激動の時代を生きる

「ロシアで人々は二極化」

マリア・ラビノビッチさん

 ロシアがウクライナに侵攻してから、もうすぐ1年が経過しようとしている。ニューヨークには多くのロシアからの移民が住んでいる。彼らは、ウクライナ侵攻についてどのように思っているのかそれぞれの思いを聞いた。(石黒かおる、写真も)

マリア・ラビノビッチさんと夫のユージンさん

マリア・ラビノビッチさん

 アイビーリーグの名門コロンビア大学を卒業し、ニューヨークで国際ビジネス法の弁護士として活躍しているマリア・ラビノビッチさんは、10歳の時にモスクワから両親と祖父母と共にニューヨークにやって来た。一緒に来た祖父母は英語が全く話せず、マリアさんが常に祖父母の生活を助けていた。親戚の多くはウクライナからロシアに移り住んだ人たちだという。マリアさんの父親はウクライナのハルキウ州出身。祖母はキーウ大学を卒業している。今でも祖母の姉妹や親戚の多くはキーウに住んでいる。ロシアに住む多くのユダヤ人はウクライナから来た人たちだ。

 現在はロシアのセントピーターズバーグ出身のご主人と大学生の息子と高校生の娘とマンハッタンに住んでいる。マリアさんにウクライナ侵攻についてどのように思っているのか聞いた。

 これはロシアのウクライナへの侵略で、明確な国際法違反です。ロシアがウクライナに対して行った行為はとてもひどく、耐え難いです。ウラジーミル・プーチン大統領はクレイジーを越えて邪悪です。当初は数週間で終えると思われたロシアの侵攻はこれほど長引いています。彼はこの戦いに負けているのです。それを認めることなく戦いを続け、民間人の生活を悲惨な状況にしています。ロシアの軍隊は十分な準備もできていませんでした。

 とても残念なことに前オバマ大統領はロシアによるシリア領土への空爆に対して強固な見解を持っていなかった。それが今回のロシアのウクライナ侵攻にも繋がったと思います。

 ロシアで報道されていることが真実でないことは明確です。疑う余地はありません。ニューヨークに住んでいる教育を受けているロシア人なら誰でもそれはわかります。

 プーチン大統領は2014年のクリミア危機でとても強いプロパガンダを作り上げました。彼はそれから8年かけてロシアの人々を洗脳しました。そして、彼らはとても洗練されたプロパガンダ・マシーンとなりました。

 もしかしたら、たとえばブルックリンのブライトンビーチに住む英語の話せないお年寄りでロシアの報道しか理解できなくて、それを信じているお年寄りがいるかもしれませんが、例えいたとしてもそれはほんのわずかなパーセンテージしかないでしょう。

 ロシア国民の多くがこの侵攻についてどう思っているかは、わかりません。わかっているのは国を離れることが可能だった多くのロシア人はロシアの国を出ました。しかし、年老いた親がいたり、金銭的に難しかったりしてロシアを離れることができない人たちもいます。そんな彼らは何も言う事ができません。なぜならば、もし何かを言えば、刑務所に送られるからです。

 私が思うに、ロシアでは人々は二極化していると思います。プーチンをサポートする人たちとプーチンを信じない人たちとに。ただ、何かを言うことを恐れているのです。そしてどちらのグループの数が多いかは明確ではありません。

 プーチンがこの戦争を終わらせることはないでしょう。これはあくまでも私の考えですが、米国がベラルーシの革命をサポートしなければ、ロシアの侵攻は終わらないでしょう。プーチン大統領の友人であるルカシェンコ大統領の力が衰弱すれば、ロシアは同盟国を失います。プーチン大統領は友人であるルカシェンコ大統領を助ける為にベラルーシにも軍隊を送り、軍隊はベラルーシとウクライナに二分化されるでしょう。これはあくまでも仮にベラルーシで革命が起こったらの仮定ですが。そうなれば、ウクライナにいるロシアの軍隊を退陣させるのが容易になると思います。