女性蔑視発言海外に

JOC森喜朗会長
米国で相次ぎ報道

 東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会(JOC)の森喜朗会長(83)の女性蔑視とも取られる発言について米メディアも相次いで報じた。問題となったのは3日にオンラインで行われたJOCの臨時評議員会での発言で、朝日新聞など日本の報道を引用して報じている。

 ニューヨーク・タイムズ(電子版)は3日、「会議での女性の制限を提案」との見出しで報道。「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」といった森会長の発言を紹介した。SNSで「会場で誰も女性差別に疑問の声を上げなかったことも問題」などと激しい批判が出ていることを指摘し、辞任問題になりかねないとしている。また4日には森会長が謝罪したものの、会長辞任は否定したことも報じた。さらに10日付では国際面の紙面を半分以上割いて日本国民の半数以上が森氏は五輪組織委のトップに不適任と世論調査で答えたと報じ、有力全国紙2紙が辞任を求めているとも伝えた。テニス選手大坂なおみさんの「全くの無知」とのコメントも掲載した。

 同紙が今回の森氏の発言で特筆したのは、森氏と森氏を取り巻く関係者たちの「いつもの調子で乗り切れる」と思っている旧態依然とした意識だ。

 ブルームバーグ通信は、森会長による女性蔑視発言をニューヨーク・タイムズ紙同様、詳細に伝えるとともに、国際議会同盟(IPU)の統計を基に「日本は議会(衆院)で女性議員が占める比率が世界で166位と、パキスタンやリビアより低い。政治機構において世界で最も男性優位な国」と指摘した。AP通信は「女性を蔑視する発言で、日本で騒動を呼んでいる」と伝えた。

 ニューヨーク・ポスト(電子版)は「東京オリンピックの森会長が性差別的な苦情で騒ぎを起こす」との見出しで報じた=写真=。「女性理事は話が長過ぎて”迷惑”と受け取られる発言をしたと伝えられている」とし、具体的には「女性理事の数を増やすなら発言時間をある程度制限する必要があり、終わらせるのが難しく、面倒だ」と述べたことを紹介した。また発言の際に「笑い声が上がった」ことにも触れ、「森氏が物議を醸したのは今回が初めてではない」とし、「コロナウイルスの状況に関係なく、オリンピックを開催する」と述べたことに言及している。CNN(電子版)は4日、森会長は「会議中に女性が話し過ぎることを示唆する発言が日本のメディアに漏れた後、木曜日に謝罪した」と報じた。発言は「女性が職場や権力の地位を求めるときに定期的に性差別に直面する日本で、即時の火事を引き起こしたと報じている。世界経済フォーラムの2020年世界男女格差指数によると、日本の男女格差は「すべての先進国の中で群を抜いて最大」で、153か国中121か国にランク付けされていることを指摘した。

(写真)森会長の発言を報じる3日付NYポスト紙電子版