米国と日本のトップを決定する選挙が11月に行われる流れです。ジョー・バイデン大統領と岸田文雄首相の後任を選ぶ選挙です。米国の共和党と民主党の大会が終わり、9月には日本の自民党、立憲民主党のトップを選出する党大会が開催されます。それに続く総選挙が11月に行われる可能性が言われています。
しかし、日米の政党の実態は全く異なります。(A)米国の党大会は大統領選挙が行われる4年に1回数日間。日本では毎年1回数時間。(B)米国の大統領は党のトップではなく、日本の首相は与党第1党のトップ。(C)米国では予備選挙で候補者を決定するが、日本では党が候補者を決定する。(D)米国では議会での投票に党議拘束がなく、議員が独自に投票を行うが、日本では党議拘束に縛られる。
私は、2度米国の党大会に出席しましたが、様々なステークホルダーが4日間も参加者とキャッチボールを行います。今回の民主党大会ではカマラ・ハリス大統領候補、バラク・オバマ元大統領夫妻などの夜の演説を前に、昼間の間はこれが長時間行われました。
黒人、ヒスパニック、米先住民族、アジア・太平洋諸島人、LGBT、環境・気候危機、移民政策改革、インフレ阻止、AI、宗教間協力、子供に対する検閲との闘い、学生の債務救済、銃の暴力阻止、工場都市の奪還、などのグループが提案を行いました。
日本の政党の年1回数時間の定期大会には、主要産業、農協、医師会、スポーツ団体、労働組合、宗教団体などの業界団体。新幹線や道路等の陳情団体などが陣取ります。9月に行われる自民党と立憲民主党のトップ選びは党員と国会議員のみによる約2週間の選挙です。党員には、上記の団体関係者が多く含まれます。首相が国民から直接選ばれないことに加えて、約1年間国民とのキャッチボールを行う米国よりもはるかに短期間と言えます。
米国の政治は劇場化が進み、超大金持ちが影響を行使する点は心配でもあります。しかし、国民の意志に為政者が応える仕組みがあり、投票で政治を変えられるという実感を多くの国民が持っていると思います。
「日本では、『人民の、人民による、人民のための政治』が定着していない。戦後米国から与えられた民主主義の形は存在するが実態が伴っていない。」と感じますが、海外日本人の皆さん、いかがでしょうか?
ふじた・ゆきひさ=慶大卒。世界的な道徳平和活動MRAや難民を助ける会で活動した初の国際NGO出身政治家。衆議院・参議院議員各二期。財務副大臣、民主党国際局長、民進党ネクスト外務大臣、横浜国立大講師等歴任。アメリカ元捕虜(POW)の訪日事業を主導。現在国際IC(旧MRA)日本協会会長。岐阜女子大特別客員教授。