編集後記 2022年 8月6日号

みなさん、こんにちは。ニューヨークはアートの街です。本紙が主催するオンライン「週刊NY生活ギャラリー」(https://nyseikatsu.com/gallery/)では、これまで週刊NY生活紙上で紹介した作家、掲載した作品を本紙ウェブサイト(www.nyseikatsu.com)で常設展示していますが、現在、2023年度(今年9月から~来年8月)の新規作家の展示作品を募集しています。対象は、過去に本紙で作品が紹介されたことのある人、またはニューヨークで個展、グループ展に参加されたことのある人、もしくは将来何らかのNYにおける企画展に参加する予定のある人です。展示サイトには、作家のポートフォリオ、顔写真、絵画、写真、彫刻などの作品を最大10点まで期限1年間で掲載します。毎年更新が可能で、作品の入れ替えもできます。本紙読者にとってはニュース閲覧のついでにアート作品を気軽に楽しめるだけでなく、気に入った作品があれば購入することもできます。作家にとっては、多くの読者が毎週閲覧する本紙のウェブサイト・ギャラリーで、自分の作品を多くの人に見てもらえるだけでなく、作品を販売する新たなチャンネルとして利用することができます。日本国内在住作家の皆様の応募も歓迎です。今回から年に1度、参加作家による紙上ギャラリーも開催する予定です。週刊NY生活オンラインギャラリーへの参加申し込みの締め切りは8月31日です。申し込み方法や、詳細は、本紙今週号の19面の記事、または、ウェブサイト内の「週刊NY生活ギャラリー」のコーナーをご参照ください。アートは見て楽しんでもらってこそ価値があります。不特定多数の読者が閲覧する新聞社の本紙サイトだからこそできる「NY発の作品発表の場」をぜひご利用いただき、もしお知り合いにアーティストの方がいましたら、ぜひ皆様にもお知らせください。私も参加作家の皆様の末席に参加させていただいてます。よろしかったらご覧ください。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2022年8月6日号)

(1)原爆の日に平和祈る 戦争のない世界NYから

(2)阿部寛さんに国際映画賞 NYアジア映画祭で喜び語る 

(3)増田セバスチャン  色の力で街に活気を

(4)海外日本人サポート 最高裁判事の孫の日本国籍剥奪

(5) 岸田首相国連で演説 核兵器なき世界訴える 

(6)NY日系人会館水浸し 天井から大量の水漏れ

(7)Z世代トップ10ブランド 街角ファッション 

(8)トランペット大野俊三 生きる力響く

(9) 週刊NY生活ギャラリー 2023年度作品を募集

(10)映画「EKIDEN」を上映 6日にアジア・ソサエティーで

原爆の日に平和祈る

戦争のない世界NYから発信

国連教会で5日

 宗派を超えて世界平和活動を行うNY平和ファウンデーション(中垣顕実会長)は5日(金)午後6時から国連チャーチセンターで招待客と出演者のみの平和式典「第29回インターフェイス平和の集い=広島・長崎原爆犠牲者追悼(77周年)並びに閉鎖祈念」を行う。一般にはオンラインでの参加を呼びかけている。

 原爆で犠牲になった命、さまざまな戦争で失われた命に敬意を表し、毎年、広島原爆投下のNY時間8月5日、午後7時15分(日本時間、8月6日、午前8時15分)に合わせて行っている。式典を通して、原爆、戦争の過去を振り返る中、再び同じ悲劇を起こさないよう、内外の平和を祈念し、全ての命を大切にする「核兵器のない」平和な社会の構築のメッセージを発信する。当日は、式典に長崎市の田上富久市長とエリック・アダムス・ニューヨーク市長がインパーソンで出席する。 

