは、 三重県南伊勢で祖父の代から真珠養殖を営む3代目で、真珠に限りない愛情を注ぎ制作に取り組んでいるユニークな真珠アーティストだ。もの心ついた時から枕元にいっぱい真珠が転がっているような環境の中で育った。パンデミックの2年半、今まで気がつかなかった多くの発見があった。その一つが、身に着けるものだけでなく、身に着けない時間をアートとして身近で眺め愛でることができる作品の創作だ。また真珠をあしらったテーブルウェアなどにも力を入れている。そうすることで、「これまでジュエリーに全く興味の無かった方がお求めくださったり、またご自分をイメージした作品を作って欲しいなどの依頼もいただいたり、真珠の別次元に一歩踏み入った感覚で制作しています」と話す。

 テーマは、スパイダーが真珠を掴んでいる作品や、宇宙飛行士が月面着陸している宇宙を真珠で描いた作品などさまざま。

 講演では「一緒にお出かけした後は、特性ケースに飾って、感謝の気持ちで、アートとして鑑賞して楽しむ」使い方も紹介した。養殖真珠が開発されたのは、今から約100年前。天然真珠と比べ、まん丸で形もすべて揃っている養殖真珠は世界の人々の賞賛を集めた。 祖父の代から真珠養殖に携わってきた上村さんは「丸く揃っている真珠は素晴らしい。しかし、丸くなくても、揃っていなくても真珠は美しい。 人間ひとり一人、姿かたちが異なるように、真珠もまた 一粒ずつ異なる趣きを秘めている。 芸術というと少し遠い存在に感じたりもするが、日常のちょっとした風景にもアートを感じて自分なりに楽しんでみていただきたいです」話していた。

希望を持って生きる力を

トランペッター 大野俊三

30日ライブコンサート

 ニューヨーク在住のトランペッター、大野俊三が30日、イーストビレッジのザ・パブリック・シアター、ジョーズ・パブ(ラファイエット通り425番地)でライブ公演「メタモーフォシス(変身)」を行う。パンデミック前に出したアルバム「エピック(勇者の抒情詩)」からの選曲で同名タイトルの曲などを演奏する。1974年3月13日に、アートブレーキーの招きでニューヨークにやってきた。ギル・エヴァンス、ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコックら多くのミュージシャンと共演してグラミー賞をはじめとする多くの賞を受賞する中で、渡米直後の母親の自殺、その後も交通事故、第4期咽頭癌を経験し、その回復の過程で逆境を超えた可能性を見出してきている。今でも、右側の唇、頬、喉、肩から125の筋肉とリンパを切除したため神経がない。唇の左側で演奏する。術後、あらゆる世界の一流トランペット奏者についてリハビリをしたが、何度ももうダメかと挫折しそうになったという。項垂れて歩いている目に飛びこんだグランドセントラル駅の看板の文字「HOPE IS POWER」に勇気づけられた。「生きているだけも奇跡だ。まだ俺にはトランペットがある」。

大野がトランペットの世界に入るきっかけとなった映画「トランペット少年」(1955年、東映)のポスター

 小学生時代、学校で年に2回、文部省推薦の映画を観に映画館へいく行事があって、そこで見た「トランペット少年」(1955年、東映)に魅了されたのがトランペットとの出会いだ。岐阜県長森中学の吹奏楽部に入ってそれからは朝から晩までトランペットばかり吹いている、まさにトランペット少年だった。今、75歳。「慈悲とは悲しみを慈しむこと。今回の演奏会は自分に優しく、親切にすることで希望を持ち、その生きる力を感じていただける清涼剤になってもらえたら」と言う。   (三浦)

 演奏会は30日(土)午後7時開演。入場料20ドル(+ドリンク2杯またはフード12ドルミニマム/1人)。電話212・539・8777、チケット申し込みは

https://publictheater.org

五嶋龍さんが空手道場

「日米武道館」を開設

 バイオリニストとして知られる五嶋龍さんがこのほど、ニューヨークで空手道場「日米武道館」を設立した。「伝統的な価値観を現代に生かす」をモットーに、武道を通じて日本とアメリカの文化の懸け橋になるため、現代的なアプローチをとっていく。目標は「年齢や性別、国籍に関係なく常に人格、運動能力、向上心を育むマインドセットを養う」ことだ。五嶋さんは、7歳から空手を始め、日本空手協会三段、米国ナショナル空手フェデレーション三段、日本空手協会ナショナルチームメンバー、AAUメダリスト、船越義珍杯 第14回 世界空手道選手権大会ファイナリスト。

