名作曲家が愛した食べるクラシック

プロに聞く、生き生きEATS(イーツ)

元気と美味しいを求めて料理の達人が腕を振るう (57)

 ブラームスと家族間の手紙の中でしばしば登場するのがエッグノッグです。母からブラームスに宛てた手紙の中に「昨年のクリスマスは、ゆっくり話も出来なかったので、今度は埋め合わせにゆっくりもどってきてください。あなたの好きな厚切りのオートミールケーキ、エッグノッグを作って待っています」と書かれています。

 シューベルトも寝るときにエッグノッグを愛飲していたといわれています。エッグノッグは、体をあたためるため、モーツァルトも飲んでいたといわれています。本紙アート・クッキングの連載でお馴染みの料理研究家、千葉真知子さんが幻冬舎から出版した『食べるクラシック』がこの9月に増刷になりました。

 今回は、この中で紹介されている3点の料理を選んでもらいました。同書には詳しいレシピや写真は掲載されていないので、今回は写真つきで、偉大な作曲家たちの好んだ料理をご紹介します。

 『食べるクラシック』は、千葉さんの長女でピアニストの暁子さんの演奏会でパンフレットに作曲家たちのレシピを掲載してアートフルに仕上げたものです。エッグノッグは風邪をひいたときに、グラーシュは、沢山のパプリカは冷えの予防と美肌に、キャベツザワークラウトは、食べ過ぎ、胃のもたれなど脂ものを食べた時におすすめです。


◾︎エッグノッグ

 作曲家ブラームス家では誕生日やお祝いごとがあると決まってエッグノッグを作ったそうです。シューベルトも寝るときにエッグノッグを愛飲していたといわれています。寒さと疲れをとるための当時の健康法だったのでしょうか? アメリカではクリスマスシーズンになるとこのエッグノッグが喜ばれるようです。疲れた時におすすめしたい飲み物です。

【材料】 

牛乳 200cc

生クリーム 1/3カップ

卵黄 2個

砂糖 大3と1/3

バニラビーンズ又はバニラエッセンス 少々

ラム酒 1/3 カップ

シナモン 少々

作り方

1. 鍋に卵黄を入れてホイッパーで混ぜる。火にかけて牛乳を少しづつ加えながら混ぜ、砂糖、バニラビーンズ、生クリーム、ラム酒を入れてややとろみが出るまで混ぜる。


◾︎グラーシュ

 グラーシュは牛肉とたくさんのパプリカを加えてとろとろ火でゆっくりと煮込んだハンガリーの名物料理です。石造りの多いハンガリーはリューマチになる人が多く、その予防にパプリカが欠かせない野菜なのです。ハンガリー出身のセントジョルジュ博士がパプリカに含まれるビタミンCの発見でノーベル賞を受賞しています。グラーシュはシューベルトが最も好んだ料理としても有名ですが、彼はこのグラーシュに牛肉の腎臓や肝を加えたものを特に好んだそうです。

【材料】 

牛肉 350g

ジャガイモ 2個

玉ねぎ 2個

ニンニク 4片

パプリカ 2個

(大きいのは1個)

パプリカパウダー 20g

マジョラム 小1

ケチャップ 大2

オリーブオイル 大2

水 700cc

固形ブイヨン 2個    

トマトペースト 大2

砂糖 大2

塩 小1/3

胡椒 少々

作り方

1.牛肉を好みの大きさに切る。玉ねぎは半分に切り、さらにいちょう切りに切る。

ニンニクは皮をむいて半分に切る。ジャガイモは4つ割りに切り、パプリカは種を取り除いて好みの大きさに切る。

2.鍋に水を入れて牛肉、ジャガイモ以外の野菜を入れて40分煮る。途中でジャガイモを加えてさらに煮る。

3.②にパプリカパウダー、ケチャップ、オリーブオイル、砂糖、固形ブイヨン、マジョラム、塩、胡椒、トマトペーストを加えてとろみが出るまで煮る。


◾︎キャベツのザワークラウト

 ポーランドでは一家族で年間300個ものキャベツを食べるそうです。脂肪の多い肉料理やソーセージを多く食べるために、胃の働きをよくするキャベツが欠かせないのです。胃薬「キャベジン」があるのは食べすぎを意識してのようですが、できるだけ野菜でとることをお勧めします。

【材料】

キャベツ 1/4個 

白ワイン 50cc 

白ワイン酢  50cc 

砂糖 25グラム

塩 適宜

キャラウエイシード 少々

作り方

1.キャベツは5ミリほどのせん切りにし、さっと熱湯でゆでて、水分を十分切ります。

2.鍋に砂糖、塩、酢、キャラウエイシード、白ワインを入れて煮立て冷ましてから①のキャベツを入れて、白ワイン酢を加えてマリネします。