NYに新型地下鉄

川崎車両が640台受注

会話型座席役目終える

 メトロポリタン交通局(MTA)はこのほど川崎車両に17億ドルで640台の新型車両R211を発注した。R211はドアが従来のものより8インチ(約20センチ)広く、また各車両間のドアがなくスムーズに行き来できるオープンギャングウェイを採用。座席の多くは混雑時や車椅子のために折り畳むことができ、情報ディスプレイ、Wi-Fi、LED照明などの新機能も組み込まれている。2021年に試験車両が搬入されていた。今後、B、D、N、Q線などから順次、投入される。

 ニューヨーク市の古い地下鉄車両約3000台は2028年までに順次新型に置き換えられるが、これまであった「会話型座席」は消えることになりそうだ。最大で1592台が製造されるR211は一般的な通勤電車同様、車両内の両側に内向きの座席だけがあるスタイルとなっている。

The MTA observes the 31st anniversary of the passage of the Americans with Disabilities Act (ADA) at Coney Island Yard on Mon., July 26, 2021. The latest in accessibility features of the subways, buses, and paratransit fleet were put on display. R211 (Marc A. Hermann / MTA)

 「会話型座席」は車両側面の3つのオレンジ色の席と、鉄道列車のように前後ろを向いた黄色の2座席を組み合わせたもので、座っている人も外の景色が眺めやすく、また乗客同士が会話しやすい。起源は118年前の最初の地下鉄までさかのぼる。地下だけでなく高架も走るニューヨークの地下鉄では、景色を眺めやすいことから廃れずマンハッタン・スタイルと呼ばれ採用されてきた。しかし1970年代から使われている車両は最新の車両の2倍以上の頻度で故障するためサービスの信頼性が損なわれていた。ラッシュ時の混雑緩和もあり、これを機会に「会話型座席」は過去のものとなるようだ。