日系社会と共に半世紀
後継者タミコさん披露
古本不動産の創業50周年を祝うパーティーが7日夜、日本クラブで開催され120人の招待客が集い半世紀にわたる同社と創業者である古本武司さんと妻キャロルさんを祝福した。佐藤貢司ニューヨーク日系人会(JAA)会長が司会を務め、中垣顕實法師の祝鐘、ゲイリー森脇JAA名誉会長の音頭で祝杯をあげた。スーザン大沼元JAA会長がジェームス・テデスコ・バーゲン郡エクゼクティブ、シェリー・B・マイヤー上院議員からの祝辞を代読し、河手哲雄北米三菱商事会社社長、遠藤彰ニューヨーク日本総領事館首席領事が祝辞を述べた。
古本氏は第二次世界大戦中に日系人の強制収容所で生まれ、少年時代を父親の故郷である広島市で過ごし、ベトナム戦争時には米軍兵として出兵した経歴を持つ。退役後、ニュージャージー州フォートリー地区で古本不動産を創業、以後日系二世の地元の名士として日系人の地位向上のため活動を続けている。同氏は、ニューヨーク広島会名誉会長として、また人権活動家としての各種活動を通じ、ニューヨーク州及びニュージャージー州における日系人社会の地位向上及び日本・アメリカ合衆国間の相互理解の促進、友好親善に寄与してきたとして2022年に令和4年春の叙勲で旭日単光章を受章している。
当日は、同社の後継者としてタミコ・オオオカさんが正式に紹介された。資産管理の仕事をしていたタミコさんが、古本氏の父親・清人さんが戦前ロサンゼルスで働いていた会社の創業者、大岡菊夫氏の孫だったことが近年になって偶然分かり、74年ぶりの再会を果たし、後継者探しをしていた古本社長が、親の代のビジネスパートナーの再来としてタミコさんを後継者にすることを決めたのだという。
タミコさんの父親、正明さんも古本さんとは別のマンザナの日系人強制収容所の体験者で、日系写真家、宮武東洋(故人)が収容所内で撮影した有名な鉄杖網を掴む日系3少年の写真に映る一人。その実話をタミコさんの姉、アケミさんが3少年再会のドキュメンタリーを映画化、その作品が2022年、エミー賞の一つである第51回北カリフォルニア地域エミー賞のニュース・短編部門で最優秀賞を受賞している。タミコさんは、ニューヨーク地区では僧太鼓の主要メンバーとしても活躍中だ。祝賀会にはロサンゼルスで医師をしている古本さんの実姉、泰子さんもお祝いに駆けつけ、戦時中に過ごした日系人強制収容所での子供時代の思い出などを語った。
古本さんは戦時日系収容に反対したフレッド・コレマツ氏(故人)の遺志を継いでニュージャージー州のフレッドコレマツデーの祝日制定にも尽力するなど人権活動家としても知られる。祝賀会の最後に古本氏と深い親交があったマウント富士レストランの創業者・藤田徳明氏(故人)の長女、ナンシー・フジタさん、親族を代表してケン・オカジマさん、キース・サキムラさん、リンダ・カワグチさんがそれぞれ挨拶し、思い出を語った。閉会の挨拶では長男のスコット・フルモトさんが来場者に感謝の言葉を述べた。
(写真)前列左側から5、6番目が古本夫妻、前列右側2人目がタミコさん、左隣が父・正明さん(7日、日本クラブで)