進撃の巨人、アニメNYC

諫山創さん語る

 日本のアニメや漫画、ゲームなどポップカルチャーの祭典「アニメNYC」が11月18日から20日までの3日間、マンハッタンにあるジェイコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターで開催された。

 コロナ禍対策で入場には陰性証明かワクチン接種証明が義務付けられたがマスクは任意で3日間で約5万人の来場者があった。

 会場は思い思いのコスプレ姿の人たちで溢れ、アニメなどの関連商品を売る数百の販売店が並びお目当てのグッズを求める人たちで大混雑。ガンダム・エキスポUSAでは巨大なガンダムのロボットが2体設置され、来場者は思い思いに記念撮影。「進撃の巨人」のイェーガーの地下室、「モブサイコ100」の神樹などのフォトスポット、「SPY×FAMILY」や「チェンソーマン」などの記念撮影ブースには長蛇の列ができていた。「ワンピース」の主人公ルフィの巨大なバルーンが設置され、全米公開中のアニメ映画「ワンピース・フィルム・レッド」に出てくるウタも登場。ワンピースのコスプレをした人たちが入れ替わり立ち替わり一緒に写真を撮っていた。

「ワンピース・フィルム・レッド」のウタと一緒に記念撮影するコスプレ姿の人たち

 特別イベントホールでは19日、世界的ヒットとなった漫画「進撃の巨人」の作者、諫山創さんのトークショーが行われ、本人登場に大歓声が上がった。諫山さんは「進撃の巨人」の結末は最初から決めていたが、「いい奴」になっていった主人公エレンを変えていった結果、「ラストは難しいな、うまくいかないなと思いながら描いていました。すみません」と述べると会場から声援と拍手が沸き起こり、感激した諫山さんが「泣かないようにしないと」と語り目頭を押さえるシーンもあった。(写真上:ファンと共に「進撃の巨人」の調査兵団の敬礼をする諫山創さん(アニメNYCのツイッターより))

 質問に応える形で、好きなキャラクターはジャン、ハンジのモデルは変わり者の友人からであること、楽しく描いたのはキースの過去を回想するところなどと語った。残念ながら「進撃の巨人」が最初で最後の作品であり次の作品の予定はないことも述べた。

 パネルも数多く行われ、テレビアニメ「かぐや様は告らせたい」では、12月17日に日本で劇場公開される「ファーストキッスは終わらない」のプレミア上映の後、アニプレックスの石川達也プロデューサー、A-1プロダクションの菊池雄一郎プロデューサーらとともに、主人公四宮かぐや役の声優・古賀葵さんが登場して盛り上がった。「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」のプレミア上映では村瀬修功監督が解説した。「LUPIN ZERO」のプレミア上映などにも、いち早く観ようと観客が詰めかけた。

 「SPY×FAMILY」のパネルではプロダクションIGの和田丈嗣社長が話をした。「HIGH CARD」のパネルでは、来年1月からの新しいテレビシリーズのプレミアム上映が行われ、原作の河村ほむら氏と武野光氏が登壇、「賭ケグルイ」でも知られる原作者兄弟に800名収容の会場は満員だった。今年の人気パネルは予約制が多く混乱は少なかった。

 「呪術廻戦」の野薔薇役のアン・ヤトコさんや虎杖役などで知られるアダム・マッカーサーさん、また劇場版「ソードアート・オンライン』のキリトや「進撃の巨人」のエレン役で知られるブライス・パーペンブルックさんら英語吹き替え版の人気声優によるサイン会は今年も盛況だった。

 音楽関係では18日に作曲家の下村陽子さんを迎えての「ファイナルファンタジー」35周年特別コンサートが行われた。20日にはアレキサンドロスが登場し、映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」の主題歌「閃光」などを披露した。恒例のコスプレ大会や痛車(いたしゃ)の展示、アッキーブライトさんのライブドローイングなども行われ、日本のポップカルチャーの祭典にふさわしい盛りだくさんの内容だった。

 ニューヨークのアニメフェスティバルは、ニューヨーク・コミコンがよく知られているが、アニメNYCは日本中心のイベントとして独立し、、2017年から開催している。2020年はリモートだったため対面での開催は今回で5回目となる。(武末幸繁、写真も)