折紙アンテナ宇宙で開花

生徒の夢を乗せて宇宙望遠鏡打ち上げ

在米日本人生徒チームが優勝

NASAの出題を解決するアプリコンテストで

西本会里子CEO

 米航空宇宙局(NASA)が主導する青少年の宇宙科学アプリケーション発明コンテスト「NASA ISAC ハッカソン」で、在米の日本人の小学生から高校生までの青少年研究チームが健闘している(1面に記事)。ボストンのNASA ISACボストンのローカル優勝チームは、アート&テクノロジー部門賞を2021、2022年連続で受賞している。

 特に21年の日本人チーム「ジミー・イン・ザ・ボックス」は、「ウェブ・オリガミ・デザイン・チャレンジ」コンテストに挑戦し、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の模型を折り紙を使い再現、六角形折り紙細工(テッセレーション)を使った宇宙で開かせる内格ロケットアンテナの模型で作品を作り、その精巧さを評価されテ見事優勝した。同チームを組織して指導したのは、マサチューセッツ州登録 NPO、ビノベイティブ(Binnovative/https://www.binnovative.org)の創立者兼CEOの西本会里子さんだ。

 IT技術者でもある西本さんは、MBA就学中の2013年に、マサチューセッツ工科大学メディア研究所で在ボストン日本領事館の主催により開催された”The Japan-Boston Joint Entrepreneurship Forum”に出席。テーマが「ボストンは日本でイノベーションと起業家精神を育む上でどのように重要な役割を果たすことができるか」で、このテーマはこれまでアメリカに来てから自分が感じていた疑問であり解決すべきと感じていた問題点とオーバーラップし、何か行動を起こしたいと感じ、自分なりの答えとして、団体を立ち上げた。ここで産まれたのがビノベイティブだった。 

六角形折り紙で宇宙望遠鏡再現

ボストンから2021年に応募して優勝した「ジミー・イン・ザ・ボックス」チーム

 2021年の大会で優勝した「ジミー・イン・ザ・ボックス 」チームは、「Webb Origami Design Challenge」というテーマに取り組んだ。このテーマでは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope)の模型を折り紙を使って制作し、その先進的な設計を効果的に紹介することが求められた。同チームは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の鏡を模した折り紙を作るために六角形折り紙細工(テッセレーション)の手法を使い、また小型コンピュータ(ラズベリーパイ)やクラウド・データベースを利用してコンピュータ化された折り紙模型を作った。卓越した折り紙のアイデアと技術に加えて、コンピュータや電子工作、プログラミングのスキルを応用した独創性の高い成果となった。

 総合優勝に選ばれ、NASAの本部での受賞式典や、シャトルの打ち上げに招待された。西本さんは昨年NASA 本部で行われた受賞セレモニーにオーガナイザーとして参加した。

 西本さんは、「このハッカソンの成果を国際舞台で評価されたことからくる達成感は、参加者の意識改革にもいい意味で大きく貢献すると思います。ビノベイティブが目指す『協創体験の提供を通じて、日本及びアメリカのアントレプレナーシップの向上を目指す』ことへ着実に近づいていると思います」という。西本さん自身2児の母親。「海外で育つ日本にルーツを持つ子供達に自信をつけてもらい、大きく羽ばたいてもらいたいと願うだけでなく、その思いがより自分ごとになった」と話す。このようなアメリカで奮闘する若者から明日の日本を担う人材の創出につなげられる信じている。