進撃の巨人大迫力舞台

ニューヨーカーの度肝抜く

 世界的人気漫画の「進撃の巨人」をミュージカル作品として舞台化した「『進撃の巨人』-the Musical-」のニューヨーク公演(全4公演)が10月11日から13日までマンハッタンにあるニューヨーク・シティセンターで行われた。チケットは公演前にほぼ完売した。

  「進撃の巨人」は2001年から2021年に別冊少年マガジン(講談社)に連載された諫山創の漫画で、人間を食べる正体不明の巨人と残された人類の戦いを描いたダークファンタジー。漫画の発行部数は世界累計1億4千万部を超え、アニメも大ヒットした。

 ミュージカルは昨年1月に大阪と東京で上演され、大きな話題となった。今回が初の海外公演で、日本初演に引き続き、演出を植木豪が手掛け、エレン・イェーガー役を岡宮来夢、ミカサ・アッカーマン役を高月彩良、アルミン・アルレルト役を小西詠斗、リヴァイ役を松田凌、エルヴィン・スミス役を大野拓朗が務めた。

 公演に先立ち、演出家の植木豪さんは、初の海外公演にニューヨークを選んだのは何故かの質問に「役者として、やるならブロードウェーのあるニューヨークだとの思いがありました。25年前ほど前にここに初めて来ていろいろなものを見させてもらいましたが、今度はアニメや漫画など日本の誇れる文化を通じてこちらの人たちとつながっていけるのは素敵なことだなと思います」と語った。また、「いろいろな巨人が出てきます。バルーンを作ったりしました。そこも楽しんでいただけたらと思います」と述べた。

 どんなところをニューヨークの人たちに見て欲しいですかの質問には、リヴァイ役の松田凌さんは「立体機動装置をワイヤーアクションでやっていますが、人類最強の兵士として、皆さんに衝撃を与えられたらと思います」と語った。エレン役の岡宮来夢さんは「ダンスも歌も、どのシーンも見ていただきたいです。そして巨人に立ち向かっていく姿をしっかり伝えていきたい」と語った。

 ミュージカルは原作の世界観に合わせダークなシーンが続く一方、歌・ダンスが随所に織り込まれ、原作にあるコミカルなところも取り入れている。主人公のエレン・イェーガーなどはもちろん、ハンジ・ゾエ(立道梨緒奈)やサシャ・ブラウス(星波)など人気の脇役も現れる度に会場からは大きな歓声があがった。

 ブルックリンから友人4人で来ていたアメリカ人男性(30)は「素晴らしい。とくに巨人には驚いた。ワイヤーアクションやブレイクダンスも楽しめた」と語った。週末を利用してルイジアナ州やテキサス州から来ていた人たちもいた。 (文・武末幸繁)

(写真)ミュージカル「進撃の巨人」の調査兵団のダンスシーンから(Photo:  Richard Termine)