健康管理の間違い探し

ホームライフ取材班・編
青春出版社・刊

「日本人の9割がやっている残念な健康習慣」という、どきっとするようなタイトル。同じようなタイトル本を見たような気がしたので調べてみると、編集者のホームライフ取材班は、『栄養と味、9割も損してる! 残念な料理』や『日本人の9割がやっている間違いな選択』など、シリーズで刊行している。料理、そうじ、片づけ、防犯などさまざまな題材を取材対象に、独自に集めたテクニックや話題を発信し続けている彼らが今回取り上げたのは、「健康」に限った残念な習慣。残念な、というのは最近の言い回し方だが、つまり「間違ったことをよかれと思ってしていることが残念」ということだろう。本書は衣食住の幅広い習慣のなかから誰もが気になる健康・病気・アンチエイジングをテーマにピックアップ。多くの日本人が健康のためにやっている習慣にメスを入れ、ダメな理由と正しい方法を紹介している。
 本書によると、「多くの人が何気なくやっている習慣には大いに問題があることがよくある」らしい。例えばウォーキングについて。さわやかな空気がすがすがしい早朝のウォーキングは、特に中高年には体の負担になり危険。起きたばかりで体温が低いため運動するのに適していないし、就寝中にかいた汗で水分を失っているので軽い脱水症状のうえ血流が悪い。そこに運動で負荷をかければ血圧が上昇し、寒冷の刺激が加われば動脈硬化のある人は心筋梗塞の可能性が高まる。ウォーキングは体温が高い夕方にするのがベストとのこと。
 一昔前の常識と今では研究や医学的な裏付けによりだいぶ変わってきているという例もよくある。いままで正しいと思ってしていた自分の行動がまったく無駄か逆効果だったら? そんな間違っているかもしれない習慣を疑い、見直すよい機会になる。しかし、年齢を重ねるとなかなか自分の習慣を変えられないのも事実。情報を知った直後はへーと思うが、すぐに忘れてしまう。本書は121項目の役に立つ情報が1ページにまとめられているので、時間のある時に気軽にページをめくって何度も読める。記憶のどこかにひっかかってそのうち正しい習慣になることが期待できる、かも。そのうえでいままでやっていた自分の残念な習慣を知り、素知らぬ顔してこっそり修正していこう。
 ほかにも、休日の寝だめは体内時計が狂うので逆効果、みかんの白いすじごと食べると老化防止に効果がある、熱が出たときに額を冷やしてもあまり意味がない、適度な間食は太りにくい体をつくる、ビタミン剤はとりすぎると副作用がある、スウェットやジャージではなくパジャマを着るほうが寝つきも睡眠の質もよい、など。えーほんと? と思い、理由を知りたくなった方はぜひ手にとってみてはいかがだろうか。
 健康維持やダイエットをする際の知識を得たり、雑学を増やして友人や同僚との会話を楽しむ時に参考にしたい一冊だ。(高田由起子)