大統領選社説
「危険な選択」ニューヨークタイムズ紙
「やり直す好機」W・ストリートジャーナル紙
11月5日に行われた米大統領選でのドナルド・トランプ前大統領(78)勝利の結果を受け、米各紙が社説を発表した。
リベラル系のニューヨーク・タイムズは11月6日付電子版で「アメリカは危険な選択をした」と題する社説を掲載した。米国の有権者は「誰も完全には予見できない危うい道を国に突きつけた」と断じた。「何百万人もの米国人が大きな欠陥があると認めている候補者に投票したことを無視できない」とし、「物価高、移民の流入、抜け穴だらけの南部国境、社会的に不平等となっている経済政策などを国の緊急課題と見て、(トランプ氏が)それらを解決する可能性が高いと確信した」と分析「もっと広い意味での米国の制度の状態に対する不信感も抱いて投票した人もいる」とした。
トランプ氏について「幻想を抱く余地はない。彼は最初の任期中、そして退任後の数年間、民主主義の価値観、規範、伝統はおろか、法律さえ尊重していないことを私たちに示した」とし、「すべての米国人はトランプ新政権を警戒すべきだ。政党や政治に関係なく、憲法上の抑制と均衡、公正な連邦検察官と裁判官、公平な選挙制度、基本的公民権など、国家民主主義の基本的な柱が、トランプ氏からの攻撃から守られるよう主張すべきだ」と訴えている。
ニューヨーク・タイムズはカマラ・ハリス副大統領(60)を支持していた。
一方、保守系のウォール・ストリート・ジャーナルは7日付電子版で「やり直す機会得たトランプ氏」と題する社説を掲載した。
同紙は、トランプ氏の勝因は「若者票と黒人およびヒスパニックの男性票を伸ばしたこと」だが、その理由は「バイデン大統領が公約した団結と繁栄を実現できなかったからであり、有権者がバイデン氏の進歩的政策の結果に幻滅するようになったからだ」と分析している。「インフレによる実質賃金の低下や、アイデンティティー政治の下での分断を助長する文化的主張、南部国境での混乱、国際社会での米国の抑止力崩壊が起きた。出口調査によると、特に経済がトランプ氏に有利な最大の争点だった。メディアがどんなに経済は好調だと説明したところで、(資産ではなく)賃金や給与頼みの有権者の感覚は違ったのだ」とした。
同紙は、有権者からの最大のメッセージは「経済成長に明確に目を向け続けるべきだというものだった」とまとめた上で、「政権2期目は失敗に終わることが多い。しかしこの政権は、これまで1世紀以上にわたって例がない類いの政権だ」と期待を込めた。