日本時間の4月1日、日本の新しい元号「令和」が発表されると米国の主要メディアも相次いで報じた。日本政府の発表を伝えているが、元号の意味・解釈を巡っては違いが見られた。またほどんどのメディアが、慣例を破り中国の古典からではなく、初めて日本の古典を使ったものであることに触れている。
ウォールストリートジャーナルは「令は幸先の良い、和は平和」と報じた。ブルームバーグ通信は、命令の令に、平和あるいは調和の和で「令和」(Reiwa)と決まったと報じた。ワシントンポストは「令和は縁起の良さと調和を象徴する二つの文字」だとする記事を掲載。令は通常、命令を意味するがこの場合は良いという意味であること、また和は調和と平和を意味すると解説している。
一方、ニューヨークタイムズは「新しい元号が決まった。しかし誰もその意味を合意できない」という見出しの記事を掲載。「万葉集」から取られたという安倍首相の説明を紹介しつつ、一部の評論家たちが「(安倍政権の)右寄りを示すもの」として「秩序や法を意味する令を選んだ」と述べていると指摘している。これについては、首相官邸内閣副広報官・官邸国際広報室長の石垣友明氏が、令和を「秩序と平和」と解釈することは意図しておらず、安倍氏が述べている通り「人々が美しく心を結びつけるなかで文化が生まれ育つ」という意味であると海外メディアには説明していると報じた。記事では元号選びは有識者らが行っており、天皇や皇太子が決めているわけではないことにも触れている。
CNNも「安倍首相の説明が筋道が立っているか否かにかかわらず、日本の学者たちの間で意味が探られている」とする東京のテンプル大学アジア研究所のジェフ・キングストン所長の見方を紹介。同所長は「これは現在の日本の右寄りの政治傾向を写したものである」「昭和の和を使っており戦時の前向きな物語を促進する努力と一致したものかもしれない」と指摘。加えて「初めて中国の古典ではなく日本の古典から取られたことも、保守層におもねってのものではないか」との見解を報じた。