老後生活困窮の現実

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日米ソーシャルサービスの社会福祉活動

米制度の狭間から救う

 実際に手を差し伸べたケースを2例紹介する。

 Aさん(シニア男性)は、ニューヨーク市内で独り暮らしをしている。Aさんが経営する会社が倒産し、収入を失った。Aさんの年金額は非常に少なく、生活費が不足する様になった。固定資産税やその他の負債が累積し、困ったAさんはJASSIに相談した。スタッフは、Aさんが申請可能な財政援助のオプションを調査し、ニューヨーク市の固定資産税および利息繰延プログラムへの申請支援を行った。また、高齢者住宅所有者の固定資産税控除プログラムでもAさんを支援する準備をしている。このほかにも、Aさんが申請できる適格な支援を引き続き探して支援しているという。

 Bさんは、夫と共に幼少の4人の子供を育てながら、ニューヨーク市で生活している。Bさんは、専業主婦で子育てに忙しくしていたが、コロナ渦で夫が働く会社が経営不振と知って、経済的な不安を感じていた。Bさんは、ウェブサイトを検索してJASSIの存在を知り、相談するために電話をかけた。電話を受けたJASSIのスタッフは、連邦政府やニューヨーク州及びニューヨーク市からのさまざまな公的支援の情報を提供し、必要な申請手続きを支援した。その後、行き詰まった会社がBさんの夫を解雇し、家族の収入源が途絶えた。貯蓄も無く、生活に困ったBさんは、再度JASSIに相談をした。JASSIのスタッフは、直ちに失業保険の申請手続きの支援をし、無料の医療保険への加入手続きの支援をした。その直後、Bさんが重病で緊急入院した。入院した病院からは、保険の情報なども含めて多くの複雑な情報を要求された。内容がわからないというBさんに変わって、JASSIのスタッフが病院に情報を提供し、Bさんは無事退院して在宅療養することができるようになった。公的支援を請けつつ、幼い子供たちと一緒に生活しながら、Bさんの夫の体調は、少しづつ良くなっているということだ。

 JASSIは、1981年の発足当時から一人一人のニーズに合わせたサービスを無償で提供し続けており、今後も米国制度の狭間で困っている 多くの人へ、米国で生活の基盤を図ることができる支援を続けていきたいという。寄付金は全額税金控除対象となる。JASSIはコロナ前は、KPMGやDTTのボランティアの支援を得て印刷物を折ってもらいラベルを貼る作業などして、ニュースレターを発送していた。その郵送リスト全体の数は個人が1580人ほど、会社のリストは1800ほどで、全部で3380人ほどに上る。ただ、シニアで登録している人は、460人。また、昨年度に支援したシニア432人の中には登録していない人も多く、一度だけのコンタクトの人もいるという。なお、現在では、Eメールで2153人に「Eニュースレター」を発送している。


JASSIを支援する企業・団体

· City Care Family Practice, P.C.

· Eisai USA Foundation, Inc.

· ITO EN (North America) INC

· IHI Americas INC.

· Japanese Medical Society of America;

· Japanese Chamber of Commerce and Industry of New York, Inc./ J.C.C. Fund

·  KPMG LLP

· Law Office of Ryoko Mochizuki & Associates/ LORMA HR Advisory Services

· Maruzen International Co., Ltd.

· Mitsubishi UFJ Financial Group, Inc.

· Mitsui & Co. (U.S.A.), Inc./ The Mitsui U.S.A. Foundation

· Nippon Steel North America, Inc.

· Relo Redac, Inc.

· Sony Corporation of America

· Sumitomo Corporation of Americas

· T.I.C. Restaurant Group

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