 式典では、超宗教の祈念仏教、キリスト教、ヒンズー教、イスラム教、被爆者の体験談(森本ウエスト富子さん)、広島市長のメッセージ、パーフォーマンスは、ひろしま平和文化大使・原田真二、ソプラノ・服部愛生、歌舞伎役者・中村橋吾、ダンサー・杉山奈穂子が参加する。バーチャル広島原爆資料館ツアー(西前拓)。広島の原爆投下同時間に合わせ平和の鐘を鳴らす。オンライン:Zoom ID: 824 9809 7126 Passcode: 220806、フェイスブック・ライブ:facebook.com/HeiwaPRF

阿部寛さんに国際映画賞

NYアジア映画祭で「異動辞令は音楽隊!」

「受賞とても嬉しい」
俳優として西洋とアジアとの架け橋に

 ニューヨーク・アジア映画祭(NYAFF)で俳優の阿部寛さんが、日本で8月26日から全国公開になる新作「異動辞令は音楽隊!」(内田英治監督、制作幹事・配給・ギャガ株式会社)で「スクリーン・インターナショナル・スター・アジア賞」を受賞した。日本の映画俳優としてこの賞を受賞するのは同映画祭20年の中で初めて。

 阿部さんは、「アジアをテーマとしたニューヨークの映画祭で受賞してとても嬉しい。俳優として西洋とアジアとの架け橋になれたらいい」と喜びを語った。

 同映画で阿部さんは、地方警察バンドのドラマーとして駆り出される不機嫌な刑事役を演じている。仕事一筋の「昭和の男」が現代のコンプライアンス(法令遵守)の中で、パワハラの内部告発で第一線を外されながらも、不本意な職場で努力する中で、今まで顧みなかった家庭や家族との絆、第2の人生にもまた新たな幸せを見い出す中年男性の姿を描く。

 この映画は、日本に先駆け、同映画祭の会場となったリンカーンセンターでワールドプレミア上映された。授賞式のため来米した阿部さんは、内田監督と共に舞台挨拶し、会場を埋めた大勢のファンやニューヨーカーたちから大きな拍手を受けていた。

(写真上)舞台挨拶のため来米した阿部寛さん(7月22日、リンカーンセンターで、写真・三浦良一)

変化する社会や人生描く 内田
新しい第2の人生も素敵 阿部

 ニューヨーク・アジア映画祭が15日から31日までリンカーンセンターを中心に開催された。今回ワールドプレミア上映された内田英治監督の「異動辞令は音楽隊!」で、地方警察バンドのドラマーとして駆り出される不機嫌な刑事役を演じた俳優・阿部寛さんが、30年にわたるキャリアで培った多彩な才能、国境を越えた魅力、多様なジャンルに対応する能力を評価され「スクリーン・インターナショナル・スター・アジア賞」を日本の映画俳優として初めて受賞した。

阿部寛さんの話  

■ドラムスの経験がなくてドラマーの主役に=撮影の2、3か月前から先生について特訓を始めたが、簡単な動きができなくて、これに足があるのかと思うと愕然とした。本当に1か月くらいたっても手が馴染まなくて、やばいなと思っている時にバディ・リッチの雫が水面に垂れるような音に出会い、音の波紋がすごいなと思い、それまでただ乱暴に叩くだけだというイメージだったドラムスへの印象が変わり、本番中も練習してなんとか手足が揃うまでになった。1か月間、部活のように音楽と共に生活した体験は私の中で宝物になった。

■警察音楽隊の魅力=警察の仕事をしながら市民の笑顔に接することができる。見ている人たちにメッセージが確実に伝わる。これは警察の仕事として犯罪を防止する上で大切な仕事だなと思った。映画では、昭和の男の典型的な刑事が、音楽隊に配属されて「なんで俺が?」となるわけですが、以前、銀行に勤めていた仕事一筋の知人が、奥さんが倒れて、会社を辞めて介護して、ものすごく変わった。人って変われるんだなと思った。主人公の成瀬が練習場に歩いていく時にふと、思わず泣けた。自分の中で変わった姿に第二の人生も素敵だなと思った。

■アジア映画祭での受賞=ニューヨークでやっているアジアをテーマにした映画祭で賞をいただけてとても嬉しいです。アメリカで評価されるのは初めてで、俳優として西洋とアジアの掛け橋になれたらいいなと思う。海外の作品からのお声がかかれば、出たいという希望はあります。やれるかどうかわかりませんが。

