インターネット投票国会で質疑応答

在外選挙での運用、岸田首相答弁

 11月10日に国会で答弁された在外選挙のインターネット投票に対する岸田総理大臣の答弁は次の通り。

 「参政権の保障とインターネット投票に関する質問主意書」と題し中谷一馬衆議院議員が質問した。国会答弁の公開情報から引用し掲載する。

【質問】

 (1)参政権の行使は日本国憲法で保障されており、海外に住んでいる人が、外国にいながら国政選挙の投票ができる在外投票制度が設けられている。新型コロナウイルス感染症の影響下で行われた第四十九回衆議院議員総選挙は解散から投票日までが戦後最短となったことが影響し、在外投票が間に合わないという問題が生じた。政府は在外邦人が憲法に保障された参政権を行使できなかったことの責任についてどのように考えているのか、所見を伺いたい。

(2)欧米在住の女性三人が、在外インターネット投票の早期実現を求めてオンライン署名サイトにページを開設し、オンライン署名サイト「Change.org」の「在外ネット投票署名活動」において、署名活動を始めている。2021年11月9日現在で6000人以上の署名を集めているが、政府は在外インターネット投票の早期実現を求める国民の声をどのように捉えているのか、所見を伺いたい。

(3)第二百四回国会において立憲民主党と国民民主党が共同で「インターネット投票の導入の推進に関する法律案(中谷一馬君外十二名提出、第二百四回国会衆法第四一号)」を提出した。

 この法案は、日本国憲法の精神にのっとり、年齢、身体的な条件、地理的な制約その他の要因に基づき投票所への移動に困難を有する者を含む全ての選挙人等の投票の機会を等しく確保することが重要であることに鑑み、選挙等が健全な民主主義の根幹に関わるものであり、その公正及びこれに対する信頼が確保されなければならないことも踏まえつつ、インターネット投票の導入について、その目標時期並びに基本方針及びインターネット投票が満たすべき条件を定めるとともに、インターネット投票導入推進会議を設置することにより、これを推進することを目的としており、在外投票等におけるインターネット投票による投票の早期実施に関する検討についても規定していたが、この法案の内容について政府はどのように捉えているのか、所見を伺いたい。

(4)2021年11月5日に配信された東洋経済オンラインの記事「『日本のネット投票』実現が近いと判断できるワケ」において、小林史明デジタル担当副大臣が「2024年参院選では海外転出者がマイナンバーカードを持ち、オンライン投票の環境が整う。来年の参院選には間に合わないが、オンライン投票の実例作ることで一般投票のオンライン化に向けての法整備を進められると考えている」(引用部分は原文のまま)と述べられており、在外邦人を中心に期待されているものと認識をしている。小林副大臣の発言中「2024年参院選」とは、2025年に予定されている参議院議員通常選挙を指していると推察する。そうであれば、政府としては、2025年の参議院議員通常選挙を目途に在外邦人のインターネットを活用したオンライン投票の実装を目指していくのか、所見を伺いたい。

【答弁】内閣総理大臣 岸田文雄

 お尋ねの「在外インターネット投票」または「在外邦人のインターネットを活用したオンライン投票」については、平成30年8月の「投票環境の向上方策等に関する研究会」の報告書において、在外選挙におけるインターネット投票に関しては、一定の対応方策を講ずることにより、実現に向けた技術面・運用面の大きな課題は解決できること等が示されたところであり、総務省において検討を進めているところであるが、在外選挙におけるインターネット投票の導入に向けては、個人番号カードの国外での継続利用を前提とした本人確認、二重投票の防止、投票の秘密の確保、セキュリティ対策等の論点について確実に対応する必要があり、また、各党各会派における議論も踏まえる必要があると考えており、政府としては、引き続き、着実に検討を進めてまいりたい。