川崎車両が640台受注
会話型座席役目終える
メトロポリタン交通局(MTA)はこのほど川崎車両に17億ドルで640台の新型車両R211を発注した。R211はドアが従来のものより8インチ(約20センチ)広く、また各車両間のドアがなくスムーズに行き来できるオープンギャングウェイを採用。座席の多くは混雑時や車椅子のために折り畳むことができ、情報ディスプレイ、Wi-Fi、LED照明などの新機能も組み込まれている。2021年に試験車両が搬入されていた。今後、B、D、N、Q線などから順次、投入される。
ニューヨーク市の古い地下鉄車両約3000台は2028年までに順次新型に置き換えられるが、これまであった「会話型座席」は消えることになりそうだ。最大で1592台が製造されるR211は一般的な通勤電車同様、車両内の両側に内向きの座席だけがあるスタイルとなっている。
「会話型座席」は車両側面の3つのオレンジ色の席と、鉄道列車のように前後ろを向いた黄色の2座席を組み合わせたもので、座っている人も外の景色が眺めやすく、また乗客同士が会話しやすい。起源は118年前の最初の地下鉄までさかのぼる。地下だけでなく高架も走るニューヨークの地下鉄では、景色を眺めやすいことから廃れずマンハッタン・スタイルと呼ばれ採用されてきた。しかし1970年代から使われている車両は最新の車両の2倍以上の頻度で故障するためサービスの信頼性が損なわれていた。ラッシュ時の混雑緩和もあり、これを機会に「会話型座席」は過去のものとなるようだ。