トランプ時代のグローバル経済 古市さん都留文科大で講義

古市さん都留文科大で講義

 本紙でお馴染みのニューヨークを拠点にサステナビリティ推進を行うNYマーケティング・ビジネス・アクション社代表の古市裕子さん(国連サステナビリティ協会代表)が11月19日、日本の都留文科大学の起業経営ゼミ学生50人を対象に客員教授として講義を行った。テーマは「アメリカ大統領選挙トランプ氏再選でグローバル経営者はこの激動時代にどういう視座をもつべきか」、特にトランプ次期政権の内政外交ポイントと今後の日米関係の予測を講義した。

 内政では、特に不法移民100万人近くの強制退去がもたらす経済影響について解説。短期的にはトランプ氏の経済対策での安定化が見込まれる一方、長期的には100万人もの移民退去となれば労働力不足が生産性を低下させ、再びインフレが再燃する懸念もあると指摘。また対外政策では、中国への関税率60%やメキシコへの関税の引き上げとなれば、米国取引を重視する国や日本は価格競争力で不利になる可能性が高いと分析した。

 日本企業にとって、こうした激動の時代の中で貿易のリスク分散とサプライチェーン管理が経営の鍵となると説明し、グローバル経営者に求められる「複眼的な視点」の重要性を強調した。さらに情報が氾濫する昨今、政治や経済の変化がビジネスに与える影響を多面的に理解し、データ分析とファクトチェックの重要性を促した。目の前の情報を鵜吞みにせず、第一次情報の原典を必ずチェックし柔軟に対応することが必要だと述べた。学生たちに国際情勢を「自分ごと」として捉える姿勢が重要であると訴え、未来の経営者としての心構えを促した。

 ゼミ講義後、学生から多くの質問が寄せられ、翌日にはオンラインで質疑応答が続けられるなど大盛況となった。学生の感想に「アメリカ政治のリアルな状況を深く知ることができた」「日本が注目すべきポイントを具体的に理解できた」という声が多く、卒論テーマの一環として古市氏に個別インタビューを依頼する学生もいる。古市さんは「大学でのリアル講義では学生たちの熱意が直接伝わり、同じ空間で対話することで貴重な気づきを共有できる」と、日本の未来を担う若者への期待を表した。