■昭和の男から若者へメッセージ=日本だって(人生に)失敗してもセカンド・ステージもサード・ステージもあると思う。私も不遇な時代もあったし、プライドに凝り固まって打ちのめされたこともあるけれど、それがあったから一つ一つのチャンスにも巡り会え、エネルギーになっている。だから若いうちには、挫折がある方が強くなれるので失敗を恐れずに頑張って欲しい。

内田英治監督の話

■帰国子女の経験が作品に=10歳まで海外で育って11歳の時に帰国した。日本文化に慣れるのに戸惑った。昭和から平成、令和へと時代の移り変わりと共に社会の急激な変化があり、この映画でも中年が急激な変化の中で生きる姿を描いている。これからも作品を通し、世界からちょっと遅れをとっている日本が変わっていく部分を描いていきたい。

■映画祭で世界の人に=映画祭を通して、外国の人や海外の日本人に見てもらうチャンスが広がる。観てもらって映画なので、観客に親指を立ててグーのサインをしてもらうと作りがいを感じる。映画祭がなかったら、商業的にうまくいく映画しかなくなってしまう。

■コンプライアンス=映画の撮影現場は独特の気風の中で保守的な部分もあり、世界が問題意識を持っている中で、作り手の僕らが認識することが必要だ。

色パワーで街をハッピーに

増田セバスチャン、NY移住後初個展

ウクライナ支援チャリティ

 アーティストの増田セバスチャンのチャリティアート展「カラー・フォー・ピース」(協力・ニューヨーク日本総領事館)が7月29日から31日まで、ミズマ&キップスで開催された。増田のNY移住後初のイベントで「平和を考える」をテーマに、平和のための4つの色(青、黄、 緑、ピンク)をフィーチャーした作品を130点あまり展示した。作品販売による利益の一部と寄付箱に集まった金額は全米ウクライナ女性協会や、戦争で傷ついた人々を支援する人権団体に寄付される。会場にはアーティストが愛用するビンテージシーツを使用したペイント作品やリトグラフのほか、ベッドのインスタレーションやドネーションボックスなどが展示された。 29日夕に開催されたオープニングレセプションにはニューヨーク日本総領事館から松本大主席領事と全米ウクライナ女性協会のマリア・バンガー代表が来場し、祝辞を述べた。  

 増田さんは「カラフルな色が持つ、ドキドキ、ワクワク感を、人種・宗教・年齢・性別・国境、ありとあらゆるボーダーを飛び越え、色の少ないニューヨークでハッピーに感じてもらえることを願っています」と話した。会場には300人余りのファンや美術愛好会が集まり、ゴシック・アンド・ロリータ「カワイイ」ファッションに身を包んだ若者たちで賑わった。

最高裁判事の孫の日本国籍が剥奪(はくだつ)

海外日本人サポート(5)藤田幸久

 ① 山浦善樹元最高裁判事の英国在住の小学生の孫が、領事館から「パスポートの更新はできない。日本国籍を本人の志望により放棄する、との書類を提出すべし」と迫られた。② 米国在住近藤ユリ弁護士が、日本パスポートの更新を拒否されたため、新型コロナの影響で、帰郷中の日本から出国すると日本に帰国できない状況にある。③「親の死に目に会えなかった」「日本の親族を訪問したいが、国籍喪失届を提出しない限りビザは出せないと脅された」などの悲鳴が続出している。

 海外日本人に対するこれらの仕打ちの根拠は国籍法11条1項「日本国民は自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」です。日本国籍を維持したいか否かの意思に関わらず、強制的に国籍が剥奪(はくだつ)されるのです。外務省は長年両方のパスポートを持つ日本人を黙認してきましたが、コロナが発生するや、上記の仕打ちを強行するようになりました。    

