ウクライナは今涙をこえて

 「モスクワは涙を信じない」(原題Moscow Does Not Believe in Tears )は1979年に製作されたソビエト連邦の映画。ウラジミール・メニショフ監督の作品で1981年に全米で公開され、翌年のアカデミー国際長編映画賞に輝いている。社会主義体制の中でも幸せを見つけ、ひた向きに生きる3人の女性それぞれの人生を描いた作品。そのソ連から分離したウクライナが今、ロシアの侵攻を受けている。小さな子供たちを抱えて国境を越える母親たちは、愛する夫や息子と別れ、不安と恐怖の毎日だろう。今はただ涙をこえて。200万を超える難民の数は、日に日に増している。エンパイアがウクライナ色に染まる日は、これからも続きそうだ。

(4日午後6時過ぎ、写真・三浦良一)