NY在住ジャーナリスト津山恵子さんによる講演会「大変貌するアメリカ大統領選挙」が14日夕、日系人会(JAA)で約50人の聴衆を前に開催された(主催:NY日系人会ビジネスウーマンの会)。
トランプ氏が予測を上回って圧勝した要因は何だったのか、津山さんは物価高への不満、不法移民対策への不信感などが募る中、黒人やヒスパニック系などこれまでの民主党支持者が共和党へと流れたと指摘。さらにフェイクニュースのまん延、SNSを使ったインフルエンサーの影響拡大で、これまでの大手メディアに陰りが出たことなどを説明した。
津山三脚は2008年のオバマ氏の選挙から5回の大統領選挙を取材し、その活動を踏まえて米国社会の変遷を分析した。今回学んだこととして「選挙の結果を決めるのは結局は労働者階級の底力」と分析。加えて「社会的不平等(人種差別、性差別、LGBTQ差別)」などがいき過ぎてついて行けない中間層がいた事を、トランスジェンダー女性に対する恐怖などの例をとって説明した。さらに「若い男性」の弱さのコンプレックスと取り残される不安にもインタビューからの声を含めて説明した。
カマラ・ハリス副大統領に関しては、女性有権者の支持率でもバイデンの57%に対して54%と劣り、ラテン系、黒人の支持率でも減少傾向だった数字を挙げ、「男女の競争だったが男性が勝利した」と括った。最後に「トランプ集会取材を通して」としたスライドで、支持者のデモグラフィーの変化を説明した。「かつてのトランプ支持層が白人、男性、中高年、低学歴だったのに対し、2024年の支持者は女性、若者、人種的マイノリティ、性的マイノリティだったと、民主党の支持者を奪った事実を指摘した。
質疑応答では、インフレの問題に関して「トランプ氏の言う貿易関税を引き上げると物価高となりインフレを引き起こすのでは?」との質問に、対中貿易に60%の関税なども聞くが、トランプ氏の支持者は「エコーチャンバー(意見を発信すると自分と似た意見が返ってくる状況で、発言しているうちにそれを事実と思い込む事)」が多く、今は問題視していないようだと答えた。津山さんは元共同通信社記者、日本外国特派員会会員。
(ワインスタイン今井絹江、写真も)