連続通り魔殺人 マンハッタンでさされ3人死亡

リベラ容疑者

 18日午前中にマンハッタンで連続して市民3人が無差別殺傷事件の被害に遭い、2人は事件当日、3人目は翌日死亡する事件が発生した。ニューヨーク市警(NYPD)は事件当日、現場付近にいた精神疾患の既往歴をもつラモン・リベラ容疑者(51)を逮捕した。

(写真上)血痕が残る翌日の事件現場(写真・三浦良一)

警察によると、犯罪歴が多数あるラモン・リベラ容疑者をこの事件で3件の第一級殺人容疑で起訴した。月曜日の朝、日常的な歩道で起こった事件にニューヨーク市民が震撼した。路上に設置された防犯カメラの映像には、後にリベラ容疑者と特定された人物が紫色のバックパックを歩道に置く様子が映っていた。フード付きのスウェットシャツを取り出し、それを着て手袋をいくつか取り出す。帽子を直す。そしてナイフが現れた。

 最初の刺傷事件は午前8時22分、チェルシーの西19丁目で発生。被害者が働いていた建設現場の外で、36歳の男性が腹部を刺された。男性は病院で死亡が確認され、その後、被害者はピークスキル在住のエンジェル・ラタ・ランディさんであることが判明した。

 それから約2時間後、東30丁目で刺された男性がいるとの911通報を受けて駆けつけた警官が、腹部に複数の刺し傷を負った67歳の男性を発見した。この男性も病院で死亡した。この男性の身元は公表されていない。

 さらに30分後には3件目の事件が発生し、42丁目と1番街付近で女性が刺された。刺されたのは マンハッタン在住の36歳、ウィルマ・オーガスタさんで、胸と左腕を刺され、重体で病院に搬送されたが その後、死亡した。

 リベラ容疑者は、事件現場から4ブロック離れた46丁目1番街の角で逮捕された。警察は、容疑者が刺傷事件の現場間を公共交通機関や車両を使って移動したと見ている。

 3人目が襲われた42丁目の1番街と2番街に挟まれた橋の下の現場は、国連本部の目の前で、事件翌日の歩道には被害者が刺された時の流血の跡がまだ生々しく残っていた。血痕の側には「ここで無実の市民が今日殺害された」と手書きされた紙が路上に貼られていた。

 エリック・アダムス市長は月曜の記者会見で「容疑者は重度な精神疾患を抱えている」と語った。リベラ容疑者は過去1年間にニューヨーク市で8回逮捕されており、そのうち7回は重犯罪、1回は軽犯罪であったことが記録から明らかになっている。また、オハイオ州とフロリダ州でも逮捕されている。

 NY日本総領事館が

 在留邦人に注意呼びかける

 この事件が発生した18日、ニューヨーク日本総領事館は、在留邦人に対して、事件の内容、犯人が逮捕されていることを同日午後連絡メールで一斉に発出した。「日頃から次のことを意識し、自身の安全確保に十分注意を払うように」との注意を喚起した。▽日頃から常に周囲に注意を払う。▽「ながら歩き」(スマートフォンを操作しながら、またはイヤホンで音楽を聴きながら歩くことなど)を控える。▽不審者に遭遇した場合に備え、動きやすい服装にする。▽不審者や武器などを所持している人物を発見した場合、ただちにその場から離れる。離れる際には目立たないようにしつつ周囲の人にも注意を促す。▽安全な場所まで離れたら警察へ通報する、など。