ミュージアム西部編

魅惑のアメリカ旧国道「ルート66」なんでもベスト10

 ルート66ファンの皆さん、こんにちは! ニューヨークの友人によるときれいな紅葉は11月初旬の大雨ですっかり落ち葉が目立つようになったとか。皆さんは素敵な秋期を満喫されていらっしゃるでしょうか。東京はやっと気温が秋らしく落ち着いたものの、まだまだ紅葉はもう少し先のようです。筆者の幼少の頃は紅葉といえば10月で、11月は散り始める時代でしたが、地球温暖化の影響か10年先には冬の風物詩になりそうな勢いですね(笑)。今月は前回に続き「ちょっとアカデミックなルート66」、西部編のご紹介です。ニューメキシコ州、アリゾナ州、そしてカリフォルニア州より合計5か所を選んでみました。
まずは余談から始めますが、ニューメキシコ州のアートと言えばアメリカ先住民、いわゆるインディアンアートを無視して語ることはできません。ルート66時代とは異なりますが、1937年までルート66の一部であった州都サンタフェに、かの著名アーティスト、ジョージア・オキーフの作品が並ぶ同名美術館があります。アメリカ抽象画の先駆けとなった彼女の絵は不思議とサンタフェのアート感覚とマッチするものがあります。ルート66の美術博物館と併せてぜひ訪問してみてください。
 さて本題。まずは同州トゥクムキャリから、「New Mexico Route 66 Museum」です。同街のコンベンションセンター敷地内に建つこの博物館はニューメキシコ州のルート66そしてオザーク地域(ミズーリ、オクラホマ、カンザス等含む)のルートを中心に紹介する博物館です。取り分けフォトグラフに重きを置いていて常時プロアマ両者の写真展を開設し、訪れる人たちに評判が高いのが特徴です。筆者の腕は大したことのないアマチュアですが、ここの写真展からはいつも多くのことを学んでいます。カメラ好きの方は要チェックです。写真の他にもガスポンプ、ネオンサイン、ジュークボックスから20年〜30年代のクラシックカー、そして大物カントリー歌手ロレッタ・リンさんのサインしたルート66特製ギターの展示など、幅広い内容です。
 次は同州サンタローザにある「Route 66 Auto Museum」。名前の通りヴィンテージもののクラシックカーが常時30台以上、しかも素晴らしいコンディションで陳列されている圧巻の博物館です。筆者の友人でもあるオーナーのコルドバ夫妻は超フレンドリーなのでついつい皆さん長居してしまうそうです。もちろん車以外でも軽食の食べられるスペースや、旅の途中には助かる清潔なトイレ(誰でも使えます)、そして結構なサイズのルート66関連のお土産販売スペースと、訪れて損はありません。しかも早朝7時30分からオープンしているルート66では極めてレアなビジネスアワー。急ぎ足で時間のない旅行者にも充分対応していますよ。
 さて次は州が変わって、アリゾナ州キングマンより「Arizona Route 66 Powerhouse Museum」のご紹介です。キングマンはアリゾナ州だけでなく西部ルート66の中心となりうる重要地点であり、ホテル・モーテル、レストラン、博物館はもちろん多くの観光スポットが点在します。ルート66を語らせれば5本の指に入る筆者の親友、歴史家であり作家のジム・ヒンクリー氏もここに拠点を構え多くの書物を発刊するとともに、歴史家ならではの「裏ツアー」なんかもリクエストすれば不定期で開催してくれます。パワーハウスという名前が付くようにこの博物館では取り分け馬車から自動車まで、動力に基点を置いたアメリカ西部の開拓史を紹介しており、文豪スタインベックの作品「怒りの葡萄」に登場する、未来を求めてカリフォルニアに向かったオクラホマ民の当時の馬車展示が館のハイライトとして堂々と鎮座しています。もちろん同州トップクラスの規模を誇るお土産屋さんや、ビジターセンターも併設しています。余談かつプチ自慢で恐縮ですが、世界中からのビジターが多いこの博物館は世界6、7か国語のパンフを用意していますが、その日本語版は筆者が担当させていただききました。ぜひお手に取ってみてくださいね!
 最後のカリフォルニア州より、いずれもその運営に関わっているルート66日本アソシエーションにも協賛してくれています、2つの著名博物館のご紹介です。まずはヴィクタービルにある「California Route 66 Museum」。カリフォルニア・ルート66を中心にさまざまな展示物が所狭しと飾られ、観る者を飽きさせません。カリフォルニアという立地上とても多くの観光客が訪れ、筆者も行くたびに世界中のどこかの「友人」が必ず増える出会いの場でもあります。デルヴィンさんを始め、館員さんは皆とてもフレンドリー、お土産屋さんだってやはりここも充実しています。
 もう一つはバーストウにある「Route 66 Mother Road Museum」。この博物館は、カリフォルア・ルート66はもちろん、さらに広範囲をカバーしています。展示物の充実さは説明するに及びませんが、特筆すべきはハーヴィー建築の代表作の一つであるバーストウのアムトラック駅に併設しているという点です。街のメイン通りから線路を越える陸橋を渡り、駅へと行く道は何とも郷愁を誘います。一点ご注意いただきたいのは、博物館の開館は金、土、日曜のみです。スケジュールをうまくあわせて訪問してください。
 ということで、今月も駆け足で紹介して来ましたが、いかがでしょうか。すべてを書くことはできないので、もっと詳しく知りたい方は筆者まで直接ご連絡ください。それではまた来月お目にかかります! (後藤敏之、写真も/ルート66協会ジャパン・代表 www.route66.jp)