トランプ大統領勝利宣言
バイデン票逆転なら混乱必至
大統領選挙が3日全米で行われ、各州に割り当てられた「選挙人」獲得を争い、全米538人の過半数270人以上を得た候補が当選するなかで、米東部時間5日午後2時現在の選挙人獲得数は、トランプ氏が214人、バイデン氏は253人と大接戦を繰り広げている。トランプ氏は4日未明、勝敗未定の段階で「大きな勝利だ!」とツイッターに投稿し、午前2時過ぎに支援者を前にした演説で「我々はこの選挙に勝とうとしており、率直に言えば勝った」と事実上の勝利宣言をし、4日以降の集計の中止を求めるという前代未聞の展開となった。
勝敗を決めるのはラストベルト(さびた工業地帯)にある東部ペンシルベニア、中西部ミシガン、同ウィスコンシンの3州(選挙人は計46人)で、16年大統領選では白人労働者層の支持を集めたトランプ氏がいずれも制している。郵便投票の開票結果が出るのは最も遅い州で6日までかかり、民主党支持者の多くが新型コロナウイルスの感染拡大を敬遠して郵便投票に転じていることから、郵便投票はバイデン候補に有利に働くものと見られる。トランプ政権の4年を総括する選挙に有権者の関心は高く、投票率が70%に達するとの見方も出ている。
ニューヨーク市では、五番街やマジソン街、ブロードウエーなど目抜き通りの大半の店舗が1階のショーウインドーを板張りにして臨時休業にした。選挙結果に不満を持つ有権者が暴徒化し、略奪に走る可能性に備えたもので、マンハッタンのミッドタウン45丁目にあるニューヨーク日系人会(JAA)は、ニューヨーク市警察(NYPD)からの警告に基づき、入居ビルオーナーが2日、同日午後4時でビルを閉鎖することをテナントに伝え、6日(金)までビルが閉鎖となった。日系人会の活動は電話212・840・6942での対応のみとなる。
大統領選挙、鍵握る選挙人
世論調査の落とし穴
ヒラリーの悪夢最後まで拭えず
米国の大統領選挙は、州の人口ごとに「選挙人」が割り当てられている。選挙人の総数は538人なのでこの過半数である270人以上を獲得したほうが当選となる仕組みだ。大統領候補には緑の党やリバタリアン党の候補などもいるが、有権者のほとんどが共和党候補か民主党候補のどちからに投票する。そして、ほとんどの州が、最も多く得票した候補がその州の選挙人全員を獲得する勝者総取り制となっている。得票率で選挙人を配分する州は、メイン州とネブラスカ州の2州のみだ。
ほとんどの州が、共和党か民主党か伝統的に支持する政党が決まっている。選挙人が55人ともっとも多いカルフォルニア州や、29人を有すニューヨーク州は民主党が圧倒的に強く共和党候補になることはまずない。
一方、選挙人38人を有すテキサス州や、中西部のアラバマ、アイダホ、カンザス、ミシシッピやネブラスカ、またアラスカなどは毎回のように共和党候補で決まる。党のシンボルカラーから共和党が強い州をレッドステート、民主党が強い州をブルーステートとも呼ぶ。そこで、毎回注目されるのが共和党になったり民主党になったりと揺れ動くため「スイングステート(激戦州)」と呼ばれる州で、フロリダ、ジョージア、ノースカロライナ、オハイオ、アリゾナなどがそれに当てはまる。スイングステートを制することが勝利の鍵となる。
今回は、スイングステートのなかでも選挙人の多いフロリダ州(選挙人29人)が最大の鍵となると思われる。また、本来民主党が強いが2016年の選挙でトランプ候補が制したペンシルベニア州(同20人)も全体を大きく左右する。
本来レッドステートであるテキサス州(38人)はリアル・クリア・ポリテックスなどの世論調査によるとバイデン氏の支持率がやや優勢であり、仮にトランプ候補がテキサス州を落とすようなことがあれば敗退濃厚である。
各種世論調査では全米の多くの州でバイデン候補が優勢である。しかし2016年の選挙では世論調査に基づいた予想は外れトランプ候補が勝利した。この時は、オハイオ、ウィスコンシン、ペンシルベニア、ミシガン州のいわゆるラストベルト(錆びついた工業地帯)とフロリダ州が勝敗の焦点となった。