 幼少より、バイオリン、空手に親しみ、勉学の傍ら世界に名だたるオーケストラとの協演、リサイタル、メディア出演を重ねる。実姉は世界的なバイオリニストの五嶋みどり。ハーバード大学在学中より多面に渡る企業設立に関わり、音楽家、起業家、空手家である経験を生かして、社会活動にも貢献する。「あらゆる学問や、芸術にも武道精神が土台となることから、今はこの道場がしっかり成長することにエネルギーを費やしたいと思っている。武道が他の仕事と両立できないとは考えていないが、現在は、バイオリニストと空手師範の二兎は追わない」と話す。現在、入門生を募集している。

 練習は、日米合同協会(7番街255番地3階、電話603・803・3757)で、稽古は毎週火曜、木曜、土曜に実施している。問い合わせはEメール info@jabudokan.com 詳細はウェブサイト https://linktr.ee/JABudokan

在外選挙の投票率22%

参議院選で自民党大勝

 外務省が11日公表した第26回参議院通常選挙に伴う在外投票者数は、総務省の速報値で比例代表選挙で2万1902人、選挙区選挙が2万1772人だった。また、7月10日時点での在外選挙人名簿の登録者数は、9万9356人で、投票率は、比例区選挙が22・04%、選挙区選挙が21・91%だった。

 今回の選挙で、自民党が単独で選挙区で45、比例代表で18の合わせて63議席を獲得。改選議席125の過半数を確保し大勝した。

 憲法改正に前向きな自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党の4党の獲得議席は93議席となり、憲法改正の発議に必要な参議院全体の3分の2の議席を上回った。女性候補の当選者は35人となり過去最多となった。

世界に衝撃、安倍元総理謀殺

「平和な日本でなぜ」

海外メディア「暗殺」報道

 安倍元首相(67)が奈良市での街頭演説中に銃で撃たれ死亡したニュースは8日、世界中を駆け巡った。米国ではケーブルニュース局のCNN、ABCやロイター通信の電子版などがNHKの報道を引用する形で撃たれた直後から速報した。ニューヨークタイムズなど新聞メディアも電子版で報じた。NBCなどテレビ局のほとんどが8日朝のニュースでトップで伝えた。ニューヨークの地元紙のNYポストやニュースサイトのデイリービーストなども独自記事を掲載した。ほとんどの海外メディアが、元首相「暗殺」として報じ、アベノミクスなどその実績を紹介した。

 ニューヨーク・タイムズ電子版は「安倍晋三が手作りの銃で暗殺され、国家に衝撃を与える」など複数の記事を掲載した。「暗殺で平和な日本で激震」とのタイトルの記事では「安倍晋三首相の驚くべき暗殺は、暴力犯罪が稀な平和な国、日本というアイデンティティーを揺さぶった」と報じ、「ここでは銃による暴力について聞いたことはありません。テレビや米国ではいつも聞いているが、ここでは聞かない」という日本人の声を紹介した。ワシントンポスト電子版も「世界で最も銃規制の厳しい国で極めて稀な事件が起こった」と驚きをもって報道した。

 全国紙USAトゥデーは「安倍晋三暗殺にバイデン大統領はじめ各国首脳らが唖然とし、憤慨し、深く悲しんでいる」と報じた。ウォール・ストリートジャーナルは「日本の安倍晋三元首相が暗殺される」とし、日本では選挙運動中に街頭演説が行われるが、警備体制は軽微であり、首相であったとしても誰もが近づくことができる」と紹介している。

 ブルームバーグはオピニオン欄で、銃事件が少ない日本では衝撃が続いているが、「元首相や政界の大物が街角や駅前で選挙活動をしていても警官や警備員の姿が見えないのはめずらしいことではない」と紹介。執筆時点では容疑者に関する詳細は判明していないとしながらも「一つだけ確かなことは、7月8日は日本に永遠の傷跡を残す日となることだ」と書いている。

歴代大統領が追悼の意

バイデン大統領は大使公邸で弔問記帳

 安倍晋三元首相の死去を受け、バイデン大統領は8日、ワシントンにある日本大使公邸を弔問に訪れた。冨田浩司駐米大使が立ち合い、安倍氏の遺影が飾られた机に花束を手向けた。

 バイデン大統領は「バイデン家と米国を代表して安倍氏の家族と日本の国民に心よりお見舞い申し上げます。彼の死は夫人や家族、そして日本国民だけでなく世界にとっての損失です。平和の人であり、判断力のある人物でした。彼の死は惜しまれるでしょう」などと書き、哀悼の意を示した。

 また、この日行われた中央情報局(CIA)の創設75周年式典出席の際、冒頭で「安倍氏が衝撃的な死を遂げた」と語り、安倍氏とはオバマ政権で副大統領を務めていたころに何度もやりとりをしたと紹介し、「日米同盟の強化や自由で開かれたインド太平洋の実現に取り組んでいた。大変尊敬している」と語った。