 山浦善樹元最高裁判事は「孫の日本国民としての権利保障がされない、母国から排除される法律だ」と批判しています。近藤ユリ弁護士はこの国籍法は憲法違反だとする訴訟を起こしました。スイス在住の野川等さん他は、外国籍を取得しても自動的に日本国籍を失うのではなく「日本国籍を保持するかどうか当人が選択できる」よう国籍法第11条の改正を求めています。「国籍法第11条改正を求める有志の会」はこれを支援するオンライン署名活動を行っています。

 実は日本政府は真逆のことも行っています。ノーベル賞受賞者の南部陽一、中村修二、真鍋淑郎、カズオ・イシグロさんなど日本国籍の無い方々を日本人として賞賛しているのです。近年も岸田文雄首相が真鍋教授を「日本人として大変誇らしい」と持ち上げました。これらの方々の日本国籍を奪っていたにもかかわらずです。テニスの大坂なおみさんには多重国籍から「外国の国籍を放棄します」と印刷された国籍選択届に署名・提出させたのです。

 海外日本人ほど、日本に対する愛国心や日本に対する貢献の気持ちが強いものです。学術やスポーツなどで活躍する海外日本人に一つの国籍を強いること自体が日本の国益に反します。海外日本人の皆さん、国籍法を正す活動へのご支援をお願いいたします。

ふじた・ゆきひさ=水戸一高、慶大卒。世界的な道徳平和活動MRAや難民を助ける会で活動した初の国際NGO出身政治家。衆議院・参議院議員各二期。財務副大臣、民主党国際局長、民進党ネクスト外務大臣、横浜国立大講師等歴任。対人地雷禁止条約加盟、アメリカ元捕虜(POW)の訪日事業を主導。世界52ヵ国訪問。現在国際IC(旧MRA)日本協会会長。岐阜女子大特別客員教授。

岸田首相国連で演説

核兵器なき世界訴える

 岸田首相は1日、国連本部で演説した。首相は「私は今回のNPT運用検討会議に強い危機感を持ってやって参りました。外務大臣として参加した2015年会議の決裂以降、国際社会の分断は更に深まっています。NPTは軍縮・不拡散体制の礎石として国際社会の平和と安全の維持をもたらしてきました。NPT体制を維持・強化する事は国際社会全体にとっての利益です。この会議が意義ある成果を収めるため協力しようではありませんか。我が国はここにいる皆様と共にNPTの守護者としてNPTをしっかりと守り抜いて参ります。特に、ロシアによるウクライナ侵略の中で核による威嚇が行われ、核兵器の惨禍が再び繰り返されるのではないかと世界が深刻に懸念しています。『核兵器のない世界』への道のりは一層厳しくなっていると言わざるを得ません。しかし、諦めるわけにはいきません」とスピーチした。(写真・岸田首相ツイッターから)

林外相が来米、DCで講演

 林芳正外務大臣は7月28日から31日までワシントンDCを訪問した。滞在中、林大臣は日米経済政策協議委員会(経済版「2+2」)に出席したほか、ブリンケン国務長官との日米外相会談や戦略国際問題研究所(CSIS)での講演を行った。林大臣の就任後初のワシントンDC訪問となるこの機会を通じて、インド太平洋地域、国際社会の平和と繁栄の基盤である日米同盟の一層強化に努めた。

