NYタイムズ紙が詳報
サッカーワールドカップ
サッカーワールドカップ、コスタリカ戦に日本が負けた翌日、11月28日付ニューヨークタイムズ紙は、試合内容とは別に日本から応援にきたファンたちが試合後にスタンドのゴミを一斉に拾って掃除し始めたことを称賛を持って報じた。試合で熱狂してさっきまで飛び上がっていた日本人ファンたちが、試合後は青いプラスチックのゴミ袋を手に客席に散らかっているカップやポップコーン、空のペットボトル、ゴミ屑などを拾い始めた光景を丁寧に報告している。
記事を書いたのはニューヨーク・タイムズ紙のスポーツ担当のアンドリュー・ケ記者で、べルリンを拠点とする国際特派員で、25か国以上から取材しているベテラン記者。
試合終了のホイッスルが吹かれた。真昼の炎天下で何時間も跳ねていた日本のファンたちは、コスタリカに1対0で敗れた悔しさに浸る時間をしばし持ったが、その瞬間はすぐに過ぎ去り、青いゴミ袋が登場した。「今年のワールドカップで驚きをもって迎えられた試合後の儀式の再来」と書いている。
東京から来たファン(32歳)は、瓶やチケットの半券などスタジアムのゴミを袋に詰めて持っていた。「この場所は私たちのものではないので、使うならきれいにしなければなりません。そして、たとえ私たちのゴミでなくても、汚れていることには変わりないのだから、きれいにするべき」とのコメントを掲載。
このワールドカップ期間中、観客が冷静に清掃の仕事をこなす姿は、アメリカなど他国の観客を魅了しているとも述べている。日本では、特に公共の場での整理整頓は美徳として広く受け入れられている。試合会場にいた日本人は、そのような習慣は家庭で教えられ、学校でも強化されてきたと述べている。
一方で、横浜から来たというファンの「実は清掃に誘われたが、やりたくなかった」という声も紹介している。「私たちはただスタジアムを楽しみたかっただけなのです。私たちには、そうする権利があると思います。日本では、熱狂的なファンが詰め込んだゴミを分別するために、スタジアムの職員がゴミ袋をまた開けざるを得なかったという事例を耳にしたことがあるという」という懸念の声も紹介している。
元東京都知事の舛添要一氏は、ツイートの中で、日本人旅行者は現地の文化や習慣をもっと認識し、すでにスタジアムを清掃するために雇われた人々がいることを尊重する必要があると提言した。「日本の文明だけが世界ではない」と舛添氏は書いているが、現地では多いに歓迎されたようだ。モロッコやサウジアラビアのファンも、日本のファンに倣って試合後にゴミを捨てていることに気づいたと記述している。
(写真)日本人の清掃を報じる11月28日付NYタイムズ紙