大統領選出馬表明ブルームバーグ前NY市長

打倒トランプで米国の再建宣言

 米大統領選に出馬するとの噂(=本紙11月16日号既報=)があった前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏(77)が11月24日、正式に出馬表明した。声明で「トランプ氏を倒し、米国を再建する」と述べ、民主党から出馬するが、同党の候補者争いの混戦に拍車がかかるのは必須だ。
 ブルームバーグ氏は声明で「トランプ大統領の無謀で非倫理的な行動に4年以上耐える余裕はない。彼は私たちの国と私たちの価値に対する実存的な脅威だ。彼がまた大統領となった場合、損害から回復することは決してできないだろう。私たちはこの選挙に勝たなければならない。そして、アメリカの再建を始めなければならない」と述べている。
 民主党は17人が立候補する混戦状態。本命とされていた中道のバイデン前副大統領(77)が支持に伸び悩み、民主社会主義者のバーニー・サンダース上院議員に加えエリザベス・ウォーレン上院議員(70)など左派が躍進している。
 トランプ氏に勝つには中道の有権者の取り込みが必要とされているが、バイデン前副大統領は思うように支持率が伸びていない。
 大統領選としては異例の遅い出馬表明だが、ブルームバーグ氏はトランプ氏と渡り合えるリーダーが出てこないことから決断したと見られる。声明では「ビジネス、政府、慈善活動における私のユニークな経験が、私が勝ち、リードすることを可能にすると信じている」と自信を示している。
 同時に発表されたビデオでは、中流階級の家に育ち、実業家として成功した後、ニューヨーク市長になり、米同時多発テロで衰退したNY市を再建した経過を辿り、最後に「富裕層が税金をより多く支払い、苦しんでいる中流階級が公平な分配を得る国にする」というテロップが入る。

資産トランプの17倍

 同氏はロシア出身のユダヤ人夫婦の間に生まれ、ジョンズホプキンズ大学電子工学科、ハーバード・ビジネス・スクールを卒業。証券会社のソロモン・ブラザーズに入り、39歳の時に整理解雇された後、投資情報を有料で提供する会社を設立し、現在のブルームバーグ社に成長させた。
 民主党員だったが共和党に党籍を変えてニューヨーク市長に当選し2002〜13年の3期務めた。フォーブス誌の2019年米国長者番付では第9位。現時点での保有資産は541億ドルで、トランプの保有資産31億ドルのおよそ17倍。気候変動対策や銃規制などの問題に寄付した資金は約80億ドルで慈善活動家としても知られる。