日系人会館水浸し

天井から大量の水漏れ

百年の歴史的資料は無事

 ニューヨーク日系人会(JAA)が入居する12階建てビル(西45丁目49番地)で1日未明、屋上に設置した火災用水タンクが破損し、大量の水がビルに流れ込む事故があった。この事故により、ビルの12階から7階までが水浸しとなり、11階全フロアを使っているJAAのホールや図書室、廊下などの天井板が剥がれ落ちるなどの被害を受けた。事故当時は夜中で人がいなかったため、ケガ人はいない。事務室の天井からも激しい水漏れがあり、職員の机の上のキーボードが水浸しになったほかコピーマシンも使えなくなった。ホールでは、天井の化粧板が水を吸った重さで剥がれ落ち、無惨にコンクリートが剥き出しになっている。天井から蛍光灯設備がぶら下がり、床一面は水面に。幸いピアノと日系人会の100年の歴史を保管してある資料室のダンポール箱が濡れずに無事だった。また、電話、インターネットも使える状態だった。前日夜にビル管理会社から電話を受けたという野田美知代事務局長は「来てみたら図書館の棚も全部落ちていて、被害の大きさに驚いている。日系人会の大切な歴史を保存してあった資料室が無事でよかった」と話す。日系人会では来年1月に同じビル内で現在の12階から5階へ引っ越す予定だが、ホールだけはすぐに使える状態に修復してもらうよう要求しているという。11日の敬老会などが中止になるなどの影響が出た。

(写真)水漏れで天井が剥がれ落ちた日系人会ホール(1日午後1時、本紙撮影)

Z世代のトップ10ブランド

 昨年から開始したNY・LA・シアトル街角ファッションチェック。合計100人に達したインタビュー回答者が身に着けるトップ10ブランドを纏めた。同率10位はAmazonとTarget、9位はユニクロ。ベーシックラインが好まれていたが、ユニクロは品質への評価も高かった。8位はSHEIN。高いデザイン性と圧倒的低価格で中国から消費者直送のオンライン販売モデルがZ世代女性にうけている。7位はアメリカンイーグルでスタイリッシュなデニムと、ボディポジティブな女性向けブランドAerieが人気。4位にH&M、Forever21、Levi’sが同率ランクイン。ベーシックラインの強いH&M、メンズが強いLevi’sの女性ファン層拡大や、事業再建中のForever21への若者からの根強い人気が健在だ。3位はVANSで、NYやシアトルの街角からLAのスケートパークまで100人中10名が同ブランドの靴を履いていた。2位はZARAで若い女性から圧倒的な人気だ。ワクワクする店舗はいつ行ってもカワイイものが見つかる。トップはNikeで100人中16名。学生時代のスポーツはナイキ指定ユニフォームが多く、まさに「ナイキと共に育った」感覚すらある。最近ではNFT技術を用いてメタバース市場にも参入。まさにリアルとバーチャル双方で攻め続けるNikeは最強のスポーツアパレルブランドだ。詳細は動画でご確認頂くとして、Z世代は時代を反映した視点からブランド選択を行う姿勢が顕著だ。各ブランドのマーケティング部門がしのぎを削る世界最先端NYの街角から、引き続きトレンドを追い続けたい。

(Wear 2Nextチーム/アパレル業界関係者によるファッション研究チーム)

トランペット 大野俊三、生きる力響く

 ニューヨーク在住のトランペッター、大野俊三が7月30日、イーストビレッジのザ・パブリック・シアター、ジョーズ・パブでライブ公演「メタモーフォシス(変身)」を行った。パンデミックの2020年に出したアルバム「RUNNER」からの選曲で、冒頭に吹いたのは、ドボルザークの「家路」だった。日本人の心にも染み込むこの曲は、大野が小学生時代に見て魅了された映画「トランペット少年」のシーンにもどこか郷愁の思いが重なる。

 1974年3月13日に、アートブレーキーの招きでニューヨークにやってきた大野は、ギル・エヴァンス、ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコックら多くのミュージシャンと共演してグラミー賞をはじめとする多くの賞を受賞するが、渡米直後の母親の自殺、その後も交通事故、第4期咽頭癌を経験し、その回復の過程で逆境を超えた可能性を見出してきている。今でも、右側の唇、頬、喉、肩から125の筋肉とリンパを切除したため神経がない。73歳。

 「慈悲とは悲しみを慈しむこと。今回の演奏会は自分に優しく、親切にすることで希望を持ち、その生きる力を感じていただける清涼剤になってもらえたら」。大野のトランペットが心に染み込んだ夏の夜となった。(三浦、写真も)

週刊NY生活ギャラリー 2023年度出展作家を募集

作品を受け付け中

展示してオンラインで販売

 本紙が主催するオンライン「週刊NY生活ギャラリー」(https://nyseikatsu.com/gallery/)では、これまで週刊NY生活紙上で紹介した作家、掲載した作品を本紙ウェブサイト(www.nyseikatsu.com)で常設展示しているが、現在、2023年度(今年9月から〜来年8月)の新規作家の展示作品を受け付けている。

(上)飯塚国男 Purple Lady with Cat, circa 2000s, Oil and acrylic on canvas, 28 x 22 in.

