お2人の結婚、在米邦人の声

 公認会計士の試験も司法試験も、みんな何回か落ちて合格を手にしているのが実態。アメリカネイティブでない人が受験した場合、英語のハンデキャップがあるので、ネイティブと同じ合格率ではないのは当たり前なのに、米国での一般的な合格率を引き合いに出してフォーダム法律大学院を出たら合格して当たり前のように日本で報道されていたこと自体が大きな間違いだ。今回、1回目の受験で不合格になったことは、むしろ一般人として真正面からぶつかっている真摯さが伝わってきて、人間らしさと親しみを感じた。試練だと思って頑張って合格を手にした方が報われるのではないか。(50代、主婦、滞米歴25年)

 一部の週刊誌やSNSでは誹謗中傷が強調されがちだが、お二人の幸せと平安を願っている日本人も少なくない。手放しで喜ばれる結婚でなかったことが残念だが、愛を貫いたお二人をまずは祝福したい。裕福な人は郊外に移り住む他の米大都市と違い、問題も多いものの、ニューヨーク市は多種多様の人々がひしめき、手を携え合って暮らす街だ。これからも日本国民の思いを胸に留め、誠意を大切にしながら、多様性のなかの一つとして、この街に溶け込み、自分たちらしい生き方を発見し、実践してほしい。(「ニューヨークの魔法」シリーズなどの著者、岡田光世さん)

 眞子さんの来米後の就職先について日本側の週刊誌報道などでさまざまな憶測が飛び交い、中には具体的な美術館名まで出ているが、当地での関係者は一様に沈黙を守っている。仕事で関われるかどうかは別として、滞在中に日本での経歴を生かした過ごし方ができればいい。米国東海岸には、津田梅子が学んだフィラデルフィアや幕末の志士と言われた日下部太郎ら明治時代の日本人留学生300人あまりが学んだニュージャージー州ラドガース大学など日本ゆかりの地が少なくない。日米交流の歴史は眞子さんにとっても興味深い分野だろう。(60代、会社員、滞米歴35年)

 先日の貴紙記事によると、ニューヨーク在住の邦人はおしなべて眞子さんと小室さんの結婚を歓迎しているようだが、果たしてそうだろうか。私を含めて周囲は、8割が批判的で残りの2割が「天皇制に興味なし」との考えから結婚に関しても無関心である。批判派は、母親の金銭トラブルの解決を4年近くも先送りにしていること、次々と金銭に関する疑惑が出てくること、圭さん本人も経歴を「大げさに盛りすぎていた」こと、「フォーダム大法学院(JD)を本当に卒業しているのか」などと一時疑われたりしたことから、内親王の相手としては相応しくないと考えているようだ。眞子さんに対しても「皇室特権を最大限に行使しているにもかかわらず、公人としての自覚が足りない」「皇族が一般人の金銭問題に介入するのは象徴である皇室の中立性に反するのでは?」と手厳しい。先の記者会見で、国民の批判や疑問に答えず、「誹謗中傷」と否定したことも、自分に都合の悪いニュースを全て『フェイク』と決めつけたトランプを彷彿させて不快だとする意見が多く聞かれた。私も全く同じ考えである。(井上朗子さん、自由業)

批判の背景に皇位継承問題
NYタイムズ紙翌日に詳報

 10月25日付ニューヨークタイムズ電子版が「ついにロイヤル・ウェディング。しかし(祝福の)トランペットはなく、記者会見だけに」と題して報じた。記事では、眞子さまのご結婚相手の選択の妨害となる意見の根底にあるのは、伝統的な日本の象徴としてある皇室が存続の危機にあるからだとしている。世界最古の君主制は継承問題に直面しており、眞子さまの結婚は政府が対処することを拒否した問題を浮き彫りにしていると見ている。

 現在の皇室典範では女性天皇は認められていない。また、民間人と結婚した眞子さまは皇籍を離脱し民間人となるため子供ができたとしてもその子供に皇位継承権はない。こうしたことから継承者が極めて限られている。記事では、日本国民の大多数は現在の令和天皇の19歳の娘の愛子さま(19)が皇位に就くことができるよう法律を改正すべきだと考えているとし、共同通信の最近の調査によれば約80%が眞子さまのような皇室の女性から生まれた子供も継承できるように望んでいることを紹介。与党・自民党の保守派は女性の天皇にも女系皇族が継承権を持つことにも強く反対しているが、現在の皇室典範のもとでは、皇位継承資格を有する者は天皇陛下の弟である秋篠宮さま(55)、甥にあたる悠仁さま(15)、叔父にあたる常陸宮さま(85)の3名しかいないことを指摘。皇位継承が途切れることを避けるために眞子さまが皇室に復帰する可能性があるわけであり、そのため国民が眞子さまの夫の選択を検討する権利があると感じているのだろうとしている。女性宮家創設となれば小室さんも皇族に入る可能性がある。記事では、歴史学者の名古屋大学の河西秀哉准教授の「皇族の女性が後継者になるのか、あるいは皇位を継ぐことになるのかまだわからないため(国民は)結婚をとても気にかけている」との見解を紹介している。小室夫妻は今後はニューヨークで暮らし、圭さんはマンハッタンにある大手法律事務所で勤務、眞子さまはアート関係の仕事をすると見られている。記事では「おそらく、最も大衆的な反発を招いたのは、日本国外で自分たちの生活を切り開くという夫妻の決断だろう」としている。その例として「皇室はかつては美しく、手が届かない神のように見えていたが、現在はそうではない」と語る日本人女性の見解を紹介。女性は「お二人は国のニーズを自分たちのニーズよりも優先するというプレッシャーをそれほど感じていません」と述べている。これに対し、記者会見で小室夫人となった眞子さんは「私の新しい環境で平和な生活を送ることだけを望んでいる」と述べたことで記事は締めくくられている。