衆議院選挙保守過半数割れに米メディアの論調
日本で衆院選挙が27日に行われ、自民・公明与党が過半数割れの結果となったことについて、米国メディアも大きく報道した。
ニューヨーク・タイムズ(10月28日付電子版)は、「アジアで最も安定した民主主義を混乱に陥れる可能性がある」と指摘した。同紙は、石破首相は政治資金スキャンダル(いわゆる「裏金問題」)を敗因としているが、「有権者の不満はもっと根深いようだ」として、元外交官で現在はキヤノングローバル戦略研究所特別顧問を務める宮家邦彦氏の「過去30年間の停滞と生活水準の低下、特に若者の生活水準の低下に不満が募っている」との声を取り上げている。同氏の「これは単なる政治資金スキャンダルではない、これはもっと構造的で長期的な問題だ」との見方を伝えている。
CNN(同)も「世界第4位の経済大国を稀に見る政治的不安定期に陥れた」と報じ、生活費の高騰、インフレ、自民党中枢の大規模な政治資金スキャンダルに国民の怒りと政府への不信が高まっていた結果だとした。
ロイターは(同)は「日本が経済的な逆風に直面し、強硬な中国と核武装した北朝鮮によって緊張した安全保障状況に陥り、米国の有権者がまたもや予測不可能な選挙に臨む1週間前に起こったことだ」と事態を懸念する論調で報じた。また「不確実性により円は3カ月ぶりの安値に沈んだ」と報じた。ブルームバーグ通信(同)は、政治の不安定さは株式市場にとってマイナス要因となるのが一般的だが、日経平均株価は1・8%上昇し、TOPIXは1・5%上昇したことを指摘、「石破氏が総裁の座に留まるのに十分な支持を確保できる兆候がある」と報じた。また円安に振れたことについては「日本の株式市場を支える傾向がある」としている。