日本語「大好き」アメリカ人

JETプログラム

帰国者の同窓会を支援 クレア

日本クラブで開かれた帰国者歓迎会に出席したアラナさん(後列右から2人目)とマックスさん(後列左から4人目)
松井クレア
NY事務所長

 JETプログラムは、地方自治体が総務省、外務省、文部科学省および自治体国際化協会(クレア)の協力の下に実施している。主に 海外の青年を招致し、地方自治体、教育委員会および全国の小・中学校や高等学校で、国際交流の業務と外国語教育に携わることにより、地域レベルでの草の根の国際化を推進することを目的とする 。JETプログラムの同窓会である JETAA(JET Alumni Association)の活動は日本を含む19の国と地域にわたり、支部数は54、会員数は約2万1000人となっている。米国には8500人、カナダに3300人の経験者同窓生が登録されている。クレアNY事務所は、全米19州、カナダ7州、ジャマイカ、トリニダード・トバゴの28支部に対し、補助金を出して活動を支援している。

 クレアNY事務所の松井裕明所長は「JET経験者たちが日本文化のサポーターとして活動したり、行政活動に参加するために同窓会を支援することが私たちの最大の使命です。言葉がわからないと概念が分からないので、日本経験で言葉の定義を肌感覚で持っているジェットのみなさんは日本にとっても大切な存在です。これからもサポートしていきたい。継続することが何よりも大切」と話す。

文化的絆深めたい

アラナ・ピコチさん
広島県派遣 Alana Picozzi

 2021年から24年まで広島で生活し、働く機会に恵まれました。この国際平和文化都市で過ごした日々は、私に深い感動を与えました。被爆者の方々に直接お会いし、その証言を伺う中で、核兵器不拡散への関心がさらに深まりました。私は高校で英語を教え、才能豊かで創造力にあふれる生徒たちと過ごしました。特に学校祭では、生徒たちの努力と発想力に毎回感銘を受けました。

 また、地域の若者が英語を学ぶために海外へ留学できるよう、資金を集めるボランティア活動にも参加しました。若者こそが世界の未来を担う存在だと信じています。自由時間には津軽三味線を学び、日本の伝統文化への深い尊敬を抱くようになりました。日本での充実した経験のおかげで、今後は外交や国際交流を通じて文化的な絆を深めることに力を注ぎたいと考えています。   (原文まま)

(2021年から2024年まで広島県立安古市高等学校に派遣。年齢・20代。現在ニューヨーク州サラトガ在住)

日本の歌が人生の節目に

マックス・シャタンさん
宮城県派遣 Max Shatan

 「とってもとっても静かな部屋に今はひとりで住んでます」。あまり刺激的ではないけど、これは日本語を学ぶのが好きな私にとって深い意味があります。FISHMANSの「ずっと前」という曲を聴きながら意味がすっと頭に入りました。振り返ったら私の日本語を真剣に学ぶ旅路の原点という感想です。

 歌詞は日本語教材に便利なだけではく、人生の節目になることもあります。

 2022年7月で卒業したばかりの私が真っしぐらに宮城県の塩竈市でALTとして就職しました。港町の塩竈では小中学校4か所に勤めていました。その2年間で生徒や同僚たちと信頼関係を築き上げて、学校のコミュニティの一部になることがすごく名誉で今でも感動します。ある日、体育館の壁に貼った校歌の歌詞が気になりました。

 「命の調べ美しく

誇りは永遠につきぬべし」

こんな豪華な歌詞が校歌なのか? その歌詞を読んでもっと真面目に日本語を勉強しようと決めました。そのように歌詞がまた人生の節目になりました。

 帰国する前に同僚たちが送別会をやってくれました。2次会になってカラオケに歌いに行きました。〇〇先生が「木綿のハンカチーフ」を思い切り歌い出しました。

 「恋人よ 半年が過ぎ 逢えないが 泣かないでくれ」私は微笑みながらじっと耳をすました。歌詞が一生に一度しかない瞬間の持ちをこめるお土産になることもあると実感しました。その実感は数え切れないほど日本で得て永遠まで身近に持っていきたいことの一つです。   (原文まま)

 (2022年から2024年まで宮城県塩竈市教育委員会に派遣。25歳。ニューヨーク市在住)