 ホワイトハウスが発表した大統領声明では、「私の友人」と呼び、追悼の言葉とともに「暴力的な攻撃は決して容認できるものではなく、銃による暴力は常にその影響を受けた地域社会に深い傷跡を残すということを私たちは知っている」と書かれている。

 トランプ前大統領は8日朝、ソーシャルメディアに「世界にとってとても悪いニュースだ。彼のような人は二度と現れないだろう」と投稿した。同日、ラスベガスで行った演説の冒頭では、「非道な残虐行為であるだけでなく、全世界にとって衝撃的な損失だ」と述べた。

 仲がよかったとされる安倍氏に対し「タフネゴシエーターだった」としつつ、「平和、自由と日米の絆の揺るぎない擁護者で、全世界にとってとてつもない損失だ。安倍氏は私の友人であり、同盟相手で、すばらしい愛国者だった。彼は平和と自由、そして米国と日本のかけがえのない絆のために力を尽くすことを惜しまなかった」とその功績を讃えた。

 このほか、オバマ元大統領はツイッターに「ショックを受けるとともに悲しみを覚えている。日米の特別な同盟関係に尽くしてくれた。広島や真珠湾に一緒に訪問したことを忘れない」などと投稿。ブッシュ元大統領は「無意味な暗殺に深く悲しんでいる。2006年に初めて首相に就任した時、思いやりのあるしっかりした人物だと感じた。国のために奉仕し続けたいと願う愛国者だった」などとする声明を発表した。

タイム誌の表紙に

 タイム誌は、最新号の15日号で、安倍晋三元首相を表紙に掲載した。内閣総理大臣として任期最長の日本の指導者であったことを「安倍晋三のレガシー(遺産)」と題して掲載。憲法改正を果たせなかったことや、辞任後も自身の「遺産」を塗り替えようとしたが、暗殺によって志を達成することができなかったと指摘する一方、日本の国際的なイメージ向上に貢献したと報じた。

輸入焼酎で乾杯

NY州法を緩和

ソフトリカー免許で販売可

 キャシー・ホークル・ニューヨーク州知事は6月30日、ニューヨーク州焼酎法改正法案に署名し、7月1日からアルコール度24%または以下の焼酎が、ビールと同等のソフトリカーライセンスで販売が許可される事になった。この変更により、焼酎のカテゴリーが単独で認識され、ニューヨークで初めて「Shochu 」として販売することができるようになった。この法案は、焼酎メーカーおよび日本食流通商社・日本食レストランにとっても非常に重要な意味があり、今後アルコール度24%以下の焼酎が日本の蒸留酒として認められた事、今後幅広く日本食レストランで楽しまれる事で焼酎が日本酒の様に広がりを持つことが期待されそうだ。

 具体的には、このライセンスは、ビール同様に、焼酎の小売販売を許可するライセンスとみなされ、同じ条件で消費される。この法律で規定される「焼酎」とは、日本から輸入された日本のアルコール飲料で、その含有量が24リットル以下のもの。ニューヨーク日本食レストラン協会のボン八木理事長は、「同法施行に関する追加情報を随時提供し、スムーズな展開に協力していく」としている。日本酒造組合中央会(JSS)は、「私たちは長年この法律を望んでいたので、大変うれしく思っている」とコメントしている。

(写真)NYではさまざまな焼酎が飲まれている(イーストビレッジのハイカラで)

ウクライナ支援の夕べ

NY日商創立90周年記念

 ニューヨーク日本商工会議所(JCCI)の創立90周年を記念して7日夜、「ウクライナを支援する夕べ」と題したカクテル・レセプションとコンサートが、メトロポリタン美術館のエジプト館デンドゥール神殿で開催された。

 レセプションではマンハッタン・スクール・オブ・ミュージック、ジャズ科専攻の学生でボーカルの河崎ゆう子さんをリーダーとしたMSMジャズトリオが演奏を披露した。また、本年度JCCI会頭に就任した米国三井物産株式会社社長の上野佐有会頭、同ファンド理事長に就任した北米三菱商事会社社長の高岡英則理事長、そして日本クラブ会長に就任した米州住友商事会社社長兼CEOの和田知徳会長が挨拶した。

 同イベントの収益金は、チャリティー団体のアメリケアにウクライナの支援金として贈呈。JCCファンド高岡理事長、JCCI上野会頭、日本クラブ和田会長より、アメリケアのマネージャーでストラテジック・パートナーシップのサラ・ロウイさんに3万ドルの小切手が贈呈された。

 来賓は国連日本政府代表部の石兼公博大使夫妻と、ニューヨーク総領事の森美樹夫大使。

 コンサートは今年話題となったオペラ「アクナーテン」の主役でグラミー賞を受賞したテノール歌手のアンソニー・ロス・コスタンゾと、メトロポリタンオペラ・オーケストラの音楽家たちが演奏した。