定年退職した後の健康保険はどうすればいいのか
北山茂治
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定年を迎え日本に帰ってきた方の心配事の1つに、健康保険はどうすればいいのかわからないということがあります。定年退職や転職した場合は、それまで加入していた健康保険はなくなり、新たな健康保険に加入する必要があります。特に長年海外で勤めた方は情報が少なく不安になると思います。さらに加入する医療保険制度によっては保険料に大きな差が出てきますので慎重に検討しましょう。
◇4つの選択肢
定年退職をした場合は次の4つの選択肢があります。(定年をしたけれど前の会社で再雇用される方は、健康保険はそのまま継続する会社がほとんどですので安心してください)①「任意継続被保険者」として退職前の会社の健康保険を引き継ぐ方法 ②「特例退職者医療制度」に加入する方法 ③「国民健康保険」に加入する方法 ④「家族の加入している健康保険の被扶養者」となる方法
①任意継続被保険者となる方法
この制度は、直前に勤めていた会社の健康保険制度を引き続き2年間利用することができる制度です。次の2つの条件を満たすことが必要です。(1)退職前の会社の健康保険に継続して2か月以上の被保険者期間が必要です。(2)退職日の翌日から20日以内に手続きをします。
会社に勤めていた時は健康保険の保険料の半分を会社が負担してくれていましたが、退職後は全額自己負担となります。
② 特例退職者医療制度に加入する方法
最近この制度のある健康保険組合が少なくなっています。平成24(2012)年当時で61組合だけです。現在はさらに減っていることが考えられます。
この特例退職被保険者制度がある組合でも、制度に加入するためには厳しい制限があります。まず保険組合の被保険者であった期間が20年以上あることまたは被保険者であった期間が40歳以降で10年から15年以上あること(保険組合によって年数が異なります)。そして老齢厚生年金の受給資格者であること(年金の支給が始まっていること)。③ 国民健康保険に加入する方法
75歳未満の方は、健康保険の被保険者・被扶養者や生活保護を受けている世帯を除き、国民健康保険に加入しなければなりません。保険者は、都道府県と市町村です。
被扶養者の制度はなく、加入者全員が被保険者となります。このため配偶者や扶養している方がいる場合は健康保険よりも負担が大きくなることがあります。
保険料の決め方は都道府県・市町村によって異なりますが、前年の所得に応じて決定されます。そのため、退職して所得がとても減った場合は、その翌年から保険料が大体の場合安くなります。ということは、保険料が2年間固定される任意継続よりも、2年目については国民健康保険を選んだ方が有利になることもあります。
④ 家族の被扶養者となる方法
例えば夫婦がそれぞれ働いていて、夫婦それぞれが別々の健康保険に加入している場合は、定年退職した夫(妻)が一定の条件のもと妻(夫)の健康保険の被扶養者になることができます。または子供の加入している健康保険の被扶養者になることも可能です。
保険料は必要ありませんので、一番有利な方法です。しかし条件が厳しいのでよく確認してください。
北山茂治(きたやま・しげはる)1978年に住友生命に総合職として入社し12回転勤。2000年に1級FP資格取得後は、主に企業コンサル・マッチングを実施。勤続40年を区切りに「北山FP社会保険労務士事務所」を開業。
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