 対象は、過去に本紙で作品が紹介された人、ニューヨークで個展、グループ展に参加されたことのある人、または将来何らかのNYにおける企画展に参加する予定のある人。作家のポートフォリオ、顔写真、絵画、写真、彫刻などの作品を期限1年間で掲載。参加料金は、作品を最大10点まで展示できて1年間200ドル。翌年からの更新料は50ドル(作品入れ替えは1点につき手数料20ドル)。

 本紙読者は、「週刊NY生活ギャラリー」の展示コーナーで作品を見て楽しめるだけでなく、手軽にオリジナル作品を購入することができる。作家にとっては、作品を展示して多くの読者に見てもらえるだけでなく、自分の作品を広く一般に販売する新たなチャンネルとして利用することができる。また、今回から年に1度、紙面で同ギャラリー展示作品による紙上ギャラリーも開催する(本紙新年号を予定)。ギャラリーへの参加申し込みの締め切りは8月31日。申し込み、詳細の問い合わせは電話914・815・0439、Eメール

miura@nyseikatsu.com  担当・三浦まで。

(写真上)岩沢あさ子 The good day 100cmx73cm   acrylic  price $3000


「週刊NY生活ギャラリー」

https://nyseikatsu.com/gallery/

申し込み・問い合わせ

電話914-815-0439

Eメール miura@nyseikatsu.com

映画「EKIDEN」

第45回アジアン・アメリカン国際映画祭

松坂と安住が作る

 第45回アジアン・アメリカン国際映画祭が8月3日から13日までオンラインとアジアソサエティー(パーク街725番地/70丁目)でハイブリッド開催される。日本の作品として、ニューヨーク在住の俳優・松坂龍馬と監督・安住春菜氏のドキュメンタリー短編作品「EKIDEN(駅伝)」が8月6日(土)午後12時30分から同協会のローズ・ルームで上映される。

 内容は、昨年5月9日、約半年かけて集めた人種、性別、年齢、職業など全く異なる6人のランナーが、それぞれの想いを綴った「たすき」を受け渡しながらニューヨーク市内26・2マイルを走った記録。プロジェクトリーダーの松坂龍馬もそのランナーのうちの一人として出演。それぞれのランナー達の日常の1ページを記録した。どんなものを食べ、どんなものに囲まれ日々を送っているのか、そしてその違う人間たちが結束しひとつのゴールを共に目指す、そんなドキュメンタリーだ。

 監督の安住は「駅伝は日本で生まれた競技。ゴールという共通の目標に向かって走る、ランナーの1人でも欠けてしまってはチームの目標は達成できない。日本人アーティストである私たちのアイデンティティを通し、私たちが今世界に伝えたい「UNITE(団結)」というメッセージがより多くの人に届くことを強く願っている。構成はあるが、台本はなく、演技指導やカットの撮り直しもあえてしなかった」と話す。

 松坂は「2020年コロナが世界中を襲い、その後ブラック・ライブズマター(BLM)運動、アジアンヘイト問題がこのNYでも顕著に見られるようになり、私たちは世界がどんどん分断されていっているように感じていた。どうしたら人は違いを越え繋がり合い、共に生きることができるのだろう、今こそUNITEする時なんじゃないか。そう思い、このEKIDENプロジェクトを立ち上げた」と話す。

 上映時間23分。短編5作品(91分)の1作として上映。チケットは16ドル。ウエブサイト https://www.aaiff.org/ticketing から入手可能。

(写真)監督の安住(左)と俳優の松坂(7月27日マンハッタンで、写真・三浦良一)